TS転生軍人少女、『太陽系』をもらう   作:ひのかぜ

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日米英3ヵ国会議【その2】

 宇宙人少女チェイスの日本滞在2日目、日本時間で午後11時半。

 

 自身が最も信頼を置く秘書(大林早苗)を同行させ、嗜好の傾向などの今後に役立つ情報を逐一仕入れさせた本矢首相は、執務が落ち着いたタイミングでアメリカ(ジョージ大統領)イギリス(アリス首相)と、情報共有を目的としたビデオ通話による会談を行っていた。

 

『なるほどな、本矢首相。彼女は文化や娯楽の中でも、食に欲求の比重が傾いていると』

「はい。私自身もこの目で確認していますが、私の秘書を含め、チェイスさんの日本滞在に関わる者たちからの報告も併せると、間違いありません」

『料理ねぇ……これに関して、イギリスは日本やアメリカに劣っていると言わざるを得ないわ。いくら彼女の国が料理を重要視していないと言っても、2ヵ国を訪問した後だと流石に少しは舌も肥えるでしょうし』

『確かにそうだが、イギリスにだって美味い料理はあるじゃないか。それに、まだ2日目だ。悲観する必要などないと思うが』

「ジョージ大統領の言う通りですよ、アリス首相。心配せずとも、余程の失礼さえなければ楽しんでくれますし」

『ありがとう。ジョージ大統領、本矢首相』

 

 当然、チェイスが滞在中に本格的な料理からコンビニで売られているようなお菓子まで、分け隔てなく美味しそうに食べていたとの情報も共有される。

 

 日本滞在はまだ始まったばかりであり、これから続々と今後に役立つ情報が出てくる事は間違いない。

 

 来訪の目的に文化や娯楽を挙げているため、料理と同等かそれ以上に興味をそそるような何かが現れる可能性もあるのだ。

 

 もしかしたら、3ヵ国のトップが取るに足らないだろうと判断したところが、実はチェイスにとって凄く良いものであったとなっても、何らおかしな話ではないだろう。

 

『ところで、先程彼女が一般市民との交流を望んでいるような節があると言っていたけれど、それは本当かしら?』

「ええ。日本時間の14時過ぎ、チェイスさんは昼食を取ったコンビニにて、店員の男性1人に女性2人とも楽しそうに会話していたそうです。その後のドライブや公園での一時でも、視線をよく一般の方々に向けていましたので」

『ほう、それは僥倖だ。一般人との交流をしたがっているのであれば、こちらもそのイベントを計画すれば良いのだからな』

『ジョージ大統領。思うのだけど、日本と比べて治安の面で劣る我が国とアメリカでは、万が一の事態が起こる確率が高くなりそうだわ』

『分かっているさ。何も、そのまま民衆の中に放り込もうと考えている訳ではない。一般人に扮した警備要員を各所に配置する予定だ。無論、入場の際の手荷物検査も空港並かそれ以上にしよう』

 

 しかし、逆に興味を削がれたりそれを通り越し、不快に思わせるような要素が日本に存在する可能性も、決してゼロではない。

 

 完全にそうとは言い切れないが、仮にそんな要素が日本に存在していた場合、同じような事がアメリカやイギリスにも当てはまりかねないのだ。

 

 勿論、それがどの分野に存在するのかは不明であり、当の本人に訊ねるなどしない限りは、自分たちの常識に当てはまるように動き続け、逐一チェイスの反応を見て判断するしかないのが大変な面だと言える。

 

 ちなみに、純粋に人を不快にさせたり傷つける事を目的とした差別・侮辱的発言や、その他不快要素に関しては、触れればどうなるかは明らかであるため、3ヵ国のトップはそれらを全力でシャットアウトする方向で進んでいるが。

 

『……そう言えば、本矢首相。彼女は見た感じ相当な若さに見えるが、実際はどうなんだ?』

「46歳だそうです。ただ、チェイスさん曰く魔翼族の寿命は300~400年程らしいので、地球人に単純換算すると15歳前後でしょうね。精神年齢は個人差が激しいみたいですが、恐らくは……」

『見た目相応と言う訳か。いやなに、地球の常識で語れないのは重々承知しているんだが、確か職業が……』

「軍人、それも宇宙を駆け回る戦闘機(ユニヴァースファイター)のパイロットですね。大林秘書曰く、相当長く勤めているようで、辞められるならとっくに辞めていたと本人が言っていたらしいです」

『世知辛いな。もしかしたら、地球には傷心旅行で来たのかもしれん』

『だとしたら、戦争を強く想起させかねない場所は念のため、止めた方が良いわね。それにしても、リーガル大帝国……恐らくだけど、彼女が年端も行かない少女だった頃から戦いに駆り出すなんて……』

「……」

『……』

 

 そうして、情報共有のための会談が進んでいくにつれて、チェイスの現在の職業が軍人である事に触れられ、真剣ながら和気あいあいだった先程までとは雰囲気がガラリと変化する。

 

 とは言うものの、警戒だったり恐れたりしている訳ではなく、むしろ地球人換算で高校生になったばかりの少女が、戦争に身を投じなければならない事に対して、深く同情しているのだ。

 

 それも、大林秘書経由で本矢首相からもたらされる情報により、地球人に比べれば長命種ながら、精神的には間違いなく高校生になったばかりの少女と、そう決まってしまったのだから尚更である。

 

『まあ……リーガル大帝国全てがあれだと言うよりは、軍部の力が強すぎて云々とかかもしれんし、そもそもこれは我々が勝手に想像しているだけ。だから、この話はひとまずここで止めにしておこう』

「そうですね、私もそう思いました」

『そうですわね。話も脱線していましたもの』

 

 しかし、そんな事を関係のない自分たちが考えても仕方ないし、その話に時間を使うくらいなら、どうやって楽しませようかを考えて話し合った方が建設的。

 

 内心でそう考え始めていたジョージ大統領の言葉により、話題と会談の雰囲気は一気に変化していく事となる。

本小説の舞台に関して、少し迷いがあります。どちらが適切だと思いますか?

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