卍解したら多分十億七千三百七十四万一千八百二十四色になる
見切り発車
死後魂は転生されるという話がある。
輪廻とかいうシステムで、そこから抜け出すのが仏教の目標だとか。
生前善行を行った魂は天道へ行き極楽の世界へ、悪行を行った魂は地獄道へ行き苦しみの世界へ。
その他もろもろの行いはその他もろもろの世界へ。
さて、ならば俺はどうであろう。
特に善行はしてない。かといって悪行と思い当たる節もない。
もちろんそれが無知や愚かさ故というならば畜生道へ堕ちるのもやむなしではある。
しかし獣ではない。
貪欲ではなかったせいか餓えもないので餓鬼ではないか。
地獄の苦しみも味わってはおらぬ。
では人か?一部そうともいえ、そうではないともいえる。
「破道の一、衝」 「よし、次!」
「うおおぁ!破道の一、衝!」「無駄に気合を入れるな、次!」
「はっ、破道の一、衝っ」 「そうだ雛森、いいぞ! 次!」
「破道の一、しょおォ!」 「詠唱が甘い、次ィ」
鬼道、破道、衝、そして雛森。
聞いたことのあるワードだ。聞いたことのある名前だ。なんなら聞いたことのある声だ。
BLEACHという超名作有名長編傑作漫画の名を聞いたことのない奴は大体モグリだ。
それが眼前に、リアルとして存在している。
つまりこれは仏教的輪廻転生ではなく二次創作的チート転生だということか!
そう、俺は人でなく修羅道に座する死神に生まれ変わったのだ!!!!!
……まあそれならある意味簡単だったが。
「では鬼道練習はここまでとする! 片付けが終わったものから鐘が鳴るまで刀禅にて本日は終了!」
「「「ありがとうございました!」」」
「質問があるものは今のうちに来るように。……ああ、
「はい」
楚々と前へ出るヒョロガリメガネ君にため息が出る。
どうにも目に覇気がない。
そんなんだから君ね、噂されてるぞ。
「あれが斬魄刀を手にした瞬間に始解を会得したとかいう……」
「一時期天才と言われたらしいが……」
「なんであんな奴が」
「能力があれじゃあなぁ……」
まったく情けない限りである。
この調子では一目ぼれした雛森ちゃんに笑われてしまうぞ。
まあ彼女には日番谷さんがいるので甘い未来は存在しえないのだが。
「ではいきます。 ーーー『遊びませ』、『
大層な名である。まあ、呼ばれたからには出てやらんこともーーーまあ、ないだろう。
セイッ!
「うおっまぶし」
「始解の姿か?これが……」
「虹色に光るばかりで何の意味もないんだよね……」
「なんかキモッ」
ーーーそう。俺の名は『
刀神・二枚屋王悦により
破棄されそうになったのをなんとか出荷分に紛れ
主人たる
2020年代に死した魂を持ち、
なんかすごいチート能力を持っている(かもしれない)
一千六百七十七万七千二百十六色に光り輝くゲーミング斬魄刀である。
あとキモッとか言ったやつ、顔覚えたからな。
おれは主の心象世界の中で頬杖しながら唾を吐いた。
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さて、我が主たる
それなりに優秀な文官を出すまあまあ由緒ある一族であるが、官位などないので貴族ではない。さりとて流魂街の一区に住めるくらいは安定しており、人並みの野心はあるので霊力のある男児を産んだらば中央霊術院に送り、まあだいたい始解なぞできずに鬼道衆になってちょっと人脈を広げて中央の文官になってく位である。
そんな家だから遊太郎がほぼ最速での始解習得を経て死神になりそう、となったときには一族総出で大はしゃぎだった。
ただ光るだけの能力も、始解なぞめったに見ることのない者どもにとっては至極珍しく、また直接攻撃系でない鬼道系の能力では?というのも元鬼道衆の叔父などには魅力に思えたらしく、なにやら伝手をたどってその手の文献をあつめてくれもしたり。
…かといって鬼道衆副総帥補佐どのが直接稽古をつけてくれたのはかなり時期尚早などではないかと思えたが……。
しかし流石は高位の術者である。ただ光るだけだと思われた能力に悩む主どのに、光明を授けたのだ。
「始解した状態で打つ鬼道に、その珍妙な光が乗っているように見える。
刀を持たぬ時に比べると僅かに威力も上がっている
そして妙に均一だ。速さも威力も、込められた霊力でさえ。
……その斬魄刀は、鬼道を強化……だけではない。
まるで管理しているかのようだ」
☆アチーブメント「鬼道の瞳」をクリアしました☆
珍妙とか言うな。
しかし、流石の慧眼であると言わざるを得ない。
そう、さすがに斬魄刀持った瞬間超絶覚醒チーレム爆誕 とかされても癪に障るので、能力を一部制限したうえ、めっちゃくちゃわかりにくく小出しにしといたのだ。
わが身はゲーミング斬魄刀なので、主人の力をゲームっぽく管理している。
具体的にはMPHPSP制の導入、EXPの蓄積配分、習得鬼道のLV管理等々である。
自力で気づいてもらったらもうちょっとアンロックしようと思っていたが(アチーブメント報酬)、まあ今仕掛けてるギミックのネタ晴らしぐらいはしてやろうと話してやった。
なお主からは
「ネタバレは悪。死して償うべし」
などといい急に絶食など始めたので慌てた。こいつ自身が死ぬことで斬魄刀をぶち壊そうとしてやがる!?必死にご機嫌を取りネタバレもうしないよと言い募りようやく自身の散華を防いだ。一週間ほどかかった。なんだこいつ……。
卍解習得とかしたらお祝いにばんばんネタバレ飛ばそうと思ってたのにな。雛森君NTRの全貌とか愛染はんぺん事件とか。この調子だとマジで死にやがる。俺も命が惜しいので教えてやんねーってことにした。ばかやろう。
☆アチーブメント「黙して語らぬ」をクリアしました☆
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突然だが俺はカップル厨である。基本的には公式の供給だけで生きていける渇きに強いタイプのカップル厨だ。意味あってるか?これ
そんな俺が大注目の視線を送っているのが雛森・日番谷カップルである。
雛森ちゃんはそもそも主と同級であり、出身も同じである。席次も近ければ成績の傾向も似てる。なんなら主は彼女に一目ぼれしてしまっておる。
まあ主はそれなりのコミュ障を患っているため話しかけることなどできず、主刀共々かわいいなーと眺めていると、ある日転機が訪れた。
さて、雛森ちゃんはかわいい。当然かわいい。
がんばりやさんだしかわいいし、気遣いもできてかわいい。
そうなれば必然、やっかみを産むことにもなる。
その日は班を組んでの合同練習だった。一回生4,5人ほどの班に指導役の三回生がつく形となり、鬼道の出来を見てもらうのだ。
班員は成績優秀組である主に雛森君、モブ男Aにモブ女B、先輩モブ女C。
そのうちのモブ女どもが調子にのりおったのだ。
ふたりとも小々ケバ、派手な風体のおそらくちょいといい家出身で、どうやら面識もあったらしい。
あっというまに紐帯を固めると雛森ちゃんへのいびりを開始したのだ。
ほっぽかれた男どもが引きながら注意を送る様子も癪に障ったようで、そのうえ雛森ちゃん自身はぽかんとまるで堪えてない。素朴純朴美少女にはやっかみなぞ意味をなさぬのだと内心誇っていると事態は急変。
なんと雛森ちゃんが鬼道を練り集中しているかわちい横顔に向けて鬼道を放ちおったのである。
これはまずい!いくら無詠唱のクソよわ鬼道でも擦り傷くらいにはなる。
南八幡、観世大菩薩! セイヤッ!
主と俺はじめての共同作業。「彼女に攻撃を当ててはならない」ーーー全くシンクロした意思は俺が封じていた能力を引き出してしまった。
ーーーフレンドリーファイアの無効である。
わが身はゲーミング斬魄刀であるが故、快適なゲーム体験を阻害するフレンドリーファイアを切ることができるのだ。
幸運にもモブ女どもは同班であり、まあ気に食わぬが一応仲間と呼んで差支えのない死神候補である。発動条件は容易に達成できた。
かくしてモブ女のクソザコゴミカス鬼道は雛森君チーク(プリティ)を素通りし、その奥にいた指導教官に直撃した。
その後は、推して知るべし。
流石は元席官(らしい)指導官というべきか。いかに低威力の鬼道であろうと射角、霊圧、霊力の残滓から射手をすぐさま特定し、射線中にいる雛森君のびっくり顔(かわいい)や青ざめたモブ女b、c、彼女らに強い視線をおくり意図を質すモブB、そして千六百七十七万七千二百十六色に光るゲーミング斬魄刀をかざしなんだ今のはと戸惑う主を見、最後のは二度見して、(なんか上記の奴らにうっすらと虹色のエフェクトがかけられているのを三度見しつつ)ーーーー
ーーー結論として、それ以降モブ女どもを見かけることはなかった。
無許可での始解を怒られた主などもいたが、まあ許容範囲だろう。俺も怒られなかったし。
☆アチーブメント「味方にケツキック」をクリアしました☆
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ーーー「中央霊術院の一回生が、解号なしで始解を? ーーーへェ、面白いね、その子」
(八番隊隊長と仕事帰りの元八番隊十二席の会話より、遊郭にて。)
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我が主はややコミュ障のケがあるが、先日の騒動もあり、なんなら相手はほんわかコミュ強雛森君である。ふつうに仲良くなってしまった。
ちょっとシロちゃんと似てる、だそうである。
外見的には似ても似つかぬが、意地のはりかたやら覚悟の決め方なぞ似てるらしい。俺にはわからん。
そうして何度か休日がくれば、実家に戻る日が重なる日も出るし、どうせなら一緒に帰ろうか、なんていう日もある。
そして何度も話題に出てる件の「シロちゃん」に、一目会ってみたいーーーつまり実家にお邪魔したい欲望をそれとなくオブラートに包んで送り出した主の勇気には、拍手を送りたいと思う。
まあ雛森日番谷カップルに入る隙間はないんだが。ははは。
主の緊張による震えも汗も気づかない鈍感なところもかわいい雛森ちゃんは軽くにこやかに承諾し、かくして主にとってはドキドキ実家訪問 俺にとっては超かっこいい押しキャラ日番谷冬獅郎さんへの初対面ツアーが始まるのだった。
:..。o○☆*・*:..。o○☆*・*:..。o○ 続かない。 ・*:..。o○*・*:..。o○*・*