知り得たか?フハイの賢老、クヴァールを(本編完結)   作:月光好き

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というわけでお久しぶりです、からの突然の番外編スタートです。

現在放送されている一級魔法使い試験編がすごく面白くて何かぶち込めそうな予感がしたので、リハビリもかねてチマチマ投稿していこうと思います。

ここでのお話は思いついた順で基本1話読みきりになるようにしようかと思っています。連続する奴はナンバリングつけようかと。開幕から例外ぶちかましてますが気にしない方向で。

今回の内容を簡略に言うなら第0章。またの名を本来ここから始めるべきだった話。

ではどうぞ。





番外編② 詰まる所の第0章
『いつかどこかの誰かの手記①』


 

 

 

【〇日目 天気:晴れ】

 

私の名は……まぁいいか。

文章の中で名乗るのもおかしな話だ。読むのも私だけだし。

 

一先ず目標も定まり、ある程度道筋も見えた。

その第一歩として、まずこうして記録をつけることにする。

 

日記みたいな感じだが毎日書くわけではない。日々の気づきやらなんやらを書き出していくつもりだ。……どちらかと言うと報告書か?

 

この立場になったからには必ず成し遂げるつもりではあるが、何も考えずに始めたところですぐさま行き止まりになるのは目に見えている。

ふとした拍子に見返すことで、新たな発見があるかもしれない。

 

どんな些細なことでも、砂利のように小さな気付きでも。

私には大いに役立つことだろう。

 

さてまずは……魔法を使うことからだな。

彼等固有の魔法や例の魔法以前に、私はまだ生まれてから魔法を使ったことがない。

 

道のりは長そうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【△日目 天気:晴れ】

 

あれから約二年。

血の滲むような努力の結果、ようやく魔法の入り口に立つことができた。

……無知から始まったとはいえ、この結果は正直へこむぞおい。

 

まずやろうとしていたのは遠距離魔法(仮)だ。

(仮)がついているのは射程があまり長くない単純な物を作ろうとしているからで、ただの魔力弾と言ってもいいのかもしれない。

 

とは言え(恐らく)基本魔法、必要なことはシンプルだ。

 

十分な量の魔力を集め。

崩れないよう制御し。

それを維持したまま前方に打ち出す。

 

ただこれだけ。確か実際に魔法使いに必須な三要素だったんだっけ?

 

とは言ったものの、これが使えるようになるのにとんでもない時間がかかることは簡単に予想できた。何故なら問題が山積みなのが目に見えていたからだ。

 

まず全てにおける大前提、魔力がよくわからん。

魔法使いを襲って聞き出そうにも戦力がないからそれもできん。近場には同族もいないし、外出するにもリスクがある。フィジカルで何とかなる某ゴリラ廻戦の世界ではないので自力で魔法を習得するほかない。そこで様々な手段を用いて調べようとした。

 

目に力を籠める。

気合を入れる。

全身に力を込めて叫ぶ。

両手を構えて叫びながら前方へ向ける。

etc、etc……。

 

後半は半分ヤケクソになっていたとはいえ、しばらくは成果無しの日々が続く。とはいえ、それらの中で私は瞑想に一番可能性を感じた。

 

確か原作では魔力はオーラのように描写されていたことから、所謂【気】というやつに近い性質を持っているかもしれない。それならば前の知識で認識できるかもしれない術を知っているわけで、その中でも一番良さそうだったのだ。

 

そんなわけで日々の行動に瞑想を加える事一年。ようやく体内をめぐる流れを認識することができるようになった。

 

一度認識してしまえばあとはこちらのもの。

ただ噴出させる、目や手足など一か所に集中させる、逆に抑える等々。

体内に巡る魔力をコントロールし、操作することだけを集中して鍛えた結果。そこからまた一思うし、これのおかげでぶっ通しで鍛錬できたのだからうれしいものである。

 

……とは言え、まだ三要素の内の二つだけだ。後一つ残っているし、それが最も難解なことは目に見えている。

 

気が遠くなりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【天気:雨】

 

前回の日記より約半年。……まるで進展していない。

 

残された最後の要素。それは魔力の制御、より具体的に言うなら収束だ。

 

当たり前だが、集めた魔力をそのまま噴き出しても精々威嚇にしかならない。

威力が出る密度にまで圧縮し、打ち出すことでようやく攻撃と呼べる物になる。

 

そしてこれがまぁ難しい。絶対に独学でゼロからやる内容じゃない。

目に見えない不思議物質を収束させるなんてイメージ、今の私が無意識下でやるのは到底無理だ。

 

とは言え、それならばと発想を逆転させることにした。

要は私の生活に魔力が根付けばいいのだ。どんな時にも魔力を用い、どんな時でも魔力を認識し続ける。

私の常識の中に魔力が刻み込まれた時、そこで初めて私は最初の扉を開くことができるのだろう。

 

……しかしこの世の物質のほとんどは魔力を帯びている。それをすべて認識し続けるとなると、ここ数年は気が休まることはないだろう。

 

近くに敵対生物どころか、小鳥くらいしか近寄らないというのに?

 

……あぁ、頭が痛い。前世で散々苦しんだ偏頭痛が起きているような気がするが、これはきっと雨のせいだろう。そうに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【天気:所により晴れ】

 

前回より一年ちょっと、そして鍛錬を開始してから約四年。

遂に私は魔法を使うことに成功した。……若干泣きそうだ。

 

長い時間を使った甲斐もあり、今の私は魔力を自然と認識できている。おかげで脳内イメージだけで収束できるようになったのだ。

 

そしてそこからはどの程度まで魔力を籠められるか、そしてどの程度まで圧縮できるのか。

それを探るために毎回手順を変えながら魔法を連発する日々が始まった。

 

ある日は中途半端ゆえに途中で霧散し。

ある日は密度を上げすぎて目の前で暴発し。

ある日は不安定すぎて途中からあらぬ方向に飛んで行った。

 

そんなことを魔力切れが起きるまで繰り返し、倒れている間は頭の中で思考を回す。

全ての現象に仮説を立て、対策を考えていく。そして魔力が回復したら再び実践し、そしてまた魔力切れでぶっ倒れる。

 

馬鹿みたいな日々を繰り返す。この身の本来の持ち主ならばそんな無様な真似はしなかっただろうが、生憎と私自身はそれしか活路を見出せなかった。

 

そんな日々をとにかく続け、そして今日。ついに合格点を上げられる質の遠距離魔法(仮)を安定して打ち出すことに成功したのだ。

 

射程はざっと100メートルくらいだろうか、そこから先は威力が目に見えて落ちる。恐らくは制御の仕方がまだまだ未熟なのだろう。

生臭b……とある僧侶が言うにはこの4~5倍距離がある一枚岩を打ち抜くことで一人前の魔法使いになれるらしいので、現在の私は五分の一人前と言うことになる。……あれ、最初とは別の意味で泣きそうだな?

 

とは言え遂に私は魔法を扱うことができ、最初の扉を開くことに成功した。

スタート地点に立つだけでこんなに苦労したのだ。目標にたどり着くためにも、私は常に前へ進み続けなければならない。

 

という事で。魔力が回復したらついにこの拠点(仮)を離れ、外を見に行くことにした。

 

とは言え魔法使いと戦う気はない。魔力操作の練習中に抑える方法はわかっているので、なるべく隠密していくつもりだ。……まあこれで本当に隠せているのかはわからないのだが、そこは祈るしかあるまい。

 

最大目標は他の存在が魔法を扱っている様子を実際に見る事。その次に現時点でどの程度の魔物相手に戦えるか確かめる事。

これらを目的として設定しつつ、最終的には再びこの場に戻ってくる予定だ。

 

書く手を止め、振り返って上を見上げる。そこには視界に収まらないほどの大樹が鎮座している。

森の中とは言え、これほど大きな樹だ。戻ってくる際は目印として機能してくれることだろう。

日付を忘れないように最初のうちは樹木の表皮に印をつけていたが、二年ほど経過したあたりで流石に可哀そうになったのでやめてしまった。修行に集中していたせいもあり時間の感覚が消え去ってしまいそうなので、その辺を解決できる手段も模索する必要がある。

 

今日は早めに休むとしよう。

そして朝日が昇ると同時に行動開始だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪追記≫

 

魔物と遭遇、初戦闘の結果を記す。

 

相手が素早すぎてまるで当たらん。最終的に見失わせた瞬間に魔力を抑え、背後から頭部をぶん殴って倒した。

 

……あぁ、本当に先は長そうだ。

 

 

 

 

 




感想・評価共にありがとうございます。

暫くはこんな感じでお茶を濁しつつ、アニメ側で一級魔法使い試験編が終わったらプロット組んで書き始めようかなと思っています。





※前回も書きましたが、あとから編集して加えたので知らない方もいるかと思い、再度宣伝。

https://syosetu.org/novel/331121/
↑パイマンさんが書かれた、本作がアニメで放映された世界線での反応集です。
私が頭の中でイメージしていた内容そのままでとても面白く、また各所の解釈も一致していたため、許可をいただいて記載します。気になる方はぜひぜひ。


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