ちょっと鬱いよ、藤丸くん   作:七黒八白

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前回のあらすじ!

「宇宙、ゴキブリ、殺し方……っと」カチャカチャ、タッーン!



オカンは敬え、そして労え

 

 

 

 最初、彼に呼び出され会った時、その()に懐かしさを思い出した。

 

 幼い頃の住んでいた武家屋敷の自宅、満月を眺めながら隣には()()()()がいた。

 

 ────その眼は、人間性が荒んでいた、倫理観が曇りきっていた、生きる気力が霞んでいた。

 

 じいさんの────衛宮切嗣の生涯を考えれば仕方のない事だろう。当時の()()はそんな事は全く察する事も出来ず、二言返事で正義の味方になる事を引き継いだ。

 

 その後のオレが────衛宮士郎がどうなったか、それは別に今語る事では無いだろう。

 

 問題は────────

 

『やぁ、久しぶり…………って、程じゃないか。いや、記憶に連続性とか無いんだっけ? 英霊って?』

 

 ────────私の眼前にいる少年は、とても懐かしい()をしていたのだ。

 

 その眼は、人間性が荒んでいた、倫理観が曇りきっていた、生きる気力が霞んでいた────大凡、少年がする眼では無かった。

 

『………………サーヴァント、アーチャー。君が私のマスターか? 酷い顔だが…………』

『いきなりな挨拶だね。まぁ確かに、通りすがりの一般人Aとしか言えない顔だと自分でも思うけど────────間違っても世界を救う勇者とかじゃない』

『────────マスター、この英霊との契約は辞めましょう。リソースは無駄になりますがリスクを抱える理由にはなりません』

『マシュ、ちょっと落ち着こうか。別にアーチャーさんは悪気があったわけじゃないよ』

 

 恐らく、彼の英霊なのだろう大きな盾を持った同年代位の少女が厳しい目つきで酷評してくる。しかし、年頃の女の子がへそ出しの鎧ってどうなんだ、いや英霊なら見た目通りの年齢とは限らないが。

 

『………………成程、事情は分かった。世界の現状、カルデアの目的、そして────────君が分不相応過ぎる役目と責任を負わされたという事は』

 

 ────────正気の沙汰では無い。それが私の、抑止の守護者としての忌憚の無い意見だった。彼が────藤丸立香に任された任務は超一流の魔術師でも荷が重すぎる。しかも彼は今まで魔術とは無縁の一般人であり、人を殺したりする非日常とは程遠い生活を送ってきたのだろう。百歩譲って、才能や戦いといった面は私のような英霊が補えばいいだろう、しかし()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 人理の修復、その行い自体は胸を張れる偉業だ。だが果たして、その道中で踏み潰さないといけない命、見殺しにしないといけない命が出た時、彼はどうするのか。 

 

『まぁーそんな事言ってもしょうがないでしょ? 儘ならない事が人生だし、いやー良かれと思って、あとお菓子欲しさに献血したら謎の組織拉致られるって、一周回ってギャグだよね~(笑)』

『藤丸くーん、その辺りにしておきなよ。ロマニが血を吐きそうな顔しているから』

 

 ホログラムなのか、宙からどことなくモナリザを思わせる顔の女性が脱線しかけた話を戻す。霞むようなハイライトが無い、青空を思わせる瞳の少年はその責任の重さを理解していないのか────────或いは、理解した上でその気負う事のない立ち振る舞いなのか、既にその責任の重さに潰されてまともでは無い精神構造になってしまったのか。

 

『そんなこんなでよろしくね、アーチャーさん? 長くなるか短い付き合いかは分からないけど』

『…………ふむ、私としてもやり甲斐のありそうな役割で不満は無い。今度ともよろしく頼むよ』

 

 ────────やはり彼は魔術師では無い、令呪が宿っている()()で握手をしながらそう思った。だからこそやり甲斐があるとも思うが…………。

 

 

 

 そこから先は怒涛の連続だった、英霊すら手に余る特異点に跋扈する幻想種は序の口。

 

 魔女となった聖女、神祖ロムルスとの対峙、ヘラクレスとの命懸けの鬼ごっこ、魔術王との会合………………微小特異点も含めればキリが無い程だ。

 

 

 

 ────────抑止の守護者として断言出来る。

 

 

 

 (あまね)く並行世界全て含めて、藤丸立香以上に英霊と契約し、聖杯に関わる戦いをしたマスターは居ない────────下手をすれば、今後(未来)を含めて。

 

(恐ろしい事実だ…………もしも彼が英霊になれば、人理修復による功績から対英霊のスキルや宝具が生えても可笑しくない程だ…………まぁ、彼はただの一般人。杞憂というものか)

「どしたん? オカン。難しい顔して? 話し聞こか?」

「マスター。何度も何度も言っているが、私はオカンでは無い。また頼光さんに泣かれるぞ? 

 あとマスター東京出身なのに何故無駄に関西弁が上手いのだ?」

「ダイジョブダイジョブ、上手い具合に甘えて庇護欲満たして宥めるから、バブ味を感じてオギャっておくから」

「私は君の将来が不安で仕方ないよ」

 

 ────────止めておけ、その先は地獄だぞ? マスター

 

 藤丸立香こと、マスターは英霊との付き合い方が異様に巧い。一部例外もいるが、善悪関係無く普遍的に付き合える彼のコミュニケーションはある種の才能と言ってもいいだろう…………特に、女性の英霊陣との付き合い方は凄まじい、初見殺しもかくやという気難しい英霊とパーフェクトコミュニケーションをしている。

 

「あ、そうそう! エミ────オカンってさ、割と近代の英霊だよね? あとで黒ひげとかおっきーとかとバトロワゲームすんだけど一緒にどう?」

「いや、私は遠慮しておこう。ゲームはそこまで上手い訳じゃないし、私がいたらゲームは一日一時間を遵守して貰わなくてはならない。

 ────────あと何故言い直した? 間違えてなかったぞ?」

「それでもッッッ!!! 

 この思いはッッッ!!! 

 間違いなんかじゃないんだから!!!」

「間違ってるんだよ、マスター。色々と」

 

 ────────主にテンションとか、場面とか。

 

 ひどい話だ、偶然なんだろうが嫌な顔が一瞬ダブった…………偶然だよな? 流石に? 前々から思っていたが、何となくマスターの顔が生前の知り合いが性転換した様な感じだからそう感じるだけなのだろう、そうに違いない。

 

「まぁ今は特異点は無いし、君もトレーニングばかりじゃ気が滅入るだろう。羽を伸ばす事も重要だ、あとで何か摘める物を持っていこう…………何人くらいいるんだ?」

「えっとねー黒ひげでしょ? あとおっきーとガネーシャと巴さんと…………

 

 

 

 

 アルトリアに槍ニキに英雄王にメドゥーサさんにメディアさんにカーマにジャガーにヘラクレスに言峰神父にイリヤに────────」

 

「────────待て、待ってくれ、マスター、頼むから待って欲しい」

 

 ────────なんでさ。

 

 

 

 

 





主人公は躁鬱気質なので情緒不安定。
シリアスに振る舞う事もあるしギャグっぽく振る舞う事もある。

Q.あのメンバーどうやって誘った?
A.知らん(鼻ホジー)
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