左之助さんとしとりとひとえによるトヨウケビメ追い出し作戦は悉く失敗し、三人とも悔しそうにしています。ひとえは賛成していたのでは?
そんなことを考えながら、左之助さんを見れば平然と私の腰を掴んで、ひとえとしとりはトヨウケビメの身体を引っ張っています。
「「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛」」
「最近、よく聞きますねー」
「最近、聞くじゃねえよ。慣れんな!」
「だって、ほぼ毎日聞いていますよ?」
「それは、そうだがな。景は嫌がってたのに、なんで受け入れてるんだよ」
「私ですか?......なぜでしょう?」
そう言われると分かりませんね。私は嫌がっていたはずなのに気づけばトヨウケビメのことを受け入れてしまっている気がします。
「内部の精神汚染だろうね。糸色君の善意の塊のような精神を蝕むにはかなり時間を労するだろうが、君に身体を譲らせるにはそういう手段が一番だ」
ドクトル・バタフライの言葉に流石に困惑し、私の身体から、少しだけ身体を出しているトヨウケビメを見るとニタリと笑いました。
どうやら本当のようですね。
しかし、そうなると困りました。
私の身体は家族のために使いたいですし、死んだら火葬してもらえるように左之助さんにお願いしているので、それだけは無理なんですよね。
「は?火葬してもらうって、土葬じゃないの?」
「......勝手に頭をのぞくのはやめてほしいです」
左之助さんは露骨に嫌そうな視線を向けてきましたが、そういうのはダメだと思います。泣きますよ?と思いながらも、ドクトル・バタフライをみやる。
「ドクトル、約束です。ね?」
「......私は思うのだ、やはり人を止めてでも君には生きて欲しい。そのためなら何でもしよう。君は私の大事な友人だからね。左之助君も長く生きてほしいだろう」
「蝶野のオッサン、勝手に決めんな。オレは、景のためにやるのは一緒に居ることだけだ。邪魔するヤツを追い返してるだけだ」
そう言い切ってくれた左之助さんに嬉しく思いながらも、左之助さんを見ると辛そうにしています。やっぱり、辛い思いをさせていることに代わりませんね。
「ドクトル、言葉も気持ちも嬉しいです。ですが、私は人間として生きたいんです。トヨウケビメさん、我慢して別の人の身体に……移るのはダメなんですね」
「……えぇ、移るのはダメよ」
そうですか。そうですよね。