TS転生軍人少女、『太陽系』をもらう   作:ひのかぜ

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やるべきこと

 当たり前だけど、女帝陛下より太陽系の権利書をもらったからと言って、すぐに行ける訳ではない。

 

 いやまあ、時間と言う意味では休暇をもらっているから余裕があるし、技術的にも太陽系および地球へ遊びに行く程度、やろうと思えば日帰りですら可能だ。

 

 今回は、先の戦争で磨耗した精神を癒すためとの名目でもらっている、3ヵ月休暇を丸々地球で過ごす予定を立てている。と言うか、今立てた。

 

「うわっ、3ヵ月休暇全部未開の星【地球】滞在に使っちゃうのー!? 自分の持ち物だとしても相変わらずだねぇ、チェイスは」

「そりゃどうも。で、イラは明日からの休みは何に使う予定?」

「私? 相変わらず何もなし! やる事と言ったら、家でぐうたらかな」

「変わらないね、君も。まあ、休みなんて何に使おうが自由だし」

 

 一応、私はリーガル大帝国の上層部および周辺の人間(親しい友人や同僚)には、未開人との交流が大好きな穏健派の変人扱いをされている。

 

 それ故か、ついさっき女帝陛下からもらった権利書には、地球環境や国家について事細かに記されている、調査報告書までもが同封されていた。

 

 お陰様で、諸々の面倒な手続きをすっ飛ばせたため、純粋に地球滞在に使える時間が更に増えたのは嬉しい事だと言おう。

 

 だけど、いきなり地球……日本にしろアメリカにしろ、事前連絡もせずにいきなり行けば、まず間違いなく大混乱が起こる。それは私としても望ましくはない。

 

 事前連絡をしたって、宇宙人の地球訪問と言う行為そのものが混乱を巻き起こすとは思うけど、やるべき事はしておくべきだろう。

 

 それに、頑張れば日帰りで行ける1700光年の距離と言っても、過酷な環境の宇宙空間を旅する訳だ。

 面倒ではあるけど、準備を怠る行為はそれ即ち登山に軽装で挑むようなものである。

 

 例え準備をしっかりしたところで、万が一の事態が起こらないとは限らないが、起こった場合の被害を最小限に抑えるためにも必要不可欠なのだ。

 

「じゃあ、また3ヵ月後」

「りょーかい! 面白そうなお土産あったら持ってきてよ!」

「はいはい、忘れなかったらね」

 

 で、リーガル大帝国政府庁舎()を出て、仲良くしている同僚の【イラ】と別れた後、私が未開の星訪問にいつも使っている宇宙船【モド】が停泊している港へと向かう。

 

 光年単位で離れている場所でも、ほぼリアルタイムで通信が可能な【亜空間通信技術】。

 

 相手側の技術がここまで至らずとも、最低でも電波による長距離通信を行える技術さえ持っていれば、通信が可能となる装置が取り付けられている船だからだ。

 

 地球人感覚が抜けきらぬ故に磨耗した心を癒す、手前勝手な同情心(エゴ)、他にも様々な理由はあるものの、自分や自分の両親の持つ権力や後ろ楯を惜しげもなく振りかざし、始めた未開の星保護活動。

 

 周囲からの変人扱いと、一部貴族からの恨み辛みを向けられるのを引き換えに、私の手が入った星はその星系の所有権がその時点で誰にもないことを条件として、基本的に不可侵(完全独立)扱いとなる。

 

 女帝陛下直々に、私の手の内へ完全に入れる事が認められた太陽系であれば、他の貴族に横やりを入れられる心配は全くないのだから、本当にありがたい限りだ。

 

(……)

 

 勿論、太陽系や地球は保護活動の時とは違い、正式な書類上では私の『物』として扱われる。リーガル大帝国の法律・倫理基準で余程えげつない行為と判断されるか、反逆を企てるなどの重犯罪を犯そうとをしない限り、何をしようと咎められる事はない。

 

 それこそ、ちょくちょく介入して街づくりゲームが如く文明の発展を楽しんだり、その星限定で独裁者が如く王として君臨する程度であれば可愛いものだと思われ、気に留められすらしないだろう。

 

 だけど、私は能動的に地球の発展に介入するつもりは全くなく、言わずもがな王として君臨する気も一切ない。たまに遊びに行って、滞在を楽しむ程度にしようと考えている。

 

 ただし、その分の対価としてリーガル大帝国法の許可が降りる範囲で、こちらの品々を手渡すくらいはするし、受動的にはなるが何らかの技術的支援も行うつもりではある。

 

「あっ、チェイス様! モドの格納庫に向かわれますか?」

「はい、そうです。今日はひとまず、()()()()()()を行いに」

「了解しました……はい、大丈夫です。行ってらっしゃいませ」

 

 リーガル大帝国政府庁舎から徒歩15分で宇宙港に到着、沢山来過ぎて顔馴染みとなった宇宙港警備員のチェックを済ませると、モドが格納された倉庫へと徒歩で向かう。

 

 その間、頭の中で地球に存在する国家群の内、一番最初に訪れる国をどこにするか、来訪までの期間をどのくらいにしようかなどを考える。

 

 前世の故郷かつ思い出も多々あり、影響力も高い東アジアの国【日本】。

 

 地球国家最強で、多方面に絶大な影響力を及ぼす【アメリカ合衆国】。

 

 日本と同様に島国であり、世界への影響力と言う点でもかなりのものを誇る【イギリス】。

 

 まあ、この例に挙げた3ヵ国にはどのみち行くつもりではあるのだけど、最初に訪れるのは最も興味を引かれた国であると言うも同義、今後の事も考え出来るだけ真剣に考えて然るべきだと私は思うのだ。

 

『生体魔力認証、完了しました。ようこそ、チェイス・アリアーネ様』

「うん、ありがとう」

 

 そして、格納庫に着いた後は人とAIの二重チェックを受け、288mを誇るモドの船内、通信司令室へと向かっていった。

本小説の舞台に関して、少し迷いがあります。どちらが適切だと思いますか?

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