TS転生軍人少女、『太陽系』をもらう 作:ひのかぜ
地球(日本)へ向かう日
今か今かと待ちわびていた、地球滞在の日。今世の人生史上、体感的に最も長かった3週間経過後の早朝、私は
準備期間中に購入した『お土産』は勿論の事、私を含む全員分の生活必需品の積み忘れの有無。
私用で休む、もしくは遅くなると連絡のあった人以外のモドの乗員たちが、全員乗船しているか否か。
モドの各種機器の不具合などを含む、トラブルの元となる事象が発生してはいないか。
これら以外にも大小様々な、地球滞在の楽しさや安全面に支障をきたしかねない事柄を予防するために、基本は時間をかけてでもやらなければならない事である。
「チェイス様。聞くまでもないでしょうけど……今回の地球滞在、楽しみですか?」
「そうだねぇ、ルーナ。今回は仕事でもなんでもなく、ただひたすらにのんびり出来る訳だから、尚更楽しみだよ」
「ふふ。ついこの間まで、イラ様と共に戦争に行かれてましたものね。すみません、愚問でした」
今回の滞在は、主に私自身が純粋に楽しむために計画したものではあるものの、当の本人が希望をするのであれば、人数にもよるけどモドの乗員にも3ヵ国滞在を楽しんでもらうのも、言わずもがなありである。
まあ、今のところ私の隣に居る乗員かつ友人の1人……エルフ族の少女【ルーナ】を含め、行きたいと思っている人は誰も居ないけど、滞在中に行きたくなる人が出てくる可能性も、全くないとは言い切れない。
故に、日本を含めた3ヵ国には私以外のリーガル人が、宇宙船から出て一緒に回る事になるか否かは現状不透明であり、もし滞在中に人数が増えそうならその都度相談する旨の連絡を、1週間前に済ませている。
『チェイスさん、すみません。大変お待たせしました』
「貴方も含め、皆事前に知らせてくれてたんだから気にしなくて良いよ。じゃあ、全員揃った事だし……艦長さん、お願い」
『了解です……亜空間波動機関、惑星離脱機構始動……艦内の皆さん、ただ今より本艦は太陽系もとい地球へ出発致します』
待機する事およそ20分、私用で外出していた乗員6人が戻ってきたのを確認した私は、艦内通信機を使って出発の指示を出す。
その瞬間、格納庫の屋根がゆっくりと開き、同時にモドの船体は惑星の重力に逆らうようにして浮かび始めた。
通信司令室には窓がなく、備え付けられている亜空魔導カメラと投射機、専用モニター越しに見ている光景である。
直接見るのと遜色ない綺麗さなため、わざわざ窓がある場所まで出なくても、見るだけなら全く問題はない。
『リーガル本星大気圏離脱完了。周辺空間の安定値が基準を大きく上回っているため、即座に長距離亜空間航行へと入ります』
「想像より早かったねぇ。かなり値が張ったけど、アップグレードしておいて良かったよ。安心安全が確約されてこそ、地球滞在も楽しめるってものだよね」
「はい、そうに違いありません」
徐々に浮遊が加速していき、リーガル本星の大気圏を脱出してからすぐ、モドは亜空間航行……いわゆるワープに入ると、モニターが映す景色は一変する。
全体的に紺色の空間に、色とりどりのオーロラ様の光が一面を埋め尽くす、通常の物理法則では説明のつかない現象が数多く起こる亜空間。
光年単位で広い宇宙空間を旅するには、この場所に自由に出入り可能な科学ないし魔法技術の会得が必要不可欠だ。何者であれ、例外はないと断言しよう。
「そう言えば、チェイス様。ご飯食べました?」
「いや、まだだけど」
「そうですか。でしたら、取り敢えず食堂に行きませんか?」
「うーん……そうだね、行こう。お昼頃までは暇だし、何かあれば私のバノンに連絡来るし」
ちなみに、1700光年先の地球へ向かうのにかかる時間は、モドに搭載されている亜空間航行装置の性能だと、推定で5時間である。
光の速さで1700年もかかる場所へ行く時間としては尋常ではない短さで、人間的感覚からしてみても、何かに集中していればすぐに過ぎるくらいには短い。
今の私に例えれば、のんびりと食事を取ったり、亜空間通信でイラや両親と連絡を取り合ったり、地球訪問へ向けた最終確認を行ったりしていれば、体感的に割とあっさり過ぎ去るのだ。
(ふぅ……)
5時間が経過し、宇宙に浮かぶ青く美しい地球をこの目ではっきりと見れた、その刹那。前世が地球人、正確には日本人男性だった記憶がある私にとって、かなり感動的な一時となるだろう。
そして、日本への訪問が終わった後の、アメリカやイギリスへの訪問。前世でも旅行なり仕事なりで行った事はなく、知識としてもそれ程多い訳ではない故に、より新鮮な気持ちで楽しめそうである。
楽しみ尽くそうと思ったら、間違いなく今回の滞在期間ではまるで足りない。今回以降、定期的にある普通の休暇でも勿論の事、もし長期休暇をもらえる機会が訪れたのであれば、地球滞在に使うのは確定事項だと言える。
可能であれば、戦争に行って帰って来た後の休暇ではなく、単なる長期休暇と言う形でもらいたいけど、ちょっと望みは薄そうだ。
まあ、そもそも太陽系をリーガル大帝国が発見し、私の管轄に出来ただけでも相当な幸運、あまり色々とは言えないのだけど。
『亜空間航行終了、現地名太陽系第3惑星【地球】の衛星【月】の公転軌道上が、現在の本艦の位置となります』
「チェイス様、もうすぐですね」
「うん、そうだね。ルーナ」
食事を含めた前述の行動をゆっくりと済ませ、通信司令室へ戻ったとほぼ同時、艦長さんからの艦内放送が私の耳に入ってきた。
モニターが映す映像も亜空間特有のそれではなく、宇宙空間で青く美しく輝く地球の映像であり、やはりと言うべきか非常に感動的に思えてくる。
ここまでくれば、モドは30分もしない内に大気圏へ突入し、日本の国会議事堂上空へたどり着くだろう。
そうしたら、私は飛行魔法を使って下に降り立ち、モドは羽田空港近くの空き地に突貫工事ながら、警備を固めた専用のスペースを設けてくれているらしいので、そこへ向かって着陸する流れとなるのだ。
地上でなくとも、普通の船と同じように水上でも問題ないとは伝えたけど、気を遣ってくれたらしい。ありがたい限りである。
『これより、本艦は地球の大気圏へと突入します……惑星大気圏突入機構始動、超電磁バリアー展開』
「もうそろそろかな。ルーナ、じゃあ行ってくる」
「はい。行ってらっしゃいませ、チェイス様。お留守はお任せ下さい」
1度の極短距離ワープを挟んで宇宙空間を航行する事10分、モドが地球の大気圏へと突入したのを確認した私は、司令室に置かれていた私物を手に持ち、甲板へと続く扉の前に向かう。
後数分、長くても10分と少しで地球……宇宙人の1人として前世の故郷である日本の大地へ降り立つと思うと、感慨深いものだ。
この時ばかりは色々と考え過ぎるのは止めて、純粋に楽しく滞在する事を主に考えよう。
『……チェイス様、到着しました。行ってらっしゃいませ』
そんな事を考えながら待っていると、艦長さんからの放送と共に扉のロックが解除されたので、扉を開けて甲板へと出てから飛び降り、飛行魔法を使ってすぐに空中での姿勢を制御した。
天候は快晴で季節は晩秋、朝晩は冷え込む時ではあるものの、飛行魔法には術者の身体保護も術式に組み込まれているので、全く寒くはない。
例え飛行魔法を使ってなくとも、他の魔法と服装でどうとでもなるから、全く問題ないのである。
「皆様のお出迎えに感謝を。事前にメッセージは送りましたが、改めまして……
そして、ゆっくり降り立った後は目の前に居る【
本小説の舞台に関して、少し迷いがあります。どちらが適切だと思いますか?
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