1話でまとめてみた。
黒歌と出会ってから数ヶ月経った。
神埼歩、現在3人暮らし。
朱乃が歩の家に住むと決めてから話がとんとん拍子に進んでいった。
朱璃さんは「あらあら、うふふ」と言いながら2つ返事で了承。
バラキエルは断固阻止しようとしていたが娘、妻の圧力に最後は根負け……今に至る。
バラキエルの恨めしそうににらんだ顔を歩は忘れないだろう。
出会いが最悪だった朱乃と黒歌………、一緒に住みだすと初めの険悪な雰囲気はどこへいったのやら、今ではすっかり仲良しである。
「協力関係を結んだの」、なんて朱乃は言っていたが何だったのだろうか、歩にはさっぱりであった。
ちなみに歩は黒歌のおかげで冥界への行き方もわかり度々遊びに行っている。
今回は遊びに行った冥界でのちょっとした一場面。
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「そうだ……冥界に行こう」
どこかのCMで聞いたようなフレーズをぼそっと言った歩。
今日は朱乃と黒歌が女性同士の買い物と言って出かけてしまい一人で留守番をしていた。
暇だからといってどこかへ出かけようなどと昔の自分では思いもしなかっただろうと内心苦笑する。
朱乃を含めた姫島家の面々、黒歌、一誠、いろいろな関わりが良い方向に自分を変えてくれる……それが歩には嬉しく感じた。
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時間は少し流れ冥界のグレモリー屋敷へ
「さて、あの子はどこかな」
歩はあの一件以来グレモリ―の屋敷にフリーパスで入れるようになっている。
兵士たちも初めは歩を警戒していたが、害が無いとわかると歩の剣技に対する純粋な尊敬へ変わり、教えを請う者も現れるくらいだ。
そんな歩は今日ある女の子と会うためにここまできていた。
「兄様!!」
歩は呼ばれた声に振り向いた。
「こんにちは、白音」
黒歌の妹、白音が笑顔で走ってきた。
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白音は歩になついている。
そうなったことにも理由があり、やはりきっかけは黒歌だった。
サーゼクスから白音は保護しているからいつでも会いに来ていい……そんなことを言われていたが命を狙われ続けた冥界に一人で行きたくなかったことや、なにより白音になんと言って会えばいいかわからない。なかなか決心がつかず黒歌は家で悶々としていた。
いい加減見ていられなかった歩は強硬手段にでる。
抵抗する黒歌を引きずるように白音のところに連れて行ったのだ。
そうして2人は白音と出会ったがお世辞にもいい状態とは言えなかった。
白音はまるでこの世のすべてを恨んでいるような目で2人を睨む。
そして手当てはしてあるようだが黒歌とはぐれ逃げていたころの傷や、食欲が無いのか唯でさえ小柄な体が不健康と呼べるところまでやせていた。
黒歌は初め愕然とした顔でしばらく固まっていたが勇気をだして声をかける。
「し……白音……」
声は聞こえているのだろうが白根は全く反応しない。
その後は黒歌が話し続けるだけで痛々しい空気が周りをつつんだ。
………
最終的に黒歌は耐えられなくなったのか、涙目になり部屋を出ていった。
そんな中、終始歩は沈黙を貫いていた。
こんな状況が数日間続いたが、ある日いつものように黒歌が出ていくと白音が初めて歩に向かって声をかけた。
「あなたは何なんですか………」
毎回のように黒歌と共にいながら何もしない、声もかけない歩の存在を不思議に思うのはもっともだ。
「俺は黒歌のつきそいだよ」
静かに歩が言った。
「姉とずいぶん仲がよさそうですが……」
若干とげがあるような声質。
「一緒に生活させてもらっている、家族みたいなものかな。それがどうかしたのかい」
「………」
黙りこくってしまった白音に歩は全てを見透かしたように言った。
「お姉さん大好きなのに引っ込みつかなくなっちゃうと大変だね」
ガタっ
白音は動揺するように座っていた椅子立ち上がっていた。
しばらくの沈黙。
その沈黙を破ったのは白音だった。
「姉を前にすると声が出なくなるんです。サーゼクス様にも今回の事件については聞いていましたし、姉に会うまではすぐに前みたいな関係に戻れるって……そう思ってました」
震えながら、今にも泣き出しそうになりながら話し続けた。
「でも実際会ってみたら仙術を使って周りの悪魔を皆殺しにしている姿を思い出します。怖いんです……頭ではわかっていてもほんとうにサーゼクス様に聞いた話しが真実なのか疑ってしまって……」
歩はわかっていた、一番の理由がそんなことではないことが。
「………、違いますね……、私は許せない……自分が………、前のご主人様はずっといい方だと思ってました………姉が……姉様がいつ死ぬかもわからない命令を受けてたなんて知らなかったんです。今回の話を聞いて結局姉が罪を犯した理由は私でした………確かに姉様を見て怖かったというのもあったんです……でも1番は…」
「こんな私が一緒にいてもいいのか」
白音は自分の気持ちを全部吐き出した。
それに対し歩は素直な気持ちで答える。
「俺は君にどうするべきだと言うつもりは無い。でもね、君にはお互い幸せで後悔無いような決断をしてほしいと思うよ」
白音は内心月並みな事を言っていると思った、その後の言葉が続くまでは。
「俺は1度大切だと思えるものが出来ないまま全て終わってしまったからね……、今みたいにここにいられるのは奇跡なんだ。普通は俺みたいにならないからさ……1度きりの人生、少しは自分の幸せのために動いて良いと思うよ。」
「それが結局相手のためになることもあるさ、まあ必ずとは言えないけどね」
白音には半分以上何を言っているか分からなかった。
今生きているのに一度終わってしまったとか何なのだろうかと。
しかし歩の目を見て本心で言っている、この人のことなら信じてもいいかもしれない……不思議とそう思った。
その後、少しずつ前向きになっていった白音は無事、黒歌との仲直りを果たす。
歩の家に一緒住もうという話しも出ていたが助けてもらったグレモリ―家に恩を感ており、しばらくはグレモリ―家で働くことに決まった。
だからといってなかなか会えないわけでもなく、休日は白音が人間界に来たり、ニートな黒歌は歩を連れてグレモリ―の屋敷に出向いたりと姉妹仲は良好に保たれている。
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「今日はどうかされたのですか兄様」
「白音に会いに来たんだ」
その言葉に白音はうれしそうに声を弾ませる。
「それではお菓子と紅茶を用意しますね、私の部屋で待っていてください」
スキップするようにキッチンまで走って行った。
「そういえば、いまさらだけどなんで俺のことを兄様って呼ぶんだい」
用意された紅茶を飲みながら歩が言った。
白音は黒歌との仲直りを果たすとそれ以降歩のことを兄様と呼び続けていた。
「兄様は兄様だからです」
若干胸を張るように言う。
「兄様は姉様のことを家族のようなものだと言っていました。それなら姉様の妹である私も家族です。だから兄様と呼んでもおかしくないはずです」
自信満々に言われると何とも反論しずらいと思う歩であった。
しばらく紅茶とお菓子をおいしく頂いていると白音がちらちらこちらを見ながら何か言いたそうにしている。
「どうかしたかい」
「にゃ」
驚くような反応は姉妹だけあって黒歌そっくりだな、と歩は思った。
少し悩んだ後、決心がついたのかぽつりと話し始める。
「改めてこんなことを言うと恥ずかしいんですが、姉様もいないようですし言っちゃいます……」
白音は仕切りなおすように言葉を続けた。
「兄様、姉様を、そして私の心を救ってくれてありがとう………」
「俺は大したことをしていないよ」
白音は首を横に振る
「兄様がいなければ姉は生きていませんでした、私も兄様の言葉があったから今があるんです」
「そんな今が生きていた中で一番楽しい」
恥ずかしそうに白音は言った。
「これからもっと楽しくなるよ」
歩は笑顔だった。
その笑顔にしばし見惚れ思わず口からこぼれる。
「兄様、好きです」
あっ、と口を押さえる白音。
「俺も好きだよ」
歩がノータイムで答えてきたが、沈黙の後、意味を理解すると白音はため息をつく。
「ありがとうございます」
恋愛の好きじゃなくて家族としての好きなんですよね……
それでも好きと言ってもらえて少し口がゆるんでしまう自分は案外単純なのかな、そう思った白音であった。
「これからも、姉様ともども末永くよろしくお願いします」
こうして今日の歩の1日はとても心和み終わった。
一応過去最高文字数かな。
白音は荒む時期が短かったので若干明るい感じになってます。
この姉妹、かわいいよね。
あと1クッションくらい入れて原作突入予定です。