【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
次はゼーリエ様にしようかな?
とある日のお昼過ぎ───。
元・七崩賢のアウラはグラナト伯爵の嫡男と結婚式を華やかに挙げた。そして、その話題は当然のごとくクラフトにもヒンメルにも届いており、彼女の結婚を祝福する手紙を送っていた。
「うげっ。マハトとのもある」
城塞都市ヴァイゼ。
別名・黄金郷の拠り所、そのヴァイゼにて百年以上も都市の守護神を務めているマハトの手紙をアウラは睨み付ける。おそらく最古の魔族のひとりであり、ソリテールと一緒に共生派のトップをしている男だ。
「アウラ様。おはようございます」
「ドラート。ちゃんと扉を使いなさい」
いきなり窓を開けて入ってきたゴリゴリマッチョな少年の魔族を叱りつつ、アウラはどうやって返事を書こうかと悩む。
そもそもアウラはマハトとそれほど仲良しというわけではない。むしろ喋ったこともないけれど、同じように彼は七崩賢の大魔族に名前を連ねていた。
「ところで。用件は何かしら?」
「勇者ヒンメルの目撃情報をお伝えに」
「あー、なるほど」
こっちもこっちで大変だ。
確かにヒンメルは年老いて、もうとっくに老人だろう。しかし、ソリテールの言っていた「ホトケビーム」なるもののせいで若返っているかもしれない。まあ、それはそれでいいのだろうか。
「ドラート。リュグナーと一緒にヒンメルのことを案内してあげて」
「はっ」
ようやく新参だったドラートもアウラの部下として馴染んできた。そりゃあ筋肉に目覚めたおかげで、リュグナーと一緒に我が筋肉に魔法は不要と切り捨てるなんて騒動もあったけれど。
それは、まあ、あとでいい。
「ソリテールはどうしてるのかしら」
ぽつりと言葉がこぼれた。
ソリテール。最も女神に近い、あるいは女神の生まれ変わりと噂される慈悲深い魔族の女性だ。おそらくリーニエを除けば最もアウラの親しい友人だ。
当然アウラも結婚する事は伝えた。
しかし、彼女の結婚式に来ることはなかった。どうせ、あのくだらない魔法の研鑽をしているのだろうと彼女は考える。
「リーニエ。出掛けるわよ」
「おでかけ…!」
そう言うとアウラは浮遊する魔法を使い、そのままグラナト伯爵領の外まで飛んでいく。リーニエも彼女の真横をうきうきしながら飛ぶ。
ふたりで久しぶりのお出掛けだ。
「どこまで行くの?」
「ふふっ。ちょっとした里帰りよ」
かつてリーニエとクラフト、ソリテールと暮らしていた。あの山小屋に帰るだけだ。たった八十年ほど離れていただけなのに。なんだか、とっても懐かしく感じるのが不思議で不思議で仕方ない。
〈アウラ〉
天秤の花嫁
人間としての幸せを手に入れた。魔族としての幸せを手に入れた。どこまでも大切で、くだらなくて愛しい宝物を得た。