黒い暗い喰らう呪霊   作:産地直送の焼き鳥

6 / 7
 ヒィィィィハァァァァ!!!!


熱い砂浜で

 コツコツとマンションに足音が響く。

 東京の郊外、その深夜帯で、空室が多い古びたマンション。人は周りにそれほどおらず、ほとんどが寝静まっている。

 

 足跡の主は鼻歌を歌いながらも階段を上がる。カンカンと鳴るが気にしない。

 

 足跡の主である輝夜の服は元はジャケットやジーパン、Tシャツを呪力で作って着こなしている。しかしそれは呪力が潤沢にある時の場合。

 五条と戦ったことで少し乱れている。ジャケットが消え、Tシャツの袖が消えてタンクトップのようなものとなっていた。

 

 呪力を整えて『タンクトップのようなもの』を『タンクトップ』へと変化させた。

 そして目的の部屋に到着した輝夜は、ドアのノブを開ける。

 

 ドアを開けた先は南国風のビーチ。爽やかな潮の香りと波の音が響いている。日光で照らされて温まった空気が充満していた。

 

 ビーチにはビーチパラソルと椅子が二セット、それとテーブルが一台。海の奥の方には陀艮が漂っている。花御は南国に生えているような木々の下で涼んでいた。

 

 輝夜はそのままビーチパラソルの方へと向かっていった。

 

 「やあ真人、夏油。真人はおひさ〜。」

 「おっ、久しぶり輝夜。どうだった?」

 

 輝夜はビーチパラソルの片方に座って本を読んでいたツギハギの呪霊、真人へと話しかけた。

 真人は黒い包帯のような服を着ながら、裸足で椅子に座っている。

 

 「いやー、やっぱり最強は強かったね〜。」

 「へえ、感触としてはどうだった?今後の予定の参考にしたい。」

 

 夏油はいつも着ていた五条袈裟は脱いで、アロハシャツを着て椅子の上で涼んでいた。

 

 「うーん、やっぱり攻撃が当たらないって言うところがデカかったかな。だけどまあ今回はどっちも本気でやっていなかった。」

 「ふうん、それで?」

 「いややっていなかった、と言うよりできていなかった。」

 

 話しながらも、近くにあったテーブルへと腰掛ける。

 

 「五条は宿儺の器が近くにいて、大業を放てない。それと私は移動しながら住宅街に移動してたから、大量破壊もできない。それに領域展開の後だったから、無量空処もできない。

 まあ私も獄ノ番とか領域展開、お気に入りの呪具も使っていないから、どっちもどっちだったかな。」

 

 テーブルに置いてあった生首を抱えながら話し、夏油に対してため息をつく。

 

 「ふうん、それじゃあどっちも全力で戦ったらどうなりそうだい?」

 「そうだねー。」

 

 五条の実力が気になる夏油。獄門疆を使わずとも五条を無力化できるほどの実力があれば最高だ。

 しかし

 

 「うーん、いや。無理そうだね。本気でやったら多分負けちゃう。」

 「…そうか。」

 

 こいつでも五条には敵わないのか、と思いながらも戦力としては上の上。

 十分だと思いながら、椅子に背中をもたれる。

 

 「…い!おい!貴様!輝夜!さっさと離さんか!」

 「おん?どーしたん漏瑚?」

 

 輝夜が持っている生首から声が聞こえる。さっきの五条との戦闘で首のみとなってしまった漏瑚であった。

 戦闘でほとんどの呪力を使い果たしてしまった漏瑚は、存在維持のために回復してきた呪力を体の保護に使っている。余った呪力は身体の回復だ。しかし回復に専念している最中に輝夜が抱えてしまった。

 

 「さっさと下ろせ!今儂が何をしておるのか見ればわかるであろう!わかったらさっさとおかんか!」

 

 こめかみに力を入れながら輝夜に怒鳴りかける。だが輝夜はそんなもの知らんとばかりに

 

 「えー、やだ」

 「はぁ?!」

 

 その問いかけを断った。さらに漏瑚はこめかみに力を入れる。

 

 「だって、こんな時でないと漏瑚さわれないし。それにさ。

 『灰すら残さんぞ!!』って啖呵きって置いて負けるとかさあ。」

 「ぬう!!巫山戯るでないわ輝夜!!燃え滓にしてやるぞ!」

 

 身動き取れない漏瑚にここぞとばかりに煽りまくる。そんな輝夜に漏瑚は頭の火山からブスブスと煙を出す。

 

 「ん〜。でもさあ『小童がぁ!!』とかさ『大したことなかったな』とか言ってたよね。でもそんなに言っておいて負けるって何かな。ザコくんかな?

 がんばれがんばれーざぁこ君♡負けるな負けるなザコ君♡ざぁーこざこ♡」

 「貴様ァァァァ!!!!」

 

 さらに煽る。煽りまくる。

 漏瑚はもう顔面を真っ赤にして怒り狂っているが、呪力切れ寸前、胴体なしのためできることはほとんどなかった。

 

 「輝夜、それぐらいにしておきなよ。漏瑚の血管が切れそうだ。」

 「ちぇ。」

 

 そこに真人がストップをかけた。真人の隣に座っている夏油は「あれがメスガキムーブか…。」と言っている。

 つまらなさそうな輝夜は頬を膨らませる。しかし面白いことを思いついたかのように、漏瑚の方を見た。

 

 テーブルから降りて砂浜へと駆ける。漏瑚は持ったままで。

 

 「漏瑚!!蹴鞠しようぜ!!漏瑚が鞠な!!」

 「は!?輝夜!き、ぬぉぉぉ?!」

 

 輝夜がサッカーの要領で漏瑚の生首を空に蹴り上げる。上空まで飛んでった漏瑚は、そのまま重力のままにビーチに降ってくる。

 

 「もう一丁!」

 「ぐぉぉ!」

 

 再度輝夜は蹴り上げる。さらに吹っ飛んで上空へと行った。

 さらに一回、二回と続けるため漏瑚の悲鳴が領域内に響いた。

 

 「でもあれ案外効率的なんだよね。」

 「え?いきなりどうしたんだい。夏油」

 

 その様子をビーチパラソルの下で涼んでいた二人が話を始める。

 

 「眼に呪力集めてよく見てみなよ。」

 「うーん。…あ、本当だ。」

 

 夏油に言われて真人は眼に呪力を集めてみる。すると漏瑚が輝夜の呪力によって保護されていたのを感じ取れた。

 蹴り上げる瞬間に呪力で覆って、衝撃から保護しているようだ。

 

 「呪具を強化する要領で漏瑚の頭を保護しているんだ。だから漏瑚へのダメージはゼロ。さらに自身を保護する呪力がいらないから、回復に呪力をさらに回せる。

 自身一人で回復するよりも効率的だ。」

 「…漏瑚はそれに気づけているかな?」

 「無理じゃあないかな。あんなのされて冷静にできたら逆にすごいよ。」

 

 漏瑚の悲鳴が響き渡る中、ビーチパラソルの下で話をする。

 二人して輝夜の行動を止める気はないようだ。そればかりか真人は薄ら笑いをしている。

 

 「さらにドーンッ!」

 「グォォォォ!?」

 

 続けて漏瑚の頭を蹴り上げる。漏瑚は方向感覚がおかしくなり始めている。

 落下してきた漏瑚に、輝夜は狙いを定める。

 脚を思いっきり振り上げる。しかしスカッという音と共に空振りしてしまう。

 

 「あれ?」

 

 輝夜は何故外したのか周囲を見渡す。するとそこには

 手に目が回った漏瑚を持った、花御がいた。

 

 「あ」

 「霈晏、懊?∬ゥア縺後≠繧翫∪縺《輝夜、話があります。》」

 

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 「遘√?莉イ髢灘酔螢ォ縺ァ縺オ縺悶¢蜷医≧縺ョ縺ッ縺?>縺ィ諤昴▲縺ヲ縺?∪縺《私は仲間同士でふざけ合うのはいいと思っています》」

 「はい」

 「縺励°縺励?√@縺九@縺ァ縺吶?ゆス穂コ九↓繧ゆク企剞縺ィ縺?≧繧ゅ?縺後≠繧翫∪縺吶?《しかし、しかしです。何事にも上限というものがあります。》」

 「全くもってその通りです。」

 「莉雁屓縺ゅ↑縺溘?莉イ髢薙〒縺ゅk貍冗霜繧偵?繝シ繝シ《今回あなたは仲間である漏瑚をーーー》」

 「へい」

 

 輝夜が熱い熱い砂浜のもとで、花御に正座をさせられながら説教を受けていた。

 いつも通りの人間の姿では無く、本来の姿である悪魔の様相で正座をしている。

 

 真人は大爆笑をしているし、夏油は苦笑。漏瑚は輝夜に憤りながらも、呪力の保護によってある程度回復が進んだことから少し複雑な様子である。

 

 ついに長い長い花御の説教も終わりを迎えてきた。

 

 「縺セ縺ゅ≠縺ェ縺溘b縺薙l縺ァ蟆代@縺ョ髢薙?蟾ォ螻ア謌ッ繧九?繧偵d繧√k縺ァ縺励g縺??ゅ%繧後〒蜊∝?縺ァ縺吶?《まああなたもこれで少しの間は巫山戯るのをやめるでしょう。これで十分です。》」

 「さーせんした」

 「縺?∴縲√&繝シ縺帙s縺ァ縺ッ辟。縺丞セ。蜈阪↑縺輔>縺ァ縺吶?ゅ◎繧後↓隰昴k逶ク謇九?遘√〒縺ッ縺ゅj縺セ縺帙s縲《いえ、さーせんでは無く御免なさいです。それに謝る相手は私ではありません。》」

 「漏瑚パイセン御免なさいです。」

 「…うむ」

 

 しっかりと謝罪をした輝夜は熱い砂浜から立ち上がる。服に着いた砂を落としながら。

 

 「はぁー、足痺れたぁ。」

 「ぶふぅ?」

 

 何があったのか気になった陀艮が、海の奥の方からやってくる。そして腰をバキバキと鳴らし始めた輝夜に、近寄って心配し始めた。

 

 「あー、陀艮。大丈夫だよ。心配しなくて。それよりも何かパフェ喰う?」

 「ぶー!」

 

 影の中から丸いテーブルと椅子を出す。そこにパフェも出して食べ始めようとする。

 

 「『スーパーデッラクスジャンボパフェ〜銀河の星々とニンニクを添えて。究極のレバニラ付き』頂きます!」

 「ぶう!」

 

 二人で食べ始めたのはキラキラしているようで、肉やらニンニクやらが乗せられているパフェ。絶妙な量のタレがかかっているため、茶色になっている部分もあった。

 

 「またゲテモンか…。」

 

 そんな様子に漏瑚は呆れ顔である。そもそも呪霊が飯を食うなど、それだけで異常でもある。

 

 「ああ、そうだ真人。輝夜の戦闘で彼女でも敵わない、ということがわかった。これからは五条悟の封印のための動きでいいかい?」

 「うん、大丈夫だ。輝夜は戦闘力で最も僕らの中で強いからね。それで構わない。」

 

 その楽しくパフェを食べる二人を見ながら、夏油と真人は今後を話す。目指すは各々の目的のため。

 呪霊たちは呪霊の世を作るため。

 夏油はーーーーーーーーーのために。

 呪いたちが動き出す。

 

 「僕たちは呪いだ。呪いらしく、人間らしく行こうじゃないか。」




 …なんだと?!
 「ぶふぅー(ぶふぅー)」がアンケート一位…?
 なるほど、それがお望みか。

 それじゃあ次話は「オリ主とヒロインのデート会」にしよう。間話的な。
 あ、話の脈絡が分からない人はタグの部分見てね。

一話ごとの文字数ってどんくらいがいい?

  • 半分くらいで(2000字前後)
  • ちょいと少なめ(3000字前後)
  • これでいいんじゃね?(4000字前後)
  • ぶふぅー(ぶふぅー)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。