黒い暗い喰らう呪霊   作:産地直送の焼き鳥

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それなあに

作者、辞世の俳句


茶屋での一息

 闇から生まれた呪霊、輝夜。呪霊操術を持つ夏油傑。彼らの新宿の屋上での話から、時間は大きく遡る。

 

 場所と時は東京の昼の時刻。大勢の人が歩く街の中に3体の異形、そして五条袈裟を着た一人の男が歩いていた。

 

 3体の異形に他の人々は気にする様子もない。当然だ。

 呪霊なのだから。

 

 「わざわざ貴重な一本を使ってまで、確かめる必要があったかね。宿儺の実力」

 「中途半端な当て馬じゃ意味ないからね」

 

 火山頭である単眼の呪霊が、頭をグツグツと鳴らしながら五条袈裟の男に問いかける。男は振り向きながらそれに答えた。

 

 「それなりに収穫はあったさ」

 「ぶふぅー、ぶぅー」

 「フンッ、言い訳でないことを祈るぞ」

 

 火山頭の呪霊、漏瑚の後ろを歩くタコの顔をした呪霊が声を出す。タコの呪霊に関しては何を喋っているのかは分からない。

 

 「螟ァ荳亥、ォ縺?縺ィ鬘倥>縺セ縺励g縺」

 「貴様は喋るでない!!何を言ってるのか分からんのに内容は頭に流れ込んできて気味が悪いのだ!」

 

 もう一体の呪霊は肌が白く、本来眼があるべき場所には木が生えている。さらにその言葉は解読すらできない。

 

 「…それと彼女はどこ行ったんだい?」

 「ぬ?先程までいたはずだが。…ああ居ったぞ」

 

 漏瑚が目を向ける先には、道中でナンパを行なっている女性がいた。

 

 「ちょっといいかな。君はこの後って予定あったりする?」

 「え、いや無いですが…」

 「よかったらだけどさ、この後一緒にお茶でもしないかな。」

 「え、えっと」

 「ああ、大丈夫。迷うんだったら是非とも連絡先の交換でもしないかい?」

 「え、あ、はい。それなら…。」

 

 街中のど真ん中でナンパを行なっているのは高校生ほどの身長を持つ美人であった。艶のある黒い短髪。柔和な笑み。そして日本では異質とも言える赤い、赤い瞳。首には小鏡のようなアクセサリーをつけていた。黒で衣服を統一している彼女の様相と相まって、不思議な気配と妖艶さを出している。

 一目見れば女性とわかるからこそ、話しかけられた女性は戸惑っている。

 しかし話しかけた彼女の方が上手であった。

 

 「ありがとうね。そういえば君の名前を聞いていなかったよごめんね。君の名前を聞いてもいいかい?」

 「あ、えっと」

 「輝夜!!何をしておる!さっさと行くぞ!」

 「…ああ、ごめんね。仲間に呼ばれちゃった。名残惜しいけどあとでまた一緒に話そう。それじゃあ、またいつか。」

 「は、はい…」

 

 輝夜はそのまま話を続けようとするが、仲間に呼ばれたから、と名残惜しそうにそのまま立ち去り、五条袈裟の男の方へと向かっていった。

 話しかけられた女性は少しの間ボーッとしていたが、ふと疑問に思う。

 あの袈裟を着た男は声を出していなかったはずだと。

 疑問に思うがすでに彼らはいない。また会う時に聞いてみようかな、と思うのであった。

 

 「もう、漏瑚〜。邪魔しないでよ、いいところまで行っていたのに。」

 「ふん、そんなものあとで好きなだけすればいいでは無いか!」

 「わかってないなあ、漏瑚。そこに山があれば登山者は登るように!私もまた好みの人間がいたのならば全力で口説く!それこそプロの恋する乙女!」

 「プロの恋する乙女が一体なにかも気になるけどさ。さっきはどうやって非術師と話していたんだい?」

 

 戻ってきた輝夜は漏瑚に文句を言うが、漏瑚は怒り頭から煙を出す。まあ怒るだけ無駄なのだが。

 さらに五条袈裟の男、夏油傑はいつのまにかツノ、悪魔のような尻尾、コウモリのような翼を出している輝夜に疑問を投げた。

 

 「ふっ、そんなこともわからないのか…夏油よ。それは、恋!情熱!色欲!戦争があらゆる技術を発展させたように、色欲を持ってすれば何だった叶う!

 さあ!欲望に忠実に!ビバ!色欲!さあみんなも大声で!ヒーハー!」

 「…彼女っていつもこうなのかい?」

 「あぁ、諦めろ、夏油傑。コレは治らん。」

 「ぶぅー、ぶふう」

 「螟ァ荳亥、ォ縺?縺ィ鬘倥>縺セ縺励g縺」

 「ふはは、理解できないのなら仕方ない。しかし、いつでも待っているぞ!漏瑚、花御、陀艮、そして夏油!私のユートピアに!

 あ!あそこにランドセル背負った幼女がいる!いざゆか、グエッ」

 

 すでに暴走している輝夜を、漏瑚が襟を掴むことで止めた。

 そのままズルズルと輝夜を引っ張りながら一行は歩く。夏油も花御も陀艮も気にした様子はない。

 

 「いやあ、コレはさ、不当だと思うんだ。私はこんな性分だからね。やっぱり、病気みたいなもんなんだ。だからこそ特効薬として女の子たちが必よ、」

 「フンッ」

 「ウォゲエ!ちょ、ちぃと首締めすぎじゃないかな?こ、今度お詫びにアイドルの写真集を、ぐ、ギブギブギブゥ!流石に死ぬ。死ぬぅ!」

 

 引っ張られながらもまだふざけている輝夜を、漏瑚は襟をさらに引っ張り締め上げた。

 夏油はすでに諦め、落ち着いて話せる場所を探している。

 

 カランコロンという音と共に、ファミリーレストランへと入っていく。

 

 「いらっしゃいませ、一名様のご利用でよろしいですか?」

 「はい、一名です。」

 「あ、お姉さん、バイトが終わったらさ、あとでいっsy、やべえ死ぬ!死ぬ!人権団体とフェミニストたちが黙っちゃいねえぞ漏瑚!あ、力加えんのやめ、グフェ。」

 

 そのまま輝夜は泡を吐き気絶してしまった。そのまま輝夜を引きずりながらも、漏瑚はテーブルへと向かった。

 

 「漏瑚」

 「うむ?どうしたのだ夏油」

 「その、輝夜と言ったかな。彼女は大丈夫なのかい?」

 「…性格と態度は最悪だ。凄まじいほどに話が通じん。」

 「うん、私も見ていてすごく思っている」

 

 夏油は話しながらテーブルに座る。独り言を話しているように見えるため、他の客や店員に奇異の目を向けられるが彼は気にしない。

 漏瑚は引きずっていた輝夜を左にある衝立に、洗濯物を干すかのように置いた。

 

 「グェッ、…うー、此処は、ゴヒャブ!」

 

 漏瑚はその衝撃で起きた輝夜の頭部をそのまま燃やす。プスプスと黒い煙をあげ、輝夜は頭を落とした。

 

 「こんなんだが。こんなのなのだが。しかしだ、夏油傑。こやつはわしよりも強い」

 「…へえ」

 「それとこんなんだが約束は守るし、仕事は全うする。こんなんだがな。」

 「…漏瑚、こんなんってさすがに私泣いちゃうよ?いいの?ここで大声で泣くよ?」

 「ふむ、それで君ら呪霊がしたいのは一体何だい?」

 「それは呪霊の世を創ることだ。夏油よ」

 「あ、二人とも無視するんだ。あ、ふーん。そっかー。そうかー、そうかぁ…。」

 

 衝立に干された輝夜が漏瑚に一言申すが、さらっと無視される。萎れた様子に他四名はふざけなければいいのに、とは思うがすぐに諦める。

 いっても治らないだろうから。

 

 輝夜は頭の火傷を呪力で修復し、首にかけている鏡のようなアクセサリーを持って唱えた。

 

 「特級呪具、応現鏡」

 

 その名を唱えると共に、彼女は自身の術式を使いツノ、翼、尻尾を隠して、店員に声をかけた。

 

 「すみません、店員さん。このデラックスパフェ一つお願いします。」

 「あ、え、さっきまで居なかっ」

 「『隠』。お願いしますね♡」

 「はい。分かりました。5番テーブルでよろしいでしょうか?」

 

 驚いた様子の店員に術式を行使する。そのまま店員は先程感じた疑問はなかったかのように厨房に伝えにいってしまった。

 輝夜はそのまま上機嫌に漏瑚の隣の席に座った。漏瑚と夏油は話を続けている。

 

 「ーーーそこから生まれ落ちた我々呪いこそ真に純粋な本物の“人間”なのだ。偽物は消えて然るべき。」

 「…現状消されるのは君たちだ。」

 「だから貴様に聞いているのだ。我々はどうすれば呪術師に勝てる?」

 「陀艮ー、花御ー。漏瑚たちが難しい話してるよー。なんか話そー?」

 「窶ヲ螟ァ莠九↑隧ア縺ァ縺吶°繧峨□縺セ縺」縺ヲ縺翫>縺滓婿縺後>縺?→諤昴>縺セ縺吶h」

 「ぶーふぅ、ぶう」

 「うーん、真面目。よし、しりとりしよう!りんご!呉越同舟!有為転変!あ、やべ負けた!」

 

 復活した輝夜は隣の席に座った陀艮と花御に話しかけるが、返答は良くない。

 彼女は自分一人でしりとりを始めたが速攻で負けている。ついでに「尻取りってなんかエロいよね」とほざき出した。

 夏油と漏瑚はそれを横目で見ながら、話を続ける。

 

 「戦争の前に、2つ条件を満たせば勝てるよ。五条悟を戦闘不能にし、両面宿儺虎杖悠仁を仲間に引き込む。」

 「死んだのであろう?虎杖というガキは。」

 「さあ。どうかな。」

 

 「こちらパフェでございます。」

 「あ、こっちにお願い〜。」

 「あの、お客様。できれば違うテーブルで食べないでいただけると…。」

 「『隠』。うーんパフェうんま!花御も食べる?」

 「…厨房に戻らないと。」

 

 輝夜の質問に対して花御は首を横に振る。陀艮は興味深いのか、輝夜に近づいていった。

 

 「お、陀艮はパフェ食べたい?それじゃあアーンっと」

 「…。!ブッフーゥ!」

 「お、美味かった?よーしよしもっとあげちゃうぞー!」

 

 初めて食べるアイスクリームに驚きを隠せないのか声を張り上げる。そんな陀艮の頭を撫でながら、さらにアイスクリームを与えていった。

 そんなやりとりをしているうちに話は一段落したようだった。

 

 「ーーー。ふむ、五条悟。やはり我々が束になっても殺せんか」

 「ヒラヒラ逃げられるか、最悪君たち全員祓われる。『殺す』より『封印する』に心血を注ぐことをお勧めするよ。」

 

 カラン、とグラスに入った氷が鳴る。漏瑚が夏油を訝しみながら、次の言葉を催促した。

 出された言葉は特級。

 

 「特級呪物。『獄門疆』を使う」

 「獄門疆…?持っているのか!!あの忌み物を!!」

 

 漏瑚が興奮すると共に、漏瑚の頭がポッポーと鳴り響く。

 

 「漏瑚興奮するな。暑くなる。」

 「漏瑚、何してくれてんだコラァ!暑さでパフェ溶けんの早く何だろうが!」

 

 そんな漏瑚に対して夏油、輝夜だけでなく意外にも陀艮もぶふー!と声を荒げていた。

 餌付けされたのだろう。堕ちるが早すぎる。

 

 そんなところに店長らしきものがやってきた。

 

 「旦那さん、ですかな?お客様はご注文ありますで、しょうka?」

 

 ボウッという音共に店長は燃え上がる。

 そんな超常現象を目にした他に人々は恐慌状態に陥った。

 

 「きゃああああああああああああ!」

 「あまり騒ぎを起こさないでほしいな」

 「コレでい」

 「よくないよ漏瑚!全部燃やす気だろ!『臥』!」

 

 その輝夜の掛け声と共に店中に人々が眠るように倒れ込んだ。いや、実際眠っている。眠る拍子にテーブルに頭をぶつけても、そのまま床に倒れ込んでも。熱い鉄板に頭をぶつけても。眠る拍子に割れた皿の破片が顔に刺さっても。誰も起きてこない。寝息だけが響く。

 

 「漏瑚何やってんだ!パフェに燃え滓がつくだろ!何やってんだか…。」

 「ふん、夏油。儂は宿儺の指何本分の強さだ?」

 「甘く見積もって、8、9本分かな」

 「充分」

 「ちょっと漏瑚聞いてる?はあ、まあいいや残ったパフェ食べよっと」

 「ぶふーう♪」

 

 不貞腐れながらも輝夜と陀艮はパフェを食べようと、席に戻った。ついでに漏瑚に関してはすでに無視を決め込んでいる。

 

 「獄門疆を儂にくれ!!蒐集に加える。その代わり五条悟は、儂が殺す。」

 「いいけど。死ぬなよ漏瑚。」

 「ああ、問題な」

 「あー!パフェに燃え滓がついてる!クソッタレ!漏瑚てめえ許さんぞゴラ!パフェの仇、孫の代まで呪ってやる!」

 「また食えばいいではないか!それにさっきから話を遮るでないわ!!気が散る!!」

 「ああん?この『デラックスジャンボパフェ〜秋の彩りと夏の風物詩、和風と洋風を加えて。スイカとサツマイモのみたらし団子レボリューション』はここにしか売ってないんだぞ?!何落とし前つけてくれんだ!」

 「ぶふぅ!」

 「パフェぐら、何だそのゲテモノは!二百年生きておるが気色悪いわ!」

 「あんだとごらぁ!」

 

 口喧嘩をし始めた三体にまとも枠とも言える花御はため息をし、夏油に関しては苦笑している。

 流石にそんなものは食ったことがない、と夏油は呪霊たちを見ながら思った。




筆が乗るー、筆が乗るー。

あ、そうそう。ちゃんと計画性ちゃん帰ってきました。おーい、みんなに挨拶、あれ置き手紙が…。

えーっと「自分探しに行ってきます。探さないでください。」…。
はい、まあ多分3日後には自分探しに飽きて帰ってくるんじゃないかなあ。
…そうだといいなあ…。

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次回予告!
獄門疆と引き換えに五条悟を殺そうと意気揚々と向かう漏瑚!後からつける黒い闇!背後から迫り来る黒い闇に、漏瑚は気づくことができなかった!さあ、漏瑚の二百年もの経験が今!炸裂する!五条と漏瑚の運命や如何に!!
次回!「漏瑚死す」!

一話ごとの文字数ってどんくらいがいい?

  • 半分くらいで(2000字前後)
  • ちょいと少なめ(3000字前後)
  • これでいいんじゃね?(4000字前後)
  • ぶふぅー(ぶふぅー)
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