左之助さんは知恵熱を出しています。
流石にしとりのことで悩みすぎてしまったようですし、こうなるのは仕方ないです。ですが、こうも大変に気を失ってしまうのは予想外です。
「ちきしょお...」
「.........落ち着いて下さい。まだ、誕生日までありますし。まあ、祝言は変えませんよ?」
「なんで剣路なんだ。いや、いいけどよ」
「フフ、お父様に言われたことですか?」
私の言葉に左之助さんは深く悩んでいます。実際に考えると、かなりの出来事ですし。しとりも剣路君も幸せそうですし、それでよいのです。
「左之助さんはイヤなんですか?」
「認めてるよ」
「なら、いいでしょう。ね?」
私の腰に抱きついている左之助さんの頭を優しく撫でてあげ、しとりの部屋に行ってしまったひとえの事を考えます。そろそろ部屋を離すべきでしょうか。
でも、まだひとえは子供です。
「左之助さんが、もうちょっと......」
「嫌だって言ったの忘れてねえよな?」
そう言って私の腰を掴んだまま笑う左之助さんに「分かってますよ」と苦笑を浮かべつつ、どうやってお祝いしようかと考えます。
しとりの祝言、楽しみです。
本当に、楽しみです。
私が生きている間に叶いそうですし。
「で、孫の名前は?」
「......左之助さん、それはだめです」
繊細な年頃ですし、そういうものは男の人の剣路君にリードしてもらうほうがいいんです。左之助さんみたいに縛ったりしない方法をですね。
「剣路に仕込むか、縄の使い方」
「さ、左之助さん!?だめです!だめですよ!」
「仕込むだろ。しとりだぞ?」
「しとりに何があるんですかっ」
「強いだろ、しとりは」
「......強いですけど、ダメです」
しとりは可愛いんです、ソーキュートです。
そんなことを教えたりするのはダメです。左之助さんみたいに悪いことを教えようとするのはダメです。エッチなのも破廉恥なのもダメですっ。
「なにがダメなんだぁ?」
「っ、そ、そういうところです」
「どういうところだよ」
ニヤニヤと笑って私の太股を枕にする左之助さんの言葉に応えたりはしません。
だって、そういうのは、あれですし。
「(しとりと剣路君の初々しさに当てられて、ちょっと変な感じになっていましたね)」
ゆっくりと左之助さんに視線を戻しながら「そういうのダメです」と言い、左之助さんのおでこに水気を絞った手拭いを乗せて、左之助さんの事を見つめる。
「幸せになってほしいですね」
「......そうだな」