ゴーストミクとノーマルミクが最終的に結ばれる話(仮題)   作:新品のタタリモップ

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六月のおちゃかい (2)ダークボール

 ユウレイさんに急かされながら、『わすれられたそうこ』に向かうと、ポットデスと知らないポケモンがお出迎えしてくれた。

 

「あ、この子が来てくれたお友達?」

 

 そう言って、初めて見るゴーストポケモンに挨拶をする。

 ボウルのような深めの分厚いお皿に、緑色の体を入れているポケモン。その子は、木でできた髪の毛を揺らしながら、恭しく頭を下げた。

 

「そう……お茶会のために、かなり、遠いとこから、来てくれたの」

 

 ユウレイさんは、いつもよりも語気を強く喋りながら、"お母さんの衣装"を段ボールに戻し、いつものソファに音を立てて座った。

 うっ、ユウレイさんの言動の節々にトゲを感じる……。まぁ、アタシが盛大に寝坊して、約束すっぽかそうとしてたから、何も言えないんだけど……。

 向かいの椅子に座りながら、ユウレイさんに謝る。

 

「ご、ごめんってば!次からは気をつけるから!ね?」

「………………。……この子にも謝って」

 

 そう言って、長机の上でふよふよ漂うお友達を指差すユウレイさん。隣では、ポットデスが紅茶を注いでくれている。

 ……そうだよね、この子も遠くから来てくれたんだもんね。

 

「あなたもごめんね。……えーっと」

 

 そういえば、この子の名前、知らないな。

 調べるために、スマホの図鑑アプリを開いて、お友達にかざす。

 

『エラーが発生しました。このポケモンは、図鑑に登録されていません。』

「あれ?おかしいな」

 

 不思議に思って、もう一度やり直す。しかし、何度やっても、同じエラー画面しか表情されなかった。

 

「もしかして新種のポケモン!!……な、わけないか。ほかの地方のポケモンだから、登録されてないのかな」

 

 ……それか、ユウレイさんのいたずらかな、と思ってチラっと顔を伺う。そんなアタシの心の声をおみとおししているのか、フルフルと首を横に振った。

 

「この子は……ポットデスのお友達なの。この子のお茶も、すごく美味しい」

「へー!楽しみ。……えっと、お友達さん。よろしくね」

 

 お友達さんは嬉しそうに、シャカシャカと体を鳴らしながら、何やら準備を始めた。

 お茶を準備してくれているのかな?でも、まだまだ準備に時間がかかりそう……。

 

「あ、そうだ!今日のお茶会のために、ケーキとか買ってきてたんだよね〜」

 

 保冷バッグの中をあさり、カット済みのショートケーキとレモンタルト、ポケモン用のポフレセットを取り出す。

 ……流石、マネちゃん。アタシよりアタシの予定把握して、ちゃんとお茶菓子を用意してくれてるなんて。流石にユウレイさんのことは言えてないけど、友達とお茶会するって伝えておいて良かった。

 

「はい、ユウレイさんにはレモンタルトね。すっぱいのって、コレであってる?」

「……うん、ありがと……」

 

 美味しそうなお菓子を前に機嫌が直ったのか、ユウレイさんはキラキラした顔でケーキを見つめていた。

 

「よしっ!お茶とお菓子も揃ったし……お茶会スタートだー!カンパーイ!」

「……かんぱい」

 

 多分、お茶会の始め方はこんなようきじゃない気がするけど、まぁいいよね。

 お互いのカップを軽く鳴らして、紅茶をすする。

 うん、今日も美味しい。ユウレイさん曰く、1日1杯しか飲んじゃいけないんだけど……今度こっそり、おかわりしちゃおうかな。

 独特な癖と味があるこの魅惑の紅茶には、シンプルであまーいショートケーキがピッタリだと思ったんだよね。てなわけで、さっそく……。

 ショートケーキを一口分切って、口に運ぶ。あまくてまろやかなクリームと、ふわふわのスポンジがとっても美味しい。

 うんうん、やっぱりあまいものって最高に美味しいよね!次はいちごと一緒に食べてから、紅茶飲んで__

 

「あれ?いちご……」

 

 ついさっきまであったはずの、ショートケーキのいちごが消えてる。しかも、上に乗ってる一番大きいやつ。下のスポンジとクリームは無事だけど…………もしかして。

 顔を上げると、ユウレイさんがニヤニヤしながらアタシのいちごを頬張っていた。

 

「あーー!!!!!!」

「うん……すっぱくて、美味しい」

「あ、アタシのいちごが……」

 

 しょげるアタシをよそに、優雅に紅茶をすするユウレイさん。

 うぅ、一番の楽しみだったのに……。ペラップもなんか言ってやってよ!

 そう思って隣を見ると、2個目のサワーポフレをたいらげていた。あなたさっきも食べてたじゃん、どんだけ食べるのよ……。

 

「はぁ、ペラップも、ユウレイさんも、ほんとにすっぱいのが好きだよね」

「うん……ミクは甘い物、好きだよね」

「まぁね。あ、すっぱいのも嫌いじゃないよ。」

 

 今回のお菓子も、甘くてすっぱい、紅茶に合うものを選んだ結果、ケーキになったんだよね。……実際に選んだのはマネちゃんだけど。

 

「そういえば……ユウレイさんって、ペラップがすっぱいの好きって知ってたっけ?」

 

 お茶菓子のために、アタシ達の好きな味は共有したけど、ペラップの好きな味までは言ってなかったはず。

 

「……知らない」

「だよね!じゃあなんで、ペラップの好きなきのみ分かったの?」

 

 さっきのポケモンフーズには、ペラップの好きなきのみが入っていた。しかも、とびっきりすっぱい、苦手なポケモンは混乱しちゃうくらいのを。

 味の好みを知らないのに、ペラップのために、わざわざ頑張ってくれてたんだなー!私を怒るためとはいえ、ペラップのために色んなきのみ持ってきて好み調査したのかな?凄いなぁ、やっぱり、ユウレイさんってすごく優しいな〜っ!

 感謝と尊敬を込めた眼差しでユウレイさんを見つめる。ユウレイさんは、恥ずかしそうに目線を反らしながら口を開いた。

 

「私が……好きなきのみ入れただけ」

「アタシの感動、返して!?」

 

 

 

「……あ。準備できた、みたい……」

 

 お友達さんは丁寧にお辞儀をしてから、1人ずつお茶を配っていた。

 体と同じように分厚いボウルに、緑色の__泡。手にとって見ると、ずっしりとした重さとじんわり伝わる暖かさ。

 ……これ、ほんとに紅茶?

 

「えっと……これって、シェイク?それとも野菜ジュース?」

「違うよ……飲んでみて」

「わ、わかった」

 

 おそるおそる、お茶(?)口に含む。ふわふわした泡とまろやかな液体が口に広がって、ゆっくりと喉を流れる。なんて表現したらいいかわからないけれど、お茶ということだけはわかった。

 飲み終えて、「ふぅ……」と言いたくなるような、そんなお茶。紅茶よりも、リラックス効果が高そう。

 

「このお茶美味しいね!なんだか、肩の力が抜けたような……。リラックスできた気がするよ!」

「そうだね……ふふふ」

 

 そんなアタシを見て、笑うユウレイさん。

 ……でも、ほっこりするような笑い方じゃないような?アレは、イタズラが成功した時の笑い方に似てるような……。

 ユウレイさんは、クスクスとわらいながら、ぽかんとする私に、古い鏡を持ってきた。鏡に映ったのは、牛乳を飲んだときのように、緑色の泡を生やしたアタシ。まるで、緑色のちょびひげを生やしたおじさんみたい。

 

「あーっ!!コレが狙いだったの!?」

 

 急いで泡を拭き取りながら、ユウレイさんに詰め寄る。彼女はニヤニヤとしながら「それだけじゃない」と言った。

 

「この子のお茶を飲むと……この子に生気を吸い取られるの」

「えーっ!?」

 

 じゃあ、さっきの肩の力が抜けたのって、リラックスじゃなくて生気を吸い取られてたから!?

 たしかに、ユウレイさんはこの緑のお茶を飲んでいなかった。それに、よく見てみてると、彼女の前に置かれたボウルには、緑のお茶は入っていなかった。くぅ、騙された!

 お友達を見てみると、ポットデスとユウレイさんと一緒にニヤニヤしながらこっちを見てるし……悔しーっ!

 

「ふふふ……イタズラ大成功。……ほら、まだ泡ついてる」

 

 そう言って、ユウレイさんが泡を取ろうと袖を伸ばしてきた。…………が、彼女の体はアタシの体をすり抜けていってしまった。

 

「あ……えっと。……『ポルターガイスト』」

 

 ユウレイさんは、近くにあった布巾を浮かせて泡を吹いてくれた。……けれど、その顔は少し悲しそうだった。

 

 

 

「あ……、そ、そうだ!ちょっと気になってたことあったんだよね」

 

 少し気まずい雰囲気を変えようと、無理矢理話題を振る。

 俯いていたユウレイさんの顔は、いつもの無表情に戻っていた。

 

「えっと……ユウレイさんのそのポケット、膨らんでるけど何が入ってるの?」

 

 未来を感じる服の左右についた、握りこぶしぐらいの大きさのポケット。初めて会ったときから、不自然に膨らんだままで、ずっと気になってはいたけど、今まで聞くタイミングがなかった。……まぁ、大したことでもなかったし。

 

「わからない……ちょっと待って」

 

 ユウレイさんはそう言って、ゴソゴソとポケットをあさった。

 すると、右側のポケットから、古ぼけたダークボールが出てきた。

 

「ずいぶん古そうなダークボールだね。それに、凄い傷だらけ。中には……誰もいなさそうだけど」

「………………」

 

 ユウレイさんは、真剣な眼差しで、ボールを見つめていた。

 

「なにか、思い出したの?」

「……なにも。ただ……」

 

 ぎゅっと、ボールを優しく抱きしめるように、大事そうに抱えながら続けた。

 

「…………とても、大切なもの……そんな気がする」

 

 

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ユウレイさんは

ふるいボールを みつけた!

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ふるいボール

 

とても古い 傷だらけの ダークボール。

中には 誰も いないようだ。

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ユウレイさんは ふるいボールを

たいせつなものポケットに しまった。

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