「こんにちは、リアス・グレモリ―」
何事も無いように歩は言う。
「あなたは……神埼歩だったかしら……」
一誠を眷属に加えるうえである程度の交友関係は調べていた。
そのときに親友として名前が上がっていたのが神崎歩だ。
基本は無表情で愛想が無い……しかしながら周りからの評価は悪くなく、タイプが全く違う喜怒哀楽の激しい一誠と一番仲がいいのだから不思議なものである。
しかし何故彼がこの場にいるのだろうか、警戒が強まる。
「あなたは一体何者なの……」
しばしの沈黙
なでなで……なでなで……
「…………」
なでなで……なでなで……
「いい加減撫でることをやめなさい!!朱乃、小猫!!あなたたちもいつまで撫でられているの」
リアスの言葉に名残惜しそうに2人は歩から離れた。
「どう……なっているの……」
一誠に殴られ気絶していたレイナーレが目を覚ます。
「私の眷属に手を出そうとしたのが運の尽きね。私はリアス・グレモリ―、以後お見知りおきを……短い間でしょうけど」
「くっ」
レイナーレは絶望に顔をゆがませる。
「部長!!」
一誠を見たリアスは神器の形が変化していることに気づき納得する。
「赤い龍……そう、そういうことなのね。堕天使レイナーレ、この子の神器は単なる龍の手(トゥワイス・クリティカル)では無いわ。持ち主の力を10秒ごとに倍加させ魔王や神すらも一時的に越えることのできる力があると言われている13種の神滅具(ロンギヌス)の一つ、赤龍帝の籠手、ブーステッド・ギア」
「神を殺すと言われる忌まわしき神器が……こんな子供に」
信じられない現実に歯噛みするレイナーレ。
「どんなに強力でもパワーアップに時間がかかるから万能では無いわ。相手が油断していたから勝てたようなものよ。さて消えてもらうわ…堕天使さん」
「ふふふ、バックにあんな化物がいるのなら逃げる気も失せるわ。あれだけの力、アザぜル様からも感じたことなかった……」
歩を見てレイナーレは言った。
「なんですって」
新たな事実に驚愕するリアス。
「まあいいわ、それではさようなら、堕天使レイナーレ」
こうして駒王町で暗躍していた堕天使は全て消え去ったのだった。
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「さて、今度はこっちね」
リアスは仕切りなおすように言った。
「さっきみたいに警戒しないんだな」
会ったばかりとは違い明らかに肩の力が抜けていた。
「そもそも危険な相手に朱乃や小猫が気を許すわけないもの。先程はごめんなさいね」
「へぇ」
思った以上に周りが見えているようで少し評価を改めなければなと思う歩。
日頃を見ているともっとアクセル全開で考えるより先に行動する、感情を制御しきれないタイプに感じていたのだ。
「それで、あなたは一体何者なの?」
「君の兄、サーゼクスに頼まれてね。いざという時のボディーガードとして雇われていたんだ」
お兄様がそんなことを……などと呟くリアス。
「見たところ悪魔ではないようだけど「リアス」」
質問責めされそうでめんどくさいかも、そう思っていた歩の気持ちを察してか、朱乃がリアスの言葉をさえぎり、一番分かりやすく歩の事を説明した。
「彼はね……剣の王よ」
朱乃の言葉に理解できない歩。
実は歩は著サーゼクス・ルシファー、「剣の王」について全く知らない。普段から本を読む習慣があるわけでもないし、歩に本のことが伝わったら出版することを止められそうだ……そんなサーゼクスの安易な発想から本の存在をノンフィクションであるというのに本人には伏せていたのだ。
「あなたがあの剣の王なのね!!会いたかったわ!!」
リアスは目を輝やせてこちらを見るが訳もわけがわからず歩は混乱する。
「サインをお願いします」「いろいろお話し聞きたいから明日からオカルト研究部来てくれないかしら」「私の事はリアスと読んで」など結局あらゆることを聞かれる。
その後は女の子は3人集まれば姦しいというのか、朱乃、白音、リアスは盛り上がっていた。
「朱乃、小猫。どうして一緒に住んでいることを黙っていたのかしら」とか「お兄様と互角以上の力を持つ剣の王に会ってみたいって前々から言ってたでしょ」とか……
置いてきぼりにされたような歩に白音が言った。
「今度、リビングにある「剣の王」という本を読んでみて下さい」
この結果、数日後サーゼクスは命の危険を感じることになるのだがそれはまた別の話。
こうして長い夜が明けた。
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次の日の教室
「アーシア・アルジェントです。よろしくお願いします」
アーシアが転校してきた。
しかも悪魔になったというオマケ付きで。
一誠と共に過ごしたいからということらしいが「アーシアは俺が守る!!」なんて言われたら惚れられてもしょうがない。
隠れて仕事するのも大変だったからリアスに正体を明かしたが、ここ最近で周りの環境が一気に変わった。
親友の悪魔転生、新しい友達となった転校生、オカルト研究部に所属するわけではないがリアスに来てくれと言われた手前これから少しずつ通うこともあるだろう。
さて、明日は何が起こるかな。
歩はこの変化がさらなる事件を呼び込むだろうと、少し楽しみにしてしまうのだった。
これにて原作1巻終了です。
次回は少し日常生活入れてから2巻に突入します。
リアスは剣の王を読んだ結果思った以上に歩を目上の存在として見ます。
恋愛感情じゃ無くて、サーゼクスを敬うのと一緒な感じ。