そして、アズレンのキャラに対して残酷な描写が含まれている可能性があります。
苦手な方いたらごめんなさい。
あといつもよりも長いです。
「なにィ!?市街地が襲撃を受けただとォ!?さっさと第一艦隊を対処に向かわせんか!!」
ゴテゴテに飾った派手な部屋で一人の男が怒鳴り散らしている。ここはA基地。悟が住んでいる街の近くにある基地である。
「し、しかし指揮官様!艦隊はろくに補給も休憩もせず何度も出撃したせいで消耗しきっています!せめて補給だけでも…」
と、男の命令に抗議する狐の耳を生やし、茶色の着物を着た女性。しかし…
「黙れ!補給など許さんぞ!なぜ貴重な物資をみすみす
無茶苦茶な理論をまくしたて、ついには最愛の妹をも人質に取る始末。男はまるで聞く耳を持たない。どうやらこの男は艦船は使い捨ての道具としてか見ていないようだ。たとえ戦えなくなっても変わりがいると思い、あくまでも自分たちに補給をさせないつもりらしい。その事実に狐耳の女性は唇をかみしめる。
こんなやつ、指揮官でなければ今頃は…! だが、ここで歯向かえば妹が危険にさらされる。それに、こうしている間にも街はセイレーンによって蹂躙されているのだ。ここで余計な時間を割くわけにはいかない。
「ッ…!!……わかりました。ただちに第一艦隊を出撃させます…。」
もうたくさんだった。ああ、一体いつまでこんなことが続くのか。一体いつまで
願わくば、誰かにこの忌まわしい状況を変えてほしかった。
そんなことを考えながら、私……「赤城」は、執務室から出ていった。
「出撃命令…です?」
「ええ。セイレーンが街を襲撃しているわ。一刻を争う事態よ。…こんな事、言いたくはないのだけれど…補給はないそうよ。すぐに出撃の準備をして頂戴。」
「……わかったのです。」
悲痛な面持ちで出撃の知らせを伝える。そしてそれに素直に答える白髪の長い髪をポニーテールにした女の子…「綾波」
「情報によれば量産型セイレーンの
「…わかったのです。」
「わぅ……お腹…空いたなぁ…」
と呟いてタトゥーを入れた腹をさすっている犬の耳が生えている少女…「夕立」
「流石の雪風様も、疲れたのだ…」
弱々しく呟く、美しい銀色の髪をなびかせている犬の耳が生えている少女…「雪風」
「ちょ、ちょっと…みんなしっかりしなさいって!」
美しい黒髪に可愛らしい犬の耳が生えた少女…「時雨」
「また、あの
暗い顔をしながら呟き、腰の軍刀に手をかける白い軍服を着た女性…「高雄」
「高雄ちゃん…」
同じく白い軍服を着て軍刀を差し、姉を心配している女性…「愛宕」
以上の6人が、第一艦隊を構成する艦船だ。「艦隊」と言っても、なんとかまだ動くことのできる艦船が寄せ集められているだけの悲惨な状況だ。他には第二艦隊、第三艦隊とあるがその2つの艦隊は常に委託に行かされているため戦闘をするときには第一艦隊が担当するような形になっている。
そして彼女たちがここまで憔悴しきっているのも無理はない。なにせ碌な食事も与えられず、さきほどあったように満足に補給もさせてもらえない。さらには男のストレスの捌け口にされることもしばしば。これは第一艦隊だけでなく他の艦隊の艦船たちにも矛先は向いている。
そんな劣悪な環境によってコンディションも最悪に。そしてそんな状況の中、何回も出撃させられているのだ。轟沈した者がいないことが奇跡だった。
そして、このA基地に所属しているどの艦船もこう思っていた。
「この状況は一体いつまで続くのか、いつになったらこの悪夢は終わるのか、願わくば誰かこの状況を変えてくれ。誰か……助けて」と。
彼女たちは知らない。今日、その願いが叶うことを。
彼女たちは知らない。ある一人の少年によってこの地獄から解き放たれるということを。
これから起こることを彼女たちは、まだ知らない。
「第一艦隊、出撃する。」
セイレーンに襲撃されている街は、A基地から近かった。近いことですぐに助けに行けるが逆に言えば基地も攻撃を受けやすい。よって素早く掃討に当たらなければいけなかった。
しかし、前回悟が呟いていたように普通ならば街にセイレーンが直接襲撃しに来るのはあり得ない。それは艦船による哨戒が徹底されているからだ。だから、セイレーンは街どころか重桜の領域に侵入することすらできない。
普通ならば。
しかしここはA基地。さきほどあったように碌に補給もさせず、ほとんどの艦隊は委託に行かされているためまともに哨戒などできるわけがなかった。
「街が襲撃を受けている。敵は量産型セイレーンの駆逐5、軽巡3、重巡2と数は少ないが放っておけば私達の基地も攻撃されかねない。赤城殿も言っていたが他に敵がいないとは限らない。周囲を警戒しつつ素早く倒すぞ。」
「「「了解」」」
旗艦の高雄が全員にやるべきことを通達する。やはり腐っても艦船。ひとたび戦場に出れば例え消耗していようともその目や意識は戦う者のそれへと変わっていた。
母港を出てそれほど経たないうちにその轟音は聞こえてきた。
それと同時に量産型セイレーンの姿も見えた。すでに街からは火の手が上がっており、建物もいくつか破壊されていた。だが、セイレーンは街を砲撃するのに夢中でこちらの姿は見えていないようだ。
「よし、こちらには気づいていないな…まずは
セイレーンに気づかれないように慎重に近づいていく。そして十分に接近した後…
「全艦、突撃せよ!」
刀を抜き、一気に突っ込んだ。
戦いはあっけなく終わった。
最初の突撃で重巡どころか艦隊の大半を吹き飛ばしあっという間に決着がついたのだ。これで街は助かった、が
「もう少し早く来ていれば、街は襲われずに済んだのに…それに、ちゃんとした指揮官がいれば哨戒だってできたのに…」
「時雨…」
「それに、燃料と弾薬がもうほとんど無いのです…」
「基地に戻ったらこっそり頂いちゃいましょう?」
舌を出しいたずらっ子のような笑みを浮かべおどけてみせる愛宕。そんな様子に少し気が抜けた綾波。
「おい。周囲への警戒を怠るなと…」
と、言いかけたその時。
ズドドドドォオオ!!
突然砲弾の雨が降り注いだ。
「きゃあああ!?」 「うわあぁ!?」
「愛宕!」 「夕立!」
「いたた…ちょっと油断しちゃった…」
「うへぇ〜…まだまだやれるぜ〜…」
二人が被弾してしまった。なぜ、一体どこから。
「あはははは!」
上の方から無邪気な、それでいて狂っているような笑い声が聞こえてきた。
「お前は…ッまさか!!」
人間離れした黄色い瞳孔、背中にはシュモクザメのような艤装。白髪をポニーテールにまとめた少女が、こちらを見下ろして楽しげに笑っている。
なぜ、こんなところに…こいつは…
ピュリファイアー
セイレーン、その上位個体…
「な〜にさ。いちゃいけなかったわけぇ〜?」
相変わらずこちらを面白そうに見下ろしている。その目はまるで面白いものを見つけた子供のようでいて、狙った獲物を決して逃がさんとする猛獣のような鋭さも秘めていた。
撤退…だめだ、こいつが私達を逃がすわけない。それに街が攻撃される。
戦闘…愛宕と夕立が戦えない今、現実的ではない。
どうする…どうすれば…
絶望の二文字が高雄の頭の中を支配した。
「高雄さん。みんなを連れて逃げてください。ここは綾波が引き受けます。」
背後に仲間を庇うようにセイレーンの前に進み出て、持っていたブレードを構えた。
「なっ…!?綾波!?」
「なっ、何言ってるのよ!そんなのダメに決まってるじゃない!」
「…綾波達だけではこいつには勝てないです。赤城さんや加賀さん達がいないと…それにさっきの戦闘で燃料も弾薬もあまり無いのです。だからみんなは一度戻って補給して、戦える人達を呼んできてくださいです。」
油断なく睨みをきかせながら二人に答える。
「しかし、それはお前だって…!」
「大丈夫です。綾波はこんなところではやられないのです。」
後ろを振り向き、自分のことを心配してくれている仲間達にしっかりとした声色で答える。
「綾波…」
「さ、早く!」
「…すまない。すぐに戻るからな!」
愛宕と夕立を曳航して離脱していく仲間たち。
「おっ、作戦会議は終わった感じかなー?お仲間はみんな君をのこして逃げちゃったようだけどー?」
相変わらず憎たらしい笑みを浮かべてこちらを見下ろすセイレーン。
「…」
その挑発に対して無言でブレードを構え直す綾波。
「あはは!まさか、本気で私と一人で戦うつもりなのー?それか、逃げたお仲間は他の仲間でも呼びに行ったのかなー?君はそれまでの時間稼ぎだったりする?」
まずい、見抜かれている。だがそれを悟られる訳にはいかない。
だから、答えない。
「ふーん。こっちのことは無視しちゃうんだー。まぁいいや。」
両手を誘い込むように広げた。刹那、ピュリファイアーの背後から量産型セイレーンが召喚された。数は、およそ十数隻といったところか。
「ッ…!!」
「さぁさぁ…始めちゃおっかー!」
たった一人の戦いが始まった。
艦船の皆さんをどんな感じで喋らせようか調べながら書きました。違和感がないといいのですが…
ようやくちゃんと艦船が出せたので筆が(指が)進む進む…