アリウス分校
かつてトリニティに存在したアリウス派と呼ばれる派閥がトリニティから追放される際、逃げ出した先にあった学校
しかしアリウス自治区内では長い間内戦が続いており、学校としての役割はゼロに等しかった
そして内戦終結後は運営が再開されたのだが、学校としてではなく訓練場として
内戦を終結させたベアトリーチェの目的のために
そして、その過程で一人の生徒を始末した
理由は明快、自身が掲げる野望を邪魔する存在だと判断したため
そしてその生徒は、ヘイローが破壊され死亡が確認され、死体は燃やされた
…確認された、筈だったのだ
その生徒は、ミレニアム出身であった
そして、ミレニアムに所属する生徒からの呼び名は、『天才』や『神の才能を持つ生徒』
ベアトリーチェが狙ったのは、彼女が開発したミサイルや飛行船の技術
自身が求める物はまさにこれだと確信したベアトリーチェは、アリウス生徒を使って彼女を拉致、彼女に自身が持つ技術をすべて引き渡したうえ、それらを実現するよう強要
したが彼女はそれを拒否、更にベアトリーチェにありとあらゆる罵詈雑言を浴びせる
それに激怒したベアトリーチェは拷問を繰り返した
アリウススクワッドだけはそれらを拒否、しかし自分の仲間たちを人質に出された為、躊躇いながらも参加
それらを察知した彼女は、あえて煽ることで自分の拷問を過激化した
やがて、なかなか口を割らない事に業を煮やしたベアトリーチェは、より拷問を過激化
それによって、彼女のヘイローが耐え切れず破壊、彼女は命を落とした
その後の対応は前述の通り
その後、腹いせに彼女の遺品をミレニアムに送り付けたベアトリーチェ
とある人物により、それらは彼女の物だということが確認された
その遺品を破損具合、そしてついていた血量から、彼女は死亡だと結論付けられた
彼女は多少性格に難があったものの、ミレニアムの生徒達からは概ね好意的だった
その為、彼女の死にミレニアムは悲しみに包まれ、一部は過激化して彼女を殺した犯人を探し出して報いを受けさせるとまで息巻いていたが、ミレニアムの生徒会長やセミナー、そして『マイスター』と呼ばれていた生徒たちが説得したため、動きは収まり、ミレニアムは悲しみを残しながらも、いつも通りの毎日を送り始めた
…その『マイスター』の中の一人が、誰よりも悲しんでいたのは、大多数の生徒が理解していたのだから
そして時は過ぎ
ゲヘナとトリニティが結ぼうとしたエデン条約を狙って仕掛けた作戦は失敗
しかしベアトリーチェはあくまでも、自分自身がより崇高な高みを目指すために仕掛けたことであり、成功するなど端から思っていなかった
彼女の目的はアツコ、彼女の中に眠る神秘を自分のものにするために仕掛けた陽動
初めからこの作戦は、アツコの神秘をより高まったものにするためと、自身が所属する『ゲマトリア』に属するマエストロの『作品』にお披露目の場を与える事だった
そしてアツコの身柄を回収し、いざ儀式を開始しようとしたときに、『先生』とアリウススクワッドが突入
イレギュラーな事態に対し、ベアトリーチェは怪物に変身し応戦
ある程度交戦したのち、儀式を早めようとアツコの神秘を回収しようとした、その時だった
「っ!?」
何処からともなく銃弾が飛んできたかと思うと、ベアトリーチェを吹き飛ばす
怪物の姿になっている自身を吹き飛ばせるとはいかなる威力か
いや、それ以前に自身の儀式を邪魔してくれたことへの怒り
『先生』でもない、アリウススクワッドでもない第三者
怒りを覚えながらも視線を向けるベアトリーチェだったが、次の瞬間には驚愕に変わった
そして、それはアリウススクワッドも例外ではなかった
何せ、心を殺して彼女を始末したのは彼女たちだったのだから
「随分楽しそうじゃないかベアトリーチェェ!天才であるこの私を差し置いてぇ!」
数年前に始末したはずの生徒…檀クロトは、首を鳴らしながらそう言った
「相変わらず数年前から気持ち悪い見た目は変わっとらんなぁ、ベアトリーチェェ…」
「馬鹿な…貴女は確かに死んだはず!」
狼狽えながらベアトリーチェがそう言う
まぁ無理もないであろう、念には念を入れて殺害計画を実行し、それでも念を入れて死体は燃やした
確実に生きているわけがないのだ
ベアトリーチェのその言葉に対し、二マリと笑って懐から何かを取り出すクロト
その手には、ガシャットが握られている
「この暇つぶしに作ったガシャット、こいつにはある特別な機能が搭載されていてね、その名も『コンティニュー機能』」
「こ、コンティニュー?」
「そうだぁ、これがある限りぃ、例え死んだとしてもぉ、私は蘇れるのだぁぁぁ!!」
フハハハハハハハハハハ!と甲高い笑い声をあげるクロト
笑い過ぎて過呼吸になるのではないのかと心配にすらなる
そしてベアトリーチェであるが、明らかに動揺していた
殺したはずなのに生きている絡繰りは分かったが、理解が出来ていない
死んでも蘇れる?何だその出鱈目にもほどがある機能は
そして、彼女が自分の邪魔をするのは明らか
ならば排除するのみである、一度死んでも蘇るのならば、時間稼ぎをしつつ、儀式を進めて神秘を取り込んだ後に、全員を始末する
そう考え、儀式を大急ぎで進めようとアツコの方へ視線を向けるベアトリーチェ
が、そこにアツコの姿はなかった
「悪趣味だなぁベアトリーチェェ…センス最悪とは知っていたがこれほどまでとは思わなかったぞぉ」
そういうクロトに視線を向ければ、その腕の中にはアツコが抱きかかえられていた
一体いつの間にあの蔦を引きちぎって助けたのか
そんなことを考えられているとは露知らず、クロトはアツコを抱きかかえたままサオリ達の元へと向かう
「おぉサオリ、久しぶりだなぁ、取り敢えずアツコを持っててくれ」
「本当に…クロトなのか…?」
自分たちが殺してしまった相手が生きているという事実など、サオリ達には理解できない内容で頭がパンクしかけていたが、そんなサオリを余所にアツコをサオリに預けるクロト
そっくりさんなのではないかと疑うのも無理はないであろう
「それとサオリ、今の私は壇クロトではない」
「え…?」
「檀クロトという名はもう捨てた、今の私は…」
「新檀クロトだぁ!!フハハハハハハハハハ!!」
背中をのけぞらせながらそう言うクロト…新檀クロト
そしてサオリは、数年前の最期から何も変わっていないことに本人だと確信した
そしてミサキは呆れからか頭を左右に振り、ヒヨリはあまりの驚きで放心していた
「私を無視とは言い度胸ですね…!」
新檀クロトが後ろを振り向けば、そこには怒り心頭のベアトリーチェ
儀式の生贄をいともたやすく奪われた挙句、自身を差し置いて茶番のような何かを展開していることは、彼女のプライドを大きく傷つけた
「あぁ忘れてたよ、ババァなんだからてっきり寿命でくたばったかと思ってたぞ」
「…散々コケにしてk『PAUSE』がはっ!?」
そう言って新檀クロトに攻撃しようとしたベアトリーチェだったが、何かが聞こえたと思った次の瞬間には吹き飛ばされ、壁に激突する
何が起きたかと思ったが、次の瞬間には新檀クロトが髪を掴んで強引に顔を上げさせていた
「あの巡航ミサイルも飛行船も元はと言えば私の発明品だ、それを勝手に使うことなど許さない…ベアトリーチェェ!新檀クロトの名の下に、貴様をキヴォトスから排除するぅ!」
「…舐めた真似を!」
「おっと」
ベアトリーチェが放った弾幕をすいすいと避けて距離を取る新檀クロト
そして自由になったベアトリーチェは立ち上がると、かつてないほどの怒りを抱いて睨み付ける
「儀式は後にしましょう…貴女を片付ける方が先決ですからね…!」
「フハハハハハ!やれるものならやってみるがいいさぁ!ベアトリーチェェ!!」
そうして新檀クロトは、ベアトリーチェに突貫した
…どうも、私、檀クロトだ
え?キャラが違いすぎやしないかって?
そりゃそうでしょ、あれは必死に取り繕ってるだけに過ぎない
昔、ミレニアムに入学したての頃苛めにあって、それらに耐えきれなくて
で、もうどうでも良くなって今のキャラになったら、苛めがなくなったから、今までこのキャラで通してきた、本当の私を知る人なんて一人しかいない
本当の私は物凄く臆病なんだ
自分の事を天才だなんて思っていない、というより私は平凡以下
このガシャットだって平凡以下は平凡以下なりに必死に頑張って勉強とかした結果、奇跡的に完成させたものだし
巡航ミサイルも飛行船も、キヴォトスの外の世界から伝わった写真を元に再現したものだから私の発明品じゃない
サオリさん達アリウススクワッドのメンバーの皆さんと知らない大人と戦っていたベアトリーチェに一撃を加えて、然る後に『PAUSE』を使ってアツコさんを奪還してサオリさん達に渡した後、今はベアトリーチェと戦ってるところだけど…正直なところ誰か助けてほしい
ベアトリーチェが放ってくる弾幕なんて、『PAUSE』を使いまくってなかったらもう既に二桁は死んでる
というか今更だけど…あれから何年経ったんだろう
あ、けど…まぁ心配されてないだろうしね、うん
多分私の事なんて忘れてるだろうし…うん
「余所見をしている暇があるのですか!?」
あ、やばい、考え過ぎてた
…仕方ない、一気に蹴りつけるか
「もうおしまいだベアトリーチェェ…!これでフイニッシュだぁ!!」
そう言って『PAUSE』を使ってベアトリーチェの懐に潜り込むと、体に銃口を押し当てる
『Exceed charge』
驚くベアトリーチェの見開いた顔に、若干ざまぁ見ろと思いながら、引き金を引いた
引き金を引くと同時に発射される銃弾、そして自身の体を貫いていく銃弾によって断末魔の金切り声を上げるベアトリーチェ
痛いだろうなぁ、実際自分で試したからよく分かる
でもまぁ私を殺したんだしそれくらい良いよね
「ぐぅぅっ!このぉぉぉぉぉぉ!!」
いきなり叫んだかと思ったら、ベアトリーチェの触手に両腕を掴まれる
それと同時に意識を失ったのか、ベアトリーチェが倒れ込む…私めがけて…ってやべ
最期に映ったのは、倒れ込んでくる怪物と化したベアトリーチェ
ドシャァァァァ!
「なっ…」
倒れ込んだベアトリーチェの下敷きになった新檀クロトを見て、絶句するアリウススクワッドと先生
そして倒れ込んだベアトリーチェの血とは別に、赤い血が流れてきた
先生は悔いた、目の前で生徒が一人で戦っていながら何もできずに、最期には下敷きになってしまったこと
大人でありながら、何も出来なかったことに
そしてアリウススクワッドも悔いた、自分達の問題を他人に任せきりだった挙げ句、謝罪すら出来なかった事に
…因みに、彼女らには新檀クロトが生きていたことの方が衝撃的だった為、あまり彼女の発言を聞いていない
その為…
「残りライフ…82ぃ…おのれベアトリーチェ、私の貴重なライフをよくもぉ!!」
そう言いながら彼女がベアトリーチェを踏んづけていたのを見て、これは夢のなのではないかと本気で疑った
『PAUSE』使えば良かったなと本気で後悔してる
それはそうと、この死体どうしようかな…あれてかまだ生きてる?
気の所為かも知れないけど生きてたらどうしようかなぁ…
「安心してください、彼女は私達が引き取りましょう」
そんな言葉が聞こえたかと思うと、ベアトリーチェが消滅する
いや…転移させた?
言葉の主は何処かと探してみれば、そこには首のない何か…怖
というか持ってる絵が喋ってる…?
「少々故あって、このような形で貴下達に挨拶することとなりましたが……背を向けた状態での挨拶となるご無礼、どうかお許しくださいませ。わたくしにはこれ以外の方法がありませんもので……。」
「まあそういうこった!」
首のない方も喋るの?怖い怖い怖い
その後は、先生と呼ばれていた大人とこの首がない何かが会話していた…ゴルコンダっていうらしいけど首無しでいいんじゃないかな
「あぁ、それと…新檀クロト様でしたか?」
「ほうぅ、私の名前を知っているとは…素晴らしい心掛けだ」
「えぇ、何せ貴女は先生以上に敵に回したくはないので…どうです?その才能を我々ゲマトリアに『断わる』…でしょうね」
「そういうこった!」
嫌だよゲマトリアって多分こいつとかベアトリーチェみたいな気味悪い奴らしか居ないんでしょ
「ではこれにて失礼致します…新檀クロト様、我々は何時でもお待ちしておりますよ」
そう言って消えていくゴルコンダ
さて…これからどうしようかな
もう本当に行き先がないし…ミレニアムの生徒証ってまだ使えるのかな
取り敢えず…
「クロト…?」
「新檀クロトだ!」
説明からかな
数十分後…
「…というわけだぁ」
「成る程…理解が出来ないけど…うん…」
先生の言葉に全員が頷く
まぁそりゃ分かんないよね
「取り敢えずここから出るぞぉ、多分だがトリニティが突撃してくるからなぁ」
「クロトはど『新檀クロトだ!』…新檀クロトはどうするの?」
先生の言葉に考え込む
確かに行くところがないな…本当にどうしよう
「よかったらシャーレに来ない?」
「ではお言葉に甘えようぅ…そして仕事も手伝ってやろう!」
「え、いいの?」
「神の才能と呼ばれた頭脳を使ってやることを有難く思え!」
「う、うん…」
引いた様子で頷く先生と呆れたような顔をするサオリさん達
ごめんね先生、けど…素の私はもう出せないと思うんだ
怖いから
何がしたいんだろうね私は