死神は未来より来たる。   作:その他2人

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第1話

機体が軋む。

この迎撃基地に、突如現れた敵。未登録機体。

錆だらけの旧型AC、それも見るからにジャンク品。

ところどころは改修されているようだが、それに変わりはない、はず…その筈だった。

基地は既に破壊され、出撃したSG、LCは悉くが撃墜されている。

残る兵力はもはや私一人だろう。しかし撤退は許されない。

 

「この機体、一体…なんだ?!」

 

崩れるような頭部パーツ、壊れ光を失っているカメラが不気味…初めての感覚、顔が引き攣っているのを感じる。

ただ逃げ、撃ち、それを繰り返す。だが手応えはない。一か八か、轢き殺そうかとは試したが、幽霊のように当たらなかった。しかしそれでいて逃げられない。かたやAC一騎、対するはカタフラクト。彼我の戦力差は明確。だが戦況はまるで逆だ。

少しづつ距離が詰められている。ACS負荷がゆったりと蓄積され、少しづつ、少しづつ。真綿で首を絞められるかのような状況が、機体から放たれる妙なプレッシャーが、焦燥を加速させる。

しかし、幸か不幸かそれは、長く続かなかった。

 

「ジャンクAC一体如きに、カタフラクトがこんなッ…?!」

 

息をするのも忘れていたか、或いは恐怖か。不意に緊張の糸は切れてしまった。死神はそれを逃さない。

目の前で破裂する榴弾。鳴り響く、ACS限界を告げる警告音。

気づけば目の前には、異形の破砕機の影があった。

 

『…ッコード5 戦闘ログを送信 至急、調査をッ…!』

 

視界がはじけた。

 

 

 

『コアMTの破壊を確認。』

 

「死んだか。しかしここは…」

 

死神はポツリと呟く。

いつぶりだったろうか?それほどまでに、彼が言葉を発することは少ない。

しかしそれは、驚きと共に薄く口をついて出た。

この澱んだ空、荒野、私が居たルビコン3ではない。

それにカタフラクトもだ。

こんなものを駆っていて言えることではないが、こんな何世代も前の兵器が運用されている。それも口振りは一戦級兵器だ。

 

それよりも。

私は死んだ筈だ。

再びコーラルに火を付け、いつかウォルターの言った男のように一人、満足して。

 

だが私はこうして、未だ生きている。

 

しかしこの状況、一つだけ、思い当たるものがある。

この景色、この場所、この空気。

だがそれはあり得ない。

『過去に戻った』などと、そんなもの…妄言でしかないだろう?

 

 

 

死神は、今度こそコーラルを抹消し、そうして破綻の芽を摘みきるという目的を果たし、星と共に命を終えた。その筈だった。

しかし未だ死神は死せず。

星全てを集積した純コーラルのエネルギー、それが起こした奇跡か、或いはかつての友人の呪いか。

いずれにせよ、かくして死神は三度、ルビコンを駆ける権利を手にすることとなった。

役者が増えたこの世界には、果たしてどのような未来がもたらされるだろうか?

それは誰も知らない。




続くかは知らない
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