しとりの振るう剣は変幻自在に変わる。
見た目は正眼。
剣路君には数千の手数が見えているでしょうね。防ぐ度、別の方向を見る。見るたびに疲弊し、竹刀を握る手が弱まる。しとりの顔が曇り始める。
左之助さんに視線を向ける。
苛立ちが見えます。
さっさとしとりに終わらせて諦めろと言いそうになっている。事実、しとりは戦いながら成長しています。
対して、剣路君は成長できない。
荒々しく乱れた竹刀は疲労が見えます。しとりは手を止め、大好きな幼馴染みを見る目ではなくなっている。勝つと言っていたのに、いいんですか。
「(このままだとしとりは遠くに行きますよ)」
そんな私の不安と心配を振り払うように剣路君は竹刀を脇に構えた。素手による居合の構えにしとりも竹刀を脇に構え、迎え撃つ。
────刹那、しとりの身体が弾ける。
ほんの一瞬、しとりの剣より速かった。
「しとりの敗因は焦り、でざろうな。自分より強い人間はいないと理解し、力を押さえようとしたところを剣路が僅かにだが、しとりを上回ったでござる」
「......立つぜ」
緋村剣心の言葉に納得する最中、左之助さんの言葉で闘技場に視線が戻る。ふらつき、折れた竹刀を捨て、電光丸を抜いて、構える。
ですが、しとりの膝は崩れました。
訳も分からない顔のしとりですが、目は曇りを払い、キラキラとしています。左之助さんや明神君、緋村剣心を除けば、ほとんどの人がしとりに負ける。
そんなしとりを正面から倒したわけですし。これでもう認めますよね?と左之助さんを見ます。
「で、どうするんだ。立てないぞ」
「ん、止めないでいい!!」
しとりの声が響き、立ち上がると正眼に構え、剣路君も正眼に構えると竹刀と電光丸は衝突し、しとりの電光丸は弾けた。
「おれの、勝ちだ…!」
拳を握って笑う剣路君に「やっぱりやめねえか?」と不満そうに呟く左之助さんに苦笑を浮かべつつ、しとりを見ます。
嬉しそうに、
幸せそうに、
恋するように、
しとりは剣路君を見つめています。
「────勝者、緋村剣路!!」
その言葉に拍手が起こって、左之助さんは不満そうに腕を組み、ひとえは嬉しそうに笑っているのに、左之助さんはやっぱり頑固です。
「左之助さん、私は満足です」
「......なら、いい」
あとは、祝言を見届ければ満足です。
きっと、すごく素敵な事になるでしょうね。
とてもとても楽しみです。
「あ、その前に新居ですね」
「ウチでいいだろ?」
「婿入りはダメよ!」
「良いだろうが!?」
誤字があったら、お願いいたします
どうにも、ですね