原神 自分を一般人だと思い込んでいる主人公の兄   作:アリエイルでしょ

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今年の五月病は長かったな


お礼参り-璃月編-10

 璃月のマスコット誘拐事件は、公子タルタリヤが発言したしょうもない失言の所為で発生した…ということで完全に幕を下ろした。

 

 事件が起き、悲しんだ人も出る不幸な出来事ではあったけど、千岩軍が取り締まるのに苦戦していた宝盗団の奴らが、今回の一件で迅速に確保されたので、そこだけは良かったかなと個人的には思う。

 

 それから時は流れ、俺の捜索願がこの璃月港から消え去って早3日… 蛍の友人(知ってる奴ら)に会いに行ったり、組合からの依頼をこなして過ごしていると、俺たち宛てへ以前に凝光から連絡があったそうだ。内容は俺たちがお願いしていた、稲妻へ向かう船について。それがなんともう用意できた――

 

 

「って甘雨さんがお昼くらいに伝言で来てたよ。明日のお昼くらいには船出せるってさ」

 

「バカな…早すぎる…」

 

 

 この情報を伝えるためだけに使い走りにされてきた甘雨から伝言を聞いたと胡桃から今(夜)聞いた。今日は朝から皆(鍾離も含む)で外へ出ていたから代わりに彼女が聞いてくれていたのだろう。ほら、今回俺たちって璃月に滞在してる時は往生堂の世話になってたしね。

 

 

「彼女は北斗殿の都合を何とかするため、一先ずは3日程時間を貰えないかと言ってはいたが…」

 

「私はてっきり3日後にいつ頃船を出せるかを教えて貰えるものかと思ってたけど」

 

 

 まさか3日で北斗の予定を空け、稲妻行き便の依頼をねじ込むとは… もう少し璃月でのんびりするか、回答次第では先にスメール行きかな~くらいに考えていたので、この結果には流石に驚きを隠せない。

 あまりのスピーディな展開に少々面をくらっていると胡桃は何かを思い出したのか、笑いながら話を再開し始めた。

 

 

「あっ、そうそう! ふふっ… 来たのは確かお昼前くらいかな? みんなが居ない時間だったから、私がとりあえず代わりに聞いておいたけどさ… 聞いてもうびっくり! たったそれだけを伝えるために態々来たんだよ!? それに!疲れてそうだったから、お茶くらい出すよーって言ったんだけど「お気持ちは嬉しいですが今忙しくて…すみません…」とか言って急いで帰っていってさ!」

 

「んー… 甘雨なら確かにそう言ってそうだけど、そんなに笑う程面白いか?」

 

「俺はかわいそうだと思う」

 

 

 不憫な目に遭っただけの甘雨を面白がっている胡桃。パイモンの言う通り、俺もなにがそんなに面白いのかはよくわからないけど… 感性が変…いや変というか独特なんだなって感じ。

 

 

「くすっ 胡桃の甘雨の真似、ちょっと似てたね」

 

「……いや、反応するところはそこじゃないだろ」

 

 

 変な奴はこっちにも居た。ここに来てから蛍と結構な時間を共に過ごしてきたけど未だにキャラを掴みきれてない気がする。言ってしまえばそもそもこんなに重たいイメージもなかったし。

 

 

「他にももっと暇を持て余している人とか絶対居ると思うのにさー… んふふっ! おかしいねっ!」

 

「きっとそれも凝光殿の配慮だろう。見知った友人が訪ねて来た方がという考えかもしれないな」

 

「なんかオイラちょっと甘雨がかわいそうになってきたぞ… 今度会った時なんかお礼しようぜ」

 

「それなら清心でも渡そうか」

 

 ズレた部分を笑う2人を無視してパイモンと相談する。

 記憶が確かなら清心は彼女の好物だったはずだ。今度再会した際に忘れずに渡そう。

 

 

「しかし稲妻か、彼女に会うのはいつ振りになるか… 時が経ち、俺も彼女も互いに立場は移ろったが…その末に見たもの、感じたものを是非とも共有してみたいと思っていた」

 

「え」

 

「んんっ!? 鍾離も稲妻に来るつもりなのか!?」

 

 

 話も一段落し、油断していたところで然もありなんと爆弾発言をかます神。鍾離はなぜか俺たちと一緒に行動するのが当たり前になってきてるけど…このまま普通に稲妻まで着いて来るつもりなのだろうか?

 なんか劇観てたり、露天商の品を見てたり、歴史や食に精通してたりと…普段なにしている人なのか良くわからないけど、客卿ってそんなに好き勝手してていいものなのか。

 

 

「いいかも。影も喜ぶと思う」

 

「喜ぶって、そんな勝手な…」

 

 

 連れて行くことに乗り気な様子を見せる蛍。え、マジで神様連れて行くのか?

 そんなに勝手に決めてしまって本当にいいのかと視線を胡桃の方へ向け、反応を伺う。

 

 

「え? えぇ… い、いやいやいやいやっ!? 鍾離さん流石にそれは駄目だって! まあ璃月に居る分には何しててもいいかなーとは思ってたけどさ! 流石に国外まで行かれると困るよ!」

 

 

 先ほどまで甘雨を面白おかしく笑っていた胡桃も鍾離の発言を理解した瞬間、目に見えて動揺し鍾離を引き留め始める。

 

 

「俺が居なかったとしても今の胡堂主であれば、仮に再び送仙儀式を執り行うとしても問題ないと思うが… 現に俺がモンドに向かった際は快く送り出してくれただろう」

 

「それはっ… そうかもしれないけどさ… あっ、ほら契約! 鍾離さんは契約を重んじる人でしょ! そんな二次会行くみたいなノリで海超えて行こうとしないでよ!」

 

 

 稲妻はモンドと違って船旅だから、サッと行ってスッとは帰って来れないんだよ? と胡桃から追撃を受ける鍾離。彼のこのフットワークの軽さは一体…と思っていたけど、そういえば鍾離って過去にモンドまで散歩して来たことがあったんだっけ。納得。

 

 

「む… 契約とあれば行くのは憚られるな。長期の休暇を頂くにしては少々急が過ぎたか」

 

「流石に急過ぎだろ… オイラってば結構びっくりしたぞ」

 

「私もびっくりだよ… 鍾離さんってばちょっと奔放過ぎるよ! これを私が言うのもなんだけど…もう少し落ち着きを持ってよねっ」

 

「善処しよう」

 

 

 とりあえず、鍾離の契約を重んじる性分に胡桃の言葉が刺さったのか、一応彼は稲妻行きを諦めたようだ。

 

 

「残念だな… スメールに行くときは大丈夫かな?」

 

「え、そっちも?」

 

 

 そっちに行くときも声かけるのかよ。

 

 

 

 

 

 

 翌日、組合にも顔を出して璃月港を出る準備を済ませた俺たちは北斗たちが待つ港方面へ向う。

 これから船に乗せてもらって稲妻へ向かうのだが、どれくらいの時間で到着するのかはわかってない。そういうの詳しくもないし。事前の心構えとしては長時間船に乗ることに対してあまり気乗りしないといったところか。

 

 

「ここ数日の天気は安定しているようだ。お前たちの船旅も比較的穏やかなものになるだろうな」

 

「だといいけど…」

 

 

 俺の適当な相槌には目もくれず、その後も他に風向きや季節がどうこうと解説を続ける鍾離。彼がそこまで言うのなら大時化で厳しい船旅になることもなさそうではあるが、そもそも海上の揺れ動く足場ってだけで酔う可能性もあるわけで… などと船に乗る前からネガティブ思考になってきている自分がいる。別に船酔いを経験したことも多分ないし、するタイプなのかも知らないけど。

 

 

「これから稲妻に向けて出発だって時なのになんか浮かない顔だな、空は船酔いでもするタイプなのか?」

 

「どうだろ。蛍なら知ってたりする?」

 

「私もお兄ちゃんもしない方だよ」

 

 

 蛍から覚えてないの? と確認されるが俺が知らない過去の話とかに話題が逸れていっても困るので適当にスルーしておく。

 

 そうした雑談をしながら港へ向けて歩くこと数分。船の前で俺たちを待っていた北斗たちに合流した。

 

 

「待ってたよ蛍、パイモンも変わらず元気そうだな!」

 

「北斗! それに万葉も!」

 

「2人とも久しぶりでござる。お主の家族も見つかったようで良かったでござるよ」

 

 

 北斗も万葉も謎に蛍の横に居るやつ(俺)を見ても驚く様子を見せない。そこそこの期間を璃月に滞在し、色々と動き回っていた所為か蛍の兄貴が見つかったということがある程度認知されているようだった。

 

 あのおびただしい量の張り紙もこうしてスムーズに話が進むことに貢献していると考えると無駄ではなかったのかもしれないかと感じた。が、どう考えても悪目立ちの方が大きいか。そもそも似顔絵を蛍が書いたのかわからないが変に美化されてて変な感じだったし。

 

 

「北斗、万葉。この人が私のお兄ちゃん。よろしくね」

 

「蛍の兄やってます、空です。これからお世話になります」

 

 

 一先ずいつも通りの流れで蛍に軽く紹介をしてもらい、改めて簡潔に自己紹介をする。

 

 

「よろしくでござる。拙者は楓原万葉、稲妻出身でござるが今はこうして姉君と一緒に行動させてもらってるでござるよ」

 

「南十字船隊の北斗だ。手まで繋いでいるなんてな。噂通り兄妹仲も良さそうでなによりだよ」

 

「…その辺はノーコメントで」

 

「ハハッ! なんだアンタ、兄妹同士なのに照れてんのか?」

 

「そうみたい。お兄ちゃんは人目を気にしすぎだと思う」

 

 

 そうみたい、じゃないんだよなぁ。照れてるというよりも怖いんだなこれが。この程度ならまだ平気だけど夜とかたまに目の前数センチくらいの距離に気配を感じたりで怖いんだよ。

 苦笑いでお茶を濁していたら北斗の興味は一緒に来ていた鍾離の方に向いたのか、彼の方に向き直り話しかけていた。

 

 

「どうやら先生も一緒みたいだが、蛍たちと稲妻まで向かうつもりかい?」

 

 

 俺たちに何故か同行している鍾離に対し、北斗が共に稲妻へ行くのかと問いかける。事前に話を凝光から聞いているとはいえ、彼女も特に稲妻へ向かう人数などは伝えていなかったのだろう。

 

 

「いや、俺はただの見送りだ。」

 

「できれば一緒に行きたかったけど胡桃からの許可も出なかったし、稲妻での滞在期間も決まってないから難しいんだと思う」

 

「そうか、先生と交流できるいい機会だと思ったが… そいつはまた今度になりそうだ」

 

「まあスメールに行くときにまた璃月を通るからな! その時にいくらでも機会はあるだろ!」

 

「ああ、その時は北斗殿たちも彼らの稲妻での話を聞きつつ共に語り合うとしよう」

 

 

 鍾離と璃月に戻ってきた後のことを約束に交わしつつ船に乗り込む。ついにこの璃月とも一時的にさよならだ。

 次に向かうのは稲妻。何かを自分について1つでも思い出せることがあればいいんだけど…

 

 




原神モチベの低下が凄い。これも全部エルデンリングってやつの仕業なんだ…
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