あるけみすと二次創作短編です。もし休みの日に合成屋と神殿の司祭が酒盛りをしていたら……なお話です。

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本作に出てくる司祭は『あるけみすと〜司祭と転生〜』に出てくる司祭です。気になったら読んでね。


あるけみすと〜合成屋の受難〜

 司祭はある日の昼頃、古い顔馴染みのいる合成屋に向かった。

 なんのため、というわけではない。ただ単に久しぶりにの休日──ぷりけつ神はメンテと仰られた──に忙しい日々を少しでも忘れて休息を取らんと考えた結果であった。

 

 以前来た時よりも随分と使い込まれたドアを開けると、髭を長々と伸ばした合成屋が窓の外を見ながらぼーっとしていた。

 

「お久しぶりです。お元気ですか?」

「あ? おう、久しぶりだな司祭。元気っつーか、なんつーか……。忙しくないのが久しぶりすぎてゆっくりしてたらあっという間にこの時間よ」

「わかりますよ。私も今日は随分とゆっくり眠ることが出来ました。合成屋もやはり忙しかったでしょう」

 

 武器の強化を一手に担っているのが合成屋である。

 日に日に増えていく顧客と難易度の高い合成の連続で、精神のすり減らし具合は司祭にも引けを取らぬだろうと考えていたが、まさにその通りであった。

 

 司祭は近場にあった椅子に座り合成屋に向き合うと、懐から酒をおもむろに取り出した。

 

「グラスを持ってきてくれませんか。久しぶりに酒盛りでもして、日頃の疲れを癒しましょう」

「けっ! せっかくの休みにジジイと2人きりったぁ、俺も湿気っちまったなぁ」

「あなたもジジイになったということですよ。ほら、速くグラスを」

「へぇーへぇー、司祭様の仰せのままに。……ほら、これでいいか」

「せっかく高いワインを持ってきたのです。こんな木のコップではなくガラス製のワイングラスを持ってくてください」

「酒なんて飲めりゃなんでもいいだろうがよ……ほら。高ぇんだから割るなよ」

「合成屋じゃないんですから。そんなことはしませんよ」

 

 男2人による乾杯の合図と共に、カチンと軽快な音が鳴った。

 

「で、最近どうですか合成屋は」

「てんてこ舞いだよ。あいつらランクも+値も関係なくじゃんじゃん合成してきやがる。マーが勿体無いし、失敗しちまうと気まずいし、もう散々だよ」

「やはりそうですか」

「あいつら何故か+4を霊魂の宝石を使わずに合成させんだよ」

 

 霊魂の宝石──確か合成を必ず成功させる不思議なアイテムだったな、と司祭は思い出した。

 素晴らしい効果であるはずなのに、何故か露店だと価格が低いことにはいまだに納得できない。

 

「+4を3本なんて相当なマーがかかったでしょうに……何故にそんなことを?」

「それがよ、めちゃめちゃ祈りながら渡してきたやつに聞いてみたら超成功を期待してやがるらしい」

「超成功……話には聞いたことありますが、まさか+4の武器でそんな賭けを?」

「わからん。あいつらやべぇよ」

「全くもって同感です」

 

 ワインを無遠慮にグビリと飲んで、合成屋はため息をついた。

 

「しかもよぉ、そんな一世一代の大博打で失敗すると、もーわかりやすく落ち込みやがるんだよ。じゃあ霊魂の宝石使って地道に上げてけよ! って話だろ? てめぇのギャンブル癖のためになんで俺がこんな居た堪れない気持ちになんなきゃいけねぇんだよ」

「……やはり我々は疲れているのですよ。今日は飲んで飲んで飲みまくりましょう!」

 

 司祭はグラスに入っていたワインを飲み干し、新たに注ぎ直す。

 

「ちなみに+値が1番高い武器はなんなのですか?」

「こんぼうだ」

「こんぼう? ってあの……依頼でもらえるこんぼうですか?」

「ああ。Fランクの武器なんて合成したところで対して強くならない、なんて考えていたが……あそこまでいきゃ話は別だ。あのこんぼうは俺が合成した中で1番の業物だよ」

「どれだけのこんぼうを使えばその高みに至れるというのか……やはり彼らはどこか頭のネジが1つか2つ、抜けているようです」

「全くもってその通りだよ」

 

 その後も2人はやんややんやと己の仕事に対する愚痴や不満を言い合った。

 やれ奴らは自殺中毒者だの、ギャンブル依存者だの、吐き出せる悪口は粗方吐き尽くしたところで、ぷりけつ神からの啓示が来た。

 

「メンテが明けるようです。神は我々に1日も休ませてはくれないのですね」

「さぁーまた奴らが殺到するぞ。いい酒のおかげで今日は超成功しそうな気がすらぁ!」

「そんなこと言ったら余計に人が来てしまいますよ。……今度の休みにまた飲みましょう。今度は胴元も入れて、3人で」

「俺らの中じゃああいつが1番の稼ぎ頭だからなぁ。いい酒が期待できるぜ」

 

 2人は急いで仕事の準備を済ませ、いるべき位置に着いた。

 また今日も懲りずに来るであろう彼らを待つために。




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