望郷漂流客船イナバマル 祝福された後継   作:qlo

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※Lostbelt No.6『妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ』の核心的なネタバレのほか、Lostbelt No.7『黄金樹海紀行ナウイ・ミクトラン』〜2部奏章『オーディール・コール』の一部内容に触れています。

※本作は後日、作者本人のpixivアカウントにおいても投稿予定の内容となります。

以上の事柄をどうぞあらかじめご了承ください。





烽火連天【五】

 

 

「────ん?」

 

 はじめに、戸惑いがあった。

 

「────あ。あー。……おお、なんと」

 

 次いで、驚きがあった。

 

「……いやしかし、これはなかなかに草臥(くたび)れるな」

 

 戸惑いもするだろう。驚きもするだろう。こうして個の、意識らしい意識が認められたばかりか、己が声帯を震わせることさえも適ってしまうなど。

 

 先刻まで『総体の一部』として在った断片に過ぎないこの身を思えば、個として在り、五感を通して得られる質感の手触りは──どうしようもなく、ともすれば疲労感にさえ転ずるほどに、ひどく鮮烈に感じられた。

 

「──贅沢なことを云うんだな。せっかく個の様相を得られたというのに、第一声に上げる台詞が疲労の訴えとは。まあ、おまえには借りがある。貸しもあるがな。何ならもう退席するか? 望みとあらばそうするが」

 

 おっと、まずいまずい。此処には我が身のみならず、癖のある同席者が居たのだった。

 

「冗談を。ひとまず現状に不満はないとも。ただし、疑問は有るがね。此処は何処だ?」

 

 声が発せられることを認めた折、もしやと期待して目蓋を開こうとした。実際、目蓋の開かれる感覚はあったが、網膜に飛び込んできたものは一面の無明。ゆえに、五感のうちで得られたものは、視覚を除く四つのみかと思われた。厳密には味覚も試せてはいないのだが、この場においてはどうでもいい話だろう。

 

 だが……よくよく目を凝らしてみると、眼前へ差し出された己が掌を微かに見て取れた。どうやら視覚もまた正常に機能しているらしい。つまり、無明に等しい暗闇こそが、この場の姿ということなのだ。期待どおりに視覚を得られたことは喜ばしいが──せっかくの機会だというのに、その舞台が視るに視えぬ環境とは、やはり落胆を禁じ得ない。

 

「それは当然、()の中だろう。暗くて、湿っていて、座しては陽の目を見ることのない、水底のような無明の間。辛気臭いにもほどがある」

 

 ──水底、とな。まあ、喩えとしては悪くない。というか現に、ぴちゃり、と。僅かにではあるが、水の滴る音が鳴ってさえいるらしい。小さな音でありながらも、その反響音は長く、広い。つまり此処は、相当の面積を有した空間なのだろう。

 

 加えてこれは、霧も掛かっているのやもしれない。肌に触れる空気は仄かに冷たく、皮膚に染み入るようだった。……此処が本当に水底であれば有り得ぬ現象だが、有り得ぬと云うならば、我々の現状のほうがよっぽど有り得ぬ様相を示していることだろう。その点でいえば、水底に喩えられるこの空間はむしろ、正しく在る現象にさえ思えてくる。

 

「──なるほど。囚われの身か。まあ、見方によってはそうなるでしょうな」

「どう見ても、の間違いだろう。前向きな奴だな。ま、どうあっても此処から出ることは叶わない。そういうスタンスで居てくれるのなら、此方も気兼ねなくやれるというもの。その気が変わらないことを祈るとしよう」

 

 客観的とも、他人事とも取れる口調でもって、傍らの同席者は淡々と言い放つ。

 

「──しかし、囚える檻の名が『水瓶』であるときた。いかにも形式主義めいたネーミングじゃないか。そうは思わないか?」

「……ん? ああ、その話ですか。まあ実際、この状況ではほかに選択肢はあるまい。なにしろ、王手に至るべくして積み上げた渾身の差配が阻まれたのだ。こうなってはもはや、持ち前の手駒を総動員したうえで、盤上の立ち回りごと刷新せざるを得ない。その布陣があからさまに形式ばってしまうのもまた、無理もない話だろう」

 

 此方も負けじと──というわけでもないが、毅然(きぜん)とした態度でもって語り返す。

 

「手厳しいな。というか、おまえがそれを云うのかよ。顔の皮が厚い──でもない、か。この場合は何というんだろうな? ……まあ、そんなことはもう、どうでもいいんだが」

 

 言うじゃないか。そもそもにして、それはお互い様というものだろう。

 

「まあ、そう言わず。おかげで現にそうして、予定外の『会合の席』が設けられるに至ったのだ。これはむしろ、怪我の功名とでも云うべきところでは?」

「ふざけるな図々しい。余計な仕事が増えたと云っている。何が悲しくて『席の予約』などという、面倒な真似をしなくてはならないのか。それも、()()()()()()()()()()()()()()の、な」

 

 ────む?

 

「おや。貴方は同席なさらぬと? 此方はてっきり、そのために同行されたものかと」

「そんなワケがあるか。同席せずとも結果は見え透いている。だいいち、不純な第三者が居ては視るべきものも視えなくなる。この場で対峙する相手ならば、お前ひとりで事足りよう」

 

 ……これは意外だ。それではこの御仁は、私をこの場に置くためだけに動いたというのか。何なら、今にも退席しそうな気配すらある。それは少し待ってもらいたい。

 

「いやいや。それを仰るなら、むしろ逆であろうに。どう考えても、対象を御し得る能力の有無からして、貴方のほうがはるかに適任だ。ゆえに訊いているのだ。なぜゆえそのような、博打めいた択を採るというのか」

「──ん。何だ、この期に及んで。まさか暗闇の只中に独りでは怖い、お前も此処に残れとでも言うのか? 勘弁してくれよ冗談じゃない」

「何処に耳がついているのかな?」

 

 果たして話を聞いていたのか、否か。風来坊はこれだからいけない。去る前に、私が受け持つことになるらしい、仕事とやらの内容を明かせというのだ。こんな丸投げの引継ぎがあるか。横暴にも程がある。いやそもそも、此処から外へは出られないという話ではなかったか?

 

「──ああ、そういえば言ってなかったのか。というか、此方が早々に切ってしまったんだったな。それはたしかに、合意形成がまだなのも当然だ。悪かったよ」

 

 ……大丈夫か、この御仁の(げん)に任せて。いろいろと不安になって参ったぞ。

 

「そうだな。ひとまず、前提の話をしよう。……おまえと共に居るのはそもそも、此方にとっては文字どおり、致命的に都合が悪い。概念がダブってしまうからな。この事実がある時点で、否が応でも、此処はおまえに任せるしかない。そこはもう諦めてもらう」

 

 そして初っ端から勝手が過ぎる。状況が状況にして、誰も彼もが立て込んでいる只中ではさもありなん、といった話ではあるが。

 

「それを踏まえて──というより、まあ……残りの理由の大半は、言ってしまえば『適材適所』というヤツだ。より正鵠(せいこく)を射るならば、『やるならコレしか手はないが、何も無いよりはマシだった』と言ってもいい」

「一気に格が下がりましたな……」

 

 言葉の綾も、極まれば暴言に迫るというもの。ここは前者の意味で捉えておこう。

 

「流せ。ただの本音だ。なにしろこれは、此方としては不本意な選択でもある。お(あつら)え向きな場面にも拘らず、みすみす余人に譲るという意味においてはな。だが今は生憎と、此方が優先するべき相手は他に居る──(わか)ったか? 同席による都合の良し悪しを抜きにしても、殺すでも生かすでもなく、この身が在るうちにおまえを残し、此処を去るより他に(みち)はないということだ」

「え、ええ。はい、もう結構ですとも」

 

 ……此方が問うたのは『仕事の内容』についてなのだが、もたらされた返答は『本件がいかに度し難き委任であるか』という文脈がほとんどを占めている。当人にとっては無自覚の機微(きび)なのであろうが、果たしてそこを追及して良いものか。……いや、どう考えても藪蛇であろう。とにかくここは、是と応じるしかなかろうよ。

 

「──さて、貴方はこの後どうする? 身体が在るうちにとは仰るが、見た限り私と違って、それらしき姿を得られてはいないようだ。いかに適合をみせたとはいえ、応戦するにせよ傍観するにせよ、その(なり)では話になるまい」

 

 先刻、無明のさなかでありながら、己が掌の視認が適っていた。それはつまり、僅かばかりの光源が、ごく身近な範囲に在ったということになる。しかし此処には、月明かりはおろか、燈燭(とうしょく)ほどの光すらも差してはいない。空間自体は真に無明なのである。だとすれば、その光源は何処に在ったのか。考えるまでもなく、すぐ傍らに答えがあった。

 

「──何だ、視えていたのか。なら話が早い。如何せん、こればかりはどうしようもなくてな。だが、その懸念は杞憂だと言っておこう。なにしろ文字どおり、ここから先は針に糸を通すような細かい作業だ。力の加減というよりは、動きの正確さこそが求められる。まあ、暗躍とは得てして、そういうものだろう?」

 

 ふむ。どうやらこれは、此方の与り知る限りの話ではないらしい。そこまで言うのであれば、委細は彼方に任せるとしよう。

 

「なるほど。それもまた道理だ。此処は概念の坩堝。過密極まる牢壁にして、光の届かぬ無明の間。眼に視えぬ隙間を縫おうにも、()()()()()()()()()()()。いやはや、ご苦労なことです」

「嫌味な奴だな。身体を得られたことがよほど嬉しいらしい。救いのない囚われの身だというのに、目出度い話だ」

 

 嬉しい、か。反論の余地はあるが、あえて否定はすまい。信念と感情は似て非なるもの。両者が相容れずとも、即座に矛盾と看做せるものではない。この身は無用の長物なれど、この身にかかる縁起には、それなりに期待も抱かれるところだ。

 

「……頃合いだ。もう此処に留まる理由はない。()()()()()()()()()()()()、相応の振る舞いを見せなくてはな」

 

 ──『異端分子』。ふむ。それもまた、喩えとしてのみならず、実際にして相応しい呼称であろう。しかしながら、此処においてはそれもまた、『()』を構成する因子のひとつ。いかに他と異なる場所で、異なる挙動を示そうと、我々は(あまね)く、同じ道理の内にある。ゆえにこそ、此処から本当の意味で逸脱することは、原理的に適わないのだ。

 

 ……ああ。そうか。それゆえに、貴方は──

 

「──承知した。此処は私が受け持とう。これは確かに、立場が逆では都合が悪い……いや。()()()()()、とでも云うべきですかな」

「…………おまえ。やはり此処で終わっておくか?」

 

 おっと、いけない。やはりこれ以上の追及は身を滅ぼしかねん。まあ、こと現状に至ってもなお、滅びたところで惜しくはない身体なのだが。願わずして黄泉がえった身体など、もとより無いに等しいのだから。しかし──

 

「いえいえ。健闘を祈る、と申したまでのこと。それこそ適材適所という話だ。求不得苦(ぐふとっく)が如き執着など、道理の前では(むな)しいばかり。ここは甘んじて、お互い道化に徹するとしよう」

「………………」

 

 ──願わずしての現在なれど、これが望外の幸運であることに違いはない。そうとあらばこの機会、決して無駄にはするまいよ。

 

「……貴方とは此処でお別れになるだろう。しかし借りがあると云うのなら、それは此方も同じこと。謹んで御礼申し上げる。どうやら現在の私にも、……いいえ。現在の私であればこそ──己が双眸(そうぼう)の前に置き、認め得る事象(もの)があるらしい」

 

 言い忘れぬようにと、別れの間際に謝意を表する。腐れ縁というほどの間柄でもないが、互いに戦火に身を置き、大局を見据えるもの同士。この程度の礼は惜しむまい。

 

「笑わせてくれる。それが道化の語ることかよ。まあいい。どのみち互いに、身の振り方が変わることはない。せいぜい悔いが残らぬよう、(つぶさ)に見定めるがいい」

 

 ……と、案じた矢先。よもや笑われてしまうとは思わなんだが、実際のところ可笑しな話ではある。構うまい。どうせこれが最後になるのだ。道化同士というのなら、礼節ついでにここはひとつ、彼方の身の振り方とやらも問うておこう。

 

「して。貴方の標的は? 何処へ転がり出ようとも、外にも内にも、混沌の波が在るばかり。それでも出向くと申すのだ。狙いは定めておられよう」

「無論だ。斯様な場面では手早く、()()を押さえるに越した事はない。混沌とあらば尚更な。嵩張(かさば)るばかりの差配など、時間の無駄もいいところ。……まったく、誰も彼も気が長い。万事を御し得る一事であれば、端から其処に在ったというのに」

 

 ……そうか。これで漸く合点がいった。

 

「なるほど──『()()』を穿つというのですな」

 

 万事を御し得る一事とは、事象の要に他ならない。形を留める楔。力を止める堰。あるいは、縁を束ねる要石。いずれにせよ、実在にかかる肝心要──其処さえ押さえてしまえたならば、これほど早い話はあるまいよ。

 

「──()()に関しては何とも言えん。後のこともあるからな。というか、それ以前の問題もある。なにしろ守りが厳重だ。付け入る隙はおろか、分け入る隙があるかも怪しい。……ふざけた話があったもの。いかに無防備を晒し、容易く潰える相手であろうと、依然として難攻不落に変わりはないときた。これではまるで、一国にでも攻め入るかのようだ」

 

 ……確か、斯様な奸計(かんけい)を『トロイの木馬』と云うのだったか。あるいはむしろシンプルに、『兵糧(ひょうろう)攻め』の格好となるやもしれぬ。いずれにせよ、(ふところ)に潜り込まねば始まらぬ話だが──机上の空論、というわけでもないらしい。

 

「……ふむ。それゆえの現状、というわけか。私が此方に、貴方が其方に。ああ。この差配であれば確かに、()()()()()()()()()()()

「心得ているじゃないか。ともあれ、所詮は盤上の振る舞いだ。面倒な話この上ないが、手順を(たが)わなければ良いだけのこと。好くも悪くも、判り易い話ではある」

 

 ……やれやれ。涼しい声色でよく云えたものだ。『代償』などと口にしたが、我ながら手緩い喩えであった。いっそ楽観的ですらあるだろう。そこへ被せて、先の言だ。その身が被る未来を想像すれば到底、左様な口調で語れた内容ではなかろうに。

 

「──そうですか。あくまで正気のうえ、なのですな」

「ぬかせ。狂いがあるのは彼方の側だ。あるいは、『歪み』があるのは、と云うべきか。此方は真に正す側。気が触れている場合ではない。その過程に如何なる代償があろうと、得られる結果と比べてしまえば、(ことごと)くが些細なことだ。たとえそれが、()()()()()()()()()()()()()

 

 どうやら、是が非でも為し遂げる魂胆らしい。……それもそうだろう。ここでそれを為し得ぬならば、いよいよもって、真も、偽も。両者を(から)くも分け(へだ)つ、垣根諸共に無へと帰し──すべてが露と消えるのだから。

 

「では──貴方は?」

 

 ──しかし、目的は目的。あくまでそれは客観的な『事柄』にすぎず、主観に根差した『動機』は視えぬままだ。ゆえに問おう。貴方にとって、其処には如何なる理由があり、魂を懸けるだけの価値があるというのか。

 

「此度の戦火の只中で。貴方はこれから何を為し──何を見定めるおつもりか?」

「────────」

 

 (もたら)されたものは、一瞬の沈黙。……妙な話だ。姿も視えぬ。(かお)も視えぬ。返答も得られてはいない。だというのに、この沈黙は──もはや何かを語り、言葉を尽くすまでもなく、充分なまでに雄弁だった。

 

 そして必然、私は──

 

「────それは当然。世界の終わりを」

 

 ──愚問を呈したことを()る。

 

「一度は滅び、行き場を失くした存在が。遠き呼び声を手繰り寄せ、仮初の肉体を誂え、生き汚くも明日を願う。そんな莫迦げた詭弁を道理にかざし、いまに在らんと(すが)るもの。度し難きそのすべてにいま一度、完膚なきまでの終焉を。この期に及んで編纂を図るなど──断じて赦してなるものか」

「………………」

 

 ──ああ。

 

「……そうですか」

 

 ──()()()()()()()

 

「……やはり──」

 

 それでこそ、

 

「──お伺いして、正解だった」

 

 骨身を削った甲斐がある。

 

「……気色の悪い。正気を問うべきはおまえの方だろうに。その様子では殺す気も失せるというもの。まあいい、精々そのまま酔っていろ。遅かれ早かれ、この場限りで消える身だ。それでもなお、今際(いまわ)の際を愉しむというのなら──餞別(せんべつ)程度はくれてやる」

 

 と、此方の返事を聞くが早いか。傍らの同席者はおもむろに、在るか無いかも判らぬ形を揺らし、何かを差し出す様子をみせた。

 

「……これは?」

 

 手渡されたそれは、ちょうど掌に収まる程度の大きさだった。おそらく、魔力を固めたものであろうことは窺える。質も程度も定かでないが、害あるものではないらしい。

 

「呆けたか? 餞別と言ったんだ。もはや無用の長物ゆえ、おまえにくれてやる。熨斗(のし)をつけてな。同時に借りも返したものとする。貸しの件も忘れていい。まあ、ある意味、()()()が変わっただけの話ではあるが」

「なるほど。わかりますとも。さては其方、何やらどさくさに紛れておられるな?」

 

 胡散臭い。というか白々しい。とんだ当て付け……いや、この場合は意趣返しか? とにかく其処(そこ)を突かれては、此方は返す言葉もない。つまるところ私には、この取引の意味するところに、()()()()が無いでもなかった。

 

「もし。聞いておられますかな──」

 

 ゆえに、余計こと不信感が拭えない。いっそ突き返してしまおうか──と、思いかけた矢先。

 

「────…………」

 

 差出人の気配はすでに、跡形もなく消えていた。

 

「──まったく。つくづく勝手な御方だ」

 

 ひとりになり、改めて周囲を見渡す。無論、何も視えない。何ものも()はしない。感ぜられる事柄といえば、相も変わらず滴り落ちる、僅かばかりの水の音と──この身に染み入る、霧とも露とも判らぬ涼気のみ。

 

「……暗い処だな」

 

 此処には他に、何も無い。感じ入るものも、求めるものも、生じるものも、何もかも。ゆえに此処には、『個』を証明し得る『()()』がない。とはいえ、

 

「だが──久しい感覚だ」

 

 斯様な環境であればこそ、この身に抱く感慨もある。今はただ、その質感を愛でるのみ。……どのみち待ちぼうけの身分なのだ。時間を埋めるには丁度いい。

 

「……では、ご来訪を待つとしよう。座しては陽の目を見ることのない、晦冥(かいめい)が如き無明にて──その命運共々に、(しか)とお見送り申し上げる」

 

 やがて、訣別の機は訪れる。(きた)るその刻、世界に響けし鳴音は、果たして汽笛の轟きか。或いは──

 

「いまは遠き、夢の名残よ」

 

 ──地を踏み鳴らす、足音か。

 

 






お読みいただきありがとうございます。


まっくらけな回。誰じゃお主らは。

第十節【烽火連天】は今章にて区切りです。
単節のボリュームとしては他の七割り増しぐらいになっちゃいました。好き放題やってるからこうなる。そんな調子にも拘らず、辛抱強く追ってくださっている方々、見つけてくださった方々、本当に有り難うございます。

次節からは各戦場の状況に移ります。
一人称視点を担うのは久々な面子も居れば、初めてな面子も出てくる予定。

引き続き、お付き合いいただけますと幸いです。
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