これからもこつこつ頑張ります。
唐突だが、一誠が悪魔になってからどうやって過ごしているか簡単に説明しよう。
基本的に悪魔になって一般的な仕事とも言える契約を獲りに行っている。
魔法陣による転移が魔力量が少ないことからできないため、自転車で現場に向かうという何とも悪魔らしくない、ある意味一誠らしい恰好悪さである。
ちなみに悪魔に転生した時、神器を覚醒させたようだ。
神器に詳しくなかったが、予想道理かなりの力を秘めているように感じられた。
まだ一誠自身に力が全くないため真価を発揮していないが、これからどのように成長していくのだろうか………まあ才能なさそうだし本人の努力次第だな。
一誠には自分こと、神埼歩がどのような立場に居るかを伝えた。
悪魔、堕天使といった人では無い存在と昔から良く関わっていたこと。
そしてリアス・グレモリ―の護衛をしていることなど。
一誠が能天気というか何というか……あまり考えもせず
「お前俺と会う前からこっちの世界にいたのかよ、先輩宜しく頼むぜ」
なんて簡単に受け入れていた。
この環境に対する適応力はある意味一誠の才能なのかもしれない。
そんなこんなで順調に悪魔生活を謳歌しているようだった。
「さて、堕天使をどうしようか……」
初めは全て自分が殲滅すればいいと思っていたが、それもどうなのだろうかと歩は考え直していた。
今は近くに自分がいるからいいが、将来的には一人、又は眷属と共に闘うことも増えるはず。
一誠には才能が無い……実戦に勝る経験は無いし、相手もハッキリ言って小物だ。
そして初の彼女に裏切られ、表には出さないものの精神的なダメージ、トラウマはかなりのものなはずだ。
一誠自身が夕麻との繋がりを断ち切っていかなければならない。
だったら自分がいつでも助けることのできる状況で戦ってもらうべきだろう。
「まあ……その前にお膳立てはしないとかな………」
「歩、表情変わって無いはずなのになんだか悪巧みしているように見えるにゃん」
今日は珍しく人の姿で膝枕をしてもらっている黒歌が言った。
「まあ悪巧みってわけじゃあ無いよ。ちょっと朱乃や白音には黙って邪魔者を排除しておこうと思ってね」
まだ朱乃も白音もオカルト研究部の関係で家に帰っていない。
「さらっと怖いこと言うにゃん」
歩の膝に頭を擦りつけ甘えるように言う。
「これが俺の平常運転だろ、とりあえず出かけるかな。黒歌も一緒に行く?」
その言葉に黒歌は喜ぶように反応する。
「デートにゃ!!」
まあそんなつもりは無かったが黒歌が喜ぶのならそういうことにしておこう。
そのまま身支度をして外へと出たのだった。
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「デート、デート」
黒歌が腕に抱きつきながら歩く。
昔から黒歌は歩の体に密着することを好んでおり、初めのうちは動揺したり照れもあったが、さすがに慣れていた。
ちなみに今回外に出たのは堕天使が潜んでいるであろう教会を下見して、一誠が戦う時に邪魔になりそうな奴を排除しておこうと思ったからである。
しかしせっかく黒歌も喜んでくれているんだ。少しはしっかりとデートしてみよう。
「とりあえずクレープでも食べるか」
「にゃん」
どうやら賛成してくれた様だ。
そうしてよく公園で移動販売をするクレープ屋で2人分のクレープを買った。
食べ歩くのも行儀が悪いと思い、ベンチに座りながらお互いのクレープを食べさせあう姿は普通に見たら彼氏彼女の関係にしか見えない。
「はい、歩。あーんしてにゃ」
「あいよ。うん、旨いな。ほら黒歌こっちも食べてみな」
「あーん……おいしー。」
唯でさえ人がそこまで多くない公園で会ったが、周りはこの甘ったるい雰囲気に近づきたくない人が多いようで自然と静かになっていった。
「静かだな………」
風の音しか聞こえない。
「…………」
黒歌が歩によりかかりながらも、無言で2人だけの世界を共有していた。
どれくらい時間が経っただろうか。
このいい雰囲気をぶち壊すように男が指をさしながら大声でこちらに向かってきた。
「あーーーー、誰だよ!!その和服美女!!、しかも超仲よさそうだし。」
知り合いが今まで全く浮いた話のない歩のこんな姿を見たら、このように反応するのは当たり前だろう。
歩は声の主に視線を移した。
「一誠……女性と一緒に居る男を妬むのはいいかもしれんが、金髪の少女を連れている男には言う資格はないと思うぞ」
親友を見た時いつもとは違い隣に金髪の少女が立っていた。
少女は自分のことを言われていることに気づき、慌てるように話し始める。
「イッセ―さんのお友達の方でしょうか。私、アーシア・アルジェントといいます。宜しくお願いします!!」
「神埼歩だ、宜しく」
このとき二人の時間を邪魔された黒歌が、かなり不機嫌になったのは言うまでも無い。
アーシア、現る。
一誠は朱乃、黒歌、白音と親密な関係であることは知りません。というか黒歌の事は存在することも知らない。