未来の見えていた少女の大切なもの   作:かぶり猫

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3.嵐のような出会い

『あれからもう1ヶ月は会えていません!もしあの子に何かあったらと思うともう心配で心配で……。街中で見かけた際はどうか私どもまで連絡をお願いします!』

 

『心配ですねぇ……。街中で侍留ホムラちゃんを見つけた際はこの電話番号にご連絡ください。侍留さん、ありがとうございました。では次のニュースですが……』

 

 

 ある日の朝、いつものように街を歩いていると街頭ビジョンの音声を耳にする。

 

 

「……思ってもないくせに」

 

 

 家を出てからもう1ヶ月以上は経っただろうか、私の家はD.Uにあったのだが、現在はトリニティ総合学園の自治区で生活している。

なぜかというと、トリニティがお嬢様学校ということもあり、()()()銃撃戦などの荒事が少ないからだ、私の体だと巻き込まれただけで大事になりかねない。

 

 面倒なことと言えばテレビで連日流されている私の捜索願いの件もある。

あの報道のせいで私の顔が様々なところへ広まってしまい、外を出歩くのも仮面をつけるなど顔を隠してなければままならないのだ。

仮面を付け、念には念をとフードを被り髪も隠しているためどうしても目立つというのは玉に瑕ではあるが、致し方ない。

あの親に居場所がばれるよりかは何倍もマシだ。

 

 

「私もそろそろ銃を買わないと」

 

 

 やはり荒事に巻き込まれた際の護身用としても、銃は必要だろう。

それに、ときたま私が変な恰好をしているからだけでは説明の付かない背筋が冷えるような視線も感じるし、通り過ぎる人も全員銃を持ち歩いているし、きっと銃を持ち歩くのが常識なのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませー!」

 

 

 思い立ったが吉日、街中を探し回りようやく見つけた銃を売ってそうなお店へと入る。

かなり大きなお店だった様で、客も多いため前のお店みたいにわざわざ店員が客一人に話しかけに来ることはなさそうだ。

 

 どこを見ても銃、銃、銃。

私の背丈ほどもあるものから、隠し持っててもばれないのではないかと思う程小さいものまで、多種多様な銃がたて掛けられていた。

 

 

「たくさんあるなぁ…」

 

 

 あまりの種類の多さに圧倒される。

これ……銃というより……スーツケースじゃない……?

 

 

「わぁっ!」

 

 

 棚にびっしりと並んだ数々の銃を眺めながら歩いていると、何かにぶつかりしりもちをついてしまった。

 

 

「ああ!ごめんぶつかっちゃった!大丈夫?」

 

 

 星のようにきらきらと輝く声と共に手が差し出される。

 

 

「……いや、私も前見てなかったから、ごめん。……あと大丈夫、一人で立てる」

 

「そう?ならよかった!いやーここ色んな銃があってびっくりするよねー……。あなたはなにか気になる銃は見つけたの?」

 

「いや…まだ、だけど」

 

 

 私と同じくらいの背丈に、薄桜色のふわふわとした髪の少女がにこやか話しかけてくる。

活発な身振り手振りの節々から、どことなく気品のようなものが感じ取れた。

なるべく人とは関わらないようにしないと、それなのに……

なんでこの子はこんなに関わってくるんだろう……?

なんで私は、それを拒絶できてないんだろう……?

 

 

「そっかー!あ!まだあいさつしてなかったよね、私は聖園ミカっていうんだ!あなたは?」

 

 

 名前……?どうしよう、苗字言う訳にはいかないけど…まあ、名前だけなら大丈夫かな。 

心を決め、おずおずと口を開く。

 

 

「私は…ホムラ」

 

「ホムラちゃんだね!ありがとう!……そのお面はどうしたの?」

 

「えっと、これは」

 

 

 私が言い終わる間も無く、ミカの手が仮面へと伸びる。

 

 

「ん~、えいっ☆」

 

「あ!ちょっと!」

 

 

 仮面をとられた!?まずいまずいこの子がニュースのことを知ってたらまずいことになる!口封じ?どうやって?そもそもなんでこの子は私の仮面を

 

 

「おー……!きれいな目だね!私とおんなじきいろだ~!」

 

 

 ……え?

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「え?き、れい?」 

 

「?うん!」

 

 

 いま、ほめられたの?わたしの、このにごった目が?

 

褒められた、あいつらの上辺だけの言葉じゃなくて、心からそう思ってる言葉で。

 

 

「あり、が、とう」 

 

「?うん!どういたしまして!」

 

 

 褒められるのってこんな気持ちになるんだ。

体が、その場に縫い付けられたかのように動かなくなる。

 

 

「ホムラちゃんはさ!ここの銃だったらどれが好き?」 

 

「……え?ここの銃?……だったらこれ、かな」 

 

 

 褒められた興奮も冷めないうちに話しかけられ、慌てて目の前の銃を指さす。

正直、好きな銃なんてなかった、ただ目の前にあって、ちょっと他の銃と違った形をしてたから気になっただけ。

 

 

「へー!PDW(ぴーでぃーだぶりゅー)ていう種類なんだ、面白いかたちだねー!」

 

「そう、だね」

 

 

 確かに面白い形かも、なんか四角くて大きいし…。

ぼーっと眺めていると、ミカが唐突に声を上げた。

 

 

「あ!そろそろ行かなくちゃ!お母さんたちを待たせてるんだった!」

 

 さっきまでの笑顔はどこへやら、今度は慌てふためきながらこちらを見つめてくる。

 

   

「はい!さっきはきゅうにお面とっちゃってごめん、じゃあ、またこんどねー!」 

 

「あ、うん、また、今度」

 

 

 手に持ったままだった仮面を私に押し付ける様にして、聖園ミカと名乗った女の子は長い薄桜色の髪をなびかせ走り去ってしまった。 

 

 

「すごい子だったなぁ……」 

 

 

 あんなに元気が良くて表情がコロコロと変わる子は初めてだったため、少し驚いてしまった。

それに、さっきの言葉……。

自然と口元が緩む。

 

 

「……? ……銃、これにしようかな」 

 

 

 なんとなくそう思い、さっきの銃を手に取ってレジへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございましたー!」

 

 

 そんな上辺の言葉を受け取りながら店の外に出る。

この銃はどうやらP90というらしい。

1つのマガジンに50発の弾丸入れることが出来て、あとこの特徴的な形にも意味があるのだとか。

まあそれはいいとして 

 

 

「また今度、かぁ」 

 

 

 聖園ミカ、すごい子だったな。

きれいだって言ってもらった時の感覚、初めて外に出た時とはまた違った、いや、それ以上の感動があったような気もする。

 

 

「また、会えるといいな……」 

 

 

 そんな思いを胸に、夕焼けの暖かい日差しが差す街中へと歩きだした。

 

 

 

このまま進めていくと原作に到達するまでかなりの時間がかかるのですが、過去編が1章終わるごとに原作も1章進めるなど同時進行で進めたほうがよろしいでしょうか?(過去編で原作との相違点がかなり発生する予定なので作者の文章力では状況がわからなくなる可能性があります)

  • 時系列に沿って進めよう
  • 原作も進めよう(0章終了後アビドス開始)
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