※完全な妄想です。一部、原作ネタバレ(加茂憲紀の母親)があります。
東京都立呪術高等専門学校補助監督・伊地知潔高
理知的であり非常に真面目、他の補助監督や呪術師から尊敬されており、御三家からも一目置かれている人物。現代最強の呪術師である五条悟のことで問題がある場合、真っ先に呼ばれる人物の一人である。であるが―――
「はぁ…お腹がすいた…」ずぅん…
そんな彼の一日を紹介しよう。
彼の朝は早い。そのため朝食は早朝と午前中の二度摂るのが習慣だ。
五条悟の無茶ぶりに答え続けている姿を評価され、五条悟の専属補助監督にされてしまっている。それ以外にも問題のある呪術師を宛がわれ、まともな呪術師からは自身の補助監督に就くように依頼されている。
(朝のコーヒーは格別だ…。この瞬間は全てを忘れられる)
一度目の朝食はパンにコーヒー、ハムやヨーグルトなどを食している。
(…さて、今日も忙しい)もくもく
(……今日も…)
『お疲れサマンサ』
『会議なんてどうでも良いじゃん。適当に言っといてよ』
「うぐっ」ズキィッ
彼は元々小食であったが、五条悟によるストレスでさらに食欲が落ちている。その代わり、胃薬の飲む量が増えている。
(これも全て、五条さんの……)
二度目の朝食はコンビニで購入した菓子パンなどを食べることが多い。この際、五条悟が好きそうなスイーツや家入硝子のつまみなども購入する。特に、家入は高専内から出ることができないため予備も含めて多めに購入するのだ。
(家入さんはいつも沢山の怪我人を治療しているんだ。せめて気分転換になるような物を…)
常に好みの商品、新しい商品、過去に食べて「あっ、あれ食べたい」と思っている物は高専内に置いておく。例え気に入らない物でも仕事を忘れられる物を置いておくのだ。彼女が壊れてしまわないように。
―――そしてまた仕事に戻る。補助監督とはなんとも忙しいのである。
(もうお昼ですか…食欲はないですが少しでも食べないと午後の任務に支障が出ますし…)
「伊地知~。お前も昼食べるだろ?一緒に食いに行くぞ~」
(最悪極まる…!)
彼の昼食は静かに食べることはできない。任務や後処理などで忙しいため、昼食が食べられないこともある。
―――それ以上に五条と遭遇することも多いが。
(伊地知も疲れてるだろうし、とっておきの牛丼の砂糖とハチミツがけが良いかな?うどんが好きらしいしうどんのチョコレートシロップ漬けの方が良いか?)
(この人のスイーツではないナニカは食べてはいけない。一番マシなのが
この場合、殆どのケースで伊地知が昼食を決める。何ならプレゼンまでして昼食を決めるのだ。
「あ、あの~…今日は自分で作ろうと思っていて」
「また?そんなに自炊が好きなの?」
(あなたに付き合って、糖尿病で死にたくないんです)
「材料も買ってありますし、メニューも決めているので」
伊地知は用意周到である。いつでも料理ができるように材料を高専冷蔵庫に置いており、いつでも自炊できるようにしているのだ。
「おっ、伊地知じゃないか」
「家入さん!」
「硝子も昼飯?」
「まあな。何か適当に腹に入れようと思って」
「それなら、一緒に食べようよ。伊地知が作ってくれるって」
(何も言ってないんですが)
「でも悪いだろ。また私の分まで作ってもらうのは」
「問題ありません!材料は多めに用意しているので!!お二人は仮眠でもして待っていて下さい!!!!」
時々ではあるが、伊地知は他の職員や生徒の食事も作る。その中でも家入のために作る時は本気で作るのだ。
最近は少々暑い日が続いていた。季節が夏に差し掛かっているのかもしれない。普段から食が細い家入は若干食事の量が落ちていた。もちろん、医師である彼女が食事を摂らないことの愚かさを理解していないわけはない。だが、普段の激務の影響もあり食が進まないのだ。
(家入さんと五条さんは食の好みが正反対だ。家入さんでも食べやすく、五条さんが満足する料理を作らなければ。それも、できるだけ速く!)
時間のない二人には食事のために買い出しに行く時間すら惜しい。それほどの激務である二人にの仮眠時間中に手早く作らなくてはならない。
そうして二人が目覚める頃には料理が完成していた。
「最近は暑いので冷しゃぶサラダとスープとパンですよ。お代わりもあるので、もし食べれそうならお代わりしてくださいね」
「美味そうだね。でも少なくない?」
「私、そんなに食べられないかもしれない」
「それなら無理しなくて良いですよ。でも、さっぱり系なので少しは食べられると思いますよ」
「そうだね。ポン酢のおかげで肉でも食べやすくなるから有難いよ」
「伊地知、お代わり!」
「はいどうぞ。それとサンドイッチもあるのでよければ食べてください。余ってもお弁当になりますから」
「伊地知は便利だね~。昼食と弁当も作ってくれるんだから」
「…本当に申し訳ない。いつも世話になってしまって」
忙しい二人のために後で食べられる物まで作る。そのせいで伊地知は五条に目を付けられている。彼が料理を振舞う度に五条から逃げられなくなっているのだ。
「デザートにパンの耳でフレンチトーストとラスクを作ってありますからね」
「本当に伊地知に昼食ご馳走になってよかったよ。こんだけしっかりした昼食が食べれて、仮眠まで出来るんだから」
「サンドイッチとラスクは後でも美味しく食べられますから、お腹がすいた時に食べてください」
「私、甘い物は…」
「家入さんには野菜スティックもありますよ。サンドイッチも甘くない物を作りましたから」
「伊地知!僕には!?」
「五条さんにはデザートと甘いサンドイッチがありますから」
伊地知という男は有能である。任務中に他の仕事を複数こなす程度には有能である。
「庵さん、頼まれていた『最近の女子高生の話題』『女子高生に人気のスイーツ』の情報を送りました。加茂君のお母さんの居場所ですが、大方の情報は分かりました。現在は他の男性と暮らしていて子供もいるようです。ですが、加茂君がいつでも呪術界から抜けられるように居場所を作っている様ですので、彼がお母さんを探しているなら伝えられるようにしておきます。メカ丸君の天与呪縛を解く方法は発見できていません。引き続き捜索します。東堂君の好きなアイドルのライブチケットですが残念ながら手に入りませんでした。代わりになるかは分かませんが『高田ちゃん3Dフィギュア(10名限定)』が手に入りましたので渡してあげてください。それから、先日の急な任務のお礼として『高田ちゃん出演イベントのチケット』も渡してください。庵さんが好きそうなお酒・おつまみセットと一緒に送りましたから」
『…いつも、本当にいつもありがとうございます!!』
「冥さんから頼まれていた株の情報ですが、詳しくは分かりませんでした。代わりに別の株で値上がりしそうな株を探しておきました」
『いつもすまないね。何か困ったことがあったら言いなさい』
「七海さんから頼まれていたパン屋の女性ですが、特に問題ありませんでした。蠅頭に憑かれていましたが処理しました」
『ありがとうございます。五条さんから無茶ぶりされたら言ってください。最優先で手伝います』
その優秀さから呪術師からの頼まれごと、オンラインでの補助監督の研修、必要であれば学生のスカウトまで行っている。そのため、上層部を嫌う呪術師も伊地知から「お願いします」と言われると断れない。そのせいで伊地知の仕事は増え続けているのである。
(お腹すいた。疲れた…)
しっかりとしたイメージのある夕食だが、彼の場合は簡単に済ませることが多い。仕事や五条からの無茶ぶりをしながら摂るからあである。
「今あるのはジャガイモとバター……じゃがバターでも作りますか」
仕事や五条からのストレスの気分転換に自炊をするが、基本的に凝った料理はしない。その時間で仕事ができるし、頼まれごとをこなせるからだ。人に食べてもらう時はしっかりと料理を作るが。
「仕事は終わったし、五条さんから言われた『地域限定コンビニスイーツ』も調べ終わった。女性補助監督向けの婚活リスト(マトモな呪術師・補助監督・窓)も更新しました。上層部への育休・産休制度導入の件もどうにか通りましたから……次回の合コンのセッティングで終わりですね」
彼は人材確保のエキスパートである。共働きに理解のある男性と女性補助監督の結婚により人材不足にならないよう動いている。合コンや婚活パーティを開くことで『婚活で忙しいので休みます』という事態を防いでいるのだ。彼が居なければ呪術界は呪霊より先に仕事に敗北していただろう。
こうして伊地知の一日は終わる。
なお、紹介した一日はマトモな日である。大半は家にも帰れず食事もマトモに摂れない。全員から心配される程の社畜生活を送っている。
彼が人間らしい生活に戻る為には『五条悟という呪いから解放される』『人材不足が解消される』という条件がある。
この条件が満たされる時、伊地知は普通に結婚できる。五条悟(姑)がいる限り、彼が結婚することは不可能である。