「ほんと退屈しない」
歩は静かに言った。
手にはすでに剣が握られている。
「さあ、やろうか」
今、死闘が始まろうとしていた。
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とある日の休日……
「歩くん、今日のご予定はありますか」
朱乃が朝食をとる歩に言った。
「今日はサーゼクスに呼ばれていてね、冥界に行くつもりだよ」
歩はこのようにたびたび暇つぶしとしてサーゼクスに呼び出される事があった。
実際、魔王という職業柄暇というはずは無い。
しかしお互い話してみると案外話しがはずみ友人のような間柄になり、仕事で疲れたサーゼクスが暇と称して歩を招くようになったのだった。
「そうですか……」
少し考え込む朱乃。
「それなら私はリアスに会いに行こうかな」
朱乃が言うリアスとは冥界を行き来する中で出来た朱乃の友人であり、サーゼクスの妹なのだが何故か歩は1度も見たことが無かった。
「それなら私は白音に会いに行くにゃん」
今まで朝食を食べることに夢中で会話に混ざらなかった黒歌が付け足すように言った。
「じゃあ準備できたら皆でグレモリ―家に行くか」
「はい」「にゃん」
笑顔でうなずく二人。
昨日も二人は冥界で会って遊んできたはずなのに…やっぱり連日会いたいほど朱乃はリアスを、黒歌は白音がほんと大好きなんだな……そんなことを考えていた歩。
それはそれで正しいのだがメインは歩となるべく長く一緒にいたいという乙女心。しかしそれを察することは残念ながら歩にはできなかった。
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少し時間が経ち……
「やあ歩君、待ってたよ」
「こんにちは、珍しくグレイフィアさんがいないんだね」
サーゼクスは基本グレイフィアと共にいる。
実際歩がサーゼクスと会うときはいつも一緒にいたのだが今日は初めてサーゼクスと2人きりになったのだった。
「なんだかんだグレイフィアは歩君をいつも警戒していたからね。ようやく信用されたってところかな」
「まあ……しょうがないな…」
初めての冥界に来た時あれだけ暴れたんだ……サーゼクスの女王としては警戒しないほうがおかしい
……というよりサーゼクスが早くにフレンドリーになりすぎなんだよな、なんて思う歩だった。
「じゃあグレイフィアさんは別件でお仕事かな、それともたまの休日?」
「さすがに仕事は休ませたよ、今日はミリキャスと休日をエンジョイしているかな」
サーゼクスとグレイフィアの息子であるミリキャス。
何度も会ったことがあるが大きな才能を持ったこれからの期待ができる悪魔だった。
歩がいつか魔王と呼ばれる日もくるかもしれないとお世辞も無しに思うほどだ。
「ほんとミリキャスは私や総司から君の話を聞いて以降いつも会いたがっているからね。いつか君の弟子になりたい、とか言いそうだよ。」
サーゼクスは笑いながら言った。
ミリキャスは歩が屋敷に来るたびに会いに来ては、目をキラキラさせ歩と話しをしていく。
「お前らは一体どんな話をミリキャスにしたんだよ、俺もまだ中学生なんだしあんな目で見られるとむずがゆい。」
「真実しか話していないつもりだよ、でも実際憧れられるのは嫌でもないんだよね」
少しニヤっとした感じでいやらしく笑うサーゼクス。
「まあ……な」
少し照れたように頭をかく歩。
こういうところは年相応で、かわいらしいと思ってしまうサーゼクスであった。
しばらく紅茶を飲みながら話しているとサーゼクスが仕切りなおすように真面目な雰囲気で話しをしだした。
「今日は君にお願いが会って来てもらったんだ。」
「珍しいな、なにか用件があるなんて。」
この2人が会うときはたいてい世間話しながらお菓子を食べたり、ミリキャスを含めて遊んだりとのほほんとしたことが多かった。
それがここまで真面目に話されると歩自身気になってしまう。
「なに、そんなに難しく考えなくていいさ」
「僕と……」
「戦ってくれないかな」
こうして2人の強者が今、激突する。
年相応でかわいらしい、と書いていても前世で17年生きている事実。
まあ歩の精神的成長は第2の人生からだからしゃあないよね。