歪んだ提督と胃が死ぬ秘書艦 作:G14
私はなんでコイツと
艦娘として建造された私は、学生達の教育要員としての仕事に従事していた。いけ好かない教師達が私の事を気難しい艦娘に慣れさせるため、そして厄介者の学生を辞めさせるための存在のように言っていたことを覚えている。
そんな私の初仕事が不幸な事に学校始まって以来の天災(誤字に非ず)の相手だった。
コイツは天災は名に違わぬ天災っぷりを初対面の私相手にも発揮した。顔を合わせてわずか5秒、口を開いたかと思えば発した言葉は「文句を言わずに従え」と。
そんな尊大な言葉に対して、私が感じたのは圧倒的な恐怖だった。
視界に映るのは艦娘の1%にも及ばない身体能力である人間の子供。しかし本能が目の前に居る存在が人間であることを否定する。私と同じくらいの身長の少年から漏れだすのは、もしここで何か少しでも私が口答えをすればその瞬間に肉ミンチにでもされてしまいそうなほどの圧倒的な圧。
呼吸が浅く速くなり、手のひらからは気持ちの悪い汗がとめどなく流れ続ける。恐怖に流されるままに、当時の私は頷いた。
コイツの何が嫌いかって言えば出す指示は的確で、指示に従いさえすれば今までが何だったのかと思うほどに戦いやすいことだ。コイツの事を僻む上級生達の指揮する艦隊相手に私1人で完封勝利したときなんてコイツに抱かれても良い! と思ったくらいだった。
それでまぁいつの間にやらコイツは気性難の駆逐艦叢雲係になって、私は空前絶後の天災のコイツ係になって……コイツの卒業と同時に私も学校をコイツに押し付けられる形で追い出された。
追い出される際に2人して自分に割り振られていた部屋にとびっきりの置き土産をしたのは言うまでも無いわね。
「こう考えると、私達の出会いってまさに運命ね、
私の肩に頭を置いて呑気にグースカ寝ている馬鹿の頬をつつきながらそんな事を呟く。気持ちよさそうに眠っちゃって……ちょっとイラつくわね。
さぁて、そんな事を考えているとそろそろバスに乗り換える駅に着くころだ。この馬鹿を叩き起こす時間ね。
「起きな――さいッ!」
「ぐゴっ!?」
少し力を入れた私の肘が馬鹿の脇腹に突き刺さり、奇怪な呻き声を漏らしながら馬鹿が飛び起きた。きっととびっきりの良い睡眠をとった上に良い目覚めだったでしょうね、私の肩って言う特上の枕で寝たんだから。
恨みがましく脇腹を抑えながらこちらを睨む馬鹿を無視して、自分の荷物だけ持って電車から飛び降りた。