TS転生軍人少女、『太陽系』をもらう 作:ひのかぜ
相も変わらずどころか更に強化された警備の下、ホテルを出発してからおおよそ15分後。
道中、ゴミが多くて困ってる知り合いの家に、大手の清掃業者を呼ぶようなノリで民間企業の掃宙船を手配する以外には特に何もせず、また何も起こることもなく、無事に目的地の猫カフェへと私たちは到着した。
「チェイスさん、イラさん。到着しましたよ」
「大林さん、ありがとうございます……あんなやり取りしてたから、体感的にはあっという間だったのかな」
「ここが猫カフェってやつかぁ。可愛い動物とふれあいながら、のんびり食事を楽しむって発想、流石だねっ!」
建物の外観は、東京など都会であればどこにでもありそうなカフェに、猫ちゃんが居ることを示すデフォルメイラストなどが、そこかしこに加わった感じ。個人的には、ノスタルジックな気分にしてくれる雰囲気って思う。
窓から見える店内には、当然だけど猫ちゃんが沢山居る。今は私たちが来るからお客さんは1人も居ないけれど、その分気まぐれに店内を闊歩する、多種多様な猫ちゃんたちが目立っていていい。
警戒しているのか、はたまた興味津々だからなのか、何匹かの猫ちゃんは窓からこちらをじっと見つめている。
まあ、明らかに普段来るお客さんとは毛色が違うだろうし、当たり前だ。特に、私とイラは地球の人たちからしてみれば、宇宙人のくくりな訳なんだもの。
「ようこそ、猫カフェ【にゃあー!】へ。一同、心より宇宙からのお客様を歓迎致します」
「わざわざありがとうございます」
「では、挨拶もそこそこに参りましょう。失礼ですが、入店時のルールなどはご確認済みでしょうか」
「私の方でも、ネットで何度も確認しています。大林さんからも、教えてもらっているので大丈夫です」
「なるほど、分かりました」
それで、猫カフェの入り口で待ってくれていた眼鏡の女の人と挨拶もそこそこに、彼女の先導で私とイラ、大林さんと猫好きな護衛の人4人が店内へと入っていく。
他の護衛の人たちとかも含めればもっと居るんだけど、明らかに毛色の違う集団を20人も30人も一気に入れたりしたら、猫ちゃんにとってより一層大きなストレスになる。
中で対処してくれるお店の人たちの負担も余計に増しちゃうんだから、可能な限り入る人数を少なくして軽減しようとなるのも、当然の話だ。
「うにゃーん」
「にゃあご……」
「にゃっ! みにゃあ!」
「わっ。あれ? え?」
玄関口で靴を脱ぎ、衣類の埃などを落としてルールの手洗いに追加で魔法による消毒を済ませ、さて猫ちゃんたちの居る大部屋の扉を開けて足を踏み入れた瞬間、イラの足下にいきなり3匹の猫ちゃんが集まってくる。
その内の1匹、真っ白な子猫ちゃんに至っては足を伝ってよじ登り、戸惑いながらイラが出した手にも躊躇せず収まると、嬉しそうに鳴いたのだ。例えるなら、運命の人を見つけたかのような感じで。
何というか、初対面でここまで懐かれるだなんて本当に羨ましいけれど、それがイラなら納得だ。職業柄、私と同様に誰かの命を奪ったことがあるにせよ、根っこの部分では心優しい子だから。
「へぇ、初対面なのにスゴいですね。この白い子、結構警戒心が強くて気難しい性格なのに……まるで魔法にかけられたよう」
「まさしく運命の人! いいなぁ、うちもこうやって懐かれたい!」
「あなたは無理。等しく優しいのは分かるけれど、少し喧しいから」
「えー、店長酷いぃ……」
それで、案内してくれた眼鏡の
まあ、お店の中に放せる程度とはいえ警戒心が強くはある猫ちゃんが、どう考えても初対面かつ宇宙人なイラには秒で懐くなんて、私が店長さんだったら間違いなくビックリする。
きっと、カフェに居る猫ちゃんたちのことを第一に考えているからかこそ、イラが魔法が実在する国の人間……いわゆる、宇宙人であるからこそ、そう思ってしまうのも理解はできる。
だからこそ、魔翼族は魔法を使った時に翼が物理的に完全に顕現すると、この特性は如何に手を打とうと消すことは不可能であると、もっとしっかり周知しなきゃ。
「本当に何で? 私の姿とか匂いがこう、何か作用した……? あっ、そういう類いの魔法なんて、一切使ってませんし使えませんよっ!」
「……あぁ、申し訳ありません。本当に、大変失礼致しました」
「大丈夫です、店長さん! 普通じゃないことが起これば無理もないですし。ちなみに、私が魔法を本当に使っていたら……はいっ!」
「翼が……そう言えば、ニュースでそんなようなことを……」
「あまりお気になさらないでください。私の周知不足のせいでもあるので」
なお、当のイラは店長さんの発言よりも、猫ちゃんが秒で懐いた理由の方が圧倒的に気になるようで、顔を青くして謝る店長さんへの対応が何か適当だ。お互いに温度差が激しいとでも言うべき感じである。
ちなみに、イラが今使ったのは風を吹かせるだけの魔法。使用用途は多岐に渡り、暑い場所で涼んだり自室の掃除に使う、子供がイタズラで吹かせて遊ぶなど。
いきなり風が吹いたため、驚いた猫ちゃんたちが方々に散っていく中、白い子猫ちゃんだけはまさにどこ吹く風という感じで、変わらずイラに撫でられて喜んでいる。
「にしても、特定の動物を懐かせる魔法、本当に存在するんですね」
「はい! フィールドワークを行う研究者や魔導生物病院の先生が、いざという時に身を守るための手段として、前まで使っていました!」
「なるほど。確かに、身を守るための手段としては有効かもしれませんね。しかし、その言い方からして何かしら問題が……?」
「単純に、より効果的な魔法と道具が開発されて、ほぼ淘汰されただけですよ!」
そして、店長さんの方もしっかり謝れて許してもらった安心感からか、すぐにイラと件の魔法についての話を始めた。何だかんだで、実在する魔法に興味があったようである。
イラの方も子猫ちゃんを撫でながら、店長さんとの会話を楽しんでいる節があり、こうなるとしばらく立ち話が続きそうだ。
(まあ、楽しそうでよかったよ。イラ)
という訳で、私と大林さんと護衛の女性は近くにあった椅子に座り、こっちもこっちでひとまず猫ちゃんとのふれあいを楽しもうと決めた。
本小説の舞台に関して、少し迷いがあります。どちらが適切だと思いますか?
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