冒涜戦線 ~冒涜されし神々と人類の最終聖戦~ 作:オジロワシ
"......この反応は航空機か"
"捨て置いておけ、ゼロワン。揚陸隊はアフリカ大陸の総戦力の七割だ。
"しかしゼロスリー、奴らにはジャガーノートの眷属が付いている"
"所詮は一人だ。数の力を前にして、英雄など存在はできんさ"
僅かな不安を抱えつつも、ゼロワンは同調。ゼロツーゼロスリーと共に、氷の下の海中へと潜航。新たな危険因子の排除に乗り出した。
"ゼロスリー、レヴィアタンの艦隊との接敵予想は?"
"想定以上に素早い。おおよそ三時間後だ"
"揚陸隊から幾らか引き抜くべきじゃないのか?
"そうだな、ゼロワン。幾らか引き抜いておこう"
海中を遊泳しつつ、ゼロスリーは進攻中の揚陸隊に向けて連絡を飛ばす。
"こちらヒュドラ、進攻中の揚陸隊に通達。
"揚陸隊了解"
これで軽く数十万単位の
"一〇個群体とは大きく出たなゼロスリー。数は足りるのか?"
"問題ない。白リン弾の有用性が判明したのはつい最近だ。そうそう多くは準備できまい。それに、アフリカ大陸総出だからな。たかだか数十万。全滅したとて、全体の数パーセントにも足りん"
"......それもそうか"
"今はレヴィアタンに集中した方がよい。アイツが人間体に甘えている内に仕留めるのが、我々の勝ち筋だ"
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「ネームレス01より全機、フォーメーション・アブレスト。密集陣形」
『ネームレス各機了解。フォーメーション・アブレスト。密集陣形』
米空母より無事離陸したYF-35全機は僚機が上がるまで暫し待機。その後、艦隊上空で横一列の密集飛行陣形を取る。
「これよりオペレーション・シルバーバレットの第一段階、敵群体進攻の足止めを行う。また、艦隊前方には大型異生物、コードネーム[ヒュドラ]が展開している。ブリーフィング通り、[ヒュドラ]を避けるため迂回。敵群体側面より急襲を仕掛ける。我が隊の活躍に合衆国の未来が懸かっている。各員、死力を尽くせ」
『『『ラジャー!!』』』
スイーパー隊を先鋒とし、ネームレス以下飛行隊が追従。低空を数十分と飛ばぬ内に、レーダーは大地を埋め尽くす無数の輝点を映し出した。
「ネームレス01より全機、目標の群体を捕捉した。高度制限解除、白リン弾投射体制に入れ!!」
『ウィルコ!!』
スイーパー隊が機首を鋭角に上げ、急上昇。敵群体の注目を集める。
『スイーパー01よりネームレス01。敵群体の誘引に成功。このまま散開、遊撃に移る』
「ネームレス01了解。ネームレス01より各機、白リン弾用意」
「おーおーこりゃまたゾロゾロと......よし。ネームレス01より全機、敵の誘引に成功。白リン弾、全弾撃て!!」
YF-35各機のハードポイントに
ロケット弾の白煙が海上を覆い尽くし、同高度を飛翔していたYF-35のコックピットからは、まるで霧の中に入ったかのような景色であった。
「クソっ、視界が......!! ネームレス01より全機、白リン弾の射出が終わり次第高度を上げろ!! 自機の位置関係と上下の感覚を見失うな!! ここで墜ちても救助は期待できないぞ!!」
間もなくして、燃料が尽きて滑空状態へと移行した白リン弾が炸裂。
レーダーを見ても、これまで
しかし、効果は限定的だ。
「ネームレス01より全機、敵群体の先鋒の足止めには成功した。迂回される前に帰投するぞ」
『ラジャー』
白リン弾の被弾を逃れた
「ネームレス01よりマザー01。作戦第一段階達成、敵群体の足止めに成功した。座標を送信する」
『マザー01了解。座標を確認、これより総攻撃を行う。早急に現地点から離脱、帰投せよ』
「ネームレス01了解......ってもう尻尾撒いて逃げてるがな」
YF-35は高速性を重視していない。故に、最高速度は時速一〇〇〇キロが精々だ。
そして、確認されている
『スイーパー01よりネームレス01!! 敵群体から分離したと思われる
「は?! 畜生っ、白リンに炙られた生き残りか!! 数は?!」
『総数は不明!! ですが、数は多くはありません!! 迎撃しますか?!』
戦車中隊を一撃で蒸発させ、爆風で超広範囲の航空機を羽虫のように叩き落とす。下手な迎撃では一網打尽にされるのは間違いない。
「やるしかないな......ネームレス01より全機、反転して迎撃を開始する。パターン・アルゴだ。訓練通りやるぞ!!」
真っ先に回頭するネームレス01に追従し、全機が一斉回頭。YF-35の優秀な機動性能により、旋回に従来のジェット戦闘機ほどの時間は掛からない。
『ネームレス01よりマザー01。
『マザー01了解。総攻撃は五分後、着弾は一分後だ。それまでに離脱せよ』
「ネームレス01了解」
YF-35全機がプラズマの光を抱きながら猛追する
これにより突出していた一群が壊滅。YF-35全機は旋回の勢いそのままに左右に散開。
「ったく、どうしてこうもこいつらはわざわざ速度を落としてきやがるんだか......ま、狙いやすくて助かるがな」
左右に散開したYF-35は機体を僅かに下方へと傾けつつ、背中を
「ネームレス01より全機、掃射開始!!」
YF-35の隊列が左右から
最初の掃射を生き延びた
だが、上昇し離脱した個体は射程外。包囲した個体を全滅させ、YF-35各機は機首を上げ追撃に移る。
「一匹も逃すな!! ここで墜とし切るぞ!!」
YF-35のFCSは見越し射撃に特化した特注品。幾ら
そうして上空に逃れた
『
「ネームレス01より全機、よくやった。これより総攻撃が始まる。このまま帰投する」
『ラジャー』
「ネームレス01よりマザー01。これより帰投する。しかし、想定外の戦闘で迂回では燃料が持たない。最短距離で母艦に向かう」
『マザー01了解。[ヒュドラ]に注意しつつ、帰投せよ』
燃料のメーターと睨めっこし、レーダーにも目を配り、エンジンの出力を調整しながら母艦へと直行。その間は一切の戦闘も無く、何かを見かけることも無く。無事に母艦へと帰投できた。
「よし、これでもう実戦配備は決まったようなもんだな。一応、故障が無いかどうか確認しておいてくれ」
「了解」
整備士にそう伝え、ネームレス01のパイロットは作戦の結果を報告するため艦橋へと上がった。
「──なるほど、ということは現在[ヒュドラ]の所在は不明ということか」
「はっ。道中、氷上に戦闘痕と思われる多数の破孔が確認できましたが、[ヒュドラ]らしき姿は確認出来ませんでした。レーダーにも反応はありませんでした」
「分かった、報告ご苦労。暫くは出撃の必要も無いだろう。ゆっくり休んでくれ」
作戦の第一段階はほぼ完璧に遂行された。空域封鎖によるミサイルの迎撃を心配する必要も無く、残すは敵陸上兵種のみ。これを総攻撃でどれだけ殲滅出来るかが、この作戦の重要なポイントである。
「艦長、座標の入力終わりました。いつでも発射可能です」
「よし......では全艦に総攻撃用意、指示を待つよう伝達しろ」
「了解。マザー01より全艦、総攻撃用意。指示を待て」
第五艦隊司令官、ウィリアム・ハーレイは暫し考え、総攻撃の開始命令を高野大佐に一任することにした。
「高野大佐、総攻撃の開始は貴官に委ねる。貴官のタイミングで号令を」
『......了解した。第五、第七艦隊の準備は万全かね?』
「第五、第七艦隊共にいつでも発射可能だ」
『了解。では──』
高野大佐はそっと息を呑み、号令を下す。
『──全艦、総攻撃を開始せよ』