TS転生軍人少女、『太陽系』をもらう 作:ひのかぜ
「日本国首相、本矢 勇人と申します。遠路はるばる地球、もとい日本へようこそお越し下さいました。是非とも楽しんでいって下さいね、チェイスさん」
モドの甲板から飛行魔法を使って下に降り立ち、待っていてくれた本矢首相たちへと行った軽い自己紹介は、皆の様子を見る限りだとまあ及第点と言えるだろう。
リーガル大帝国の最高位である女帝陛下はもとより、未開の地に存在する国家のトップとのやり取りの経験は、これまでの人生の中でそれなりの回数をこなしてきてはいた。
だけど、今世の祖国基準だと未開の地に分類される日本の首相とのやり取りは、緊張感の強さもそこそこに、何と言うか種類が違う。
前世の感覚が残っているからか、それとも楽しみに思う気持ちが混ざりあった結果故か、はたまた別の理由が存在するのかは分からない。
まあ、これについて調べたり考えたりしても、結局は時間を無駄に浪費するだけになりそうだから、地球滞在が終わった後に忘れなければ、片手間に調べておく程度にしておくか。
「勿論です、本矢首相。日本での滞在、存分に楽しんでいくつもりですから」
「そう仰って頂けると嬉しいです……では、防弾仕様の特別車輌をご用意しておりますので、あちらへどうぞ」
「分かりました」
そんな感じで本矢首相との簡単な挨拶を済ませた後は、首相と共に厳つい黒色の車の後部座席へと乗り込み、警察車輌や白バイの先導の下、国会議事堂を早速出発する。
(私が
一般車輌が来ないように厳重に封鎖された道路を、警察車輌や白バイ、警護員の乗る車輌に前後を守られながら、私の乗る防弾仕様車輌が一定の速度で通過するこの状況。
地球ではない未開の
窓から見える東京の街並み、強固な警護の向こう側に居る日本の一般人、多少時間が進んでいる事以外は、とにかく何もかもが私に残る前世の記憶と相違がない。
だからこそ、元々強かった思い出補正が更に強くなるから、抱く印象の強さが圧倒的に強いのも、至極当然の流れだと言っても良い。
「あの、本矢首相。この車はどこへ向かっているのでしょうか?」
「我が国が誇る最高級のホテルです。各国の首脳や同等クラスの要人が来られた際、迎え入れるのに良く使われる場所ですよ」
「わぁ、凄い。と言う事は、美味しいものは沢山ある感じですね」
「勿論です。もし、料理に関して何かありましたら、遠慮なく申して下さい」
「了解しました。まあ、
なお、この車が最初に向かう先は私が滞在時、お世話になる宿泊先となる超高級ホテルとの事らしい。間違いなく、この滞在を快適に過ごせると約束されたも同然である。
衣食住と娯楽、特に各種娯楽に関してはリーガル大帝国よりもレベルは確定で高い。日本の普通やちょっと下が、今世の祖国では覇権レベルとなれる可能性を秘めているからだ。
食事に関しても、保存技術以外は日本側が最高クラスの食材と料理人を用意するだけあってか、日本の方が勝っているだろう。そうでなくても、まあ日本が大体の面で勝つとは思うけど。
「到着しました。チェイスさん、ここがそのホテルとなります」
そんなこんなで、本矢首相との会話や窓から見える外の景色を楽しみつつ比較的ゆっくりと進む事20分弱、車列が【大日本ホテル】と書かれた看板がある建物の入口前道路で止まる。
と同時に、降車を促されたのでゆっくりと降り、いかにも強そうな警護員の人たちに前後を守られながら建物内に入り、エントランス右側にあるエレベーターに乗り込み、高級和食屋があると言う4階へと向かう。
日本で食べる事が出来て、食べるまでもなく美味しいと断言しても良い和食の数々。
今日の食事費用は、全て
これから4週間滞在するのに、序盤も序盤から全力で好き放題してしまえば、ただでさえ大きいであろう負担を倍増しかそれ以上に増やしてしまいかねないからだ。
「いらっしゃいませ、本矢首相。そして、チェイスさん。お話は既に伺っております。私共が腕によりをかけてお作りする和食、もうすぐで完成致しますので、席にかけてお待ち下さい」
だからこそ、少なくとも今日は抑えていこうと考えていた私であったけど、本矢首相含めた数人と高級和食屋に入った瞬間、漂ってきた美味しそうな料理の香りに意思が大きく揺らいでしまう。
高級食材と技術がふんだんに使用された、日本でも恐らく最高峰の美味しさを誇るであろう、首相おすすめのきつねうどんと天ぷらセット。
先んじて出された、良い具合に温かくて良い香りのほうじ茶と玄米茶も相まって、食欲が強く刺激されてしまった。
「あっ、これは失礼……あまりの美味しそうな香りについ」
「大丈夫ですよ。それと、先程も申し上げましたが、チェイスさんはお気になさらず、食べたいだけ食べて下さいね」
「……本当に良いんですか?」
「食材が持つ限りとはなりますが、勿論構いませんよ」
「そこまで仰るのであれば……多めに頂こうと思います」
お陰様で、お腹の鳴る音が恥ずかしいレベルで響き、本矢首相たちに余計に気を遣わせる羽目となってしまう。
(今回か、今回以降の滞在か……何にせよ、何らかの形でお礼しなきゃね。お土産以外で)
ここまでされた上で、私にも沢山食べたいとの欲求がある以上、あまり遠慮し過ぎるのも逆に失礼かもしれないし、この際思うがままに食べてみようか。いや、それでも多少は抑えるべきか。
「お待たせしました。当店名物のきつねうどん、および天ぷらセットでございます」
「わぁ……!」
逸る気持ちを抑えつつ、本矢首相や料理人さんと会話を交わしながら待つ事10分と少し、凄まじく美味しそうな香りを放つ2品が私の目の前へと運ばれてくる。
リーガル大帝国で良く見るうどん擬きではない、本家本元のきつねうどん。えびやさつまいも、ちくわの磯辺揚げやれんこん、他3つの食材で作られた天ぷらセット。
間違いなく、祖国で売れば有名料理の仲間入りをすぐに果たしてくれると、確信を持つ。まあ、売るに至るまでの段階が難しいのだけど。
「いただきます!」
当然の事ながら、運ばれてきた2品を見ているばかりではなく、先にきつねうどんの方をお箸で取って口に入れた訳だけど、案の定口の中に広がる美味しさに、手が止まらなくなってしまう。
麺の食感に旨味成分たっぷりな汁、食欲をそそる良い香りの3拍子が揃えば、麺料理さえ嫌いでないなら誰でも私みたいになると思わせてくる。
(ん~!! 美味しいっ!)
天ぷらの方も言わずもがな、料理人さんの技術や食材の良さの相乗効果によって、凄まじい美味しさを誇っている。
横を見れば、食べ慣れているであろう本矢首相たちも、各々美味しそうに食べている。流石は高級和食屋と、納得でしかない。
なお、リーガル大帝国でこのレベルの料理を作れる人は、現状誰も居ないだろう。本星の宇宙港の食堂のおばちゃんでさえ、頑張ればまあ多少は行けるかもと思えるくらいか。
「あの、料理人さん! もう2杯、同じきつねうどん下さい! あっ、天ぷらの方も同じくお願いします!」
「分かりました。それなりにお時間を頂きますが、よろしいですか?」
「はい、勿論です!」
そして、最初に出されたきつねうどんと天ぷらセットを完食した頃には、私の自制心などあってないようなものへと変化してしまっていた。
本小説の舞台に関して、少し迷いがあります。どちらが適切だと思いますか?
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