TS転生軍人少女、『太陽系』をもらう   作:ひのかぜ

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一喜一憂の米国

 名実共に、多くの分野で地球国家群の頂点に立っている、最強国家のアメリカ合衆国。

 

 言わずもがなその影響力は凄まじく、事と次第によっては世界情勢すらガラッと変えかねないため、この国の一挙手一投足は日本を含むほぼ全ての地球国家が注目している。

 

 ここ最近は、地球へ来訪した宇宙人のチェイスに、日本やイギリスと共に訪れる国家として名を挙げられているため、殊更注目度が高くなっているのだ。

 

 良い意味のみならず悪い意味でも注目を浴びている上、人柱とする代わりに日本に向かうはずの他の地球国家からのそれを、イギリスと分担して引き受けている。

 

 日本と同様に世界に通じる『食』を持っていて、他の文化面でも差はあるものの平均して強く、影響力も小さくはないイタリアやフランス、およびドイツ。

 

 日本との距離がかなり近く、食を含む娯楽文化では前述の3ヵ国にも対抗が可能なものを持っている中国や韓国、およびロシア。

 

 特に、この6ヵ国からの通話やメールなどを介した問い合わせが凄まじく、分担してさえ仕事量の増大は止められていない。一部では、日本にも引き受けてもらえないかとの声すら出てくる程だ。

 

「よしっ、これで食事の問題は解決したも同然だ!」

「うわっ!? ジョージ大統領、急に大声出さないで下さいよ……で、どうしました?」

「すまない。ともかく、グレッシャー。これを見たまえ」

「日本の本矢首相からですか……おぉ、なるほど。確かにこれは、喜びたくもなりますね」

「だろう? 本場仕込みのアメリカ料理がチェイスの口に合ったんだ。スイーツ辺りは不明だが、この様子だと同様に口に合うはずだしな」

「恐らくは。にしても、事前に準備が出来るアドバンテージがあって良かったです。でなければ、到着してから四苦八苦する羽目になってましたし」

「ああ。本当に、日本には感謝しきれんよ」

 

 だからこそ、日本時間の午後7時半にされた本矢首相からの情報共有によって、懸念点である食事の問題が完全に解決した際に、大統領は思わず大声を上げ、ガッツポーズをしたのだ。

 

 側に居た大統領補佐官の【グレッシャー・アスマン】が、驚きのあまり思わず声が裏返るくらいである。

 

 しかも、料理に使われている食材は高級品でなくても良く、一般人が楽しむような店で作られる料理でも、一定の質と量さえ確保出来れば満足してくれる。勿論、高級食材を使った料理でも同様。

 

 また、チェイスは色々な料理を楽しみたいとは言いつつ、仮に毎食同じようなメニューになっても全然構わないとの言葉も、本矢首相は自身の秘書経由で引き出し、大統領に伝えていた。

 

 無論、歓迎に手抜きをするつもりは大統領には微塵もなかったが、万が一の時に同じものを出すと言う手段が取れる安心感は、代えがたかったのだ。

 

「後は、彼女でも楽しめるアメリカの他の娯楽……正直、芸術や文化や各種ゲームはともかく、小説やアニメや映画などは日本が相当強いですし、不安です」

「そうなんだよなぁ。滞在が終わって、チェイスにアメリカは料理()()が良かった国と思われてしまうのは、我々としてもあまり歓迎出来る事ではない。いやまあ、強みが1つあれば何とかなるんだろうが……」

「切れる札は多ければ多い程良いですし。ちなみに、各種業界にも声をかけて、協力を呼び掛ける予定です」

「ああ、よろしく頼む」

 

 とは言え、食事の問題が解決したとしても、他にも色々と解決すべき問題はいくつかある。

 

 料理以外の娯楽文化、特に小説やコミック、映画などの好みに関しての不明点が多い事。現状、日本のそれらは問題なく楽しんでいるとしか判明していない点がまずは1つ。

 

 ただ、当人の発言や行動などから、宇宙規模での戦争による傷心旅行の行き先として、偶然発見したであろう地球が選ばれているとほぼ確定している。

 

 そのため、宇宙人との戦いを描いた宇宙戦争ものは言うまでもなく、地球人同時で争う戦争ものも避けた方が無難だとの判断は下っていた。

 

 好みは不明点が多くとも、避けるべきものが事前に分かっているだけでも、アメリカにとってかなり幸運だと言えるだろう。

 

「ところで、インターネットに流した例の計画に対する反応はどうなっている?」

「えっと……まあ、上々と言ったところですかね。友好的であるなら、彼女と1度話してみたいと思う国民は多く居るようですが……」

「あれか? 嫌悪感を抱く国民による反対が、想定以上に根強いとか」

「何と言うか……冗談半分なのか本気なのかは不明ですけど、やるならイベント開催日に暴れてやるだとか、政治的主張の場に使う旨の書き込みが複数件ありまして。あっ、不審な行動をしている者が居るとの通報もありましたね」

「おいおい、冗談じゃ済まないな。前者に至ってはテロ宣言だぞ? グレッシャー。FBIにCIA、州警察など各所に連絡して至急対処するように伝えてくれ。多少なら強硬策を取っても構わんとも付け加えろ。責任は俺が取る」

「了解しました」

 

 もう1つは、チェイスが希望していたと言う一般人との交流が、アメリカでは暗雲が立ち込めていると言う点だ。

 

 アメリカの一般人全体がチェイスに抱くイメージは、大統領の想定よりは僅かにだが良い方に傾いてはいる。会話をしてみたいと考えるアメリカ人がそこそこ存在するのを見れば、それが良く分かるだろう。

 

 しかし、もはやテロリストと言っても良い過激発言をする過激派の数や、政治的にイベントを利用すると公言する個人や各種団体も、日本と比較した場合どうしても多くなる。

 

 大統領が各方面に手を回し、危険な芽が芽吹く前か遅くとも芽吹いてすぐに逐一摘み取って排除しているため、徐々に良くなりつつはあるが、依然として数がそれなりに残っていた。

 

 それに加え、今まで気味が悪いくらいに沈黙を保っていた、アメリカ国内で悪い意味で有名なとあるインターネット上の団体が公式アカウントから、宇宙人排除の声明を出した。

 

 15分もしない内に削除されたものの、タイミング良くそれを見た多数の人々からの通報により周知の事実となり、仕事が倍増した事にアメリカ政府上層部は悪態をつく。

 

「ちなみに、日本のネットの反応はどんな感じだ? あの国は外宇宙からの、温厚な来訪者をテーマにしたアニメが腐る程ある。総じて、我が国を凌駕する寛容さだが」

「過激な人間は居るには居ますが、可愛いものです。見た目が少女と言う事もあり、各所で相当な盛り上がりを見せていますよ……あっ、チェイスさん。各種SNSのアカウント作ったみたいです」

「えっ?」

 

 ジョージ大統領自身も悪態をついた1人であり、今現在も心の中で輩に悪態をつき続けていたものの、グレッシャー補佐官からの一言によって、思考が一気にそっち方面へと傾いていったのだった。

本小説の舞台に関して、少し迷いがあります。どちらが適切だと思いますか?

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