※Lostbelt No.6『妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ』の核心的なネタバレのほか、Lostbelt No.7『黄金樹海紀行ナウイ・ミクトラン』〜2部奏章『オーディール・コール』の一部内容に触れています。
※本作は後日、作者本人のpixivアカウントにおいても投稿予定の内容となります。
以上の事柄をどうぞあらかじめご了承ください。
◆◇
いつもどおりに、朝が来た。
「──さて、と」
窓を開け、シーツを取り替え、毛布を畳む。ささやかな数の私物を片付け、家具の埃をはたいて落とす。昨日まで過ごした部屋を、いつもに増して念入りに。
「水拭きも終わり。こんなところかな」
雑巾を木桶に入れ、風呂場を目指して廊下を歩く。夜のうちに冷えた空気が、濡れた両手をひやりと包む。
「よいしょ。わあ、思ったよりも濁ってる」
木桶の水に溶け出た汚れを見て、口をついての感想が漏れる。毎日こまめに掃除をしてはいたけれど、念を入れたらこのとおり。知らず知らずのうちに、容易には取れないほどの汚れがあったらしい。
「……こうなるくらいの歳月を、過ごしていたってコトなんだね」
ざばーっ、と流れる濁った水が、此処での生活を思い起こさせる。……不思議な感じ。お掃除自体はいつものルーティーンのはずなのに、これが最後になるんだと思うと──流れる水の濁りひとつをとっても、感じ入るものが多くある。
「……ありがとう。私の部屋になってくれて」
汚れた水にお礼を述べるなんて、ちょっぴり可笑しくも思えるけれど。実際これは紛れもなく、可視化された生活の跡ではあったのだ。
「よし。それじゃあ──」
木桶を逆さに、斜めになるよう立てて置き、雑巾を干して風呂場を出る。最後の掃除が終わったところで、次に行くべき場所へと向かう。……というかもう正直、廊下に出た瞬間から──誘惑に負けそうになっていた。
「──おはようございまーす!」
扉を開き、朝一番の挨拶を口にする。リビングはすでに暖まっており、鼻腔をくすぐる美味しそうな匂いが出迎えた。
「おはよう! って、ちょっとシルキー。それはいったい、何に対する挨拶なのかしらー?」
台所から顔を覗かせた奥方が、ニヤニヤしながらそんな言葉を付け加える。やっぱり表情に出てしまっていたらしい。
「えへへ、ごめんなさい。あまりにもいい匂いが、廊下にまで漂っていたものですから。おはようございます、マーガレットさん!」
「あっはっは! 冗談よ。昨晩から楽しみにしていたものね。私も早く食べたいと思ってたところよ。ほら、席に座ってちょうだいな」
「はい!」
食卓の中心には、昨日の昼ごろレパートリーに加わった野菜サンドがたくさん。よく見ると具が分厚く、昨日とは違った趣向が盛り込まれているようだ。さすがは料理に熱を入れる御仁。朝一番であろうとも、拘りどころに手は抜かない意気らしい。
「おはようございます、グノームさん!」
食卓の椅子にはすでに、旦那様が座っていらした。扉を開けた時からお姿は目に入っていたけれど、何やら手元に集中しているご様子で、こちらの挨拶は聞こえていなかったみたい。
「──ん。おう、おはようさん! 悪い悪い、読み忘れの書類に夢中になっていた。こういうのっていつの間にか溜まってるんだよなあ。よく眠れたか?」
「はい! ぐっすり眠れました。すみません、集中なさっているタイミングで」
改めて挨拶を済ませ、向かいの席に腰掛ける。卓上をぐるりと見渡すと、野菜サンドの端から覗く何かが視界に入った。
「構わん構わん。書類っつっても、どれもこれも浮き足立った広告よ。目新しさにゃ舌を巻くが、ガチャガチャしすぎて眼が痛くなるな、こりゃあ」
彼の手元にあったのは、装飾された文字が踊る広告の束。それぞれが大きさも縦横もバラバラながら、いずれも見劣りすまいとばかりに商品を主張している。
「ノリッジもこういう路線を押し出していくのかねえ。グロスターじゃあるまいに。俺ぁ『オシャレ』ってのは解らんわ。はっはっは!」
そう吐き捨てると、卓上を滑らせ、私の手元に数枚の広告を寄越す旦那様。ここ一年で目にした広告を思い浮かべると、紙面にしろ内容にしろ、意匠の進歩が目覚ましいのは確かだろう。特に『ペペロン伯爵』の名が轟くようになってからは、いっそう洗練されている印象だ。しかし──今のお言葉は、ちょっと聞き捨てならない。
「……そうでしょうか? 私に言わせてもらえば、そんな事はないと思います。それこそ、昨晩グノームさんがくださった野外ツール! 革袋から中身まで、クラシックでオシャレだなぁと思いましたよ。機能美と意匠が両立した、洗練由来の心地良さがあるというか。なにより──そう。持っているだけで、何かから守られているような気だってします!」
「え、マジで?」
「はい。えらくマジです」
本人は無自覚らしいけれど、旦那様の作品だって負けていない。というかそもそも、最先端の煌びやかさとは良さのベクトルが違う。後半のレビューはちょっぴり、フィーリングが過ぎるかもしれないけれど。ともかく──そう思った私はつい、感じたままを口にした。
「へ、へえ。そうか! はっはっは! ……もしやビジネスチャンスかな?」
「はいそこ。調子に乗らない、シルキーも乗せない! 身体はひとつなんですから。今でさえオーバーワークなのに、何翅ぶん働こうっていうんですか!」
と、思わぬところからブレーキが掛かる──そういえばそうだった。旦那様は興味が湧いた事柄ならば、他の一切が見えなくなるほどに熱中してしまう性格なんだ。それを焚き付ける格好になっていたらしい。本音から出た言葉とはいえ、ご無理につながるのは本意じゃない。
「ちぇっ。冗談だっての。俺も今はやりたい事が詰まってる。儲け話はキライじゃないが、平生仕事があるのが一番だ。シルキーにやったのが
ふふ。『唯一の品』なんて、旦那様ときたら。お仕事に節目を迎える頃なら、気の赴くままにできるでしょうに──なんて思いつつ、お忙しい合間を縫ってまで作ってくれた、貴重な御作を頂けたことを誇らしくも思う。
「そーいうことにしときなさい。はい、お待ちどおさま!」
そうこうしていると。さっそく盛り上がっている食卓に、湯気の立ちのぼる一品が運ばれてきた。
「わあ、なんだかとろみがすごいことに!」
「ふふふ。二日目の煮込みスープだもの。昨晩食べた時よりも一層、旨味だって増しているはずよ!」
得意げに語りながら配膳を終え、ふう、と言いつつ席に着く奥方。……どれぐらい早起きしてくれたんだろう。スープは昨晩の余りだけれど、たくさんの野菜サンドは今朝作られたものだ。
就寝前に朝食準備の手伝いを打診したけれど、『あなたは自分の準備に集中してね』と奥方は譲らなかった。彼女の拘りどころである事は承知だけれど……当人のご体調の件を思うと、有り難さと同時に心配も覚えてしまう。
「さ、食べましょう!」
「──いただきます!」
でも──うん、そうだ。昨晩に加え、私を交えての最後の食事だからと、一生懸命になってくれたご厚意なら。無粋な念は抜きにして、今は喜びを噛み締めよう。
「あ。キノコ! 野菜サンドにも使われたんですね!」
「正解! 噛みきれないと全体の食感が悪いから、いろいろ工夫してみたの。食べ比べてちょうだいな」
「おお。薄くカリカリに焼いたヤツに、小さく刻んで肉感を残したヤツと──もぐ。こいつは微塵切りでソースときたか。面白い!」
分厚い具の正体は、昨晩の料理に使いきれなかったキノコたち。こんなふうに化けるなんて、採ってきた私も予想外だ。
「余りが出るほど採ってくるたあ、昨晩は驚いたもんだ。籠一杯は籠一杯でも、まさか洗濯籠を一杯にしてくるなんてな! この分じゃ、先々の野営も
「キノコ狩りの腕はもう、私たちよりもシルキーの方が上ね。だからあなた、今後は薪と一緒に燃やしちゃダメですよ? 万が一の際、頼みの綱の補填係が居なくなっちゃうんだから」
そうそう。昨晩の旦那様の叱られっぷりときたら、それはもう眼を覆いたくなるような有様だった。対する奥方もまた、『わざわざ作った食料棚以外に置くおまえも悪い!』と反論されていたっけ。ひとまず私が仲介したのち、手近にあった籠を掴んで屋外へ飛び出し、無事に補填を叶えて戻ったことで鎮火に漕ぎつけたのだ。
「へいへい、善処しますよってんだ。……しかし、不思議なもんだなぁ。昨晩の件はちょうど、まるであの日の焼き直しだった。だが、同じじゃない。森で遭難していたお嬢さんが、いまや自分で森を歩けちまうとは!」
「(────)」
……そっか。そういえば私、昨晩はひとりで森に入っていたんだ。これまでも数度、天然食材の収集が趣味の奥方について行ったり、お使いで近隣を訪ねたりはしていたけれど──ふたりの仲介を兼ねた行動とはいえ、自分本位の目的で出歩いた事はなかったかもしれない。
「ふふ。ホントね。でも、私たちが助けられた事は、あの日とまんま同じだわ」
「あ。飲み干しちまった。スープ、お代わりあるか?」
「大食漢も変わりないのよねぇ! 良い事だけど。せっかくの特別製なんだから、ちょっとは味わってくれないかしら!」
まったくもう、と言いつつも、嬉しそうに席を立つ奥方。
「(──ふたりの仲も、相変わらず素敵だなぁ)」
二日目のスープを味わいながら、そんな事をふと想う。元は異なる食材も、調理の過程次第でこのとおり。熟成がもたらす賜物か、風味はいっそう深さを増して、至高の一品にだって成れるのだ。
「よいしょっと。もうお鍋ごとこっちに置いとくわ」
「あ、それなら私がお入れしますね。グノームさん、器をください!」
「おう。サンキュ!」
旦那様の器を満たし、奥方にも二杯目をよそっておく。自分もお代わりをいただくと、お鍋はすっかり空になった。
「まあ。売り切れ御免! それじゃあお鍋は下げておくわね。スペース、空けといてくれる?」
「はい!」
台所を往復しつつ、卓上の様子を窺う奥方。ここまで手際がよろしいと、私が手伝う隙もない。言われたとおりに整え終わると、次いで何かが運ばれてきた。
「えっ。すごい! これって──」
新たに提供されたのは、具だくさんの果実水。見たところ、これはサングリアだろうか。もちろんアルコールは入っていないけれど、見た目の豪華さだけで酔っ払いそうになる。
「ふっふっふ。昨日のシルキーの果実水で火がついちゃった。私も負けてらんないってね!」
「もしもーし。おかしいなあ。俺に調子に乗るなとか言ってたのはどこの誰だったかね?」
なんと。恐れ多くもお褒めに与った拙作が、巡り巡ってこんな逸品を連れてきたというのか。『よくやった、昨日の私!』などと内心はしゃいでいると、得意げな奥方の言を聞き、旦那様はちょっぴり訝しげに物申している最中だった。
「あっはっはっは! アンタだってシルキーに贈り物あげたでしょ。私からのひとつはこれってワケ!」
「ぐ。そう来たか! そりゃ結構なことだ。『鉄は熱いうちに打て』ってな。もっともこいつは、キンキンに冷えた飲み物なんだが──痛い、どつくな!」
文句を言うには分が悪いと悟ったらしく、奥方の言い分を受け引き下がる旦那様。後半に余計な言葉を付け加えたものだから、『やかましいわ!』と小突かれている。
「と──こんなバカをやってる場合じゃなかったわ。出発までにしっかり栄養を摂りなさい。野菜サンドの余りは包んでお弁当にするから、運転手さんと道中で食べるといいわ。その後は渡したレシピを参考に、保存食と併せて上手くやってね」
この一年を経た今、私の身体は奥方の手料理でできていると言っても過言じゃない。病気も怪我もなしに異郷生活を送れたのは、この家の一員になる事を許してくれた、優しいご夫婦に出会えたおかげだ。門出の間際にあってさえ、私の今後まで案じてくれている。
「(…………────)」
……うん。そうだ。やっぱり、節目は節目。機会を見計ってはいたけれど──このままいけば、きちんと言葉にするより先に、朝食の時間が終わってしまいそう。
「──今までありがとうございます。グノームさん、シルキーさん」
だから。この場が暖まっているうちに、告げるべき事を告げなくちゃ。
「おふたりのおかげで、私は今日を迎えられました。感謝してもしきれません」
サングリアを口にする前に、頭を下げて御礼を述べる。命の恩人にして、異なる世界の隣人に、目いっぱいの感謝を込めて。
「もう、改まっちゃって。それは私たち夫婦にとっても同じ事よ。シルキーのおかげで、一生の思い出を作ることができたわ。……今日まで本当にありがとう。この家は寂しくなるけど、私たちもいつもどおり──やりたい事をやって過ごしていくわ」
「──ん。そうだな。短い間だったが、おまえさんはうちで充分よくやってくれた。優秀な手伝いが居なくなるのは手痛いが、もとはふたりでやってきた事だ。今日からは気兼ねなく、外でよろしくやってくれ、シルキー!」
満面の笑みを浮かべながら、思い思いに言葉を告げるふたり。すでにいっぱいのお腹に加え、胸の中までいっぱいになる。
「──はい!」
心尽くしの激励に、力強く頷いて。最後の食卓を締め括る、思い出の味を口にした。
「──あはは。やっぱり、マーガレットさんの果実水がいちばん美味しいです!」
「あっはっは。それは良かった! ただし、ソレのレシピだけは教えないわ。今後の宿題として持っていきなさい!」
「は、はい先生!」
「へえ。こいつにライバル視までされちまうとは、やるじゃねえかシルキー!」
改まってはみたけれど。笑い声の響く食卓は、やっぱり見慣れた光景で。名残惜しさを感じる暇もなく、いつもの時間は賑やかに──あっという間に流れていった。
◆◆
「──おーう、おはようさん! 道中で荷車がぬかるみにハマってよう。ちいと遅れちまった。コッチはいつでもいけるぜー。ソッチの準備はできてるか?」
食器を片付け始めた頃に、朝一番の来客が。そのお方はもちろん、昨日のうちに旦那様が約束をとりつけてくださった、ソールズベリーへの直行便──もとい、ご夫婦宅の常連さんだ。
「おう、ご苦労さんだな
「いらねえいらねえ。車輪が回ってりゃ泥も落ちる。どうせ走らせっぱなしになるんだからな。いざとなったら上着で拭うさ!」
合理的と言えば合理的……なんだろうか。商売道具の扱いである以上、ご本人の方針を尊重するべきだけれど──この一年お掃除に熱を入れていたせいか、今のは妙に血が騒ぐお話だった。
「──とか言ってるぜ。シルキー」
「ええ。おはようございます、フェノゼリーさん。よろしければ私に、荷車の清掃をお申し付けください。道中は何泊か野営になるでしょうから、しばらく動かさないタイミングにでも、ぜひ」
「お、マジで? そいつはありがてえ。ギブアンドテイクってやつだな!」
よし。ピッカピカにしてやる。彼の衣服が可哀想な目に遭わず済むように。
「あら。さっそく商談成立? やるじゃないシルキー。その手腕なら、今後の滞在先でも仕事がとれそうね!」
そうこうしていると。朝食で食べきれなかったぶんの野菜サンドを包み終え、奥方が話の輪に加わった。
「おうマギー。あっ、そいつはもしや!」
「ご注文の品よ。ふたりぶん包んであるから、休憩中にでも召し上がれ!」
「ひゅう! わざわざありがとうな! そんじゃあコイツを昼の楽しみに、いっちょ働いてきますかねえ!」
そういえば彼、昨日お帰りになる間際に『その珍しいヤツ、俺にも食わせてくんねえか!』なんて言っていたっけ。受け取るやいなや、包みを掲げて喜んでいる。気が利く奥方のことだから、たとえ申し出がなくともこうしただろうけれど。
「よし。シルキー! 玄関先に荷車を着けてあるから、ぼちぼち荷物を積んじまってくれ。予定より急いだほうがいいかもだ」
朝食の片付けが終わるタイミングを見計らってくれたらしい。台所を離れようとした私に向けて、運転手さんが声を掛ける。
「ここ数日にも雨が降ってたろう? いよいよ雨期の入り口ってこった。『善は急げ』ってな!」
「そうですね。すぐに積んでしまいます!」
そう。ここ最近の朝の冷え込みも、昨晩たくさんのキノコが採れたのも、雨の頻度が増したことによるものなんだ。そのおかげでご馳走が実現したワケだけれど、この先の道程にも影響が出る可能性がある。現にさきほど、彼の荷車を捕まえるほどのぬかるみが作られていたくらいだ。急ぐに越したことはない。
「(──これで全部、と)」
着替えを包んだ袋がひとつに、仕事道具をまとめた風呂敷がひとつ。じつにコンパクトなボリュームながら、これらが私の全財産。今から運んでいただく事を思うと、少量に収まったのはむしろ幸いだったと言うべきか。
「──荷積み、完了しました!」
「おう! って……おう? 荷台の横で何やってんだシルキー。お前さんもそこに載るんだぜ。乗客兼、積荷なんだからよう!」
「えっ? あ!」
うっかりしていた。そうか。私は文字通り『運ばれる対象』なんだから、荷台に居なくちゃいけなかったのか。
「なんだシルキー。まさかおまえ、コイツと一緒に荷車を押していくつもりだったのか? やめとけやめとけ! 平生は荷台いっぱいの資材を引いてる奴が運転するんだ。手伝おうとしたが最後、
「そっ、そうですよねすみません! それでは荷台、失礼します!」
考えてみれば当然の話だ。私はただの人間で、フェノゼリーさんはグノームさんと同じく『土の氏族』の妖精さん。お年を召されているとは言っても、私なんかとは
「はっはっは! その気遣いだけは貰っとくぜ。だが心配は無用だ。資材だろうが乗客だろうが、載せたモンはキッチリ運ぶ。そいつが俺の仕事だからな!」
そうだ。彼もまた旦那様と同じ、職人気質の働き者。『やりたい事』にかける意気たるや、余人に立ち入る隙があるはずもない。せいぜい振り落とされることがないように、積荷の身に徹するとしよう。
「ふ、ふふ。あはは。なんだか面白い光景ね」
「マ、マーガレットさん!」
荷台に鎮座する私を見て、お腹を抱えて笑う奥方。恥ずかしくなるからやめてほしい。
「あはは! ごめんなさい。……ちょこんと乗ってるシルキーが可愛らしくて、つい」
「────。もう……!」
……本当に。これから出発だっていうのに、恥ずかしくて恥ずかしくて──あなたの笑い泣きにつられて、こっちも涙が出ちゃうじゃないですか。
「──おーし。そんじゃ、行くとしますか!」
そんな私たちを見届けたあと、フェノゼリーさんが鶴の一言を口にする。
「──じゃあね、シルキー。身体には気をつけて!」
「……はい。マーガレットさんも!」
「達者でな、シルキー。道具の手入れは忘れるなよ!」
「──はい。お約束します、グノームさん!」
家族と言っても過言ではない、ご夫婦のお見送りを受けながら。またいつか、再び会えますようにと希望を抱いて──私はあえて、この言葉を口にする。
「──行ってきます!」
次に迎えられるときは、『異郷に転び出た遭難者』としてじゃなく。もっと多くの事を経験した、『この世界に生きるひとり』として──胸を張ってもう一度、ふたりの元を訪ねるために。
お読みいただきありがとうございます。
あったかハイム回はここまで。
彼女の追憶はもう少しだけ続きます。
時系列がはっきりしてきましたね。
バレンタインイベント!
小野小町さんがついに登場しましたね。お父様が負けじと可愛い。
毎日少しずつ受け取り&お渡しをこなしているところです。
そうそう。前回PU時にようやくUDKバーゲストをお迎えし、今シーズン晴れて初見を果たしたのですが……
『ナカムラ』! 本当に居るんかい!
どうなっていらっしゃるんですかね。噂には見知っていましたが、自機で目の当たりにした時は衝撃でした。面白いおっちゃんがすぎるでしょう。実年齢的にはおじいちゃんと言うべきかもしれませんが。
本作完結までに彼の新描写がお出しされようものなら、さすがにそれ準拠に調整する箇所が生じるやもしれません。NPC実装とか、それはそれで嬉しい悲鳴になりますね。アイテム交換所担当なんか適任でしょうあのひと。
引き続き、お付き合いいただけますと幸いです。