公国商人   作:ゔぇにすのしょーにん!

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売国機関面白くて夜も眠れなかった勢いでついカッとなってやってしまった。反省はしていない。


歴史系好きで、幼女戦記の世界観が好きだったのでついカッとなって売国機関の世界にぶち込んでしまいました。
後々これ沿いの年表書きたいなゲヘヘと思っています。
拙い文章のようなクソですがロフスキ少佐が右派を見るような温かい目で見守ってください


プロローグ

 

 

 

 

 統一暦1888年の、その日は恐らく晴れだったのだろう。

 当時フランソワ共和国としのぎを削っていた帝国は、その軍における主力小銃のトライアルを行っていた。

 

 最終選考まで残った小銃は2挺。

 片方は、銃身をフランソワ共和国からパクり、弾倉方式をイルドア王国からパクり、先代主力小銃からボルト回転方式をパクった保守的な設計だったが…確実な排筴と作動を約束していた。

 もう片方はより先進的な設計であり、当時の小銃としては珍しい直動式のボルトアクションを備え、比較的高い連射性能を備えていた。

 

 この日、帝国軍が選んだのは前者の方だった。

 

 帝国は1888年の時点でより連射速度の速い新兵器である「機関銃」の採用を決めていた。

 よって主力小銃に求められるのは速射性ではなく確実性と判断されたのだ。

 

 

 困ったのは後者を開発した会社だった。

 歩兵の火力を底上げできるこの製品なら採用間違いなしと、安易な考えで大量の在庫を抱えていた。

 国内では売れる見込みのない、多くの在庫を抱えた時、経営者が模索すべき方策とは何か?

 …外国に売ればいいじゃない!

 

 

 統一暦1877年、ガルダリケ()()より支援を受けたキア大公国が、異教徒の手から解放された。

 産まれたての大公国は…野生動物の多くがそうであるように…まずは自分の身を守る事を考えねばならなかった。

 ところが帝国の銃器開発業者が大量の在庫を抱えた時、大公国の手元には使い古したガルダリケ帝国製の単発銃と、フランソワ共和国製の前装式ライフル、それに合州国製の黒色火薬パーカッション・リボルバーぐらいしかなく、それら小火器の再整備さえ終えていない体たらくであったのだ。

 

 大公国の軍部は自分たちが黒色火薬を用いる火器を整備する中、国際社会が無煙火薬へ移行していく様子を、強い危機感を持って眺めていた。

 異教徒の軍隊だって無煙火薬の連発銃を持っているのに、こちらの軍の10人に1人は前装式のライフル銃を使っているのだ。

 そもそも、大公国軍の歩兵は()1()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()

 

 そんな中帝国の商社がやってきて、トライアルで敗れた方のライフル銃を割安価格で販売するなんて言ったものだから大公国は飛びついた。

 大公国での審査なぞあってないようなもの。

 新式装備の取得を急ぐ大公国軍部は100点満点の評価でこの割安なライフル銃の導入を決める。

 帝国の銃器開発業者は在庫を一掃できたし、製造設備への投資費をも回収できる目処が立つ。

 次の世紀に入るまで、帝国の業者と大公国軍はライフル銃のみならず拳銃や機関銃の導入に至るまで正に二人三脚の関係となっていった。

 

 

 

 

 

 

 要するに…今、大公国軍将校である私の手元にあるのは1888年に帝国から「不要」と言われたボルトアクション式小銃である。

 開発年から「モデル88」として大公国軍に採用されたこのライフルは、僅か2年後に改修の必要が生じて「モデル88-90」となった。

 驚くべきことに、導入以来大公国内部での訓練や警察活動によって使い古されたライフルであっても、現在の大公国軍は依然として運用しなければならない。

 より新しい「モデル95」は大公国が勇んで帝国に戦争を仕掛けたその日からすでに足りておらず、「モデル88-90」は大々的に使用されてきた。

 

 

 現在大公国は追い詰められていた。

 既に60万人で出ていって7万人の敵に追い詰められ、首都を失うという大惨事を経験した後で、我々大公国軍は辺境の地…マルダヴと呼ばれる地域に押し込められている。

 背後には海があり、前には山脈があるこの地域に、一国の軍隊の残り全てが押し込められたという事実は絶望的に見えよう。

 

 

 しかし私自身は、そこまで将来を悲観していなかった。

 それには十分な理由もある。

 

 

 まず一つ。

「60万人いれば民兵でも帝国軍に勝てる」と豪語した将軍は帝国領ダキアで殺された。

 二つ。

 "マトモな"将軍達は帝国領ダキアの侵攻軍に正規兵を加えず、開戦後速やかにマルダヴに移動させた。

 三つ。

 マルダヴ前面の山脈は帝国領への侵攻前に既に要塞化されていた。

 

 つまるところ、"マトモな"将軍達はハナから帝国軍を打ち破れると思っていなかったのだ。

 帝国とて敵は我々だけではない。

 東にルーシー連邦…ガルダリケ帝国を崩壊させた共産主義者の国…西にはフランソワ共和国がいる。

 戦力に限りがあるし、どうせマルダヴから出て来れない大公国軍のために軍を分散するわけにもいかない。

 だからマルダヴ山脈の険しい地形を利用して持久戦に持ち込めば持ち堪えられると踏んでいた。

 侵攻軍に重機関銃や野砲といった重火器を持たせなかったのも、このマルダヴでの持久戦のためである。

 敵にマルダヴを諦めさせるためには、敵に犠牲と比べてその価値がないと判断させるだけでいい。

 今から私が戦うのは、そのための戦いだ。

 

 

 

 古びたライフル銃にリム付きの8mm弾を込める。

 5発の銃弾を纏めたこのクリップがあまりにもスタックしやすいので、私は少々不安だった。

 モデル88-90は30年以上前に設計された小銃で、この個体は設計された年に製造された刻印がある。

 確かに旧式ではあったが、クリップがスタックしやすく、弾頭が時代遅れなラウンドノーズのせいで弾道が安定せず、所々細かい部品が欠落していて、あまりにもグラつくので銃剣も装着できず、長年の酷使により発砲の度機関部が吹っ飛ぶ心配をしなければならない点を除いては信頼できるライフル銃でもある。

 

 本来ならば将校には拳銃が支給されて然るべきではあるが、我がダキア大公国においては期待できる慣習ではない。

 元々将校は貴族にのみ開かれた門戸だった。

 それが大公閣下が60万人を民兵化すると言い出したおかげで足りなくなり、平民も試験によって将校となる事ができるようになったのだ。

 貴族の義務として、大公国では将校の武装は自前で調達するのが当たり前であった。

 

 私は大戦が始まる前には軍隊にいて、下士官をやっていたところ試験を受ける事にした。

 何のことはない、金が良くなると言われたからだ。

 一端のひと財産を持てる、と。

 だから試験を受けて将校になった。

 それなのに国のために私費を投じて武装を買えと?

 ナンセンスッ!!!

 

 そういう訳で私は拳銃を持たず、しかし大公国軍の規則では将校は制服を着用する際に武装を携行しなければならないので、兵卒向け武装の余剰品であるこのライフルを装備している。

 故にオンボロ。

 しかしそこまで心配はしていない。

 私は将校、指揮に専念するのが職務。

 故にこの武装を使う必要は殆どない!………はず。

 

 

 

 ともかく、前線の塹壕で、今は敵の襲撃を待ち受けている。

 前哨から連絡があったのは数分前。

 帝国軍はまもなくこの要塞に至るはずだ。

 

 

スタン中尉、賭けませんか?」

 

 ライフルに弾を装填していると、背後から聞き慣れた声が私の名を呼んだ。

 私が下士官の頃からの友人でもある。

 

 

「軍曹…賭けだと?今から帝国軍を迎撃するんだぞ?帝国領ダキアで消えた、我々の民兵のような素人ではない。帝国軍は我々よりも訓練されたプロ集団だ。なのに、賭けだって?」

 

「緊張し過ぎですよ、中尉。私を未熟者扱いするには、アンタも若過ぎるでしょ?我々は民兵よりも長く生きている、世界でも珍しい正規兵ですが…アンタは戦時昇進で中尉になった珍しくもない将校だ。」

 

 

 周りを見渡すが、声の届く範囲に兵卒はいない。

 だから私は束の間緊張を解いて、軍曹に微笑みかける。

 

 

「…クソ、あなたには敵わないよ、軍曹。私は試験に受かっただけ。経験では敵わない。」

 

「アンタは試験に受かったんです、中尉。先ほどの軽口は冗談ですよ。最も、兵卒のいる場で口にするほど、私は愚か者でもありませんが。」

 

「知ってるよ、軍曹。…ここが正念場だ。敵に思い知らせてやれば、もうこの地には来るまい。敵にはここを血みどろになってまで奪う理由がないんだ。」

 

「分かってます。少なくとも、戦前から訓練に励んでいた連中は皆分かってます。将軍方をクソ呼ばわりするような奴は、帝国領で死にましたからな。」

 

「敵は素晴らしい"規律指導"をしてくれたな?」

 

 

 2人でクスクスと笑う。

 自分でも、とても接敵間近の態度とは思えないが、おかげで緊張が若干解けた。

 

「それで…軍曹、何を賭けるんだ?」

 

「敵が撃ってくるのがガス弾か、榴弾か。」

 

「榴弾に賭けよう。」

 

「私はガス弾に」

 

 直後に砲弾の滑空音が耳を劈く。

 我々は反射的に身を屈め、直後炸裂した榴弾によって熱せられた土を浴びた。

 

 

「榴弾だ、軍曹!私の勝ちだな!部下に用意させろ!敵が来るぞ!」

 

「ははは!生きててくださいよ、中尉!賭け金を払えなくなる!」

 

 

 そう言って部下を集めに行った軍曹が、賭け金を払うことはなかった。

 

 

 

 

 私の戦争はそこで終わっている。

 我々はマルダヴの山脈で帝国軍を押し留め、予想よりも大きな損害を受けた帝国軍は2度とマルダヴに来ることはなかった。

 これ以上の犠牲を払う価値がなかったのだ。

 

 ダキア大公国はその後も終戦までマルダヴを保持して、イルドアに合州国軍が上陸するまで耐え忍んだ。

 帝国が敗戦を迎えると、我々はようやくマルダヴの山脈から解放され、首都を取り戻し、西部を回復して、かつての帝国領ダキアに我々の旗を掲げた。

 

 マルダヴ以降の行動では、大公国が犠牲を払うことはなかった。

 故にマルダヴは私にとっては終戦を意味している。

 ただマルダヴで…私は賭け金を受け取り損なった。

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