「「「王様だーれだ!!」」」
「私だーー!!んじゃあ、1番と3番がポッキーゲーム!!」
「1番誰?」
「俺」
「3番は?」
「···私、なのです」
「あ、負けた方は服一枚脱ぐ、な。わざと負けたら、どっちも二枚脱ぐだから」
「「えええーーーー?!?」」
高校卒業を機に、一人暮らしを始めた白雲大地のアパートに、轟緋衣·志村ルナ·迫竜美·筒美巡·伊口伝といういつもの面子が集まっていた。
彼らの囲む机には、ビールやチューハイ、焼酎に日本酒、ウイスキーとワインといった、多種多様なお酒が置かれていた。
「···早くするのです」
「···行くぞ」
サクサクサクサクサク CHU♥️
「「うがあああああああ!!!!!!!!」」
緋衣·ルナ·大地の成人祝いで始めた酒盛り。
普通に、初めて飲むアルコールの味にワーキャーしながら駄弁っていたのだが、良い感じに酔いも回ってきた所で、誰が言い出したのか定かではないが、突然始まった王様ゲーム。
当初は、一気飲みや一発芸だったのが、酔いと気心知れた仲というのが作用したのか、服を脱げだったり擽りだったりハグしあうだったりと、命令がどんどん怪しい方向へとシフトしていった。
そうして、下半身下着のみな緋衣·上半身下着のみなルナ·メイド服姿の大地·大地の膝に座る大地のシャツを着た竜美(ノーブラ)·顔を真っ赤にしてのたうち回る巡(バニー姿)と伝(ビキニ)という、とってもカオスな状況を生み出したのである。
「巡!!今のはノーカンなのです!!断じてファーストキスなのではないのです!!!」
「あ、あったり前だ!!!あんなんが俺の初めてであってたまるか!!!!ましてやお前相手なんて!!!!」
「なっ!!!巡の癖に生意気なのです!!!!巡如きに私の唇は勿体ないのです!!!!!洸汰お兄ちゃんに弟子入りして出直してくるのです!!!!!」
「あんだとぉおお!!!!!お前こそ、壊理姉ちゃんの爪の垢でも飲んでから出直してきやがれ!!!!!!」
「···あいつら、出直した後どうするんだよ」
「···まぁ、伝と巡なので。素直になれないだけで、なんだかんだ両想いですから」
「おーっし、次行くぞー!!」
「「「王様だーれだ!!」」」
「私だね。じゃあ、5番の人は、私と一緒に飲んでもらおうかな、これで」
緋衣が取り出したのは、しっかりと♥️マークの形をした二人用のストローが着いたカップル向けのコップだった。そこに注がれるのは、決してストレートで飲んではいけない、度数96%を誇る、日本では消防法上「第四類危険物」にしていされている、ポーランド原産のウォッカ"スピリタス"であった。
「アホだろバカだろ!!?んなもん飲めるか!!!!!」
「え~、大地は私と飲むのが恥ずかしいの?」
「違うわ!!!!普通に死ぬわ!!!!!!!」
「大地、私が変わる。私なら、耐えられる······と思う」
「変わらんでいい竜美!!!!変えるのはコップの中身だ!!!!!」
「おい、大地。王様の命令は、絶対、だろ?」
「限度ってもんがあんだろうがルナ!!!!!」
「ハイハイ、大地は一舐め程度で良いから。ただし、飲み終わるまでストロー咥えておく事、それなら良いでしょ」
「······分かった。···燈矢さん以外に、それ飲もうなんて金輪際言うなよ」
「······」メソラシ
「おい、誰に飲ませようとしてやがる」
「いいから早く咥えて、大地。それ以上ほざくなら、全部飲ませるわよ」
ニコニコと威圧感を発しながら、おどす緋衣。流石に、そのオーラに圧されて、渋々ストローを咥える。
鼻が擦れそうな程近付く二人の顔。その様を、大地の膝から下ろされた竜美が、ちびちびとチューハイの缶に口を付けながら、ちょっと不機嫌そうに見る。
「本当は、緋衣と変わりたかったんだろ?」
「ブッ!!!ち、違う、そういう訳じゃない。何を言っているの、駄兎」
「ハッ!!!こちとら、千翼にアタックしたいルニと、霞にアタックしたいルネの相談受けてんだ。惚れた男を見る女の目を、見間違うかっての、ちびドラゴン」
「その目は節穴」
「まだ認めねぇのかよ。皆とっくに気付いてんぞ、お前が大地に惚れてんの。アイツだって、お前の事悪く思ってねぇだろうが」
「······だから、節穴。地球の反対側まで貫いてる位節穴。ほっといて、駄兎」
「あっ!!おいそれ!!!!」
「っ!!!!キューーーバタン」
「それ、緋衣専用だろうが」
新しい缶を取り、一口飲んだ瞬間、ぶっ倒れる竜美。彼女が飲んだのは、かつてあのミルコを一口でぶっ倒したお酒と、全く一緒のお酒だった。
「あちゃ~、飲んだら駄目って言っておいたのに、竜美ちゃんにしては珍しい」
「つか、なんか大人しいと思ってたら、巡と伝も落ちてたんだな」
「しゃぁねぇな、寝かせてくるか」
「伝と巡は抱き合わせて、寝かせてあげましょうか」
▼▼▼
「おい、服着ろよ、ルミ。夜中っても外だぞ」
「あ?別に気にしねぇよ」
「いや気にしろよ」
大地の小言を聞き流しながら、ベランダに背中を預けて缶ビールを傾ける。火照った顔に夜風が当たって気持ちいい。
「たくっ···お前ら、仕組んだろ」
「何の話だよ」
「王様ゲームだよ。あからさまに、俺と竜美か巡と伝をピンポイントで当ててりゃ、普通に気付くっての」
「発案は、緋衣だけどな。面白そうだから乗った。お前らがさっさとくっつかねぇからだぞ?」
「頼んでねぇよ」
「···いい加減、答えてやれよ。お前だって、竜美の気持ち分かってんだろ?」
「···余計なお世話だ」
「アイツの何が不満なんだ?もしかして、他に好きな女でもいんのか?」
飲み干した缶を握り潰し、二本目を開けながら、からかい混じりに大地へ問い掛ける。大地は、ばつが悪そうに顔を背けやがった。
「···マジ?おいおい誰だよ!!」
「···」
「···まさか緋衣!?いやいや、アイツはレップウにぞっこんなんだから諦めろよ。いや、伝の方か?流石に巡から奪うのは無理だろ。同級生にそんな感じの奴居なかったし、交流のある異性なんて居たか?私らに隠れて···いや、私らが気付かない訳ねぇし」
「···はぁ、なんで抜かすんだよ」
「は?」
「上がってない名前があんだろ、目の前に」
こちらを、ジッと見つめる大地と目があった。その目は、いつもの目とは、明らかに違う色を帯びていた。
「あ?え?···はぁあああ!!!!?私???!?!」
余りの衝撃に缶が手から滑り落ち、思わず自分を指差して絶叫してしまった。
「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや、いつそんな素振りしたよお前!!!!!」
「してた、つもりだ」
「どこがだよ!!!」
「お前が、俺の事全然眼中に無かったから、関係壊れんのが怖くて、あからさまには態度に出せなかったけど、さりげなくお前の隣に居たり、お前を優先したりしてたよ」
「んなもんで気付くか!!!!ガキの頃から一緒に居んのが当たり前だろうが私らは!!!!!!裸見てもそれっぽい反応した事ねぇだろ!!!!!!霞見習え!!ルネの水着姿だけでもあからさまにオタオタしてんだろ!!!!」
「霞は、俺みたいに拗らせてないだけだ。幻滅されねぇように我慢してんだよこっちは!!!」
「······はぁ~~~~~~~~」
「んな、心底馬鹿だって感じのため息吐くなよ」
「吐くわ馬鹿が。竜美が、節穴って言ってたのはこれの事か。そりゃ、惚れてる男がどこ向いてるか、惚れてるからこそ気付くわな」
無駄にした二本目をそのままに、三本目を開けて一気に飲み干す。
「ルナ」
「ぷはぁっ。大地、ハッキリ言うぞ。私は、お前に欲情しない。お前に、幼馴染みの頼りになる仲間以外の気持ちは抱けない。例え、お前とヤったとしても、ただの性欲処理としか思わない」
「···バッサリだな。少し位、チャンスくれてもよくないか?」
「無駄な事する時間が勿体ない。お前は大人しく、お前を慕ってくれてる奴と幸せになれ」
「······」
「······ん」
私は、ポケットに入ってた、王様ゲームに使用していた箸を二本、印を隠した状態で大地に差し出す。
「どっちかが王様で、どっちかが番号だ。もし、お前が王様を引ければ、ロスタイム位はくれてやる。お前から、そういう目で見られてるって意識してやる。一発ヤらせろってんなら抱かれてやる。だけど、もし王様じゃなかったら、潔く諦めろ」
「結婚を前提に付き合う、は駄目なのか?」
「言っただろ。私は、お前に親愛の情以外の気持ちは無い。今の私に、それ以上を望むな。これが、最大限の譲歩だ」
「······分かった。じゃあ、引くぞ」
「早くしろ」
大地は、二本の箸を真剣に見つめ、ゆっくりと、だが迷うこと無く、一本を私の手の中から引き抜いた。
▼▼▼
「緋衣、お前レップウ相手にやらかしたんだってな」
「やらかしたって、人聞き悪いわね。ただ、イナサさんに成人のお祝いで、二人っきりでお酒を飲んだだけよ」
「酔い潰して、ヤって、責任取るって言質取った奴の台詞じゃないだろ」
「あら、幼馴染みの淡い恋心を、バキボキにへし折った人に言われたくないわ」
「思い出させんな。しかも、あれのどこが淡いんだよ。大地と竜美がよろしくヤってんだから、それでいいだろうが」
「だったら、私の事も普通に祝福してちょうだい」
「へいへい」
「しかし、まさか大地の本命が貴女だったなんて、この私の目をもってしても気付かなかったわ」
「本当にな」
「で、売れ残りは貴女だけになったけど、好い人いないの?」
「まだな~。ま、その内現れるのを期待して待ってるよ。母さんが、父さんと出会ったみたいに」
「···ちゃんと、同意を取ってから襲いなさいよ。絶対、逆レなんてしちゃ駄目だからね」
「しねぇよ!!!!!!!」
最近、ぐらんぶる(漫画アニメ実写)を見返したんですよねぇ。
ただ飲み会で、野球拳とか王様ゲームしてワチャワチャさせるだけのつもりだったのに、なんで三角関係的な話になってんだろうか。
評価と感想をよろしくお願いします。