ペルソナ使いとスタンド使いによる奇妙な冒険   作:SKBoom

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今回のお話はナナコンの方によっては承太郎に殺意が湧く展開がありますので、

お手元に殴ってもいいモノを用意して「〇ねェェェッ!!!承太郎ォォォォッ!!!!」っとDIO並みにお殴り下さい。

※殴ったことにより起きたトラブル等の問題はこちら側では一切の責任を負いません………………てへっ♪

追記:すみません後になって誤字報告に気付きました! 前回のお話でかなり誤字があったみたいですが報告のおかげで修正できました! ありがとうございます!

そして報告にあった「………えそこで私に話題を振るの? ……えっとまぁ、否定は出来ない……かな」っというセリフの部分の「えそこで」で「え、そこで」と修正をいただいたのですが、この部分は慌てて返事を返したので「え、」と「そこで……」の部分が繋がってしまったという表現です。

紛らわしい表現をしてしまい申し訳ありませんでした………


第二話 不安と疑念

 通学路──

 

「そっか、親の仕事の都合なんだ。もっとシンドい理由かと思っちゃった、はは!」

 

 今、俺が転校してきた理由を里中たちと話している。……まぁ、理由は勿論違うのだが、"表向き"では親の仕事の都合で引っ越してきたとなっている。

 

「ここ、ほんっと、なーんも無いでしょ? そこがいいトコでもあるんだけど、余所の人に言えるようなモンは全然……あ、八十神山から採れる……何だっけ、染め物とか焼き物とか、ちょっと有名かな。あ、あと雪子んちの"天城屋旅館"は普通に自慢の名所!」

 

「え、別に……ただ古いだけだよ」

 

「"隠れ家温泉"とかって雑誌とかにもよく載ってんじゃん。この町で一番立派な老舗旅館でね、雪子はそこの次期女将なんだ。雪子んち目当ての観光客とかも来るし、この町それで保ってるよね実際」

 

「へぇ……凄いじゃあねェか」

 

「………そんなことないけど」

 

 どうやら天城の今の表情を見るに、あまり自身の旅館についてよく思っていなさそうだ。

 

「ね、ところでさ。雪子って美人だと思わない?」

 

「は? 急に……だがまぁ、そうだな」

 

「へ!? くくくく空条君!?!?」

 

 天城はまさか肯定されると思っていなかったのか、物凄く動転している。

 

「しかしそれは里中もじゃねェか? 一般的に見たらお前も美人だと思うが……?」

 

「……あ、え、あ、はいいィィィッ!?!? え、え、え、な、何を言い出すの空条君!?!?」

 

 まさかの言葉に、里中は先ほどの天城同様に顔を真っ赤にしながら慌てだす。

 

 そして勘違いしてはいけない。承太郎は基本女はうるさいし嫌いだが、一般的な美醜感覚はちゃんと備わっているからこその発言だった。更に今の発言は決して口説く為に言っているわけではなく、ただ思ったから言っただけである……なんと恐ろしい………

 

「も、もう///!!! …………? あれ、何だろ」

 

 先ほどまで顔を赤くしながら少し承太郎の方を睨んでいたが、ふと前を見た里中にある光景が映る。

 

 気になった俺たちはその現場に近付く………すると、

 

「~~~~でね、その高校生の子、ちょうど早退したんですって」

 

「まさか、アンテナに引っ掛かってるなんて思わないよねえ」

 

「見たかったわぁ」

 

「遅いんだから……ついさっき、 警察と消防団で下ろしちゃったのよ」

 

「怖いわねえ。こんな近くで"死体"だなんて」

 

 死体、野次馬の主婦たちから聞こえる会話から聞こえたその単語により、里中と天城は驚く。

 

「え…今なんて? 死体?」

 

「ああ、確かにそう聞こえたぜ」

 

(……確か学校の放送で事故が起きたと言っていたが、この事だったのか? それによく思い出したらパトカーのサイレンの音も鳴り響いていた……)

 

「おい、ここで何してる」

 

 承太郎が目の前の状況について色々考えていると、突然聞いたことのある声に掛けられる。

 

「……おじさん」

 

 声の主は、今お世話になっている遼太郎のものだった。

 

「いや何、ただの通りすがりだぜ」

 

「ああ……まぁそうだろうな。……ったく、あの校長……ここは通すなって行っただろうが……」

 

 遼太郎は小声で何か文句を言っている。

 

「……知り合い?」

 

 里中が興味ありげに聞いてくる。

 

「ああ、さっき話したお世話先の……」

 

「コイツの保護者の堂島だ。あー……まぁその、仲良くしてやってくれ。……ともかく三人とも、ウロウロしてないでさっさと帰れ」

 

 それだけを言い、現場に戻ろうとする遼太郎だったが、目の前を顔色の悪い人が通る。

 

「うっ…うええェェェ………」

 

「『足立』! おめえはいつまで新米気分だ! 今すぐ本庁帰るか? あぁ!?」

 

「す、すいませ……うっぷ………」

 

「たぁく……顔洗ってこい。すぐ地取り出るぞ!」

 

 そう言うと今度こそ遼太郎と足立と呼ばれた男は現場の方へ去って行った。

 

「さっきの校内放送ってこれの事……?」

 

「アンテナに引っ掛かったってどういう事なんだろう……」

 

 二人は少し不安そうに会話する。しかしそれも無理はないだろう。普通に暮らしていたら身の回りで殺人事件は滅多に起こらない……だが今回は起きてしまった。

 

「ねえ雪子さ、ジュネスに寄って帰んのまたにしよっか……」

 

「うん……」

 

「じゃ、私たちここでね。明日から頑張ろ、お隣さん!」

 

「……ああ、またな」

 

 二人と別れを告げ、承太郎も大人しく堂島宅へと帰るのであった………

 

 

 

 

 ─────────

 

 堂島宅──

 

 あの後無事家に帰り着き、夕食を菜々子と過ごし、今はテレビを見ながらくつろいでいる最中である。

 

「……お父さん、今日も帰ってこないのかな」

 

「………………」

 

 菜々子は悲しい表情をしながら呟く。恐らく昼頃の事件のせいで帰ってこれないのだろう。

 

『ではまず、今日最初のニュース。静かな郊外の町で、不気味な事件です。本日正午頃、稲羽市の鮫川付近で女性の死体が発見されました』

 

(これは……)

 

 映像が移り変わると、あの通学路がテレビに映し出された。

 

『遺体で見つかったのは地元テレビ局のアナウンサー、山野真由美さん、27歳です。稲羽警察署の調べによりますと………』

 

「いなばけーさつ! お父さんのはたらいてるとこだ! 」

 

 菜々子は自分の父親の働いている稲羽警察という単語に反応し、とても不安がっている。

 

「………心配しなくとも大丈夫だ。おじ……お父さんが解決する」

 

「……分かってる。おシゴトだから、しかたないよ」

 

「………そうか」

 

 どうやらこの子は承太郎が思っている以上に大人らしい。承太郎の中での印象が少し変わった。

 

『遺体は民家の屋根の大型のテレビアンテナに引っ掛かったような状態で発見されました。なぜこのような異常な状態になったかは、現在の所分かっていないという事です。死因も今のところ不明で、警察では、事件と事故の両面から調査を進めることにしています。ただ周辺には、地域特有の濃い霧が出ており、本格的な現場検証は明日となる見込みです』

 

(……山野真由美。確か議員秘書の誰かと不倫したとかで昨日ニュースで言ってた奴だな)

 

 承太郎は少し事件のことについて考える。

 

「やねの上でみつかったの? なんか、こわいね…………あっ、ジュネスだ!」

 

 菜々子がそういうと、ジュネスのCMが流れている。

 

『ジュネスは毎日がお客様感謝デー。来て、見て、触れてください~エブリデイ・ヤングライフ・ジュネス! ~』

 

「エブリデイ・ヤングライフ・ジュネス~♪」

 

「………好きなんだな、ジュネス」

 

「うん、ジュネスすきだよ! だっていろいろなモノが置いてあってたのしいんだもん!」

 

「………そうか」

 

 都会から来た承太郎からしたら何が楽しいのかサッパリだが、菜々子が楽しそうにしているのならいいかと思った。

 

 その後、承太郎は風呂に入り海洋学の勉強をした後、眠りに着いた………

 

 

 

 

 ─────────

 

 通学路──

 

 ガシャァァンンッ

 

「はぁ……またか」

 

 目の前では、また花村という少年が自転車で事故っていた。今度はどうやら上半身がゴミ箱に入ってしまったようだ………

 

「おい動くな、今それ取ってやるから」

 

「お、マジ! 早く取ってくれ!」

 

 スポンッ

 

「いやー、助かったわ。ありがとな! ………って空条か、えー下の名前は……」

 

「………承太郎だ」

 

「あ~そうそう承太郎だ! 改めて俺、『花村陽介』。よろしくな!」

 

「……ああよろしく」

 

 花村と承太郎は握手を交わす。

 

「な、昨日の事件知ってんだろ? "女子アナがアンテナに"ってやつ!」

 

「山野真由美とかいうアナウンサーのやつか?」

 

「そうそれそれ! あれ、なんかの見せしめとかかな? 事故な訳ないよな、あんなの」

 

「……まぁそうだな」

 

 確かにそうだ。例えアンテナを調整していたとしてもそれに引っ掛かって死ぬという事は有り得ない。それに、死因が判明してないという点も気になる。

 

「わざわざ屋根の上にぶら下げるとか、マトモじゃないよな……つか、殺してる時点でマトモじゃないか」

 

「…………」

 

 その通りだった。死に方云々以前に、殺されるという事自体がマトモではないのだ。しかし、承太郎は例のエジプトの旅により、そんなことは完全にマヒしていた。

 

「……やっべッ!? 遅刻!!! 後ろ乗ってくか? ちょっとギコギコいってるけど……」

 

「い、いや遠慮しとくぜ」

 

「そ、そうか? んじゃ俺先行くわ! お前も遅刻しない様に急げよぉ!」

 

 花村は再び自転車に乗り、急ぎながら学校へ向かって行く。

 

「……正直あいつの自転車に乗るのは嫌な予感しかしねェ……」

 

 承太郎は例の件の仲間の一人である人物により、人が運転する乗り物に対し、少し恐怖を覚えているのであった。それに二連続も事故っている所をみたら尚更だ。

 

 

 

 

 ─────────

 

 放課後──

 

「どうよ、この町もう慣れた?」

 

 放課後、帰る準備をしていると花村に話しかけられた。

 

「いや、正直まだ慣れねェな」

 

「まぁ、来たばっかだしな。ここって、都会に比べりゃ何も無いけどさ、逆に"何も無い"がある……っての? 空気とか結構ウマいし、あと食いもんとか……あ、ここの名物知ってるか?」

 

「知らねェな」

 

「ここの名物はなぁ……"ビフテキ"だぜ。すごいっしょ、野暮ったい響き。俺安いとこ知ってんだけど行っとく? おごるぜ、今朝助けてもらったお礼に」

 

「……すまんが遠慮させてもらう」

 

「えぇ? そう言わずにさぁ……助けてくれたお礼もしたいし……」

 

 俺がめんどくさいので断っていると、里中が少し不満げな表情でこちらに来る。

 

「あたしには、お詫びとそーゆーのないわけ? ”成龍伝説"」

 

「う…メシの話になると来るなお前……」

 

 花村は苦虫を嚙み潰したよう表情をする。

 

「雪子もどう? 一緒に奢ってもらお」

 

「いいよ、太っちゃうし。それに家の手伝いあるから」

 

 天城もどうやら行かないようだ。

 

「天城って、もう女将修行とかやってんの?」

 

「そんな、修行なんて。忙しい時、ちょっと手伝ってるだけ。……それじゃ私行くね」

 

「……………」

 

 鞄を持つと天城は足早に教室を出る。しかし、少し暗い表情に見えたのは気のせいだったのだろうか? っと承太郎は少し考え込む。

 

「仕方ないか。じゃ、あたしたちも行こ………あ、空条君も行くよね?」

 

「だから俺は行かなi「よし行くねオッケー」ちょオイッ! 勝手に決めるんじゃあねえ!!!」

 

「……え、まじ二人分おごる流れ?」

 

 

 

 

 ─────────

 

 ジュネス フードコート──

 

「安い店ってここかよ……ここビフテキなんか無いじゃんよ!」

 

 里中が更に不満顔になり花村に怒っている。

 

「お前にもおごんなら、あっちのステーキハウスは無理だっつの」

 

「だからって、自分んちに連れてくる事はないでしょーが!」

 

「別に、俺んちって訳じゃねーって」

 

「自分んち……?」

 

 里中の発言に承太郎は疑問を抱いた。

 

「あーえっと、お前にはまだ言ってなかったよな。俺も都会から引っ越して来たんだよ、半年くらい前。親父が新しく出来たココの店長になる事んなってさ。んで、家族で来たってわけ」

 

「そうだったのか」

 

 なるほど……っと承太郎は納得した。

 

「んじゃコレ、歓迎の印って事で。里中のもおごりだぞ」

 

「うん、知ってる」

 

 俺達はジュースを取り、乾杯をした。

 

「ここってさ、出来てまだ半年くらいだけど、行かなくなったよねー、地元の商店街とか。店とかどんどん潰れちゃって……あっ」

 

 途中まで言って里中はまずい……っと思い言葉を区切った。

 

「……別にここのせいだけって事はないだろ?」

 

 花村は何とも言えない表情のまま答える。

 

「………あ、小西先輩じゃん。わり、ちょっと」

 

 隣の席に座った小西と呼ばれる女性の元へと花村は行った。

 

「………花村の彼女か?」

 

「はは、そうならいいんだけどね………小西早紀先輩。家は商店街の酒屋さん。けど、ここでバイトしてんだっけ」

 

「………そうか」

 

 承太郎は先ほどの話も合わさり、小西早紀という人物が少し心配になった。

 

「お疲れっス。なんか元気ない?」

 

「おーす……今、やっと休憩。花ちゃんは? 友達連れて自分たちの売り上げに貢献してるとこ?」

 

「うわ、ムカつくなー」

 

 そう言いながらも、花村は楽しそうに会話している。

 

「つか…ホント元気無さそうだけど何かあった?」

 

「……別に。ちょっと疲れてるだけ」

 

「何かあったら、何でも言ってよ。俺………」

 

「だーいじょうぶだって。ありがとね。……ハァ…あーもー、何で昨日早退なんてしたんだろ……」

 

(遠目からでも分かるくらい小西早紀という人物の表情は優れていない。それに今言った早退……何か引っ掛かるような……)

 

「……あの子、もしかして最近入ったっていう転校生?」

 

 小西早紀はそう言うと、こちらのテーブル……っというか承太郎の方へと近寄って来る。

 

「キミが転校生? あ、私の事は聞いてる?」

 

「………多少は」

 

「へぇ………」

 

(何だこの女……人のことをジロジロと見やがって……)

 

 小西早紀は承太郎のことを何故か分からないが、上から下までジロジロと見ている。

 

「………ねぇ、やっぱ都会っ子同士は気が合う? それに花ちゃんが男友達連れてるなんて、珍しよね?」

 

「べ、別にそんな事ないよー……」

 

「こいつ友達少ないからさ、仲良くしてやってね。あ、でも花ちゃんお節介でイイヤツだけど、ウザかったらウザいって言いなね?」

 

「……まだ昨日と今日しか関わってないが、こいつは良い奴だ」

 

 承太郎は珍しく相手のことを褒めた。これも旅のおかげで少しは変わったからなのだろうか。

 

「あははっ! 分かってるって、冗談だよー」

 

「せ、先輩~、変な心配しないでよ」

 

「さーて、こっちはもう休憩終わり。やれやれっと………あ、そうだ」

 

 小西早紀はハッと思い付いたかのように携帯を取り出す。

 

「ね、転校生君。良かったら連絡先交換しない?」

 

「………は?」

 

「へ……せ、先輩!?」

 

 花村は焦ったような声を出す。

 

「……すまんが今携帯は持ってきていない」

 

 嘘である。勿論携帯は持ってきているが、知り合ってまだ数分の相手に何故連絡先を交換しなければいけないのか……っという考えにより承太郎は咄嗟に嘘をついた。

 

「えーそうなの? それじゃあまた今度会った時は交換しようね~。……あ、時間がヤバい……それじゃあね」

 

 少し残念そうな表情をした後、急ぎ足でこの場を去った。

 

「ほえー、初対面なのに空条君の連絡先を聞こうとするなんてやるねー小西せんぱ…………あっ」

 

「…………………」

 

「「「…………………」」」

 

 少し無言の間が続いたが、花村が耐え切れず話題を出す。

 

「……はは、人の事"ウザいだろ?"とかって、小西先輩の方がお節介じゃんな? あの人、弟もいるもんだから、俺の事も割とそんな扱いって言うか……」

 

「弟扱い、不満って事? ……ふーん、分かった、やっぱそーいう事ね。地元の老舗酒屋の娘と、デパート店長の息子。…燃え上がる禁断の恋、的な?」

 

「バッ……! アホか! そんなんじゃねーよ……」

 

 反応から見るに、どうやら花村は本当にあの人の事が好きなんだな……っと考察する。

 

「そうだ、悩める花村にイイコト教えてあげる」

 

 すると、里中はこう言葉を続ける。

 

 

 

 ────"マヨナカテレビ"って知ってる?

 

 

 

「……雨の夜の午前0時に、消えてるテレビを一人で見るんだって。で、画面に映る自分の顔を見つめてると、別の人間がそこに映る…ってヤツ。それ、運命の相手なんだってよ!」

 

「なんだそりゃ? 何言い出すかと思えば……お前、よくそんな幼稚なネタでいちいち盛り上がれんな」

 

「よ、幼稚って言った!? 信じてないんでしょ!!!」

 

「信じるわけねーだろが! 空条だってそうだろ?」

 

「く、空条君は信じてくれるよねー? ………"ね?"」

 

 里中が途轍もない圧をかけてくる。

 

「……まぁ確かにアホらしい話だが、それが一体どこから流れた噂なのか……ってェのは気になるな」

 

「えーと要するに、やっぱ空条も信じてねえってことだよな。ホラ見ろ、お前だけだぞ、そんな幼稚なネタで嬉しがってんの」

 

「だったらさ、ちょうど今晩雨だし、みんなでやってみようよ!」

 

 里中が挑発的に発言する。

 

「やってみようって……オメ、自分でも見た事ねえのかよ! 久しぶりにアホくさい話を聞いたぞ……」

 

 花村はやれやれ……っと呆れている。

 

「それより、昨日のアレってやっぱり"殺人"なのかね? 実はその辺に犯人とか居たりしてな……ひひひ」

 

「そういうの面白がんなっての。幼稚はどっちだよ……ねえ空条君?」

 

「………いちいち俺に話題を振るのをやめてくれ」

 

「うっ……ご、ごめん………と、とにかく! 今晩ちゃんと試してよね!」

 

「はぁ………やれやれだぜ」

 

 

 

 

 ─────────

 

 堂島宅──

 

「…………」

 

「…………」

 

「「…………」」

 

 遼太郎はまだ帰ってこず、今日も二人きりの夕食だ。

 

「…おじ…とうさんからの連絡はあったか?」

 

「……ない。デンワするって、いっつも言ってるのに……」

 

 菜々子はどうやら少し怒っている様子だ。

 

 ガラガラガラ

 

「あっ、帰って来た!」

 

 少し暗い雰囲気だったが、玄関の開く音により菜々子が元気を出した。

 

「やれやれ……ただいま。何か変わり無かったか?」

 

「ない。かえってくるの、おそい!」

 

「悪い悪い……仕事が忙しいんだよ。………テレビ、ニュースにしてくれ」

 

 とても疲れた様子でソファーに座りながら、菜々子に頼む。

 

 ピッ

 

『次は、霧に煙る町で起きたあの事件の続報です。稲羽市で、アナウンサーの山野真由美さんが民家の屋根で変死体となって見つかった事件。山野さんは生前、歌手の柊みすずさんの夫で議員秘書の生田目太郎氏と愛人関係にあったことが分かっています。警察では、背後関係をさらに調べるとともに、関係者への事情聴取を進める方針です』

 

(……この事件、やっぱり何か気になる……)

 

 承太郎はどうにもこの事件が気になるようだ。……もしかしたら例の件で培われた経験がこの事件は"何かある"と言っているのかもしれない。

 

『番組では、遺体発見者となった地元の学生に、独自にインタビューを行いました』

 

「ふぅ…第一発見者のインタビューだ? どこから掴んでんだまったく……」

 

 遼太郎はマスコミの情報収集能力に呆れている。

 

『最初に見た時どう思いました? 死んでるって分かった? 顔見た?』

 

(……おいおいおいおい、いくら何でもその聞き方はねぇんじゃねぇか?)

 

 マスゴミ……ではなくカスゴミ……でもなくマスコミの質問内容に怒りを覚える承太郎であった。

 

『え、ええと………』

 

 マスコミからの質問を受けている第一発見者の少女も返答に困惑している様だ。

 

(………ん? よく見るとコイツどっかで………)

 

『霧の日に殺人なんて、なんだか怖いよね?』

 

『え…? 殺人、なんですか?』

 

『あ、え~っと……最近このあたりで不審な人とか、見たりしなかった?』

 

『や…私は何も………』

 

『早退した帰りに見つけたって事だけど、早退は何か用事で』

 

『え? えっと……』

 

(早退………そうか、こいつジュネスで会った小西とかいう女か)

 

 テレビ側のぼやかしで詳しい顔つきまでは分からないが、あの髪色と雰囲気が、今日の放課後に出会った小西早紀と似ている。それに彼女は早退をしなければよかったと愚痴を漏らしていたが、このインタビューのせいだろう。

 

『地元の商店街の近くで起きた悲惨な事件。商店街関係者の多くは、客足がさらに遠のくのではと懸念しています……』

 

「ふん、おまえらが騒ぐから余計に客足が遠のくんだろ……」

 

 もっともなことを言う遼太郎。どうやら先ほどよりも呆れている様子だ。

 

『全く、奇怪な事件ですね~。民家のアンテナに引っ掛けて逆さに吊るすってんだから……。何かの見せしめか、犯人からのアピールと言ったところでしょうな~』

 

『犯行声明などは出ていないようですが』

 

「イタズラ電話なら殺到してるがな……」

 

 あくび交じりに遼太郎は呟く。

 

『そもそも死因は不明のままだし、容疑者の一人も見つかってない訳でしょ? 事件か事故かも分からないなんて、ったく、警察は血税で何遊んでるんだか……』

 

『では、一旦CMです』

 

「………………」

 

 承太郎は今の話を踏まえて考える。いくら田舎町とはいえ目撃者が誰一人としておらず、尚且つ死因も分からない。それだけを聞くと、まるで人間の仕業じゃない方法で殺されたように思える……そう、例えば………

 

「スタンド使い……いや、まさかな……」

 

 承太郎はそこまで考えると、いや有り得ないとその考えを否定した。そもそもスタンドを使える人間など一握りだ。それにこんな田舎町にスタンド使いがいるはずがない……っと考え直したからである。

 

『ジュネスは毎日がお客様感謝デー。来て、見て、触れてください~エブリデイ・ヤングライフ・ジュネス! ~』

 

「エブリデイ・ヤングライフ・ジュネス~♪」

 

 菜々子がジュネスのCMに合わせて歌う。その可愛らしい様子を見て、承太郎は少し考えすぎか……っと頭を冷やす。

 

「ねぇお父さん。こんどみんなでジュネス行きたい!」

 

「ぐうぅゥ……………Zzzz」

 

「……だめ?」

 

「……どうやら寝ちまったみてぇだな」

 

 遼太郎は今回の件で疲れていたのか、ソファーに座ったまま寝ている。

 

「……あーあ、も~…」

 

「………やれやれだぜ」

 

 承太郎は肝心な時に起きてない遼太郎に呆れつつも、仕事が大変だから仕方ないかと考える。

 

(……っと、早く飯を食わねぇとな)

 

 止めた箸を再び動かし、少し空気の悪い中惣菜を食べ進める………

 

 

 

 

 ─────────

 

 自室──

 

 カチ……カチ……カチ…………

 

「…………」

 

 時計の針の音が響く中、承太郎は海洋学についての知識を深めるため勉強に励む。

 

「…………ん」

 

 ふと時計を見ると、あと数秒で0時になろうとしていた。

 

「……マヨナカテレビ……か。ふんっ……くだらねぇ」

 

 くだらない……っと言いつつも、約束した手前やらないわけにはいかない……と謎に義理堅い部分を出し、テレビの前に立つ。

 

 カチ……カチ……カチ…………カチッ! 

 

 時計が0時を指した………が、

 

「………所詮は低俗な噂だったってわけだ。まァ予想はついてたがな」

 

 特に何の変化も起きなかった。こんなアホなことをしてる自分に呆れつつ机に戻ろうとする……と、その直後──。

 

 ジリジリジリジリジリ……………

 

「……っ?!」

 

 それは突然ッ!!! 何とつけていないはずのテレビに砂嵐のようなノイズが走る………

 

「なんだ……これは……」

 

 そして時折だが、自販機の前で焦っているような女? の姿が映る。しかしホントに一瞬過ぎて誰だか分からない。

 

「…………スタープラチナ」

 

 しかし承太郎は違った。一般の人には一瞬しか認識できないだろうが、承太郎には細かく確認する方法がある。

 

 それがスタープラチナの"超動体視力"だ。スタープラチナは、暗闇で撮られた写真の背景から蠅を見つけ、その姿を精密にスケッチを起こす事が可能な程の動体視力を持つ。

 

 その動体視力を利用し、先ほどまで勉強で使用していたペンとノートをコンマ一秒の早さで取り、一瞬だけ映るその映像をスケッチしていく。

 

 サラサラサラサラサラサラ……

 

 スタープラチナは一瞬の隙も許さぬ早さで描いていく………

 

 サラサラサラサラサラサラァァァッ……!!! 

 

 スタープラチナがペンを止めたので確認すると、どうやらスケッチは完了したようだ。スケッチ完了までの時間は約2秒という恐ろしい早さであった。

 

 そしてそれと同時にテレビのノイズも次第に消えてゆく………

 

「しかし噂は本当だったってのか? だったとしても今の現象は一体……」

 

 そう思いつつテレビの液晶に触れる……すると、

 

 ピイィィィンンンッ

 

「なッ………」

 

 なんと触れた液晶部分から、まるで水滴が滴り落ちたかのような波紋が広がる。

 

「き、気のせいか? いや………」

 

 承太郎は先ほどまでの考察を思い出し警戒したが、その好奇心には勝てず、今度は腕ごと液晶に突っ込んでみる………

 

 グイイイイイッ!!!!!! 

 

「な…なにィィィィッ!?!??」

 

 今度は物凄い力で手が液晶の中へと引っ張られる。

 

「くッ…!! このパワァー!?!?」

 

 承太郎はその瞬間、頭の中で一つの事が確信した。

 

(こいつァスタンド能力ッ!!!!!)

 

オラァッ!!!!!

 

 ベギャァァンッ!!!! 

 

 引っ張られる腕を持ち前の力で戻し、テレビをスタープラチナで破壊する。

 

「はぁ……はぁッ………やはりこの町にはスタンド使いがいやがるのかッ!!!」

 

 そう考えると承太郎は、今までの経験を活かし、スタープラチナを出したまま警戒する。

 

 ドタドタドタ………

 

「どうしたの!? ものすごい音がしたけど……!」

 

 どうやらテレビを壊した音で菜々子を起こしたらしい。心配した菜々子の声が聞こえる。

 

「い、いやなんでもねェ……! だからこの部屋には入って来るなッ!!!!」

 

 もしこの部屋の空間のどこかにスタンド使いがいたらマズいと判断し、声を荒げながらも菜々子を追い返そうとする。

 

「で、でも………もしなにかあったr「だからなんでもねェって言ってるだろうがァッ!!!!!」ひっ……! ………ごめんなさい」

 

「………………」

 

 菜々子の怯えた声を聞き、しまった……っと少し冷静になる。

 

「………すまん菜々子。怒鳴ってしまって……その……悪かった。だが本当に何もないから大丈夫だ。すまんな、起こしてしまって……」

 

「………ううん、いいよ……お休み」

 

「ああ……」

 

 途轍もない罪悪感を感じながらも、再び警戒に集中する。

 

 

 

 

 ─────────

 

 自室──

 

 …………一体どのくらいの時間が経ったのだろうか。あれからかなり警戒をしてるが、一向にスタンド使いに動きは見られない。

 

「………………」

 

 少し力を緩め、時計を見ると、針は2時を指していた。

 

「………スタンド能力……じゃあなかったのか?」

 

 流石におかしいと感じ取った承太郎はそう予想立てる。

 

「いや、だったらさっきの現象は………まさか」

 

 すると、承太郎はまた一つの考えが浮かぶ。

 

「ただの放送ミス………だったのか?」

 

 それは有り得るかもしれない話だ。別に0時にあの現象が起きたのだって不思議じゃない。放送ミスとはいつ起きてもおかしくない現象だ。

 

「………………」

 

 スタンド使い……しかも相当のやり手の可能性があると思っていたのが実は単なる放送ミスかもしれない……っと考えると、承太郎は少しイラついた。

 

「………菜々子には何かお詫びをしてやらねェとな」

 

 承太郎は先ほど怖がらせてしまった菜々子に、お詫びをしてやらねえとなと考えながら、先ほどスタープラチナがノートに描いたものを見る。

 

「………こいつァ」

 

 そこに描かれていたのは、やはり何者かから逃げているかのような少女だった。

 

「ん、いや待て……こいつどっかで………ッ!?」

 

 承太郎は思い出した。それもそのはず、この人物とは今朝出会っている。

 

「……小西…早紀!!!」

 

 この特徴的な髪と八十神高校の制服を見間違うはずがない。しかし、それはそれで疑問が生まれる。

 

「何故小西早紀がテレビに……?」

 

 そうなのだ。仮にこれが放送ミスだったとしても、何故その映像が小西早紀なのかだ。別に彼女はテレビに出てるタレントでもアイドルでも何でもない。なら何故……? と謎が更に深まる。

 

「………………」

 

 考えても埒が明かない……そう判断した承太郎は、時間も時間だし取り敢えず寝ることにした……"テレビの電源はついていなかったのに映像が映った"という重要な部分を見落としながら。

 

 

 

 

 ─────────

 

 通学路──

 

「………………」

 

 承太郎は夜に起こった現象を考えながら登校をする。

 

「ナーイス・タイミング! ごめん、傘に入れt………って入れそうにないか……」

 

 後ろから元気な声で自分の元に走ってきたのは、里中だった。

 

「えーと、それって傘が小さいわけじゃないよね……どんだけガタイがいいのよ空条君…」

 

「………やるよ」

 

「え……? い、いやそれは申し訳nきゃっ……!」

 

 承太郎は考え事に集中したいので、無理やり里中に傘を持たせる。

 

「ちょ、ちょっとちょっと! それじゃ空条君が濡れちゃうよ!?」

 

「………………」

 

「………えーと、聞こえてる? おーい、くうじょうく~ん」

 

「………………」

 

 承太郎は集中しすぎて里中の声など届いていないといった感じだ。

 

「………もしかしてだけどさ、例のテレビの事で考えてる?」

 

「ッ!? お前にもあれが見えたのかッ!!!」

 

 ガシィッ

 

「へぇェッ!? ちょっと!? ち、近いから……その、顔が!!!」

 

 里中は承太郎の顔が近づいたことにより顔を赤くした。

 

「ん……すまん……」

 

「も、もう………」

 

 恥ずかしいのか、里中は顔を俯かせてしまった。

 

「それでだが、あの映像を見たのか?」

 

「………え? あ、う、うん。 見たは見たんだけどさ……えっと、話の続きは学校でみんなと合流してからにしない? ほら、その……」

 

「………?」

 

 里中が控え気味で周りを見渡したので、何事かと思い自分も周りを見ると、慌てた様子で俺たちの方から別の方を見る登校している生徒たちがいた。

 

「……ああそうだな。…………はぁ、やれやれだぜ」

 

 自分のせいでこんな注目を浴びてしまっているのだが、承太郎はそんな事は気にせずといった感じでお決まりのセリフをかますのであった………

 




お読みいただきありがとうございました!

話を書いてると段々と承太郎の喋り方が分からなくなる今日この頃。

そしてアンケートの結果についてですが、次のお話に反映させようと考えているので、まだ投票がお済でない方は是非投票してみてください!

そして菜々子ファンの方々…………すみませんでしたァァァァッ!!!!!!!

※のちに花村は語る。ジュネスにて身長190を超える男がテレビの値段を値切ってたとか値切ってなかったとか……

小西早紀の運命は……ッ!!!

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