倉持技研2番研究所所長スネイルです   作:蓮太郎

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なんかもう色々と懐かしい気持ちが出たので投稿です。夢ですよこれは。


35.作戦会議と強化人間

 

「アーキバス取締役代表スネイルです。これよりアイスワーム合同討伐作戦内容を伝達します」

 

「私が立案した作戦行動に臨めることを光栄に思いなさい」

 

「現在、ロシアで暴走し続けているアイスワーム、全長が1kmを超える巨体により土地や施設が破壊されています」

 

「我が社が誇るヴェスパー部隊のうち、ヴェスパーⅣが偵察に向かい戦闘が発生しました」

 

「その結果、アイスワームは二重のバリアに守られていることが発覚、一枚目はなんとか突破できましたが、二枚目を突破できず、さらに一枚目のシールドが再生したことによりヴェスパーⅣは一時撤退、新たな作戦行動へ移行しました」

 

「まず、ヴェスパーⅣが持ち込んだ情報からアイスワームの一枚目であるシールドの破壊方法は我が社で用意します」

 

「スタンニードルランチャー、これをヴェスパー部隊が乗るACの一人に装備し、アイスワームの頭部に打ち込むことにより一枚のシールドを破壊します」

 

「そして二枚目のシールドについてはデュノア社と共同(・・)で開発したIS『エクスカリバー』による狙撃により突破可能ということが判明したため急遽整備を行なっています」

 

「『エクスカリバー』の所在については現時点で明かすことはできません」

 

「この作戦では各国の専用機を保有するIS搭乗者及び我が社アーキバスからヴェスパー部隊を派遣します」

 

「そして、現場監督として私も出ます」

 

「もちろん、アイスワームによるコーラル汚染の対処も必要、となると私のバルテウスが必要になります」

 

「とはいえアイスワームに対しては別の機体で対処します」

 

「アイスワームは子機を展開するため、IS搭乗者はそれらの子機がACの邪魔にならないよう排除することが仕事です」

 

「まず第一に、あの巨体にISで挑もうなど考えようとしないように」

 

「作戦は以上です。実行は2日後、決して遅れないように」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、陰気な研究所に呼び出して何の用だ」

 

「何で俺まで…………」

 

 倉持技研2番研究所、AC開発が最も盛んであるアーキバス買収済みの施設の地下に彼と姉弟が居た。

 

 私はスネイル・秋葉、企業です。

 

 それに伴いエレベーターに一緒に乗っているのは世界最強織斑千冬と世界初男性IS搭乗者織斑一夏。

 

「貴方方に見せたいものがあります。そして織斑千冬、貴女の責任を果たす時です」

 

「……………………」

 

「何を言ってるんだ…………?」

 

 ひたすら困惑する一夏ですが、千冬は何か心当たりがあるようで。

 

「ここの地下にはACの開発だけでなく、人体の拡張を元に欠損部位の補填を目的とした機器の開発も行っています。そして、今から向かうのはその開発ブロックです」

 

 エレベーターの到着音と共に扉が開く。

 

 薬品と金属の匂いがほのかに香る場所に私と織斑姉弟は進んでいく。

 

 カードキーを必要とする扉を何枚もくぐり、そして一つの『病室』へとたどり着く。

 

 そこに居るのは…………

 

「なんだ、あれ?」

 

「人、なのか?」

 

「ええ、人です。ただし、生きる機能と一部以外を損失していますが」

 

 ガラス越しの面会室、ベッド上に横たわるのは全身を特殊な半透明のシートで巻かれた何者か。

 

 そのいたる所から点滴の管を差し込まれ、なんなら機械と繋がれたコードまで刺さっている。

 

「おい、これって人体実験ってやつじゃないのか!?」

 

「そうです、ただし相手からの同意は得ていませんが」

 

 自分で言っておいて何ですが、ただの外道の発言でしかありませんね。

 

 織斑一夏の咎める叫びに私は動じることは無い。

 

 一応善行でもあるからです。

 

「何故なら、これ(・・)は貴方が京都で戦ったISC兵器搭乗者、亡国機業ではエムというコードネームを与えられていた女だからです」

 

「…………!?」

 

 私を睨みつける視線は驚愕に変わり、再び病室で変わり果てたエムへと向けられる。

 

 彼は直接戦っていたからこそ、当時の彼女の容姿を知っていたはず。

 

 全身をコーラルの炎で焼かれ、辛うじて顔で判別できる程度にしか皮膚は残っていませんでした。

 

 ただし、私が搭乗したアーキバスバルテウスとの戦闘で使い捨てられるほど損傷してしまった。

 

 そこを運よく確保できたのです。そして、我が社が誇る技術にて命を取り留めてはいたのですが。

 

「既に瀕死かつ意識のない彼女の命を繋ぎとめるために、許可なく生存に必要な臓器の機械化を施しました。しかし、更なる人体改造及びコーラルによって重篤な脳障害を引き起こし、必要な場面以外で覚醒はしません」

 

「…………その必要な場面とはなんだ」

 

「戦闘です」

 

 私は織斑千冬と向き合い、そして未だに説明をされてないであろう織斑一夏にも向けて言う。

 

「織斑千冬、いえ、織斑計画(プロジェクト・モザイカ)の最高傑作である強化人間1000番。貴女の妹であり廃番となった強化人間、個体名を織斑マドカ。目を向ける時です」

 

「……………………」

 

「きょうか、にんげん?何言ってんだよ、千冬姉が作られた物みたいに!」

 

「ええ、造られたものです。彼女も、そして貴方も」

 

 分かりきっていましたが、驚愕と懐疑を姉に向けていますね。

 

 しかし、姉の織斑千冬は私を鋭い目で見てきますね。なんなら今にも掴みかかってきそうです。

 

 言いたいことは分かります、なぜ今明かすのかですね。

 

「今、世界の敵は『技研』と呼ばれる組織です。その組織は遥か昔から暗躍する組織であり、貴方達の出生にも深くかかわっていることが判明しています。そうでなければ強化人間にコーラルを用いた適切な手術を行えません」

 

 彼らの異なる視線を受けながら私は再び病室へと顔を向ける。

 

「亡国機業、そして深くかかわっていた『技研』が残した遺物は未だに貴方達と深くかかわっている。産んでおきながら捨てるような科学者の端くれにも満たぬ者ども、しかし積み重ねてきた才能だけは一級でした」

 

 心電図の音が部屋の外まで聞こえますね、それほど静かな空間となっています。

 

 織斑一夏にとっては衝撃の事実でしょうが、それもこれも織斑千冬が真実を話すことを引き延ばしにしたからです。

 

 例え知りたくなくとも、近々二人の元に『技研』から何らかの接触があるでしょう。

 

 その時に事情を知っているか知らないかで出来る行動も変わって来るでしょう。

 

 …………少なくとも弟の方は悪い方にいかないことを祈っておきましょう。

 

織斑計画(プロジェクト・モザイカ)は貴女という成功作を量産するかと思われていましたが、とある天才が現れたで中止となった。心当たりはありますね?」

 

「束のことか」

 

「そうです、彼女が表舞台に立った結果、貴方達姉弟の育て親であった者が上の指示により姿を消した。炊きつけるような言い方ですが、全ての因縁に『技研』が関わっているのです」

 

 私は必ず『技研』を断つ。

 

 宙へ向かう足を掴み落とす手を、そこに居るだけで害をまき散らす公害を無視することはできない。

 

 全く、どこまでも私を苛立たせるのが上手い奴らだ…………

 

「知っていてなお黙り込む。そのせいで貴女だけでなく周囲の人間にまで迷惑をかけている罪を自覚しなさい。貴女が話せば織斑計画(プロジェクト・モザイカ)も、『技研』も、篠ノ之束博士も全て解決していた可能性があった」

 

「……………………」

 

「その黙秘は自覚があったという認識でなにより。そもそも弟相手に基本的コミュニケーションが暴力に傾きがちなのは矯正した方が良いでしょう」

 

「よ、余計なお世話だ」

 

 何を今更と言いたいですが、ここでたらればの話をしても時間の無駄です。

 

 ですが、これでこの2人にも危機感は植え付けることが出来たでしょう。

 

「『技研』が織斑マドカを実験体にしたということは、彼女の遺伝子データを抜かれて量産されている可能性があります。それらが貴方達の前に立つ、理解できましたか?」

 

 たらればの話、可能性の話、無いと言えばないかもしれないが倫理を取り除いた外道共の巣窟が質が悪くとも量産できる兵士を量産されるのは痛い話だ。

 

 それに対抗できるとなれば、熟練の兵士、もしくはその同型でしょう。

 

 織斑千冬はまだマシでしょう、しかし織斑一夏は絶対に不可能であると断言できます。

 

 夏にあった成功させなければならない作戦時に、密漁者をかばい撃墜されるほど甘すぎる。

 

 だからこそ、使える者は何でも使う。

 

「私も慈善事業でこのようなことをやっていません。彼女には彼女らしく、出来る仕事をしてもらいます」

 

 二人は気づいているのでしょうか、非検体の眠るベッドの先にあるものを。

 

「……………………何を、させる気なんだよ」

 

「無論、決まっているでしょう」

 

 私も、彼女(・・)も行く先はロシアです。

 

 スタンニードルランチャーを背負うのは私でも良かったのですが、いや、むしろしたいくらいでしたが周囲の猛反対により彼女(・・)が背負うことになりました。

 

「起きなさい、V.Ⅱ(・・)。仕事の時間です」

 

 彼女に接続されている機器のコードはとあるACの頭部ユニットに繋がっている。

 

 私の声に反応するように、V.Ⅱの『眼』は紅く光る。

 

 始めましょう、私たちの仕事を。

 





Q.放置されたエムはどこに行った?

A.尋問する以前に重症すぎて生きてもらうために強化人間(自社製)として地下で保管されていました。

ずっと温めてたんですけど、本当ならV.Ⅱを名乗りたくても既に企業の立ち位置になってるので特殊部隊には入れず、かといって既存メンバーの順番を変えたくなかった閣下が都合のいいメンバーが出来たのでこの措置になりました。

だって元から強化人間だから学習すればACくらい乗れるもんね!

やったね閣下!仲間が増えたよ!
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