その鴉は賽を砕く   作:HI-32: BU-TT/A

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ちょっと待って!?この小説の主軸武器ついさっきナーフされたんですけど!!??じょ、冗談じゃ……。

という訳ですごく困ったのでレギュは初期から一切上げてないものとします、ギギギギギギ(苦い顔)


幕間 三苦悶

 

 

 

 調教師(ハンドラー)・ウォルターは苦悩した。突然の事態の連続に、或いは間の悪さというものに。

 自身が焼き払うべき忌まわしき遺産、技研都市の産物(C兵器)が稼働し、遺憾なくその牙を剥いてきた事に大きな焦りを覚えていた。

 半世紀を跨いで尚、稼働するその安定感と、その裏にいるであろう何者かがC兵器を鹵獲してしまっている事実の重大さと焦燥感は計り知れない。

 今回の依頼は採掘艦の護衛。企業からの破壊依頼を蹴り、護衛に回るという選択だった。だったのだが、襲ってきたのは企業などではなく、背景不詳のC兵器の群れ。

 これまでのミッションで幾度となくその卓越した腕前を見せつけてきた、然しもの621でも苦戦は免れない……そう考えていたが、杞憂だった。

 たった一度だけ、不安を覚えるような不安定さを露呈させはしたものの、それ以降は安定して仕事を全うし続けている。この実力があれば、自分に課せられた約束も果たせそうだと安堵していた。

 一方で、護衛対象は既に爆発四散していたのだから、集積コーラル(約束の場所)に至るまでを手繰り寄せる実績作りに差し障りが出る……苦悩はそれだけに留まる、はずだったのだ。

 

「……打ち止めのようだな、広域レーダーにも反応はない。ストライダーの護衛は出来なかったが、今回は不可抗力だ。」

 

 この後、どう621の実績作りに勤しむべきか。企業に頼り頼られ、行く行くはその勢力に相乗りする形で彼らを出し抜きコーラルに辿り着く。それまでの足がかりとして、621がルビコンに於いて一定の立場に就くのは必要不可欠だ。

 今回の結果は改めて621の実力を証明する試金石にはなったろう。だが、傍から見ればただの依頼失敗でしかない。先ずはいつものように621を回収し、次への布石を打つべきだ。話によるところ、現在ベイラムが「壁」の攻略をしている。成功すれば牽制のためにアーキバスや解放戦線から、或いは「壁」確保を確固たるものにするためにベイラムから仕事を取れるやも―――

 

「背景はこちらで洗っておく。621、お前は戻って―――」

 

 そう皮算用をしている間に、苦悩は深まる事となる。拠点となる輸送ヘリの手配ポイントから、全速力で(ABで)遠ざかっていくのだ。それも、東へと(「壁」へと)向かって。

 

「621……?一体、何処に行く?回収ポイントはそっちでは……」

 

「ごめん、なさい。うぉる、たー。いまから、"かべごえ"しえん、いってくる、ね。」

 

 予想だにしないタイミングの、予想もしない相手からの命令違反に、一瞬思考が停止する。何の意図があるのか、何が621をそうさせるのか、ウォルターは理解出来なかった。

 今、このタイミングで壁越え阻止(解放戦線につく)なら、まだ分かる。不可抗力だが失態を挽回するための行為になるだろう。依頼もなしに独断で肩入れするのは功績としてはよろしくはないがレッドガンが攻め入っているだろう状況、危急存亡ともあれば口実にはなる。

 では、何故だ?何故、ここで壁越えの支援を(レッドガンにつく)

 

「621、何故だ。解放戦線に味方するならば理解できるが、レッドガンに肩入れする理由は……」

 

「……おわび。このまえの。それと、しんでほしく、ないから。……しりあい、しぬの、やだ。」

 

 そう言われて、幾つかの疑問は腑に落ちた。それと同時に、重ね重ねウォルターは己の背負う十字架の重みが増した事を感じ取る。

 621は、酷く無垢だ。戦いの中に身を窶しておきながら、その手で屍山血河を築く事になりながらも、幼さを残したままだ。その感性の未熟なままにこの子供を戦地へ追いやっているのは、何処の誰だ?

 自分だった。己の命令を聞き届け、そして戦う。そこに淀みはないが、苦悩がある。そしてそれが未だ下されていない無地の作戦(決まっていないこと)であれば、手を伸ばそうとするのか。

 そのような二律背反のアンバランスさを押し付けているのは、やはり自分だ。だからこそ、自分が関われる内に(まだ命令されてないから)その手を伸ばさんとしているのか。

 

「……そう、か。お前は、その名前(G13)を大切にしようとしているんだな。」

 

 思えばあの時、出撃をする前の返答は一段と嬉しそうな声色だった気がする。……年相応の可愛げというもの、か。そうか、そうだろう。

 自分だったら、技研都市にいた頃(あの時の自分)ならば……友達が出来たら、大切にしようとする、だろう。

 幸いにも、621の奮戦は目を見張るものだった。消耗が無い訳ではないのだが、補給を不要としてあと一戦構えられる(ミッション1つ耐え得る)程度には。

 かくして己の境遇とまたも当て嵌め、罪過の荷重を受け止めて、己の中で納得を付けたならば―――ハンドラーとしての行動は一つとなる。

 

 

「―――ベイラム専属部隊レッドガン総長、G1 ミシガンはいるか。」

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

 G2(ガンズ・ツー) ナイルは苦悩した。ベイラム本社(上の連中)からの圧の強さと、無茶振りの数々。彼らの見えて透ける思惑と、それにより下さねばならない非情な決断に。

 元々レッドガンはG1(ガンズ・ワン)、歩く地獄、木星戦争の英雄ことミシガンありきの集団。だが、古巣ファーロンから彼自身が引き抜きに近い形で交渉して、ようやっとテーブルに就いた相手。

 ベイラム本社としては目の上の瘤、使いにくい駒か何かだと思っているのだろう。そしてそれ以上に、物量至上主義(くだらん社是)なんぞに固執し、目先の結果ばかりを求めようとする。

 結果を上げなければ黙らせるのは難しいが、その結果を今ひとつ出せない。むず痒い状況なのをこれ幸いにと結果を出せ(壁ぐらい落とせ)と詰め寄るばかりだ。

 副長の座にあるG2は、ベイラム本社側の立場でもある。だからこそ副長としての権限は総長にも匹敵し、彼の発言は一定の力を持ち得る。故に嘆願を重ね、何とか部隊が潰れないように交渉し続けてきたものだが……それにも限界はある。

 今正に、G4(ガンズ・フォー) ヴォルタが死地に追いやられている最中だ。夜襲を選んだのはいい、しかし戦力がこと「壁」攻略にあたっては少なすぎる。

 

「ふざけている……こんな事で、本社は現場での結果が出せると思っているのか?」

 

 日々強まる企業からの攻撃に、「壁」はつい先日戦力増強を行ったばかりだと聞く。それに対して、こちらが出せる戦力は笑える程度のもの(G4とMTが数える程度)。地の利を抑えられている上に、大火力の支援砲撃も雨霰と降り注ぐ戦地だ。

 先ず以て番号付き(重要な戦力)だけでも作戦を外せないかと苦心したが、それで叶ったのはG5(コンプラ違反)のみ。……言い訳にしても見苦しいものではあったが。

 だが、今になって考えればそれすらも悪手だったように思う。G4とG5はツープラトン、二人で一つのコンビと言っても過言ではない相性の良さがある。

 敵の注意を惹きながら守りを固め、堅実に相手を削り攻めの切っ掛け(ACS負荷)を作るイグアスと、鈍重だが圧倒的火力を誇り、イグアスの作った隙に的確に叩き込むヴォルタ。この二人が組めば、彼自身、G2にも十分太刀打ち出来るだろう。

 ……せめてこの二人が同時にかかれば、状況はまだわからなかった。そう考え、やはり思考は袋小路へと舞い戻る。

 圧倒的に、不足している。戦力、判断力、打開力、どれも片手落ちにも程がある。どうしようもなかった。

 今頃、「壁」ではヴォルタが戦死していないように祈るしかない。そう考えていた所に―――

 

「―――ベイラム専属部隊レッドガン総長、G1 ミシガンはいるか。」

 

 ―――全てを変える賽は唐突に、投げられた。

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

 G4(ガンズ・フォー) ヴォルタは苦悩した。今己が置かれている絶望的な状況と、光明一つすら見えないこの現状、そして己が去った後に悪友(G5)がどうなるかを。

 本社のボケ共は現場の人員の命を潰しの利く量産品か何かだと勘違いしているらしい。物量で圧倒しろだの何だの言うが、その社是を完遂出来るような物量がそもそも不足しているのだ。

 「壁」の戦力は、目算よりも遥かに上回っていた。近頃戦力増強を行っていたとは耳にしたものの、ここまでとは思いもしなかったのだ。

 無論、地の利の悪さと自身のAC構築(アセンブル)との相性の悪さも大きく影響し、同時に居たはずの悪友すらも居ない事が最大の要因と考えた。

 自分一人ならば、こうはなっていない。俺とあいつが組めば最強だ、少なくともミシガンとあの野郎(G13)の次に。そう考えてすらいた。

 実際その考えは、大きく外れてはないだろう。彼ら二人の相性が抜群に良いのは間違いなく、一つ噛み合えば十分に攻略し得るだけの実力もある。

 だが、足りない。足りないのだ。ここに頼れる悪友はいない。そして、戦力も足りない。何もかもが足りないのだ。

 

「クソボケ共が……こんな、所で……!!」

 

 死力を尽くし、食いしばり、襲い来る四脚MT(BAWSの傑作)をまた1機粉砕し、驟雨の如く打ち据えてくる砲撃に機体が削られ続ける。

 今際の際、ここが死に場所か。馬鹿という自覚はある。だがそんな己のチンケな知性でさえ、(それ)を理解した。

 自分がいなくなれば、イグアスの隣に誰が立てるのか。自分は折れてしまったが、あいつはミシガンの野郎を殴る事を一切諦めていない、反骨心と向上心の塊だ。

 でなければ、砲塔頭(キャノンヘッド)とコンビを組むのに首級を挙げる者(ヘッドブリンガー)なんて名前を付けようか。お前は俺の頭でも取る気かよ、と当時は何度も突っ込んだ。

 そんなあいつが、つい最近、またデカい壁(G13)にぶつかったのだ。あれは、間違いなく化け物だと感じた。自分では敵わない、自分では勝てないとほんの一瞬で理解させられたのだ。

 反撃一つままならない、戦いにすらさせてくれやしない。そんな相手にさえ、あいつは絶対に噛みつき乗り越えようとするだろう。

 その時、せめて自分が隣に居てやれれば。自分一人では勝ちの目が心ごと摘み取られてしまいそうになっても、あいつと共にさえいれば。

 そう考えるのは、きっと自分だけではない―――少なくとも、これが自惚れではない事を、ヴォルタは知っていた。

 だが、それが今終わろうとしている。最大の苦悩は、ただそれだけだった。

 故に、せめてもの贖いとして、ヴォルタは通信回線(それ)を開いた。

 

「イグアス……ミシガンの言うことは聞いとけ。あいつは―――」

 

 限界が近い。眼の前に迫り来るあの砲火を受ければ、いよいよ足が潰れてしまうだろう。

 これで、終わりか。そう考え―――

 

 

 

「させ、ない―――!」

 

 

 (R.I.P./R)が、起こる。





ごすずん
 それでも621を信じ、最大限の働きかけをしてくれる聖人。

G2 ナイル
 絶対この人胃痛枠だよね。

G4 ヴォルタ
 なんかいきなり目の前に飛んできた。

R.I.P./R(リップル)
 まにあいました。
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