今回はドクター回です。久しぶりの執筆なんで暖かい目で見守って下さい……
眠れない夜、静まり返る部屋に私は仰向けのまま天井を見上げていた。
何をするわけでもなく、月の光に照らされる部屋は簡素なもので置物など一つもない。
記憶を無くし、何も思い出せない私をロドスの皆んなは支えてくれている。ケルシーは相変わらず私には冷たいがその冷たさの奥にはわずかな暖かさを感じている。
私は何も覚えてはいないが、彼女との間に何かがあったのは確かだ。ただ、彼女はそれを頑なに教えてはくれない。
「このままでいいのだろうか」なんてことは何度も考えたことはある。でも、その度に隣に立つアーミアや仲間達に励まされて何とか今日までやって来ている。
「……そろそろ時間か」
眠れない夜には暇つぶしなんてものはなかったが、ここ最近になってとある一人のオペレーターが始めたラジオに密かにハマっている。
端末を操作し、周波数を合わせるとロドス内でも聞いたことがあるような音楽が流れ始める。少し遅れて聴き慣れた少し気の抜けた声が聞こえてくる。
『ロドスの眠れナイトラジオ──ってことでみなさま、今日もロドスの眠れナイトラジオの時間がやってまいりましたよ。いやぁ、気づけば第六回ですね。そんな記念すべき回でもないんですけどやっぱ一人駄弁るだけだどすぐに飽きそうだな〜なんて考えたりもしてたんですけどこれが意外と楽しいんですよ』
楽しそうに話すラジオのパーソナリティー。多くのオペレーターは聞いた事ない声に誰なのか見当もつかないだろう。
私も彼から「ラジオをやりたい」なんて聞かされずにこのラジオを聴いていたらこの声の主が誰かなんて気付いてはいないだろう。正直、いつも無口な彼がラジオをすると言い出した時は驚きを隠せなかった。
ロドスのエリートオペレーターの一人であり、機動力と戦闘力が高く評価されており一部では鬼神と呼ばれるほどの強さを持ち合わせながらその素性は一切不明。彼自身、無口なことも原因の一つだが彼ほどの力がありながらどこに行っても彼の情報を掴むことができないのだ。
しかし、彼も悪人という訳ではなく定期的に猫と戯れているのを多くのオペレーターが目にしている。
『お悩み相談にリクエスト曲についてのあれこれ……リスナーのみんなからの提案のおかげでコーナーを作ることができているけどそろそろ自分でも何かないかな〜って最近考えてた訳ですよ。そして、今日やっと思いついたんですよ。題して──教えて?あなたの『推ぺレーター』。はい、拍手〜』
彼が起こっているラジオの内容は主に雑談がメインでこうしてたまに我々からの提案でコーナーを作ったり、リクエスト曲を流してそれについて話したりなど普段の彼からは想像もつかないほど饒舌になっている。
初めは普段とのギャップに驚いたが今では慣れて馴染みのあるものになっている。ちなみに、彼が読むお便りは私を通じて様々なオペレーターから寄せられているのだが彼は全て私が書いているのだと思っているらしい。
最近はケルシーのお便りに対して「ドクター、あんたケルシー医師の特徴を捉えるの上手いな。まるで本物がお便りを書いてよこしてくれたみたいだ」などという始末だ。
しかし、ケルシーもこのラジオのリスナーになっているのか正直言って驚いた。あまり彼女の好みをよく知らないだけかもしれないが会話のネタにもなるためこのラジオには密かに感謝している。
最近ではブレイズやロスモンティスなどもリスナーだと知り、彼が自分一人しか聞いてないと思って適当に駄弁っているだけだと思い込んでいるラジオが実は多くのオペレーターから聞かれているなんて彼は思っても見ないだろう。
それはつまり、多くのオペレーターが聴き入ってしまうほど彼のラジオが魅力的だという事なのだろう。
『さて、本日のロドスの眠れナイトラジオはここまで。皆さんの推しオペレーター、略して『推ぺレーター』は一体誰なのか……よければお便りで送ってくれよな!』
そして気付けば放送はエンディングに差し掛かっていた。
ふと、時計を見ると既に長針は一周しており時間の経過を実感する。楽しいことは時間が過ぎるのが早いと聞くがまさにそれなのだろう。
『それではまた次回の放送でお会いしましょう。皆様、良い夜を』
締めの言葉と同時に少しずつBGMが小さくなり、やがて部屋の中に静寂が訪れる。
「さて……残った仕事終わらせないとな」
私の眠れない夜はまだ続きそうだ。
Q.新コーナー『教えて?あなたの『推ぺレーター』』ってなに?
A.リスナーから自分の推しオペレーターについて熱く語ってもらうぜ!って感じのコーナーです。その人の癖が垣間見えるかもしれませんね、
最終回みたいな終わり方してますけどまだまだ続きます。
それでは皆さま、良い夜を
お話の長さ
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こんくらいでええんやで
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もう少し長くしてもろて……