2人は笑いあう
それはそれは楽しそうに……
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「すいません、サーゼクス・ルシファーに会いに来ました」
広大なグレモリーの屋敷の入口で門番?に聞いた。
歩の隣では黒歌が頭を抱えている。
突然冥界に行くと言われた時は驚かされた。
そして冥界まで黒歌の案内により到着すると
「偉い奴のところまで案内してくれ」
なんて言われ今度は混乱が強まった。
最終的に歩に
「俺を信じてくれ、悪いようにはしないから」
という言葉に自然と頷きここまで案内してしまった。
黒歌は歩のことを全面的に信じている。
あの、手を取った時からその気持ちが揺らいだことは無かった。
「子供が何を言っているんだい、早く帰った帰った」
当然のように門番に言われたが歩だったが
「そうか………それなら…押し通る…」
その言葉を聞いた瞬間、門番は意識を失った。
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「外が騒がしいね」
「侵入者のようです」
サーゼクス、そしてサーゼクスの女王グレイフィアが外の気配に気付く。
「はっきりとはわからないが最上級悪魔クラスの力がある。ここを守る兵ではとてもじゃないが敵わないだろう……兵を下げてくれ。私が直々に「ちょっと待って」」
サーゼクスの言葉が途中で遮られる。
「王がそんなに早く出てどうするんですか、ここは僕に任せてください」
突然現れた青年が言った。
「そういえば今日は君がいたね」
「仕事のことで呼びだしたのはサーゼクスなのに忘れてるなんてひどいじゃないか」
青年の反論にサーゼクスが笑う。
「フフフ、そう言わないでくれよ、それじゃあ外のこと、まかせていいかい」
「まかされた」
青年の気配が消えサーゼクスが口を開く。
「しかしこれほどの実力者が私の知らないところにいたとはね…」
サーゼクスは笑顔で言う。
「侵入者相手に何を笑っているんですか」
「グレイフィア、君も気づいているだろ……この侵入者、かなりの実力者なのにまったく殺意や悪意が無い。それに倒された兵は1人も死んでないようだし、とても楽しみな存在だよ。」
グレイフィアはため息をつく。
「先ほどあなたが直々に出ようとしたのは単に直接見たかっただけですか……ほんと子供っぽいところはいつまでも変わりませんね。」
呆れたように、しかし女王としてだけでなく妻としての言葉を交えた優しげな声だった。
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「そろそろ飽きてきた…」
いったいどれだけの兵士を倒したか、歯ごたえの無い敵を相手にずっと戦うのは正直苦痛だった。
ドラクエでずっとスライムと戦っている気分だ。
黒歌もとっとと歩が敵を倒してしまうから暇そうだった。
そろそろサーゼクスのところにつかないかな、そう思ったとき。
ゾクッ
突然現れた大きな力に歩と黒歌は反応した。
「SS級はぐれ悪魔の黒歌……そしてもう一人は……」
青年は歩を見て言葉が止まる。
歩も青年をじっと見ていた。
そして
「「ははっ」」
2人が笑顔で、楽しそうに笑った。
歩は兵士がもっていた剣を拾い上げる。
今までお箸や枝で戦うばかりであった歩が剣を持つ、昔から歩を知る者であったら驚きの事態だ。
お互いが感じていた。
目の前の男は自分と同類だと。
剣の道を極め、敵になる者を求めている。
歩は言わずもがなだが、青年も魔王の駒である立場から前線に出ることも無くなり、不完全燃焼の戦闘ばかりであった。
お互いが目の前の敵と戦うことが楽しみでたまらない。
2人の間に無駄な言葉はいらない。
「神崎 歩」
「新撰組1番隊組長、沖田総司」
「いざ、尋常に勝負」
天才と呼ばれた者同士の激闘が始まった。
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黒歌は2人の決闘を見ていた。
自分が最上級悪魔レベルと言われていたがお笑いだ。
そう思えるほどこの戦いは次元が違った。
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歩は斬り裂く銀の腕を初めから使い1撃が必殺の剣撃を。
対して沖田は歩の剣を受けては駄目だと直感でさとり全て回避、そして剣と自分に巣くう妖怪による多重攻撃を続けていた。
沖田総司、彼が人間だったころ病気による死を回避するためにさまざまな魔の儀式を繰り返していた。
それがきっかけでサーゼクスと会い眷属となったのだが、生前に行った度重なる魔の儀式の影響で、彼の体内には鵺をはじめ数多くの妖怪が巣くっており、一人百鬼夜行が可能である。
それを利用した沖田の攻撃手数は眷属内でもトップであろう。
しかし歩はその圧倒的な手数を持ち前の速さ、そして必殺の1撃により妖怪を切り伏せ、難無く回避していた。
威力と手数、お互いの長所を生かしたスタイルにより決定的な1撃を与えられない。
一見すると両者拮抗しているように見えているが沖田は内心参っていた。
剣技で自分は勝てない。
それだけで剣の終着点に達したと思った沖田には悔しい事実であったが、それ以上に思ってしまったのだ。
ああ、彼の剣は美しい……と
相手の剣に見とれるなど剣士としては圧倒的な敗北であった。
そんな内心を押し隠し魔王の眷属である誇りが沖田を奮い立たせていた。
一方歩は思った。
こういう相手を待っていた、どちらも気を抜くと一瞬で勝負がついてしまうようなピリピリとした感覚。
ああ、楽しいな……と
心の余裕の違いがそのまま戦況に少し現れていく。
沖田が歩に押されはじめた。
歩は沖田の攻撃を冷静に分析、妖怪を放つパターンなどを覚え対応が早くなっていったのだ。
「僕は、負けられない」
沖田の意気込む声に呼応し剣速が少し増していく。
再びの膠着状態
「埒があかないな」
歩は切り札を切る決心をした。
沖田はまだいける、そう思った。
そのとき、歩のある1点にわずかな隙が出来る。
「僕の勝ちだ」
その隙に切りかかり、ついに剣が歩に届く。
だが切りかかりながら沖田は違和感を感じた。
何か不自然だと。
そこで歩の顔を見る。
ニコッ
その顔に自分が攻撃を誘われていたことに気づいた。
いつもの沖田なら隙を見せたのが誘いであったことに気づいただろう。
しかし自分が劣勢な状態、それに誘いだったとしてもその場に切りかかれば攻撃は絶対当たる状況。ついその隙に縋ってしまった。
剣が歩に触れる。
パキッ
「鋼の加護(マン・オブ・スチール)」
肉体を鋼より硬くする力により沖田の剣はあっけなく折れた。
「終わりだ」
必殺の一撃が沖田に向かう。
「そこまで!!」
サーゼクスから放たれた制止の言葉でこの決闘は終わった。
沖田の戦い方は妄想。
黒歌の空気薄い。
しゃあないね、男同士の戦いだから。
沖田相手でも終始優勢、実際鋼の加護使わなくても勝てるけど、長引かせる意味もないから使わせちゃった。