TS転生軍人少女、『太陽系』をもらう 作:ひのかぜ
ルーツェ魔法屋を見て回る事1時間半、イラには前から欲しかったらしい魔導書を、自身もいくつか
リーガル大帝国の勢力圏で使用される貨幣の1つである【ネマ】で表すと、2人の合計で3200ネマの買い物となった。
軍人としての給与や貯金などを合わせれば余裕だけど、庶民的感覚で見れば決して安い買い物ではない。
ちなみに、昨日食べたうどん擬きが1ネマと79【
「ありがとう! これ、結構高かったけど……本当に大丈夫?」
「勿論だよ、イラ。大丈夫だからこそ、買ってあげるって判断したんだから」
「本当に優しいね、チェイスってさ」
無論、これだけ一気に使った事に関しての後悔は一切ない。瞳を輝かせて喜ぶ親友の顔を見れて、悩んでいた日本とアメリカとイギリスの人たちに渡す予定のお土産を、1種類選べたのだから当然だろう。
なお、これは3ヵ国共通のお土産とする予定で、ここから更に各国の人が喜んでくれそうなお土産を、後何種類かは用意するつもりだ。
ただし、魔力や魔法がないと使えないようなもの、使えても効果がないか逆に悪い効果を発揮しかねないものを渡さないように、選定はしっかりと行わなければならない。
信用を得るのは非常に大変だけど、失うのは一瞬。そして、失った信用を回復させるのは普通に信用を得るよりも、圧倒的に大変なのだ。
同じ星の下に生まれている人同士でさえそうなのだ。地球人と
「ほらほら、チェイス! 次はここに行こ!」
「分かった、分かったから落ち着こう。イラ」
地球に行った時の事を考えつつ、テンション高めのイラに連れられて入った次のお店は、リーガル本星や本星のある星系にならどこにでもある、家電量販店の本店である。
一部補助に魔法が使用されているものも存在するけど、大半は純粋な科学技術で動くものばかりで、技術を持つ者であれば誰でも問題なく使用・修理が出来る仕様となっているのだ。
かく言う私も、自宅の家電はほぼ全部この本店で販売しているものを購入している。
別にテンションを高くするような場所ではないはずだけど、今日のイラは最初からテンションが高い。
余程気分を下げてくる場所に行くか、もしくは出来事に遭遇でもしない限り、どこでも楽しめるのだろう。
「あっ、ごめん。ちょっと私の親から通信入っちゃったから、少し席を外すね」
「分かった! じゃあ、私はこの辺でウロウロしながら待ってる!」
ナノマシンを使った洗濯機および洗浄機、高性能AIを搭載した掃除機など、地球へのお土産としても悪くないのではと思い始めた頃、私の
仕事の都合上タイミングが合わないと言うのも多分にあるけど、そもそも滅多な事で通信を寄越して来ない性格なのも相まり、何だかんだ仲が良い方ではあれど、少し身構えてしまう。
「はい、もしもし。お父さ――」
『やあチェイス、元気か? それはそうと、女帝陛下から直々にお褒めの言葉と褒美を頂いたんだってね。父さんと母さん共々、鼻が高いぞ』
「……」
が、休憩スペースに行って通信に出た瞬間に私の言葉を遮り、お母さん共々満面の笑みでこれでもかと褒めちぎってくるものだから、ビックリして数秒間フリーズしてしまう。
まあ、何かと忙しい女帝陛下から直々に呼び出されて褒めてもらい、なおかつ褒美をもらうのは、当然ながらこの国では非常に名誉な事である。
加えて、私の一族で女帝陛下直々に呼び出され褒められたのは、現状私を含めて2人しか居ない。考えてみたら、お父さんが通信を寄越すに至る条件が揃っていてもおかしくはないか。
『あらあら、ベガさん。貴方のテンションが高過ぎて、チェイスが困ってますよ。言いたい事があるのでしょう?』
『ああ、すまない。ところで今、話す時間は取れるか?』
「うーん、イラとの約束で楽しく遊んでるから、あまり取れないかな。あまり長くなるようなら、今日の夜9時以降にまたかけてきて」
『なるほど、イラちゃんか……それなら仕方ないな。長引きそうだし、今はひとまず止めておくか』
「ありがとう、お父さん」
『どういたしまして。じゃあ切るぞ』
そして、どうやら私と色々話したかったらしいけど、イラと遊んでいる事もあるため一旦断り、話の続きは今日の夜の9時以降にしてもらった。
恐らく……いや、十中八九イラなら両親との話が1時間を遥かに超えたとしても、内心はともかく実際には怒りを向けてはこないだろう。
昔からの付き合いがある私でさえ、彼女が怒る光景を戦場や仕事場でならともかく、長い付き合いながら日常では見た覚えがない程に、穏やかな人なのだ。
「イラ、お待たせ。まあまあ長引いちゃってごめん」
「全然構わないよー! ご両親との話はどうだった?」
「いつも通りだったよ。真剣に話したかったらしいけど、イラと遊んでるから後にしてもらったんだよね」
「ええっ!? じゃあ、私の事は良いからお話してあげて!」
「大丈夫。お父さんも、イラと遊んでるなら良いって頷いてくれたから」
「そうなの? なら良いけど……」
だからこそ、私の両親もイラに対してはかなり好印象を抱いている。イラが自分の両親のやらかしの巻き添えを食らい、社会的にピンチだった時に裏から手を回し、本人だけを何とか助けるくらいには。
最終的には、女帝陛下が「ふむ、奴の娘は確かに清廉潔白……か。分かった、そなたらの頼みを聞いてやろう」と宣言してくれたから事なきを得たけど、あの時程胃がキリキリ痛む経験はしたくないものだ。
「よし、チェイス! 早くここでの買い物を済ませちゃおう!」
「……えっ? うん、分かった」
なんて事を頭の中で考えていたその時、何かを思い付いた顔をしているイラから、そう声をかけられた。
事前にしていた会話から、イラが何を考えているのかを察する事は容易い。買い物を終えた後、私とお父さんの話す時間を作るために実家へ向かおうと、そう考えているのだろう。
バノン越しのお父さんの様子からして、重要度は中寄りの小くらいの話に違いない。
だから、真剣に話す時間を作りさえすれば、遊ぶ時間を削る必要も、何ならわざわざ実家へ向かう必要はないのである。
(まあ、イラが良いなら言う事はないか)
ただまあ、こうなったイラを止めるのは難しいし、そもそも今日は彼女のための時間でもある。
もし、推測通りであったとするならば、大人しく流れに身を任せておこうと、私は心の中でそう考えた。
本小説の舞台に関して、少し迷いがあります。どちらが適切だと思いますか?
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