TS転生軍人少女、『太陽系』をもらう   作:ひのかぜ

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メディア

 宇宙人少女のチェイス来訪によって各省庁や公安の仕事が激増し、何かと慌ただしい日本政府。

 

 それとは対照的に、ありとあらゆる出来事を凌駕するインパクトを誇るだけあってか、マスコミ関係者を含めた一般日本人はお気楽に、色々な場所でかなり大きく盛り上がっていた。

 

 新聞では速攻で刷られた号外が、テレビやラジオなどでは速報性重視で報道がなされ、一部の局では本来の予定を変えてまで枠が割り振られる程である。

 

 また、各種SNSから場末の掲示板まで、ソーシャルメディアでも宇宙人関連の話題で良くも悪くも盛り上がっていた。

 

 当然、不特定多数の人物が撮影したとみられる、宇宙船【モド】が空中を悠々自適に航行する様子が収められた映像も、凄まじい勢いで拡散されている。

 

 防御兵装搭載艦かつ、船体の構造物こそ色々な面で違うものの、船体そのものは地球(日本)人に比較的馴染みのある造形である事もあり、その点でも話題には事欠かない。

 

 総合的に見れば、日本人はチェイスに対してまあまあ好意的であった。

 

 更に、日本政府によってかなり抑えられつつも、来訪前までは日本にもそれなりに存在していた過激派やそれに準ずる一派も、自身の目で目の当たりにしたモドの威容が凄かった事もあり、鳴りを急速に潜め始めていた。

 

 ただし、根底にある宇宙人に対する恐怖や不安がなくなった訳ではない。あくまでも、直接的な実力行使と言う選択肢が消え去りつつあるだけなのである。

 

 現状、来訪者であるチェイスの見た目と表面上の温厚さ、魔法の存在しか判明している事がなく、地球人もとい日本人が信用するに至る要素が少ない。

 

 来訪から1日すら経っておらず、国家元首と同等レベルの警備によって取材すら不可能な状態。これで信用しろなどと、どう転ぼうとも無理があると言えよう。

 

 仮にそうでなかったとしても、信用を得るには長い時間をかける必要があるのだけど。

 

「こりゃあ凄かったな。現実で、某アニメに登場する宇宙戦艦みたいな船を見れるなどと、誰が予想出来ただろうか」

「迫力ありましたからね。やはり、強さもそれ相応なんでしょうか」

「だろうよ。それで、あれだけの船に乗って来るって事は、あの嬢ちゃんは大帝国の中でも相当な地位に居る可能性が高い。地球じゃあ、そもそも軍艦で旅行に行くお偉いさんなんか当然居ないから、俺のアホで勝手な想像に過ぎないが」

「侵略されませんかね……?」

「日本政府や俺たちメディア関係者を含めた一般人が、相当やらかさない限りは大丈夫だろ。あの嬢ちゃん、かなり温厚そうだしな」

「なら安心ですね。ネットの輩も、今回はおとなしめですし」

 

 しかし、今回は地球側が知り得ないチェイスの特殊性(転生者)故にある程度違うが、基本的にそれはお互いに言える。何かを仕出かし続ければ、最悪対立する未来が待っているのだ。

 

 そうなれば、パワーバランス的に日本はもとより、地球側が団結しようと一方的に叩きのめされる事になってしまう。

 

 だからこそ、速報性重視とマスコミ関係者は言いつつも、刺激しかねない内容の記事やニュースを世に出せず、殆んどは当たり障りのない内容となっていく訳である。

 

 無論、日本国内で最も強大だと言われている大手テレビ局【夕ノ日(ゆうのひ)】も、同様の流れには逆らえていない。宇宙人が相手ともなれば、致し方ない事ではあろうが。

 

「あっ。社長、これを見て下さい! 内閣府からこんなメールが!」

「ん? なになに……ほう。こんな機会が巡ってくるとは、我々としても僥倖か。しかし、日本政府から優良認定を受けているとは、予想していなかったぞ」

「うちの局、結構グイグイ行ってますもんね」

「だな。嘘と過度な誇張・蒸し返しを許さず、ちゃんとした真実を元に放送を続けてきた甲斐があったのかもしれん」

 

 そんなこんなで日本中が盛り上がり続け、日本時間で午後10時を回った頃、内閣府から夕ノ日を含む複数のマスメディアに向けて、とあるメールが届く。

 

 およそ14日後、大日本ホテルの大広間にて行われる予定である、チェイスに対する質問会への『招待状』を送付したと、文面に書かれていたのだ。

 

 参加したい場合は、招待状に書かれている質問会の開始時間1時間半前までに、招待状を持参する。

 反対に、参加するつもりがない場合は、届いた招待状に記載された住所に着払いで送り返して欲しい旨が、しっかりと記されていた。

 

 なお、この招待状は今現在から過去十数年前まで遡り、問題を起こしていないか極めて軽微な新聞社やテレビ局、出版社などの法人にのみ送付されている。

 

 目的は、余計な事をしてチェイスに不快感を与え、信用を失わせて対立する構図を作らないようにするためで、その選考はかなり厳しい。

 

 だが、それさえクリアすれば零細だとか大手だとかは一切関係なく、答えてもらえるかどうかは別としても、質問会に参加してそれを放送するなり記事にするなり、常識の範囲内では自由なのだ。

 

 ちなみに、外国に関しては同様の選考基準により選ばれた、アメリカ及びイギリスの大手メディアにのみ送付し、その他の国は例外なくシャットアウトの判断が下された。

 

 無論、方々より()()が日本政府に向けられたりしているが、取り決めによってアメリカやイギリスに丸投げ、その2ヵ国が外交的圧力をちらつかせて黙らせているため、現状中止ないし延期の考えはない。

 

「えっと、どういたしますか? 社長」

「当然、行くに決まっているだろ。すぐさま、質問会に向かわせる記者の選定を始めるぞ」

「了解しました」

 

 そして、万が一この質問会にて一定ラインを超えたやらかしをした場合、その醜態が否が応でも晒されほぼ確実に炎上してしまうため、どこも向かわせる記者の選定に苦労する事となるのである。




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