TS転生軍人少女、『太陽系』をもらう 作:ひのかぜ
今世の日本のアニメや映画の内容そのものや流行りに、前世との違いはほぼない。
無論、アクセスしてはいけない場所には一切手を出していないし、出そうとすら考えていない。
やろうと思えばこの端末で、対象がインターネットから遮断されていない限り、地球に存在するあらゆるセキュリティーを突破する事だって出来てしまう。
それこそ、軍事機密を入手するのだって容易いけれど、やったところで誰も幸せにならないし、やった瞬間から地球旅行を心から楽しめなくなるのだ。そんな状況下で、やるはずがないだろう。
「最高の居心地と言える部屋で、お茶とお饅頭を味わいながら見るのも良いですけど、やはり映画は映画館で見なければ! それに、この映画館のキャラメルポップコーンにほうじ茶、果たしてどんな味がするんでしょう……!」
日本滞在4日目の午前10時、私は今大林さんを通して連絡を入れた、東京にある中でも最大級の【北宝映画館】に向かい、前世でも人気だった【ドトーラと心優しき少年】と言うアニメの映画の最新作を見ようとしている。
アニメについて端的に言うと、可愛らしい女の子の猫系獣人みたいな見た目の高性能ロボットが、学校で周りに馴染めていないとある男の子の元に遥か未来より派遣され、色々ありながらも絆を深めていく様を描いた物語だ。
なお、今回の映画はひょんな事からその未来世界に招待された少年が、その猫系獣人ロボットと一緒に巻き込まれた大事件を解決していく、2時間半もの長編となっているとの事。
通常は日常系の割合が大半を占め、主人公キャラの誕生日などの特別放送や映画では、随所に評判の良い戦闘要素が大体は盛り込まれる。
勿論、大人のみならず小さな子供も見るだけあって、戦闘シーンからは恐怖要素こそあれグロテスクな要素は極力排除されているのだ。
とは言え、迫力ある戦闘シーンが苦手な人も中には居るので、今年はそんな人向けに日常感動系に大きく寄った映画も1週間後に放映されるらしい。
何とも素晴らしい潤沢な資金や人材、お客さんへの思いやりに溢れた運営さんであると言えよう。
キャラメルポップコーンやほうじ茶を味わいつつ、クオリティの高いであろうこのアニメ映画を見ていたら、2時間半などあっという間に違いない。
ちなみに、1週間後に放映される方の映画の予告映像を見た瞬間、私は衝動的に大林さんにお願いし、予定立てしてもらう事になっている。
「相変わらず楽しそうですね、チェイスさん。こちらが何を提案しても喜んで下さるので、本当にありがたいです」
「いやぁ……大林さんの提案が悉く私の希望に合致しているんですから、当然ですよ! まるで、読心魔法で心を読まれているみたいです。まあ、こんな場合で読まれるのなら、嫌ではありませんが」
「そうですか。しかし、本当に読心魔法なんてものがあるなんて……びっくりです。チェイスさんも、もしかして使えたり……?」
「いえ、特定の人物かつ状況にのみ会得と使用が認められている魔法でして……まあ、私は対象外なので使えませんね。もし仮に使えたとしても、普段から人の心を読むなんてとてもじゃありませんが、出来ませんよ」
「なるほど」
「悪い事をしていたのなら自業自得ですけど、法や禁忌に触れた訳でもないのに絶対的なプライベート空間である心の中まで覗かれて、良い思いならまだしも恥ずかしい思いをしたら嫌でしょう? 私も嫌ですし、リーガル大帝国の人たちも大半は嫌がりますよ」
「まあ、確かにそうですね……あっ。チェイスさん、始まるみたいです」
個人的に好きな1番高い後ろ側の席に座り、大林さんや警護の人たちと魔法の事も含めて色々と会話を楽しんでいると、放映室内の照明が大幅に弱まり、放映開始のアナウンスが入る。
同時に、一緒に入ってくれた警護の人たち同士で交わされていた会話もなくなり、数秒の静寂が放映室内を支配した。
(うぉっ、他の映画かぁ……)
そして、その静寂を映画館特有の大音量で流れる他映画の広告や、不埒な映画泥棒を強く牽制する広告が打ち破る。
分かっていてもビックリするけれど、広告も含めて全て何も普段と変わらない状態で楽しみたいと、大林さん経由で映画館に伝えたのは私だ。
嫌ではないし、むしろこれから映画が始まるんだとの気分を高めてくれる、燃料になったのだから。
(流石だねー、作画が凄い気合い入ってるよ)
で、それらの広告放映が終わった後は、遂に目的のアニメのオープニングが同等の大音量で流れ始め、映像がスクリーンにデカデカと映し出された。
通常のテレビ・インターネット放送も、時々崩壊するとは言え基本的に画質と作画の良さで称賛されているが故に、1~2年に1度放映される映画の画質や作画は、それを遥かに凌駕している。
一体、これ程の良質な映画を作るのに、どれだけの資金や人材を投入したのだろうか。
それに、このアニメの未来世界は、描写されている科学技術だけでリーガル大帝国と張り合えるレベル。
仮に、本国で放映されたとしたら別の意味でも人気が出そうだし、想像でここまでの世界を作れる
(うん、やっぱりこのポップコーン美味しい! 最大サイズにしといて良かった……おっ、オープニング終わったね)
キャラメルポップコーンを食べ、お茶を飲みながらそんな風に思考を巡らせていると、スクリーンは映画が始まった事を示す青空へと変わっていたので、私はこれ以降そっちに意識の大半を集中させる事とした。
本小説の舞台に関して、少し迷いがあります。どちらが適切だと思いますか?
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