TS転生軍人少女、『太陽系』をもらう 作:ひのかぜ
やはりと言うべきか、好きなアニメの映画とだけあって、あっという間に楽しかった2時間半は終わりを告げた。
大迫力の音や映像、感情の込められた声優さんの高過ぎる演技力は、まるで完全没入型創作世界体感装置を使い、創作物の世界に入って体感したような感覚を与えてきていたのである。
食べ物に脳を半分以上支配されていた私が、映画が始まってから20分経つ頃には、代わりにアニメ映画の世界に脳を支配された。
中盤以降の、未来世界で出来た味方と共に敵国の特殊組織【
勿論、全力で謝り倒した後に後始末を魔法で手早く済ませたのだけど、お陰様で本能にブレーキがかかってしまい、後半40分間はせっかくの没入感が薄れてしまったのだ。
まあ、元の没入感が凄まじかったのもあってか、薄れてもかなり楽しめてはいたのだけど。
「おぉ……いらっしゃい! 君が噂の宇宙人少女のチェイスか……うむ! この俺が腕によりをかけて最っ高の本場アメリカの【ハンバーガー】と【ピザ】を作るから、期待して待っててくれよな!」
「あっ、はい。よろしくお願いします」
そして、アニメ映画を見終えた後は館内にある、在日アメリカ人が手掛ける本場のアメリカ料理が楽しめるお店に、昼食を取りに大林さんたちに連れられて来ている。
本格的な日本料理が楽しめる料亭のみならず、中華やイタリアやイギリス料理を味わえるお店もあった中で、ここを選んだ理由は警護の人曰く、「アメリカ大統領きってのお願いでして」との事らしい。
勿論、日本滞在中はどうしても日本料理が良いと、アメリカ料理を含め外国の本格的な料理は嫌だというのであれば、無理強いはしないとは前置きにあった。
しかし、警護の大柄な男性がお店の前でお腹を鳴らした上、私に「ここのハンバーガーとピザは、量も質も絶品ですよ」と勧めてきたものだから、誘惑に抵抗すら出来ずにふらっと立ち寄る事を決めていた。
「ハンバーガーもピザもこんなに大きいなんて……あっ、失礼。私のお腹、鳴っちゃいました」
「ふふっ、お気になさらず。それよりも、本当にこの場で良かったのですか? 私たちに気を遣ったとかではなく」
「はい! 日本料理ならホテルなどで存分に楽しんでますし、アメリカやイギリスの料理も興味ありますので。気分転換にもなりますしね!」
「そうですか。チェイスさんが良ければいいですが……もし何かご不満があれば、遠慮せず申して下さいね」
「分かりました! まあ、不満なんて抱きそうにありませんけど!」
私にとって、私が預かり知らぬ場所で繰り広げられている政治のやり取りなんかより、食事を含めた娯楽や文化を存分に味わったり、日本人と他愛もない話でも良いから交流する方が、何倍も重要なのだ。
だからこそ、領土問題などの複雑怪奇な事柄に対してだとか国家同士の関係云々、戦争への積極的な介入は絶対にしない。大林さん経由で本矢首相にも、その旨は強めに伝えてはいる。
しかし、向こうから積極的に仕掛けてきたりして、私の地球旅行を酷く妨害しようとしてきたりするのであれば、話は別だ。いくら私でも、自衛すらせずに殴られる訳などないのだから。
「何だか良い匂いがしてきました……あの、度々すみません。お腹の音がうるさいでしょうけど、どうにもならないのでご理解頂けると幸いです」
「大丈夫ですよ、私たちは気にしてませんから」
「すまねぇな! 本格的な分、俺の店のハンバーガーとピザはかなり時間を食っちまうんだよ。それに、俺が勝手におまけのポテトも仕込んでるものだから、尚更さ」
「店長さん、待たされる分には私は問題ありませんっ! 美味しいハンバーガーとピザ、おまけの方も是非ともよろしくお願いしますね!」
「おうよ! そこまで期待されちゃあ、俺ももっと力を入れなきゃいけねえな!」
ただし、リーガル大帝国の科学力を存分に振るった、国内の自然災害による大規模な被害の救済の手伝いとか、怪我人や病人の治療の手伝いをたまにやる程度であれば、やっても良い。
勿論、そんな事態にならない方が何百倍も良いのは違いないけど、自然災害は本当にある日突然やって来る可能性もある。
今日見たアニメ映画の未来世界みたく、リーガル大帝国は発生した台風の消滅や地震・火山噴火の事前予知ないし予防、科学と魔法を掛け合わせた特殊な装置を使用して行う。
だけど、私の乗ってきた宇宙船【モド】には当然ながらそんな機能はなく、精々可能なのは超高精度な気象予測をすることのみ。
と言うか、そもそも船体自体が特殊魔導合金性なのに加え、超電磁バリアを含めた防御兵装を搭載していて、宇宙空間の過酷な環境にも耐えうる耐久性を有している。
流石に、惑星の爆発を至近距離で食らえば、リーガル大帝国製の宇宙船でも【要塞戦艦】辺りでないと厳しいだろうけど、惑星規模の自然災害なら耐える事は可能だ。
当然、耐えられるからと言って軽く見るつもりはない。科学力がいかに進もうと、宇宙規模ではなく惑星規模であろうと、自然災害の恐ろしさは舐めてかかって良いものではないからだ。
リーガル大帝国の科学力と魔導技術力を油断せず使って、ようやく気を抜ける程の安寧を手に入れられると言えば、それが良く分かるはず。
(女帝陛下に少し相談してみるかなぁ。でも、流石に無理かな……おっ?)
そんな事を、大林さんや料理を作ってくれてる店長さんとの会話を楽しんだり、バノンで動画の撮影をしながらのんびり待っていたその時、ベテランらしき調理スタッフの人がピザ窯から、美味しそうに焼き上がった巨大ピザを取り出す光景が目に入る。
同時に、巨大なハンバーガーと、おまけでつけてくれた結構な量のポテトが、素早くお皿に盛り付けられていく。どうやら、見た感じ全て完成したようだ。
そのため、私はすぐに動画の撮影を止め、席へついて運ばれてくるのを待つ態勢を整えた。
本小説の舞台に関して、少し迷いがあります。どちらが適切だと思いますか?
-
SF
-
現代
-
お好きな方で