TS転生軍人少女、『太陽系』をもらう   作:ひのかぜ

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抱く期待

 権利書一式にも記されてはいたけど、地球人は宇宙人との交流を行った経験が皆無だ。

 

 記録の残らない遥か昔に実は訪れていましたと言う可能性も、極めて低い事も分かっていた。

 

 ともなれば、私が地球史および人類史上初の宇宙人来訪になる訳で、たった今行おうとしている3ヵ国(日米英)への同時事前通信にも、より一層気合いが入ってくる。

 

 初対面で友好関係はまあ無理だろうから、せめて威圧し過ぎないような立ち振る舞いや格好を心がける事。私やモドの乗員が、平和的で楽しい期間を地球で過ごすためにも必要不可欠なのだから、当然だろう。

 

「チェイス様、いつもより大分気合い入られてますね。地球……余程、興味を引く何かがあったのでしょうか?」

「うん。説明するのは()()()()()()()()()けど、そんな感じ」

「なるほど。分野も状況もまるで違いますが、私も同じ経験をした事がありますので、理解出来ます」

 

 まあ、この辺は元地球人……未だ残る、日本人的感覚に基づいた服装や立ち振る舞いで行けば、少なくとも大きな失敗はしないはずだ。

 

 そして幸いにも、私の容姿は地球人にも受け入れやすい方ではある。とは言え、水色交じりの白髪ショートボブに紫の瞳と、普通ではまず見られない感じだ。

 

 加えて、地球では空想世界の産物である【魔法】と【魔力】、これを使った際にのみ完全に顕現する、不完全な形の2対の翼が背中から生えている。

 

 リーガル大帝国では、背中に翼ないし羽の生えている種族の人が沢山暮らしているからあまり目立たないが、地球ではまず間違いなく目立ってしまう。

 

 仮にこの不完全な翼を上手く隠したとしても、アメリカやイギリスならともかく、日本だと大衆に紛れても確実に目立ってはしまうけど、些細な事だろう。

 

「よし、準備完了っと。じゃあ、一旦君は退出してくれると助かるな」

「了解です」

 

 そんなこんなで準備を終わらせ、通信司令室に居たモドの乗員を一旦退出させた後に録画録音機器を作動させ、3ヵ国に向けたメッセージをその前で喋っていく。

 

 内容は私の自己紹介と地球を訪れる理由、来訪予定日時、今回の来訪時に向かう予定の3ヵ国にどんな順番で、また各々にどのくらい訪れるつもりであるなどなど。

 

 後、魔力を燃料とした【飛行魔法】により完全に顕現させた翼を使い、軽く飛んで見せたりもしている。

 

 私はこう言う種族、【魔翼族】であると事前に知らせ、普通の人間とは違う事をアピールしておかなければ、もしかしたら要らぬ騒動を起こす可能性もあるのだから。

 

 なお、リーガル大帝国では特段珍しい種族ではなく、両親以外の同僚や知り合いにも何人か魔翼族の人が居る。仲良くしているイラも、その1人だ。

 

「あっ、終わりました?」

「うん、終わったよ。ちなみに、出発は3週間後になったから」

「なるほど……今回は長めに取るんですね」

「まあね。じゃあ、今日はひとまず帰るかな」

 

 で、合計15分程となった3ヵ国向けのメッセージを完成させ、おかしな箇所のチェックと修正を行った上で送信を済ませた後、一旦ここでする事がなくなったため、宇宙港内の食堂で昼食を済ませようとモドを立ち去る。

 

 今すぐ出発するのであれば船内の食堂でも良かったが、実際は各種物資や『お土産』の準備などに加えて、最初に訪れる国の準備がある程度整うまでの3週間、待たないといけない。

 

 そもそも、今は停泊中で船内には最低限の人数しか居ない以上、私の夕食のために人員を割くなんて事は出来ない。お願いすれば、やってくれるような優しい人たちだから尚更だろう。

 

(……訂正のメール送っとこう)

 

 と言うか、ここで思い出した。イラとの会話中にされた3ヵ月休暇を全部地球で使うのかとの問い、肯定したも同然の反応をしてしまったが、良く考えたら全然違う。

 

 何なら、3ヵ月後にしていたイラと遊ぶ約束、地球に発つまでの3週間の内にしても余裕だ。準備などに使う時間を最大限考慮に入れたとしても、結構な余裕がある。

 

 自分の趣味も大事だが、何かと私の事を助けてくれている友人でもある彼女との関係も、同じくらい大事にしなければならない。

 

 明日から地球へ出発する前々日までの期間なら、遊ぶ約束を早めても良いよと【バノン(多目的通信用端末)】から伝えておくか。

 

「おばちゃん、今大丈夫?」

「勿論だよチェイスちゃん! えっと、いつものやつで良いかい?」

「うん、お願い」

 

 格納庫から徒歩20分、宇宙港内の小さな食堂へ到着した私はそこを切り盛りする料理長のおばちゃんに声をかけ、お気に入りの料理(うどん擬き)を注文した。

 

 娯楽の質は一部を除いて、量も絶対的に不足しているこの国ではあるけど、こと食事に関しては別である。

 

 結構クオリティが高く、前世の記憶に残る和食や中華料理などに似ている料理もある故に、日本で口にした美味しい食べ物や飲み物の記憶が残る私でも、違和感は少なく気分も満たされてはいるからだ。

 

 だけど、前世の記憶とほぼ変わらぬ地球が今世に存在すると知ってしまった。私を含む、リーガル大帝国に住む種族の大半が地球の食物に適応可能との結果も、既に出ている。

 

 これはもう、是が非でも現地に出向いて食べなければ満足いかないが、食事以外の各種娯楽も私としては非常に楽しみにしている。どちらを優先するべきか、実に悩ましい。

 

「はいよ、お待ちどうさま!」

「おばちゃんたち、相変わらず早いね。ありがとう」

 

 頭の中でそんな事を考えながら、体感的に前もって用意していたが如き早さで運ばれてきたうどん擬きを、私は口に入れた。

本小説の舞台に関して、少し迷いがあります。どちらが適切だと思いますか?

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