TS転生軍人少女、『太陽系』をもらう   作:ひのかぜ

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大手アニメ会社と原作者

 日本で一大ムーブメントを築いた、大魔法少女マーナ&ペールを含む魔法少女ものアニメや、地球を遥か彼方へと置き去りにするレベルの、いわゆる超科学が登場するアニメを専門に複数制作している大手株式会社、【日本北宝アニメ】。

 

 勿論、手掛けたアニメが全て成功する訳ではないが、平均して安定したヒットを叩き出し、元となった原作小説や漫画の売り上げ増加に貢献しているとして、界隈で有名な大手である。

 

 故に、この手のジャンルのコンテンツ原作者であり、なおかつアニメ化などを目指している人物の多くは、この会社に取り上げられることを目標に活動をしているのだ。

 

 それのみならず、これらのコンテンツに関わる界隈に対して、業績向上などの良い影響を与える事から、彼らと仕事をしたがる法人はかなり多い。

 

「もしもし……ああ、真鈴(まりん)先生。すみません、今お話大丈夫でしょうか?」

『おぉ、北見(きたみ)社長でしたか……どうぞどうぞ。現行の小説も完結させて暇でしたので、長話でも構いませんよ』

「ははっ、それはよかった。実は、真鈴先生にどうしても、大魔法少女マーナ&ペールに関して協力して欲しいことが――」

『失礼。実は先程、それ関連で政府から電話があったのです。何でも、件の()()()()()が私の作品……マーナ&ペールをえらく気に入ったと。()()()()()()()()()()()()()()()()、同じように気に入ったと』

「やはり、先生のところにも来ましたか。全く、寝耳に水とはこの事ですよ」

 

 そんな会社を束ねる男性社長【北見(きたみ) 宝汰(ほうた)】は、とある日の昼間に親交のある、大魔法少女マーナ&ペールの原作者であり、女性小説家兼イラストレーターの【元谷(もとや) 真鈴(まりん)】に協力を要請するための電話をかけ、真剣に会話を交わしていた。

 

 日本はもとより、今現在世界中を賑わせているチェイス(宇宙人)や本国に居るらしい友人が、アニメや映画なども含めて、大魔法少女マーナ&ペールというコンテンツそのものを気に入ったという事実が、日本政府から北見社長にも伝えられていたためだ。

 

 当人が特別な贈り物などを要求した訳ではないと前置きの後、通話相手だった日本政府の役人が暗に、()()()()()特別な何かを贈って欲しいとの願い。

 

 自身と自社の従業員だけでもどうにか出来なくはなかったが、寛容な原作者との伝と言う最強のカードが切れる状況にあったため、彼は迷いなく切ったのだ。

 

『協力ですか。まあ、私1人では荷が重い……ちょうど良かったと言えましょう』

「それはよかった。感謝いたします」

 

 本来であれば、例え日本政府からのお願いであろうと、一個人のために労力を割いてまで特別な贈り物を用意するなど不可能ではないが、とある1つの例外を除いてやらない。

 言い方はあれだが、そんな暇があるならより多くの人々に楽しんでもらうための技術研鑽に、時間と金銭を割きたいと考えているのだ。

 

 北見社長に関しては、自身の会社で働いてくれている多数の従業員の生活を守り、株式を保有してくれている人々に報いる責任がある立場なため、尚更勝手な判断は出来ない。

 

『にしても……まさか、私の作品が宇宙を股に掛ける大帝国の住人にまで気に入られるとは……人生とは、分からないものです』

「先生は大分落ち着いていられますね、羨ましいです。私なんぞ、政府から電話がかかってきてから心臓バクバク、胃腸の調子も右肩下がり……今は収まってますが、先程までもう酷くて」

『北見社長、昔から胃腸が弱かったですものね。薬は飲まないんですか?』

「飲みました。でなければ、やっていられませんよ」

 

 だが、今回に限ってはまあ仕方のないことだと、何やかんやで要望通りに動くしかないかと2人は考えている。相手が地球の諸外国や自国の要人どころか、地球など吹けば飛ぶような星間国家所属の人間であるためだ。

 

 それも、大帝国のトップである女帝とも近しい宇宙軍軍人と言う非常に社会的地位の高い存在で、うっかり怒らせた場合に日本どころか、地球滅亡となる可能性が現実味を帯びてしまっているから尚更だった。

 

 一応、チェイス自身は日本人的な性格をしているのが明らかであり、快不快の線引きも日本基準で判断していけば問題ないとの見方が国内では強い。

 ある時突然運営を始めたSNSアカウント、運営の仕方とそれに寄せられているコメントへの対応が、その見方をより一層補強したのだ。

 

 とはいえ、それでも純粋なリーガル人である以上、何時なんどき地球的ないし日本的価値観で動いた事による、洒落にならないトラブルがあってもおかしくはない。

 

 ならば、明らかにその心配がないことが判明している娯楽方面で、日本政府がご機嫌を取ろうとするのも無理はないことなのだからと。

 

「とはいえ、お互い協力するにしても何をどうしようか悩みますな。各種グッズ製作や重版漫画・小説、ディスクの用意は別の会社の方々がやるでしょうし、特別なアニメを作るにしても日本滞在期間中では到底不可能……」

『私個人であれば、マーナ&ペールの特別なイラストを用意したり、ちょっとした小説を用意する選択肢が取れますが……それでも1週間は欲しいですね』

「1週間で行けるんですか?」

『連載当時と同程度の執筆ペースを維持出来れば。ですが、ぶっちゃけ行けそうな気がしてます。今の私、モチベーション上昇中なので』

「えぇ……」

 

 その辺の事情を無視すれば、チェイスに自分たちの手掛けた作品を気に入ってもらえたこと、地球を飛び越えて宇宙に進出したこと自体は歓迎している。

 

 魔法が実在しているどころか、技術体系として組み込まれている国の民としても、見ていて違和感がなく楽しむことが出来るという評価を、実際に下されたようなものだから。

 

 ただし、今後新作なり続編なりを作るにしても、リーガル大帝国の存在が少なからず創作の足枷にはなってしまう。かの国の意向とやらが、大きく影響する可能性が出てきてしまったからだ。

 

「まあ、どのみちすぐに用意出来るものではありません。気長に……とはいきませんが、落ち着いていきたいところです」

『そうですね。では、しばらく拠点をそちらに移しますので、よろしくお願いしますね。北見社長』

「え?」

 

 しかし、北見社長はもとより真鈴先生の方も、そのくらいで意欲が減退するような人物ではなかったのだった。




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