♪~~(軽快なBGM)
彼は第一級冒険者のベル・クラネル。
保護者で主神のヘスティアと街へ買い物に行って、英雄(アイズとレフィーヤ)たちの怪しげな取引を目撃した。
取引を見て呆気にとられていた彼は、背後から近づいてくるもう一人の英雄(ティオナ)に気がつかなかった。
彼はその英雄に怪しげな薬を飲まされ、目が覚めたら─────身体が縮んでしまっていた!
彼に薬を飲ませたことがアルフィア達にバレたら命を狙われる。
とある神の助言で咄嗟に身を隠すことにした彼女たちだが、幼い彼に将来結婚するという言質を取ろうと暴走し始める。
たった一人の正妻選ぶ!
見た目は子ども!中身も子ども!
その名は─────「「やっかましいわ、ボケェっ!!」」グッフ!!
…………
………
……
…
さて、何が起こったのか改めて紹介させていただこう。
今はベルが過去での冒険を終え、ロキ・ファミリアとの合同遠征がほぼ確定した時期。
まず、ヘルメスが言っていた通りヘスティアとベルは街へ買い物に行っていた。
遠征も近いし、アルフィアたちが来てから騒々しい毎日。
束の間の平穏を味わっていたところだったのだ。
その後もほぼほぼヘルメスが語った通り。
ふと路地裏を除けば、怪しげな格好で怪しげな薬を取引?しているアイズたちがいた。
ベルが思わずそれに話しかければ、動揺して狼狽える始末。
それを疑問に思っていると、背後からティオナに襲われ薬を飲まされ、ベルの身体は縮んでいた。
大体3歳前後だろうか。
発話すらもおぼつかない様子で、髪や瞳などの特徴はそのままに彼は幼くなっていた。
その後は何故かその場にいた…………というより、十中八九薬の出処であろうヘルメスの助言に従い彼女たちはロキ・ファミリアの本拠に戻ることに。
そして、案の定…………
「何をやってるんだ、お前たちは!!」
全員がそれぞれ違った形で説教を受けている。
「ウチを巻き込むなや!!どアホ!!」
「君のところの子どもが元凶だろ!?」
「まあまあ、落ち着けって二人とも」
「お前が言うな!!フザケたナレーションであらすじ紹介しよって!!コ◯ンか!!」
「ヘラにあれだけズタボロにされといて、まだ懲りてないのか!!」
「俺はな、開き直ることにしたんだよ、ヘスティア。怯えて従う?そんなもの、魂の敗北なんだよ。俺は諦めない!!何度ボロボロにされようと、我が行動に一片の曇りなしだ!!」
「「くたばれ、クズ!!」」
ヘスティアとロキは言い争いながらも、二人でヘルメスをボコボコにし。
というか、ヘルメスに限って言えば本当になんで懲りていないんだろう?
ヘラにグッチョグチョに折檻されて、アルフィアたちがオラリオにいることが決定した騒動が一通り収まったあと、「そう言えばいないよね?」みたいな感じで全員から忘れられていたのに。
忘れられるのが嫌なのだろうか?
「何をどうやったら想い人を幼児化させるという発想に至る!?そして何でそれを実行に移す!?バカじゃないのか、お前らは!!」
「だって……アルフィアさんが小さい頃のベルの話とかして、自慢してきて…………」
「前世で兄さんに出会った時も既に10歳くらいでしたし。本当に無垢な頃は私も見たことがないし……」
「「羨ましくなって、つい…………」」
「本当にバカじゃないのか!?アルフィアに殺されるぞ!?」
アイズとレフィーヤはリヴェリアに悲鳴混じりの説教をされ。
「ベル?」
「あい!」
「いい返事。じゃあもう一回いきましょう。『ティ』」
「て?」
「『ティ』よ、『ティ』。『ティ・オ・ナ』」
「ておな!」
「ああ可愛い!もうそれでいいわ!いい?『ティオナ姉ちゃんと、結婚────」
「ベルに何を言わせようとしてるんだ、ティオナ!」
ベルに余計なことを吹き込もうとしているティオナを、ティオネがらしくなく厳しい口調で拳骨を食らわせている。
本当に、前世のせいでシスコンを拗らせている彼女がティオナを殴りつけるなんて、滅多にないことなのに。
「とにかく!!君たちにもこれの収束に協力してもらうからな!?」
「あ、ベル!」
「あ、じゃないんだよ!!元凶にノコノコとベルくんを渡せるわけないだろ!?」
ティオナ達からベルを奪うように抱きかかえながら、ヘスティアはそう言い渡す。
流石、悠久を司る家庭の女神。
子どもの扱いは慣れたものだ。
まあ、それも当然だろう。
家庭には当然子どもも含まれているし、ヘスティアは更に孤児の保護者にして守護神でもあるのだから。
ありとあらゆる子どもが、彼女の司る事物の庇護下にあるようなものだ。
子どもは彼女の象徴とも言えるものの一つなのだろう。
「神ヘルメス。彼が子どもになったというインパクトが強すぎで忘れそうになるが、そもそも彼に影響を及ぼせる薬って何なんだい?普通有り得ないだろう?ただでさえ第一級冒険者は『耐異常』のアビリティが高いのに、ベル・クラネルはレベル7だよ?」
「そうだよ!!しかも、ベルくんは
現に、ベルはアンタレスの呪毒すらも超克している。
今更そんじょそこらの毒などでは眠気覚ましにもならないはずだ。
「あ~、多分彼の身体が薬を脅威って認識しなかっただけだと思うぞ?あと、健康被害もないはずだ。手に入れた時アスフィが間違って飲んだんだが、特に影響なかったし」
「【
「君たちだって、酒を飲みすぎれば悪酔いするし、吐いたり頭痛を起こしたりするだろ?それとおんなじさ。何を薬とし、何を毒とするのか。それは本人が無意識かつ本能的に決めてるんじゃないのかな?」
「ただでさえ害と判断されにくい薬を、ティオナたちが盛ったから余計に害だと認識しなくなったのか…………で?彼の記憶に関しては?前世関係のものも抜け落ちているようだけど?」
「それに関しては不明。アスフィに前世の記憶なんてないし。まあ推測を述べるなら、身体に引っ張られて精神が退行してるんだと思うぜ?脳が未発達なせいで、考えることも思い出すこともままならないだろうしね」
「なるほどのう。ハァ、まったく…………面倒なことをしよってからに…………」
三首領が揃って頭を抱える。
元凶の全てが前世からの腐れ縁かつ自派閥の幹部だと言うから余計タチが悪い。
逃げることなど出来ないし、このまま放置など以ての外。
そんなことをしてみろ。
アルフィアに殺されるぞ。
「神ヘルメス。この薬の持続時間は?」
「大体一日ってところかな?前例がアスフィしかないから明言は出来ないけど」
「オッケー。なら、ベル・クラネルは一日僕達が預かろう。神ヘスティアは、本拠に戻ったら上手いこと言い訳してなんとか誤魔化してくれ」
「よしっ!!」
「誰か!!誰か画家の手配を!!このベルの姿を絵にして残します!!」
「一緒に入るからあとお風呂の準備も!!」
「「お前たちはいい加減にしろ!!」」
三人揃って、ティオネとリヴェリアに拳骨を喰らう。
拳骨ですんで、まだマシなくらいだろう。
とにかく、ベルはこうして一旦ロキ・ファミリアで引き取られることに…………。
だが、そう簡単にいくほど事は簡単じゃない。
「いやいやいや!ダメだって!!」
「アイズたちを信用できないのは分かるけど、僕やガレスも目を光らせてるし─────」
「それもあるけどそうじゃないって!!ヘラやアルフィアくんが気づかないわけないだろ!?」
すべてを穏便に済ませたいのはロキ・ファミリアもヘスティアも同じ。
だが、ヘスティアがあまり嘘を得意としていないこともあるが、それを抜きにしてもあの二人を騙し抜ける存在がどれだけいるか。
一瞬で違和感を覚えられ、次の瞬間詰問され、もう一瞬もあれば即座にロキ・ファミリアに殴り込みに行くだろう。
「分かってる。だから、協力者を増やそう」
とは言え、フィンもそれは折り込み済み。
こういう時は、巻き込む対象を増やせばいいと相場は決まっているのだ。
「ざっけんなよ!!俺を巻き込むんじゃねえ!!」
「び、びえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
「ああ!急に大きい声出してビックリしたな、ごめんなベル~!ベルに怒ったんじゃないんだぞ~」
「保父さん姿が板についてるじゃないか、ザルド」
「ふざけんなよ、クソガキ。俺を巻き込みやがって」
「百歩譲ってその男だけならともかく」
「俺達も巻き込むなよ」
「お前さんたちこそ巻き込むじゃろ。半分当事者みたいなもんじゃし」
「昔馴染だからって何でもかんでも巻き込まないでください」
そうしてフィンが召喚したのは、ザルド、ベート、ヴェルフ、リューの四人。
味方を増やして誤魔化そうぜ!という作戦だ。
「まあまあ、いいじゃないか。ザルド、君だって昔を思い出せてちょっとは嬉しかったりするだろ?」
「こんなに小さい頃は知らねえよ。俺達がベルト暮らし始めたのはもう少しデカくなった頃だ」
「あれ?そうなのかい?」
「え!?てことは、今のベルの姿はアルフィアさんも知らない!?」
「よっしゃ!勝った!」
「君たち、本当にアルフィアに殺されるぞ」
フザケまくる三人。
いや、フザケているわけではないのだろうが、危機感がない。
まあ、そんなものがあれば最初から怪しい薬をベルに飲ませるなどというトチ狂った行動には映らなかっただろうが。
…………いや、冷静に考えて本当に何でやったんだ?
いくらアスフィの前例があるおかげで安全性が保証されているとは言え、何でそんなものを手に入れて飲ませた?
「まあ、それはともかくとして。とにかく、君たちには事の隠蔽を協力してもらいたい」
「正直、関わりたくない」
「だろうね。でも、知ったからには逃げられないよ?」
「あぁ…………クッソが!」
「まあ、小さい頃のベルを見れるのは役得と言えなくないですけど…………」
「報酬と危険度が釣り合ってるかと言われると、微妙だな」
「でも、流石にあのバカ三人は放置できねえだろ」
「それは分かってるが……」
ベルの頬を触ったりしてその姿を堪能しながら、三人は話す。
昔馴染としての情や、この事態が周囲に影響を及ぼす可能性も踏まえて、協力したいという思いがないわけではない。
ベルが心配だという思いもあるのだから。
だが、それはそれとして。
どうせアルフィアがいる以上、ベルは無事だと分かりきっているし。
この馬鹿三人はそろそろ本格的に痛い目に会ったほうがいいだろうし。
ぶっちゃけ、今フィン達に協力する理由がそこまであるわけではないのだから。
あと、なぜだかすごく嫌な予感がする。
「頼むよ!」
「頼むと言われましてもねぇ……」
「ホンマに頼むって、ベート!!ほら、古巣のピンチやで!?」
「そのバカ三人を止めきれなかった自業自得だろう……」
「後生の頼みじゃ!」
「その後生が短くなりそうなんだが……」
「ぶっちゃけ、少しでも道連れを増やしたい!」
「本性表したな、この間抜け!」
言い争いが醜い。
というか、本当に嫌な予感がする。
なぜか背中に流れる悪寒が止まらない。
なんだ?
重大な何かを見逃しているような気がする。
「とにかく!あのヤバい女が来れば事態は更に悪化する!主に僕達の命が危ない!」
「とうとう取り繕いもしなくなったな」
「具体的にはどうするつもりなんだ?」
「単純だ。君たち男連中でベル・クラネルを連れて飲みに行くと言い、戻らなければいい。【疾風】と神ヘスティアはそれのサポート!よし、完璧な作戦だ!!」
「どこが完璧なんだか……」
「普通ならそれで上手くいくだろうが、あいつ相手だと些細なことでバレかねんぞ」
「そうですよね…………私たちがここに来る時も、若干訝しんで…………」
「「「「あっ」」」」
その時、気づいた。
ずっとしていた嫌な予感の正体に。
背中に流れ続けている悪寒の正体に。
「ほう?誰がヤバい女だと?」
声がする。
地獄の底から響くような、とてもとても低い声が。
油の切れたブリキのようなぎこちないゆっくりとした動きで、全員がその声がした方を振り返る。
この世全ての理不尽が、そこにはいた。
さて、今回のオチ。
当然アイズ、ティオナ、レフィーヤの三人は地面に埋まり頭を冷やす結果になった。
ヘルメスはヘラにお任せ。
一週間は陽の光を拝むことはできないだろう。
フィンやリヴェリア、ガレス、ティオネ。
ついでにフィンに呼び出された四人も拳骨一発ですんだ。
経緯はどうあれ、幼いベルを見れて機嫌が良かったのが幸いだった。
その後はお察しの通り。
幼いベルはアルフィアとヘラに徹底的に甘やかされ、一緒にお風呂に入ったり寝たりした。
それを止められる者など、どこにもいやしない。
翌日の同じ時間帯に、ベルは元の姿に戻ったが小さくなっていた頃の記憶はなかった。
まあ、そんなこんなでこの事件は収束した。
アイズ達?
ベルと一緒に過ごせなくて、土の中で血の涙を流していたよ。
あとがき
はい、久々にこっちを書いてみましたが、番外編です。
冒頭のセリフだけ思いついて、ノリと勢いで書きました。
これに関しては終わりすらもまともに決めずに始めたせいで、すんごいぐだぐだな気がします。
ぐだぐだ?
そうそう、ぐだぐだと言えば、『ぐだぐだイベント』!
始まりますねぇ、ぐだぐだイベント。
新選組ジ・エンド以降初、新選組ってまた登場するんですかね。
今までは本能寺だったり明治維新だったり、帝都で聖杯戦争したり。
本物の信長出てきたり、ノッブの頭が消えたり、ぶっちぎりで茶の湯バトルしたり。
超五稜郭で殺しのサインはM51だったりと。
去年のを除いても濃いですよね。
ま、始めた時期のせいで、五稜郭以前は復刻イベントでしか体験してないんですが。
イベントストーリーだけでもいいから、全部インタールードに入れてほしいですよね。
まあ、ともかく。
一億DL記念も近いし、イベント主題歌も楽しみですし。
社会人になって増えた財力で楽しみたいと思います。
以上、あとがきでした。