一発ネタ、というお話。

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一発ネタ、というお話。


もしもスレッタが、桃井タロウみたいな性格だったら

 自由になりたかった。

 

 ただそれだけだった。

 

 

 クソ親父も先生も同級生も、人の人生を勝手に決める。

 私は“モノ”じゃない。

 それを証明する。だから地球に行きたかった。

 だから学校を飛び出し、宙域まで来た。

 

 それなのに。

 

 目の前に現れた、赤いモビルスーツ。

 多分私を、宇宙に放り出された人間と思い込んで救助しようとしているんだろう。

 構うな、というジェスチャーを送るが、伝わっているようには見えない。

 

 なぜどいつもこいつも、私を思い通りにしようとするのか。

 なぜ自分の道を、自分で決められないのか。

 

 他人にも、自分に対してもイライラが募る。

 

 

 

 宙域を漂っていた、ミオリネ・レンブランは赤いモビルスーツの内部に回収された。

 だが、当のミオリネはお礼を言うどころかパイロットに頭突きをかました。

 「どうしてくれんのよ!!もう少しで脱出できたのに、あんたのせいで台無し!!」

 パイロットの少女は痛がっている。だがそんなこと、今のミオリネにはどうでもよかった。

 「責任取ってよね!!」

 彼女にとっては、せっかくの学園脱出を邪魔された。そんな風にしか思えなかった。

 だがパイロットの赤毛の少女は、平然とミオリネに向き直りこう言った。

 「これであなたとは縁ができましたね」

 「は・・・・・・?」

 何だ?

 

 この少女は何と言ったのだ?

 

 「安心してください!私との縁は、超良縁です!」

 「・・・・・・・・・・・・・・はぁっ!!?」

 無音の宇宙に、ミオリネの声がこだました。

 

 

 

 

 それが、私とスレッタ・マーキュリーとの出会い。

 この出会いが私の退屈を、いやすべての人間を退屈から解放する出会いになるなんて、その時は夢にも思わなかった。

 

 

 

 

 アスティカシア高等専門学校。

 地球から離れた宇宙空間につくられた巨大人工居住施設『フロント』内に作られた、ベネリットグループの高等教育機関。

 宇宙開発産業やMS産業に携わる未来の人材を育てるために、日々専門的な教育が行われている。

 フロント内は学内電車やモビルスーツを始めとした最新設備、それらを使うたくさんの生徒で溢れていた。

 

 「あれ?」

 そんな学園の生徒、ニカ・ナナウラは一人の赤毛の生徒が目についた。

 「あなた、もしかして転校生の?」

 「あなたは?」

 「私はニカ・ナナウラ、メカニック科なの。学園でわからないことがあったら何でも聞いてね」

 仄かな親切心と元来のお節介な性分、それでつい転校生に声をかけてしまったらしい。

 

 「私はスレッタ・マーキュリーです。これであなたとは縁ができました!」

 「え、縁?」

 「はい!困ったことがあったら私に言ってください!力になりますので!」

 「あ、ありがと・・・?」

 力になる、と言ったのはこちらのはずだったのだが。ニカは早くもスレッタ特有の雰囲気にタジタジになっていた。

 

 「あれ、あの人は・・・」

 「ああ、あの人は経営戦略科の・・・」

 ニカが説明するより早く、スレッタは白髪の美少女、ミオリネ・レンブランの元へずいずいと歩いて行った。

 「あんた・・・!この間の・・・!」

 「2回も会うなんて縁があるみたいですね!」

 「何ヘラヘラ笑ってんのよ!大体あんたのせいで・・・!」

 そうミオリネが怒声を浴びせかけた時だった。

 巨大な機械同士がぶつかり合うような鈍い音が聞こえたかと思うと、2台のモビルスーツがスレッタたちの方に向けて飛び込んできた。

 「これって、決闘?」

 「ちっ、どいつもこいつも。この学園の人間は・・・」

 ミオリネとニカは巨大なモビルスーツに踏みつぶされないよう、その場を離れる。

 だが、スレッタはその場に仁王立ちしたまま一歩たりとも逃げようとしなかった。

 「ちょっ、あんた何やって・・・!!」

 ミオリネは咄嗟に救助しようとしたがもう遅い。

 一方のモビルスーツ『カペル・クゥ』がもう一方のモビルスーツ『ディランザ』の猛攻を受け、ブレードアンテナを折られ叩き伏せられる。

 

 WINNER

 GUEL JETURK

 

 その瞬間、ディランザのパイロット「グエル・ジェターク」の勝利がホログラム・ウインドウに表示された。

 

 

 

 またバカな生徒がバカな決闘をしている。

 いや、そんなことはどうでもいい。

 あいつは。さっきまでそこにいたあの子は?

 まさか巻き込まれて、などと嫌な想像がよぎる。

 もうもうと舞っていた砂埃がやむと。

 「あ・・・」

 そいつは立っていた。

 さっきと同じ場所に。表情一つ変えず。一切微動だにせず。

 恐怖のあまり動けないのだと思ったけど違った。

 まるで何事もなかったかのように、平静を保ってその場に仁王立ちしていた。

 

 

 「そんなところで何をしている!ミオリネ・レンブラン!!」

 聞きたくもないやつの蛮声が耳を貫いてくる。とても不快だった。

 「困るんだよ花婿としては。花嫁のお前に傷でもついちゃあっ!お前はもっと自分の立場を分からねえとなぁ!」

 「親が決めた結婚でしょ。あんたはパパの言いなりだもんね」

 下卑た笑いで人をモノ扱いしてくる。あんな奴が形だけでも花婿候補だなんて思うと吐き気がしてくる。

 花婿(ホルダー)の称号、白いパイロットスーツも何もかもが不快。

 「はんっ!言ってろ!いいか!!俺はお前もお前の会社も、すべて手に入れて見せる!!」

 強欲な奴。あんな奴がジェダークの跡取りなんてジェターク社もお先真っ暗ね。

 「・・・・・?」

 「・・・・・・」

 何を思ったのか、あの男はあの赤毛の女をにらみつけていた。

 女の方も目を背けるなんてことは一切せず、あの男にまっすぐ視線を向けていた。

 「・・・ふんっ」

 何を思ったのか、あの男は踵を返してディランザに乗り込み姿を消した。

 

 「今のは一体何です?」

 「決闘よ」

 「決闘」

 「この学園のルール。金も、女も、人生さえも決闘で勝ちさえすれば奪うことができる。大人たちのくだらない取り決めね」

 「へー」

 「あんたも巻き込まれないうちに、水星にでも帰ることね」

 そう言って私はいつもの場所へ向かう。

 変な子だったけど、二度と関わることは無いだろう。

 

 

 と、思ってたのに。

 「あんた・・・」

 「あ、ミオリネさんでしたっけ!三度も会うなんてやっぱり縁が強いみたいですね!!」

 そいつはまた私の行く先にいた。

 しかも、私の拠り所の栽培室の前に。

 

 

 

 「あんた一体何なのよ!私の行くところ行くところに先回りして!!」

 ミオリネは先のグエルのこともあり怒髪冠を衝く、といった様子でスレッタに怒声を浴びせていた。

 「私が望んできたわけじゃありません。ミオリネさんとの縁が、ここに呼び寄せたんです」

 「・・・何よ。その縁って」

 「この世には数えきれないくらいの無数の縁が絡み合ってます」

 いきなり何を言い出すのだ。この少女は。

 「どんな小さな縁も、縁は縁です。それらが絡み合って、結び合って、奇跡が生まれるんです」

 「・・・・・・・」

 「だから、私とミオリネさんが出会ったのも、偶然じゃなく。奇跡なんだと思いますよ」

 そうか。

 この子は・・・。

 「つまり迷ったのね」

 「はいっ!」

 「えばるな!!」

 

 

 「地図アプリに教室までの道のり入れといたから、それに従って進みなさい」

 「ありがとうございます!やはりミオリネさんとの縁は良縁ですね!何か困ったことがあれば」

 「はよ行け」

 出会って間もないがミオリネは知った。

 こいつと話していると疲れる、と。

 というか現状の困りごとは目の前のお前だ。

 

 ぐぅ~

 

 「あ・・・」

 「・・・あんた、お腹すいてるの?」

 「はいっ!生物として当然です!」

 「だからえばるな」

 正直めんどくさい。ミオリネとしてもこれ以上関わり合いたくなかった。

 だが。

 「トマト、食べる?」

 目の前の空腹な少女をほっとけるほど薄情でもなかった。

 

 「・・・・・・・?」

 「そのままかぶりつく」

 言われるままにスレッタは、トマトにムシャリと齧り付いた。

 みずみずしい音が響き、ポタポタとトマトの果汁がしたたり落ちる。

 「美味しい!」

 「そっ」

 「トマトってこんなに美味しかったんですね!」

 自分で育てた母さんのトマトだ。そう言われて悪い気はしない。

 「トマトなら何でも美味しいってわけじゃない。そのトマトは特別。お母さんが作ったの」

 トマトを育てている時だけ、私は私でいられる気がする。

 母さんが包み込んでくれるような。

 「なるほど、だからこんな味がするんですね」

 「は?」

 「とても心が込められている味がするんです!誰か大切な人のために作ってあげてる!そんな味が」

 「・・・・・・・」

 何を分かったようなことを。

 心が見透かされたようで腹が立った。

 

 でも、不思議と悪い気はしなかった。

 

 「点数で表すなら・・・65点です!!」

 「食うなっ!!!!!」

 

 

 

 「なんだミオリネ。また土いじりか?」

 「あ」

 「グエル・・・」

 「スペーシアンのくせしてアーシアンのような真似を」

 「何が楽しいんですかねえ」

 最悪だ。

 あの男、ホルダーのグエルが私の栽培室に入ってきた。取り巻きの女二人と弟も連れて。

 「勝手に入らないで」

 「お前は俺の花嫁だ。つまり俺がお前の部屋で何をしようが勝手だ」

 相変らず腹が立つ。

 世界が自分中心で回ってると思い込んでるような奴だ。

 

 「近頃のお前の勝手な行動は目に余るものがある。だからホルダーとして注意しに来た」

 「私がどこで何をしようが勝手でしょ」

 「身の程を知るんだな。お前は賞品、大人しくホルダーの俺の物になればいいんだよ」

 「あんた・・・っ」

 掴みかかろうとしたけど、取り巻き二人に差し押さえられた。

 「俺は花婿として、お前を甘やかしすぎたようだ。今度からはお前が身勝手な行動を起こす度に罰をあたえる。例えば、こういう罰をな!」

 そう言ってこの男は、私が育てあげたお母さんのトマトを無造作に握りつぶした。

 

 「何して・・・っ」

 「何してるんですか?」

 私がとびかかる前に、何も関係ないその少女が前に出た。

 「ああ?なんだお前は?」

 「食べ物を無駄にしてはいけません。特に、人が心を込めて作り上げたものは。お母さんに教わらなかったんですか?」

 「・・・!てめえっ!!」

 この男はその少女、スレッタに手を上げようとした。

 だが響いたのは、スレッタがこの男の手を止める音。

 「うっ!?ぐっ!?」

 スレッタはこの男の腕をつかみ、下に下げていく。

 全然力んでる様子なんて見られないのに。

 「「グエル先輩!!」」

 「兄さん!!」

 取り巻き二人と弟が心配して駆け寄る。

 

 「いちち・・・。なんだてめえは」

 「スレッタ・マーキュリーです。あなたとの縁は悪縁みたいですね」

 「わけのわからないことを・・・!」

 それは本当にそう。というのは置いといて。

 この男は、女の子に組み伏せられてプライドが傷つけられたのか、かつてないほど怒っているようだった。

 「ミオリネさんに謝ってください。全身全霊、誠意を込めて」

 「・・・ここではな、謝罪も誠意もすべて決闘で勝ち取るんだよ。何ならお前が決闘でもするか?」

 「やりましょう」

 「は?」「え?」

 「決闘、やりましょう!」

 何を言ってるんだこの少女は。

 「やめてよ!あんたに関係ないでしょ!!」

 「大丈夫です。ミオリネさんと縁は超良縁みたいですから」

 またわけのわからないことを・・・。

 「面白い。お前が勝ったら退学してもらうぞ」

 「やります!」

 「このバカ!!」

 どいつもこいつも。

 人の知らないところで勝手に話を進めて。

 

 

 

 グエル先輩が決闘するんだって!!

 相手は!?

 編入生だって

 こりゃあ、またグエルの一人勝ちだな。

 

 

 

 「KP001-グエル・ジェターク。ディランザ。出るぞ」

 戦術試験区域に出てきたのはジェダーク社の汎用MS『ディランザ グエル専用機』である。

 「あんな田舎者の決闘を受けるなんて」

 「瞬殺してやるさ。俺はドミニコスのエースになる男だからな」

 弟、ラウダ・ニールとそんな軽口を交わしていると、決闘相手のスレッタ・マーキュリーのMSが現着した。

 「・・・何だ?」

 コンテナから出てきたのは全身真っ赤な色をした、奇妙なモビルスーツ。

 顔部分はゴーグルで隠され、胸部には鳥と爬虫類のような紋章が施されており、右肩には巨大なギアのような機関が取り付けられている。どの会社のMSにも似ても似つかない。奇妙なモビルスーツだった。

 

 「まあいい、頭を垂れる練習でもしときな。水星女」

 『これより、双方の合意の元、決闘を執り行う。勝敗は通常通り、相手モビルスーツのブレードアンテナを折ったものの勝利とする。だが、今回は一方のモビルスーツにアンテナが見当たらないため、ディランザ側は相手モビルスーツのゴーグルを破損させた時点で勝利とする。それでいいか、グエル?』

 「何でもいい、さっさと始めろ」

 『よし、両者向顔』

 ディランザ側のホログラム・ウインドウに映ったのは水星女、スレッタ・マーキュリー・・・。

 ではなく、ミオリネ・レンブランであった。

 「何?」

 

 

 「ミオリネさん・・・?どうしてドンゼンカイオーに・・・?」

 「スレッタさん?」

 「え?」

 「どうしたの?」

 

 

 「何のつもりだ。ミオリネ」

 「何だってみんな勝手に決めるの・・・」

 どいつも・・・。こいつも・・・・・!

 「これは私のケンカよ!!」

 人の人生!勝手に決めるな!!

 「いいさ。お前じゃ俺に勝てないってこと分からせてやる」

 

 

 勝敗はモビルスーツの性能のみで決まらず

 

 操縦者の技のみで決まらず

 

 ただ、結果のみが真実!!

 

 『フィックスリリース』

 

 

 

 予想以上に、決闘は一方的だった。

 ミオリネのモビルスーツは一切動かずグエルのディランザの攻撃を受け続けるのみ。

 いや、正確には動かせない、と言った方が正しかった。

 「どうなってるのこいつの操作系は!?どのMSにもこんなの搭載されてない!!」

 コックピット内にあるのは、ただの三角の操縦板一つ。

 どこをどう操縦すればどう動くのかすら分からない。

 焦りに焦っても何も解決しない。苛立ちが募る。

 そうこうしているうちに、ディランザの一撃を喰らい組み伏せられる。

 「ぐぅ!?」

 「身の程を知れ。お前はただのトロフィーなんだよ」

 

 なんでどいつもこいつも、私をモノ扱いするのか。

 自由になりたい。ただそれだけなのに。

 人並みの望みすら叶わず、死んだように生きていくのか。

 頭の中に絶望がよぎった時だった。

 

 ビーッ、ビーッと警告のアラートが鳴る。

 「アラート!?侵入者だと!?」

 決闘場に誰かが入ってきた。

 エンジン音が鳴る。誰かがハロ制御のモトモービルを使っているのか。

 

 ・・・まさか、あの子が?

 

 あの赤毛の少女、スレッタ・マーキュリーのことがよぎりエンジン音のする方を向いてみると。

 

 

 

 「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」」

 

 スレッタ・マーキュリーが、ハロバイクに乗った状態で、数多の巫女が躍るなか神輿に担がれやってきたのだ。

 

 

 もう一度言う。

 

 

 スレッタ・マーキュリーが、ハロバイクに乗った状態で、数多の巫女が躍るなか神輿に担がれやってきたのだ。

 「やあやあやあやあ!!祭だ祭りだ~~~!!!」

 

 

 

 「ね、ねえ。あのバイク。ニカ姉のだろ?どうなってんの・・・?」

 「う、うん・・・。人助けのつもりだったんだけど、よくわかんないな・・・」

 

 

 

 「袖振り合うも他生の縁!躓く石も縁の端くれ!共に踊れば繋がる縁!!この世は楽園!!悩みなんざ吹っ飛ばせ!!!ハーッハッハッハッ!!!!!」

 学園中の生徒、先生、決闘中の2名を含む全ての人間は唖然としていた。

 そりゃそうだろう。戦術試験区域でこんな奇天烈な行動をする人間など、前代未聞だ。

 「とうっ!!」

 そんな学校中の人間の気持ちを他所に、スレッタはハロバイクを使いドンゼンカイオーに飛び乗った。

 「はっ、と。ダメですよミオリネさん。私のドンゼンカイオー勝手に使っちゃあ」

 「いや色々ツッコミどころありすぎてどこからツッコめばいいか分からないけど」

 おそらく、学校中の人間と言わず、全宇宙の人間がミオリネの言葉に同意するだろう。

 「勝てるの、あんた?」

 「はいっ!私とドンゼンカイオーは、あんなのに負けません!!」

 

 

 「何なんだあの女は!!ふざけやがって!!」

 ホントだよ。と学校中の人間の気持ちが一つとなった。

 「シャディク!決闘相手の変更をしろ!!」

 「・・・えっ、あっ、いいのかい?」

 「当然だ!あの田舎女に目にモノ見せてやる!!」

 力負けし、わけのわからないものを見せられ、自分の愛機を「あんなの」と呼ばれたグエルの怒りは心頭だった。

 

 

 「さあさあしょうぶしょうぶ~!」

 「あんた、キャラ変ってない・・・?」

 

 

 

 おかしい、とグエルは思った。

 ディランザの攻撃が全く当たらない。

 いや、それどころか補足すらできない。

 「何なんだあのモビルスーツは・・・」

 

 人間の動きを補助するモビルスーツといっても機械。

 その機会の限界以上の動き、つまり生物そのものの動き等ができないことなど、説明書を見ていなくても分かる。

 だが目の前のモビルスーツは、尋常でない動きでディランザの攻撃を避けていた。

 「はっ、とっ!そんな攻撃!ドンゼンカイオーには当たりません!!」

 

 機械ではない。まるで人間そのもののような動き。

 幾多のモビルスーツの動きを超越したような動きだった。

 まさかこいつ・・・。

 モビルスーツではない!?

 

 

 ズガァンッ!!

 「ぐっ!!」

 ドンゼンカイオーのアバターソードが、ディランザの右肩の装甲を貫く。

 「調子に・・・乗るなぁぁぁっ!!!」

 グエルのディランザが最後っぺと言わんばかりに十文字槍でドンゼンカイオーの体を振り払ってきた。

 「くっ、この人強い・・・!だったら」

 「ちょ、ちょっといくらなんでも派手に動き過ぎじゃ、聞いてる?」

 「ドンレッグバスター!!」

 ドンゼンカイオーの右肩のギアが右足に装填され、右足に付いているマフラーから無数の弾丸が発射された。

 

 ズドドドドドドッ

 

 「ぐおおおおっ!!!」

 高威力の弾丸でディランザの手足は無残にも捥げた。

 「今です!!」

 ドンゼンカイオーの巨大ギアが、回転しながらディランザの頭に直撃し。

 

 「何なんだ・・・」

 

 「ドンゼンカイクラッシュ!!」

 

 「何なんだお前はああああ!!!」

 

 ドンゼンカイオーがギアごと、ディランザの頭部を粉砕した。

 

 

 WINNER

 SULETTA MERCURY

 

 

 ドンゼンカイオーの勝利を祝うように、決闘場中にディランザの羽が舞う。

 「ミオリネさん!勝ちましたよ!」

 「そう・・・みたいね・・・・・」

 色々と、まだ実感が湧かなかった。

 あまりにも奇天烈なことが起こりすぎて。

 「スレッタ・マーキュリー・・・」

 自分のデバイスを操作する。やり慣れてるけど、今日は違う感じがした。

 スレッタのパイロットスーツが、白を基調としたものに変わる。

 「これは・・・?」

 「これはホルダーの証よ。そして、私の婚約者の証でもあるわ」

 「・・・私、女ですよ?」

 「水星ってお堅いのね。こっちじゃ、全然アリよ」

 

 こう言ってもスレッタの表情は変わらない。いや、でも少し動揺しているように見える。

 それだけでも少し勝ったように思えた。

 「よろしくね、花婿さん」

 

 自由、かどうかは分からないけど。

 ようやく新しい道を歩き出せた。そんな気がした。

 

 

 

 「・・・だぁっ!!」

 「ヴぅえっ!!」

 そう気取ってる最中に、いきなりスレッタに蹴飛ばされた。

 いきなりのDV!?

 「ダメだダメだダメだぁーーーーーっっっ!!!」

 選択を間違えたかしら・・・。

 これからずっとこんな日が続くの?

 

 「もう・・・」

 これからの私の人生が、どうなるかは分からなかった。

 でも。

 「なんなのよもう・・・・・」

 今まで人類が経験したことのない“珍事”に、巻き込まれるであろう予感はしていた。

 

 




○じかーいじかい!(嘘)
花婿が決まった!!と思ったら機体押収!?スレッタ隔離!?クソ親父が!!人の人生勝手に決めやがって!!
スレッタ!私の花婿なら、どんな勝負でも勝ち続けなさい!!

ドン水星2話「はなよめとあばたろう」
というお話。

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