同志よ集まれ
「着いたか」
全自動バイクに揺られること数時間、クロト神はアビドス高等学校前にいた
何故ここにいるのかというと、時系列は昨日に遡る
「…あぁん?」
何時ものようにPCを叩いているクロト神の端末が震える
誰だと思いながら画面を見てみれば、『先生』という文字
「どうした先生、この天才で!神である私に‼何か用かぁ?」
『あ、相変わらずだね…』
相も変わらないクロト神のテンションにドン引きしつつ、要件を話す先生
『実は今アビドスでカイザーが変なこと企んでるみたいで…クロト神の力を借りたいんだ』
「カイザーぁ?」
まだ残機が残っていたころに何度も潰しあった相手の名前が出てきて眉を顰めるクロト
正直まだ潰れていないのかと思っていた
「まぁ構わない、私も準備が出来次第アビドスに向かうとしよう」
『ありがとう』
「その騒動の詳細はデータで送れ、先生の端末のAIなら可能だろう?」
『う、うん…というより、意外だね』
「何がだ?」
キーボードを叩きつつ、先生の言葉に答えるクロト神
『正直、断ると思ってたから…クロト神ってアビドスにあまり関わりないし…』
「ま、確かに…ガシャットを渡そうにも警戒心が強かったからな、匿名でアビドスの利息の行方とかを提供してたぐらいか」
『え、あの情報クロト神だったの?』
思わぬところですでにかかわりが出来ていたことに驚く先生
そんな先生の様子など知らないように、キーボードを叩く
「とにかく私も行くとする、『ハイパームテキ』を忘れるなよ、先生」
『うん、じゃあ』
そう言って先生との通信が切れると同時に、アビドスで起きている騒動の情報が送られてくる
作業の傍らに流し見するクロト神
「…大分面倒なことになってるな」
カイザーだけではなく、アビドス以外の学園も関わっている
たった一つの列車砲にそこまでのそこまでの価値があるのか
「…妙だな」
軽く調べてみたところ、『雷帝』の遺産であり、確かにスペックは脅威なものではある
確かに『雷帝』は頭が大分イかれていたし、そんなものを開発していてもおかしくはない
しかし、そんな代物が動くとは思えなかった
何せほとんどが今のキヴォトスには存在しない技術ばかりで、整備はほぼ不可能
仮に動いたところで、数年間碌に整備されていなかったものが碌に稼働するのか
いくらカイザーが馬鹿とはいえ、そこまで理解できていないとは思えなかった
…まぁ、クロト神にとっては再現どころか完成させて稼働させることなど容易いことなのだが
「…なんかあるな」
恐らく、後ろで糸を引いている存在が
そう考えたクロト神
狙いはまだ読めないが、確率が高いのは小鳥遊ホシノ
『彼女の中にある「神秘」…私は実に興味深いのですよ』
まぁ、先生とは敵対したくないで諦めましたが、と零していた茶飲み仲間の言葉を思い出す
…流石に考えすぎかもしれないが
まぁそれを抜きにしても、アビドスに危機が迫っている以上暴走する可能性が一番高いのも事実
だからこそ
「これを完成させなければなぁ…」
ガシャットに繋がれたPCの画面には、一人の少女が映っていた
そして、時系列は再び現在へと巻き戻る
ウタハに書置きを残してミレニアムを出発し、アビドス高等学校へとたどり着いたクロト神だったが、人の気配を感じなかった
先生の話では、アビドス高等学校で今後の対策を話し合っていると聞いていたのだが
「…まぁ、好都合か」
何せ、これから行うことはだいぶグレーな範囲ではあるのだから
そう言ってアビドスの校舎へ入るクロト神
そのまま迷うことなく歩き続け、一つの部屋へ行きつく
その部屋には電子ロックがかかいたが、クロト神はハッキングして難なく開ける
「…これか、使ってたやつっていうのは?」
故人の写真の傍らに置いてあった銃を手に取る
軽く見るクロト神、どうやら誰かが手入れしていたようで使用することに関しては何の問題もない
「回収完了…さて急ぐか」
そう言ってその部屋を後にするクロト神
と、端末が鳴っていることに気づく
何かと思って端末を開いたクロト神だったが、眉をピクリと動かすと猛ダッシュでその場を離れた
そして、部屋に残された写真にはもう一人、小鳥遊ホシノが映っていた
「…分から、ない…他の、人に…この、苦しみは…」
地下生活者の手によって神秘が恐怖へと反転し、暴走したホシノ
理性が働いていないのか、まるでうわごとのように同じ言葉を繰り返すだけ
顕現した衝撃波でヒナは吹き飛ばされ、これまでの戦闘によって対策委員会の面々は満身創痍だった
そして、先生に向けて銃を向けるホシノ
「ホシノ…!」
そんな先生の声も、ホシノには届かない
そのまま、銃の引き金に指をかけるホシノ
と、その時
『BANG BANG SIMULATIONS!』
そんな音声が聞こえたと同時に、ホシノに向けて砲弾が直撃する
砲弾重量1360Kg、炸薬量61.7kg、初速805m/sという凡そ人に向けてはならない鉄の塊を食らったホシノ
直撃した際に発生した黒煙で、ホシノの姿は見えなくなった
何が起きたのかと音声が聞こえた方向を見る対策委員会のメンバー、そして先生
その視線の先にいたのは
「ヴェハハハハハ‼」
いつものような高笑いをしながら、後ろに主砲を顕現させているクロト神だった
「クロト…!」
「檀クロト神だぁ‼」
『間に合いましたか』
先生がクロト神に訂正され、プラナが一安心したかのように呟く
そして、少しながら交流があった対策委員会のメンバーは何故ここに、と驚いていた
そんな反応など気にもしないまま、先生のもとへ歩み寄るクロト神
「遅くなってすまなかったなぁ先生…それで、あれはなんだ?」
「…信じられないかもしれないけど、あれはホシノだよ」
「…何だと?」
先生の言葉に耳を疑うクロト神
自分が知っている小鳥遊ホシノとは似ても似つかない存在である
その後の先生の説明を聞いても、やはり完全には信じることが出来ない
半分信じられない気持ちでホシノがいたはずの場所の黒煙を見つめるクロト神
その時、上がっていた黒煙が吹き飛ばされ、無傷のホシノが現れた
「…無傷…か…」
顕現している三基から放たれた9発食らって無傷は想定していなかったのか、驚くクロト神
直ぐに気を取り直したが、その一瞬のスキをついてホシノが急接近し、クロト神に銃を突き付けていた
避ければ傍らにいる先生が撃たれる、そう判断したクロト神は咄嗟に間に顕現していた三基すべてを間に割り込ませる
が、ホシノの銃撃は軽々とその三基の主砲を貫き、呆気なく消滅させる
「ちぃっ‼」
『TADDLE FANTASY!』
咄嗟にもう一つのガシャットギアデュアルβを起動し、顕現させた盾で防ぐクロト神
しかし防げたいいが、その盾は破壊されて消滅した
そして反撃とばかりに銃撃を叩きこむクロト神、しかしその時点ですでにホシノは離れていた
「どうやらただのガシャットじゃ戦えんようだな…色彩の力、やはりただ物ではないという事か」
ガシャットを終了させると、放り投げるクロト神
実際、並みの銃撃や砲撃では傷一つつかない筈のものが吹き飛ばされた
そのことから、一度完全に消滅したときのような危機を感じていた
「しかし、だからこそ!楽しくなってくるというものだぁ…‼」
『ゲンム無双‼』
そうして手の中に顕現したガシャットを起動するクロト神
髪は黒くなり、体は黒い何かに覆われる
そうして手に剣とショットガンを顕現させたクロト神は、ホシノに剣を突き付ける
「…分から、ない…他の、人に…この、苦しみは…」
同じうわごとを呟き続けながらも、目の前の存在を敵と認識したのか
ホシノから溢れ出る高熱のオーラがより一層激しくなる、目の前の存在を抹消しようと
「さぁ…ゲーム、スタートだぁぁぁぁ‼」
クロト神はそう叫び、ホシノに向けて突貫した
「…凄い」
シロコがそう呟く
その視線の先には、激戦を繰り広げているホシノとクロト神
自分たちが手も足も出なかった相手に、あそこまで互角に戦えていることに全員は驚愕していた
…いや、先生とヒナは違った
見た目は互角だが、僅かながらホシノが優勢である
図らずとも手に入れた色彩の力は強大であり、クロト神といえども苦戦を強いられている
手を貸そうにも、あの間に入ればかえってクロト神の邪魔になる可能性がある
何も出来ずにただ見るだけしか出来ない自分たちに、歯がゆい思いをしていた二人…それは対策委員会も同じである
と、その時
ホシノに向かって突き出したクロト神の剣が弾かれ
ホシノの銃から放たれた銃弾がクロト神の喉を貫き
ホシノの腕が、クロト神の体を貫通していた
色彩の力を手に入れることが出来れば、実現できる事がある
小鳥遊ホシノを止めるのは、私の仕事じゃない
先生やほかの対策委員会のメンバーの役目だ
…だけど、確実に止められるのは貴女だけだ
だから
檀黎斗神は消滅したホッピーを完璧に復元したよね?
そういう事です
感想宜しく