竹刀と竹刀の衝突。
軽やかな剣劇。撃や戟ではありません。
演じるように、舞台のように、まるで照らし合わせたようにしとりと剣路君は竹刀を振るう。拮抗して見えますが、速さで勝るのは、やはりしとりです。
しとりの中段小手打ち。剣路君はつばぜり合い、しのぎを削るように竹刀を押し付け、振り抜き、竹刀を上に弾く。がら空きの胴に剣路君の逆胴────。
電光石火、ほとばしる。
「……今、抜いたのか?」
「あい!」
「電光丸を半身抜き、竹刀で切り返しましたね」
陸奥八雲と宮本武蔵を思い出します。
しかし、剣路君は避けました。
しとりだけに集中し、荒々しさを無くして神谷活心流の晴眼の構え。対し、しとりは中段、やや下段に剣先を向ける。一足、間合いを詰め、竹刀は振るわれる。
反転し、しとりの龍巻閃が決ま───らず、剣路君は地面を転がるように龍巻閃・嵐で切り返し、お互いにのけ反り、構え直す。
「ん、強くなってる。───けど」
ゆらりと、しとりが正眼に構えた。
「俺の流水の動きか」
「いや、我輩の踏み込みに」
「拙者の構えでござるよ」
「神谷活心流の上段よ?」
「はあ?下段だろ」
「阿呆が。突きの構えだ」
つらつらと剣客や剣術の達人が言い合う。
「えと、どれなの?」
恵さんの言葉に、私は口を開く。
「────しとりには見稽古という見たものを達人の領地で習得できる特技があります。私の書いた古今東西の剣術指南書、緋村剣心や薫さん、明神君、みんなの剣を見て学んだ末に辿り着きました」
私の知る限り、あの構えの名前は────。
「神羅八百万。剣術の神様、スサノヲノミコトの編み出した、全ての剣術です」
そう言うと同時に、しとりの身体が揺れる。
九つの太刀筋が可視化して見えるほど強烈に、しとりの技は閃き、緋村剣心も斎藤一も目を細める。
「あの齢で達人の境地でござるか」
「貴様のせいだろう。糸色」
「しとりの努力です」
そう言いきって私はしとりを見つめる。
「アレがあの子の戦型────」
私の名前を加えた〝
全局面的対応型剣術。
私は普通の名前で良いと思うんですけど。
天翔龍閃に対抗して、妙に古い言葉を使って、ああなりました。素早く切り抜き、しとりは剣路君の事を攻撃していきます。
「(剣路君、ここで勝って)」
しとりは更につよくなります。
それはもう誰にも止められないほどに、そうなる前に貴方が、しとりに勝つしかありません。いえ、勝たなければしとりは孤独になる。