挿絵 チル姐 様
※注 書き方がいつもと違います。違和感がある方はご注意ください。
「今日は、テメーらに命の大切さについて学んでもらう」
「先生!お腹が空いたペ」
フィオナがふざけた発言をします。
彼女は、この後バグパイプと名乗る勇ましい戦士になるのですが。
今はまだ、子供のようです。
「フィオナは霞でも食ってなさい。テメーらには、オリジムシを育てて、最後は食べて貰おうと思ったが 、学校からの許可がおりなかった」
「当然だと思います」
彼女は、聡明な頭脳の持ち主です。
どう考えても、オリジムシを食すというイカれた発想は常人には理解できないことを知っています。
「ネズ公の正論は聞いていません。なので──」
「なので?」
彼女は、このクラスの中で一番先生にやさしいです。
世界を知らないために、おじさんが輝いて見えるのでしょう。
「テメーらには、パワードスーツ君を育ててもらう。最後には廃棄する予定だ」
「無理やりですわ」
ベアトリクス・スワイヤーがツッコみます。
彼女はこのクラスきっての常識人なので、何時も疲れています。
心なしか、ツインテールもしなっています。
「お嬢は黙っていなさい。3ヶ月後が期限だ」
おじさんは、無理やり黙らせます。
無茶苦茶を言っているのは分かっています。
ですが、おじさんには育成したパワードスーツを売り払い、小遣いを稼ぐという野望があります。
「では解散だ。3か月後の回答を楽しみにしてるぜ」
◇◆◇
3か月後────
「テメーらの回答を聞こうか?」
「チェン頼んだわよ」
スワイヤーは、託すように言います。
その瞳は決心に宿っており一概にお嬢と片付けるには無理があります。
彼女とチェンは、言葉を交わさずとも言いたいことが分かるのかもしれません。
「了解だ。私たちに3ヶ月間共に暮らしたパワードスーツ君は廃棄できません。なので───」
「ほう、流石だ。後は、俺に任せろ」
おじさんは、満足に頷きます。
きっとこの後売ったお金でどんな酒を買うのか考えていることでしょう。
「────反逆します。このパワードスーツ君と共に」
「ヘっ?」
チェンは、パワードスーツに乗り込みます。
沈黙していた機体は、『ゴゴゴ』と音を立て動き出します。
その姿は、渡した時よりも勇ましく堂々としていました。
「この腐った大人達を叩き潰すぞ!」
「「「クリーク、クリーク、クリーク!!」」」
チェンは、皆に号令します。
彼女の声で、生徒は皆奮起します。
「やってくれる。なら社会の厳しさっての授業だ」
おじさんは、少し焦った声を出します。
生徒と衝突はあるかと思いましたが、方向性が違いました。
おじさんは、手にチョークを握り戦闘態勢に入ります。
「無駄だペ。チェンちゃんが乗っているパワードスーツは全盛り」
「黄昏を用いても削れませんよ」
「倒したいなら、BBQでもいかがですわ」
3人の生徒からの発言が飛んできます。
確かに、普通なら全盛りパワードスーツ君は賃金斬でも削り切れません。
おとなしく、あきらめて点数を下げるのが賢いやり方です。
ですが彼女たちは、相手がおじさんということを忘れています。
「それは、どうかな?封印解除────」
骨子素材の組成:変更
アーツの収束率:規定値を突破
幻想武器の構築:開始
開封の宣言を受けたかのように、おじさんの手の中でアーツは光ります。
ただのチョークでさえも、おじさんの手にかかれば封印を解かれた武器となります。
この───『槍』の封印を。
「────!」
チェンが襲い掛かりますが、爆発的なアーツの前に攻撃が通りません。
弱い攻撃は強い攻撃の前に打ち消されるそれがこの世界のルールです。
ですが、攻撃すらしてないのに届かないとは、この『槍』はなんなのでしょうか。
「チェンちゃん」「チェン!」「あの武器は」
3人の声も遠く聞こえます。
「聖槍、抜錨」
おじさんのアーツが爆発します。
常識ではあり得ぬ、速度、体積で形を変え、新たなる『槍』を形成します。
『槍』です。
『槍』なのです。
いや、余りに莫大なアーツを内包したそれは『槍』というには言葉が足りません。
あたかも、世界を、物語を終焉させる終始点。最果てに見る夢のごとく美しいアーツの結晶はです。
それは別の世界の幻想。
知りえない物語の終始を務める呪われし武器。
おじさんは、静かに言葉を紡ぎます。
「最果てに────」
時が動き出す。
鼓動が動き出す。
内包するアーツがあふれ、教室が震えます。
チョークから、聖槍を作り出すことは本来は不可能です。
ですが、おじさんは教室、いや学校中から素材を集めることで起動させることに成功したのでした。
周囲から奪い、暴力を齎す様はまさしく天災といってもいいでしょう。
極度に集中したアーツは光を放ち熱を持ちます。
それは、太陽を手にしているかのようです。
もはや、パワードスーツでの攻撃は無意味でしょう。
否、効くはずがない、それは絵本で読んだ英雄が持つ伝説の武器が如くです。
「────輝ける槍───!」
天が落ちてくるなんて誰が知っているのでしょうか。
明けない夜などはない、そう思わせる光────無が落ちてきたと錯覚させるような美しい光の螺旋です。
教室の物は壊れ、世ならざる閃光は世界を貫きます。
パワードスーツ君は、光の前に残骸となります。
教室を破壊し、学校を抜け、ビクトリアの城壁を貫ぬきながら光は途絶えます。
残ったのは、パワードスーツの残骸と
目を回すチェンでした。
◇◆◇
おじさんが怒られ、光が噂になっている少し後のこと。
教室内にて。
「いや、そうはならんだろ」
「そうなったのよ、チェン」
「現実を見なさい(もぐもぐ)」
「ご飯がおいしいだぺ」
破壊されたパワードスーツ君は、最後に微かに動く動力を使いBBQの熱源にされるのでした。
もちろん、お肉代はおじさんに請求されました。
今日も、テラは平和です。
ここまで読んでいただきありがとうございます。作者です。
という訳でファンアートを貰って、うれしくなったので挿絵に使いたかった回です。ファンアートをくださったチル姐 様ありがとうございます。
話の内容がない?聖槍の描写で燃え尽きたんだよ。こと細かく魔術描写ができる三田先生は化け物だと思いました。まあ、コーヒーを入れる間にでも読んでいただければ幸いです。
いやー、いいですね。自分の画力は死んでるので、人からお恵み頂けるとほんとうれしいです。えっ、お絵描きと執筆の努力をしろ?ちょっと何を言ってるかワカラナイ。