ペルソナ使いとスタンド使いによる奇妙な冒険   作:SKBoom

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さぁタイトルにもある通り、遂にあの"鼻"が現れます!

正直言ってペルソナと無関係な承太郎をどうやって絡ませるか悩んだ結果、かなり強引な感じになってしまいました……

それでも構わない方は是非お読みください!

※再び誤字修正の指摘ありがとうございます!誤字の見落としが多いので非常に助かっております!


第七話 未だ拭えない不安とベルベッドルーム

 自室――

 

 承太郎は自室に入るや否や、ソファに勢いよく座った。

 

「………………」

 

 疲れ切った表情で天井を見つめ、今回あったことを整理する。まずはテレビの世界についてだ。あの世界ではシャドウというモノが存在し、その正体は人間の抑圧され感情…つまり本人が気付かない様ににしてきた本心の塊である。そしてこの世界にいる全人類の抑圧された感情を表したのが、あのテレビの世界なのだろう。

 

 

 そして仮にあの世界に人間が入ってしまったら、その対象者の抑圧している感情がシャドウ……もう一人の自分として現れてしまう。そしてそのもう一人の自分が言うことは全てが本当の事、どれだけ否定しようがその言葉が本心。いずれその人間はその言葉を認めたくなく、もう一人の自分の言葉を拒絶してしまう。しかしもう一人の自分はそれが目的だ。

 

 

 つまりもう一人の自分はその拒絶の言葉を言わせるため、あえて本人の最も認めたくない部分を口に出して言う。そしてもう一人の己自身を否定してしまったら最後、そのもう一人の自分は抑圧から解放され、感情でしかなかった存在がホンモノへとなり替わろうとする。その結果、対象者は抵抗する手段も無くホンモノに殺されてしまう………

 

 

「……まさか、そんな世界が存在しようとはな」

 

 承太郎は驚くでもなく、ただそう呟く。そしてふと、隣の机の上に置いてある写真立てに目が移る。そこには五人の男達と、一匹の犬が笑顔で写っている。

 

「………………」

 

 承太郎は数秒間……いや、かなりの時間、懐かしむように見入った後、ポケットから携帯を取り出す。

 

「…あのじじい、出ればいいんだが」

 

 そう言いながら、承太郎はじじいと呼ぶ人物に連絡を取る。

 

 prrrr prrrr prrrr…………

 

 その後も数回コール音が鳴るが、相手は出る気配がない。仕方なく電話を切ろう………そう考えた時だった。

 

 ガチャッ

 

『……誰だ? 直接ワシの自室の電話にかけてくる奴は。ワシの自室の連絡先を知ってる奴といったら………』

 

「はぁ……俺だじじい」

 

 承太郎がそれだけを言うと、電話相手は愉快そうな声をあげる。

 

『おぉ承太郎か! いや~アレからまだ数か月ぶりじゃが、かなり久しぶりにお前の声を聞いたような気がするなぁ』

 

「……少し訊きたいことがあるんだが」

 

『ん? ワシに訊きたいこと? ……何でも聞くがいい! この"ジョセフ・ジョースター"に分からん事はなぁい……ってな!! ハハハハハっ!』

 

 ジョセフ・ジョースター、現在ニューヨークにて『ジョースター不動産』を経営する不動産王であり、例のエジプトでの戦いの仲間の一人である。

 

「……酔ってんのかてめぇ」

 

 謎に高いテンションのジョセフに呆れる承太郎。

 

『んやぁ? ワシは酔っとらんよ。それで、訊きたい事とは何だ?』

 

「素でそれか……相変わらずだなじじい。……それで訊きたい事が…いや、その前に説明した方がいいな」

 

 そう思った承太郎は、今居る八十稲葉で起きている事件の事、そしてマヨナカテレビや、テレビの中の世界の事を実体験を交え、全て教える。

 

「………っという事だ」

 

『……う~む。すまんがワシはその"ペルソナ"という存在は今初めて知った。同様にテレビの世界についてもだ……だから残念じゃがワシが教えれそうなことは……』

 

「………そうか」

 

 何かじじいなら知っているのではないかと承太郎は期待していたが、どうやら初耳の事だったようだ。

 

『すまんのぉ。……しかしペルソナか。確か心理学の用語で『人間の外的側面・自分の内面に潜む自分』という意味がある』

 

「ああ、それなら俺も知ってる」

 

『流石に知っておったか…う~む、何か関係がありそうなんじゃが…ん、どうした………そうか分かった……おっとすまんな、実は今ちょっと忙しくてな』

 

「流石不動産王だな、年老いてもまだ元気というわけだ」

 

『それとこれは関係ないだろ……しかしこの件、お前にとっても他人事では無いぞ』

 

 承太郎が少し冗談気味に言うと、ジョセフは意味深な言い方をする。

 

「なに…?」

 

『……今周りに誰もおらんだろうな』

 

「ああ…俺以外いねぇが………じじい、一体何なんだ」

 

 承太郎が怪訝な表情をしながら事の詳細を聞く。

 

『実はな……あの"エンヤ婆"の持っていた"スタンドを引き出す矢"の事じゃが……もしかしたらあれ以外にも存在している可能性があってな』

 

「なっ! ……それは確かなのか」

 

 承太郎はジョセフの言う事に驚く。というのも、承太郎がスタンドに目覚めたきっかけはこの"スタンドを引き出す矢"でもある。そしてそれを所持していたのが"エンヤ婆"という人物だ。

 

『確実ではない……が、その可能性はかなり高いとワシは睨んでおる。そして今話していたのが"スピードワゴン財団"の職員でな、ワシを呼びに来たんじゃよ』

 

 "スピードワゴン財団"、基本的に医療分野の事業を主軸にしている企業であり、世界有数の総合研究機関と称されている。更にごく一部の人間しか知られていないが、その中に『超自然現象』を扱う部門があり、古代文明に関する考古学的研究や、スタンド使いについての調査も進めている。

 

「呼びに来た?」

 

『ああ、経営は優秀な部下に任せ、スピードワゴン財団と共に真実を探ろうとしてな。それで丁度身支度をしてる最中だったんじゃよ』

 

「そうか……それはすまねぇ事をしたな」

 

『な~に気にすることはない! ………ああ分かっとる、そんなに急かすな…………すまんがもう行かないといけなくてな。力になれんくてすまんのぉ……』

 

「いや、問題はない……それじゃあな」

 

『ああ……気を付けるんだぞ』

 

 別れの言葉を言い、通話を切る。

 

「流石にじじいでも知らなかったか……」

 

 ペルソナに関する情報の収穫が無かったことを残念に思いつつ、時計を見る。

 

「……流石に寝ないとな」

 

 明日も学校があるので、承太郎は電気を消し、床に就いた………

 

 

 

 

 ―――――――――――

 

 堂島宅――

 

 学校に行くため朝早く起き、自室のある二階から一階に降りると、遼太郎が慌ただしく何処かに行く準備をしていた。

 

「起きたか、それじゃあな」

 

「………ああ」

 

 承太郎は遼太郎が家を出ていくのを目で見送る。

 

「かなり急いでたみてえだが、………菜々子、何か知ってるか?」

 

「うん……お父さん、なんかようじみたい。だれかにデンワして「早くしろ!」っておこってた」

 

「そうか……」

 

 事情を説明すると、菜々子は玄関の方を不安そうな表情で見つめる。恐らく遼太郎の事が心配なんだろう。

 

「……あ~と、それとだが……昨日は心配をかけてすまん」

 

 承太郎は昨日、遅く帰ってきてしまい菜々子に余計な心配をさせた事を謝罪する。

 

「……ん、ななこ少しおこってる」

 

 不安な表情で玄関を見つめていたが、今度は少し怒っている表情をし、承太郎を見る。

 

「……ホントすまねぇ。何かお詫びを……」

 

「……じゃあこんどジュネス連れてって! それでゆるしてあげる!」

 

「ジュネスか……本当にそれでいいのか?」

 

「うん! ジュネスだい好きだもん!」

 

 本当にそれでいいのか確認を取ると、満面の笑顔で返された。

 

「……放課後、今日の学校終わりに行くか」

 

「え! いいの! やったー!」

 

 菜々子はジャンプをしながら喜びを表現する。

 

「……ふっ」

 

 その姿を見て、承太郎は自然と笑みがこぼれる。改めて、承太郎は菜々子の安全のためにもこの事件の犯人を捕まえると"覚悟"を決めた。

 

 

 

 ―――――――――――

 

 八十神高校 午後――

 

 承太郎は今、かなり困っていた。というのも、登校して朝にすぐ、里中に昨日の事を謝ろうとしたのだが、話をまともに取り合ってはくれなかった。怒っているから…っというよりも、何か気まずいといった様子であった。

 

「はぁ………」

 

 そしてもう一つ困っていることがある。それは陽介がまだ学校に来ていない事だ。陽介が居れば何とか里中とも会話が出来るかもしれないが、いない今、その策も完全に潰れたのである。

 

 ガラガラガラッ

 

「ったく……尋問がなげーったらありゃしねぇ」

 

 聞き覚えのある声が扉の方からしたので顔を向けると、疲れ切った表情の陽介がいた。同じくそれに気付いた里中は一瞬顔を陽介の方に向けるが、やはり気まずそうな表情をした後、俯く。本来なら天城とそのまま話すのだろうが、何故か天城も今日はまだ来ていない様だ。

 

「よぉ承太郎、いやー今日は大変だったぜ……」

 

 陽介も一瞬里中の方へ視線をやるが、やはり気まずいのか承太郎の元へとやって来る。

 

「寝坊か?」

 

「それならどれだけ良かったか……実はな、朝学校に行く準備してたら玄関のチャイムが鳴ってさ、誰だって思って出たら警察だったんだよ」

 

「……なるほどな」

 

 承太郎はその言葉を聞いて、今朝の遼太郎の行動に納得がつく。というのも承太郎は昨日の夜、遼太郎に小西早紀について聞かれたという事は親が捜索願を出してるのだろうと考えた。そして陽介が保護したという形で、小西早紀を家に届けた。そうしたら親は警察に無事に帰って来た事と経緯を話すはずだ。そこで陽介の名前が出たのだろうと考える。

 

「それで何処で保護したのか、何故その時間まで出歩いてたのかとかしつこく質問されてよぉ………ありゃもう尋問だぜ! 昨日だって送り届ける時大変だったってのに……」

 

「昨日も何かあったのか?」

 

「……ん? あぁ…ほら、俺って言わばジュネス店長の息子だろ? こんな田舎町だしそんな事は誰もが知っててさ…それでジュネスってのは商店街の人たち…いやそれ以外の人たちにも疎まれてんだ。勿論小西先輩の親父さんもそれを知ってるわけだし……」

 

「……そうなることは知ってたはずだ。なのに何故あの時小西を送り届けることを引き受けたんだ?」

 

 承太郎は不思議に思った。そこまで分かってるなら、何故引き受けてくれたかだ。

 

「は? ……いやけが人のお前に行かせるわけにはいかねぇだろ。どんだけ俺は鬼畜なんだよ……」

 

 陽介は少し呆れた表情をする。

 

「……それに、俺なりに決着をつけたかったのさ。ジュネス店長の息子だからって少し歩けば愚痴をこぼされる現実にはかなりイラついてた…いや、内心ビビってた。いつか殴られたり、それ以上に恐ろしい事をされるんじゃないかって。でもさ……」

 

 そこまで言うと、陽介は一呼吸をし、言葉を続ける。

 

「いつまでもビビってちゃ人助けなんてできねぇだろ? …だから、これは俺なりのケジメだ。面と向き合って、文句を言われ…でもそれと向き合う。理不尽だと分かってても、人はいつかそれと向き合わなきゃならねぇ。逃げてばっかじゃいつか何も出来ない人間になっちまう…な、なんか自分で言ってて恥ずかしくなってきた…やっぱ今のはナシ! 今すぐ忘れろ!」

 

 陽介は自分の言っている事に恥ずかしくなったのか、少し顔を赤くしながら承太郎に忘れる様に催促する。

 

「……そうか、てめぇの"覚悟"は強くなったんだな」

 

「ちょ、真顔で言葉を返すなよ恥ずかしいだろっ!?」

 

 陽介は承太郎の肩を掴みながら叫ぶが、当の本人は少し笑っている。

 

「あ、あのさ…楽しそうなところ悪いんだけど…その…き、昨日はごめんなさい。急にビンタしたり怒っちゃったりして……」

 

 掴まれていた肩から手が離れ、声のする方を向くと、申し訳なさそうな表情をした里中が居た。

 

「さ、里中…いや、俺たちの方こそゴメン…お前にも相談するべきだった……」

 

「…お前が謝る理由は無ぇだろ。元は俺が勝手に行こうとしたところを見てられず付いてきただけだ。……里中、俺の方こそ……その、すまんかった」

 

 承太郎はそう言うと、久しぶりに…本当に何年ぶりに自ら頭を下げた。これも、成長のおかげなのだろうか………

 

「……はは、結局みんな謝っちゃった…よぉしもうやめやめ! こんなの私たちには合ってないし! ……それよりさ、雪子来ないけどどうしちゃったんだろ…午後からは来るって言ってたのに……」

 

「天城? ……そういや確かに居ないみたいだな」

 

 陽介は辺りを見渡して、天城が居ないことに気付く。

 

「……里中、少し考えたんだが、やはりお前にもテレビでの件を教えておいた方がいいと思ってな」

 

「あ、そうだよな…里中だったらあっちの世界を一回見てるから信じてくれるだろうしな」

 

「……え? ああ、そう言えば結局何でまたテレビの中に入ってったの? あの時は心配し過ぎて詳しいこと聞くなんて頭になかったから………」

 

 何故入ったのか不思議そうな里中に、承太郎が推理した内容とテレビでの出来事について説明する。

 

「……確かにその推理合ってるかも。あの部屋にあったポスターが柊みすずだったとしたら……それで、小西先輩は今どうしてるんだろ」

 

 里中はどうやら助け出した小西の事が気になるらしい。

 

「俺は今来たところだから知らねぇけど……大方警察に事情とか訊かれてるんじゃね?」

 

「そのことだが、休み時間に教室に行って確認して来たが登校はしてなかった。一応小西の担任の先生に確認したが、『一身上の都合により数日間はお休みを取る』だそうだ」

 

「まぁそりゃそうだよな…事件の目撃者がテレビで映ってから行方不明に…なんて分かったら親と警察が外に出るのを許すわけないよな……」

 

「うん…そうだよね」

 

 二人はやり切れない表情をしながらも、その考えには納得している。

 

「小西先輩…無事だといいけど」

 

 一人、思いを寄せていた陽介は一段と心配をしている様子だ。

 

 ピーンポーンパーンポーン……

 

 ガラガラガラッ!

 

「おらぁ! 貴様らサッサと席に着かんか! 全く最近のガキは……」

 

「やべっ、次の授業モロキンだったの忘れてた…続きはまた後から話そうぜ!」

 

「そうだね」「ああ」

 

 悪目立ちする事は極力避けたいので、承太郎達は真面目に席に着くことにした。

 

 

 

 

 ―――――――――――

 

 八十神高校 放課後――

 

「あ~疲れた~~~~」

 

 机に顔を伏せながら、大きい溜息を吐く里中。

 

「なんかモロキンの奴いつに増して機嫌悪かったくね? 里中なんか『答えが分かるまで席には座らせんぞ!』…とか言われる始末だしさぁ……承太郎もそう思わな…って、もう帰んの?」

 

「ん、ああ…今日は菜々子とジュネスに行くと約束したからな」

 

 承太郎が何気なく言うと、ダラーッとしていた陽介は、その姿は何だったのかと言う程、血相を変えて承太郎の肩をがっしりと掴む。

 

「おま、お、お、おままままままッ?! 菜々子ってだ、誰だよ! お前の彼女か! そうなのかァ?! 答えろ承太郎ォォッ!!!!」

 

「テメ…やかましいぞッ!!!」

 

「イデ! だ、だってさぁ………」

 

 がっしりと掴んでいる手を簡単に払い除け、少し睨む承太郎。

 

「えーと…確かお世話先の堂島さんの娘さんでしょ? あれ、花村はその話の時いなかったんだっけ」

 

「へ…? あ、あぁ! そうだったのかよ承太郎ぉ! そういうのは早く言えよなぁ!あっはははは! 俺はてっきりお前に彼女がいるもんだと……」

 

「彼女なんかいらねぇ……それじゃ俺は帰るぞ」

 

 机に掛けてある鞄を取った承太郎は、教室を出ようとする。

 

「じゃあね~空条君! また明日!」

 

「じゃあな承太郎!」

 

「…………ああ」

 

 承太郎は、こういうのも悪くはないな…と思いながら教室を出た。

 

 

 

 

 ―――――――――――

 

 通学路 放課後――

 

 雨が一日中しとしとと降りつづく中、大きな男は前へと進む。

 

「……ん、あいつは…天城?」

 

 この雨の中、その風景に似合わない綺麗な着物を着た少女、天城雪子がベンチに座っていた。

 

「………あれ?」

 

 どうやら、天城の方も承太郎に気付いた様子だ。折角なので、何をしていたのか聞くべく承太郎もベンチに座る。

 

「あ…この格好? 驚いた? 家のお使いだったから……」

 

 天城が、承太郎の視線で察したのか、何故着物を着ているのか説明する。

 

「…ん、すまん見過ぎたな」

 

「別にそんな事は気にしてないから大丈夫だよ」

 

 天城は静かに微笑む。

 

「えっと…この町とか、学校にはもう慣れた?」

 

「いや、まだ慣れてはねぇ…が、この町の事は気に入った」

 

 承太郎は素直に褒める。町を気に入った理由は勿論、陽介たちのおかげだ。

 

「ほんと…? けど、知らない場所に転校してくるって、大変なんだろうね。私はこの町から出た事ないから、転校ってどんな気分か、分からないけど……」

 

「…最初は最悪だったけどな。あの諸o…いや落ち武者野郎のせいでな」

 

「落ち武者……ぶふっ」

 

 天城は余程落ち武者と言った事が面白かったのか、少しの間笑っていた。

 

「……意外とこういった冗談で笑うんだな」

 

「え…? あ、ホントだ…千枝以外の前であんな風に笑えたこと無いのに………」

 

 天城は承太郎には聞こえないくらいの声量で何かを言っている。

 

「……でも、初めてお前の笑った表情を見た気がするな。まぁ出会ってそんなに経ってないってのもあるだろうが……」

 

「………うん、そうだね」

 

 すると何故か、天城は悲しそうな表情をする。

 

「……あ、えっと…私、いつも帰り早いし…その…千枝とかとはどう?」

 

 少し気まずくなったのか、話題を変える。

 

「あいつらと? まぁ仲良くやってるな」

 

「そう、よかった。千枝ってね、すごく頼りになるの。私、いつも引っ張ってもらってる。去年も同じクラスでね、一緒にサボって遊んだりしたな」

 

「天城がサボりか……想像できねぇな」

 

「そ、そうだよね……そんなこと無いのに…でもみんなm「だがそっちの方の天城の方が俺は好きだな」……へ!? す、すすすすき!?」

 

 突然の好き…という発言に驚いてしまう天城。

 

「ああ、俺の気のせいかもしれねぇが、今のお前は何か無理をしている様に見える」

 

「っ……!」

 

「その理由は分からねぇが、少なくとも俺はそっちの天城の方g「あっ!! わ、私そろそろ戻らなきゃ…板長と明日の打ち合わせもしないといけないし。それに…ウチの旅館、私がいないと全然ダメだから」……そうか」

 

 承太郎の言おうとした事は天城によって遮られた……この様子を見るに、どうやら無理をしているのは図星だったようだ。

 

「……えと、また学校でね」

 

「ああ……」

 

 そう最後に言うと、天城は傘を差しながら去って行った。本当ならもっと何かを言ってあげても良かったのかもしれないが、今の承太郎にはこれが限界だった。

 

「……俺も行かねぇとな」

 

 承太郎は何とも言えない感情を残し、菜々子の待つ家へと変えるのであった。

 

 

 

 ―――――――――――

 

 堂島宅――

 

 ガラガラガラッ

 

「あ! ただいま~!」

 

「……お帰り」

 

 家に帰ると、笑顔の菜々子が玄関の方まで来てくれた。

 

「ねぇねぇ! はやくジュネス行こ!」

 

「ああ、少し準備するから待ってろ」

 

 承太郎は色々と準備を済ませた後、菜々子と一緒にジュネスへと向かった。

 

 

 

 ―――――――――――

 

 ジュネス 総菜売り場――

 

 承太郎と菜々子は、夕食のお惣菜を買っている最中である。

 

「あ、これもおいしそうだね! あ、こっちも!」

 

「ああ、確かに旨そうだな。これなんかもi「あの……」……あ?」

 

 突然後ろの方から声をかけられたので、そちらの方を向くと、金髪の20代前半の社会人男性……といった感じの男性が立っていた。

 

「…これ、落としましたよ」

 

 そういって男性から手渡されたのは、ついポケットに入れ忘れていた生徒証明書だった。

 

「……家に置いてくるのを忘れちまったか。すまねぇな」

 

「あ、いえいえ、私は当然の事をしたまでですので……それにしても空条承太郎…ですか。珍しいお名前ですね」

 

「……名前を見たのか」

 

 名前を見られたことに驚いた承太郎は、少し威圧して聞くと、男性は恐縮した様子で答える。

 

「す、すみません……拾う際につい目に名前が入ってしまって……特に悪気は無く…」

 

「……そうか、いやすまねぇ。拾ってくれたのに悪いことをしちまったな」

 

「あ、いえいえ! そんな謝ることは………あ」

 

 すると男性は、何かを見つけると、少しの間固まってしまった。

 

「……? おいどうした」

 

 その男性の見ている方角を見ると、菜々子が惣菜を選んでいた。

 

「……あ、いや何でもありません。それでは……」

 

 そう言うと、その男性は急ぎ足でこの場を去った。

 

「…あの身の振りの感じ、この町の人間じゃあないな。……それに何故菜々子を…っというよりも、"手"を見ていたような………」

 

 あの男について承太郎は考えていると、誰かにズボンを軽く引っ張られる。

 

「あっちも見てみようよ! ほらいこ!」

 

「……ん、ああ」

 

(……どうせ二度と会うこともないだろうしいいか)

 

 男について考えるのは止め、菜々子と買い物を楽しむ事にした。

 

 

 

 ―――――――――――

 

 堂島宅――

 

 家に帰り着いた後、すぐにご飯を食べ、今はテレビを見てくつろいでいる。

 

「……お父さん、おそいな」

 

「ああ、遅ぇな」

 

 多分小西早紀や今回の事件の件で遅くなっているのだろうと承太郎は思った。すると、テレビのCMが終わり、ニュースへと移り変わった。

 

『では、今夜のトップニュース。稲羽市で起きた異常殺人の続報です。ここ数日前より、殺人現場の第一目撃者であるKさんが行方不明になっていたことが明らかになりました。しかし昨日夜9時頃過ぎに、無事家に帰って来たとの情報が入ってきました。この件に関して警察は、Kさんが何かしらの証拠を見てしまった為、異常殺人の犯人が、証拠隠滅の為Kさんを誘拐した…という考えで捜査を続けているようです』

 

「またジケンだね…またお父さん、かえってこなくなる」

 

「……俺がついてる」

 

「……うん、そうだね。今日もジュネスに付き合ってくれてありがとね!」

 

「……なんだったら、暇なときは俺が連れてってもいい」

 

「え…!? ほんとにいいの…? で、でも…学校とかで忙しいでしょ?」

 

 菜々子は一瞬笑顔になったが、承太郎の事を思ってなのか、遠慮をしている様だ。

 

「いや、そんな大変じゃねぇ。だから……まぁ、何というか……」

 

「……ううん。やっぱりいいよ、めいわくかけちゃうかもだし。かわりに家の事やるの、手つだってくれる?」

 

「……ああ」

 

「ありがと! えっと………お、"お兄ちゃん"」

 

「…………」

 

「え、えへへ……」

 

 承太郎は固まってしまう。自分には兄弟はいないため、今まで兄と慕われることは一度もなかった。しかし、菜々子の"お兄ちゃん"発言により、流石の承太郎でもとても嬉しく思ってしまう。

 

「……これからなんでも任せてくれ」

 

「えっ!? な、なんでもはさすがに……でもありがと♪」

 

 菜々子が喜んでいると、ふとテレビの内容が変わる。

 

『……鮫川の上流に軒を構える、地元随一の歴史をもつ高級温泉宿、"天城屋旅館"。源泉かけ流しラドン泉の露天風呂を構え、遠方からのリピーターも多い高級旅館だ』

 

「天城屋旅館……確か天城の…」

 

『えー、事件後、女将が一線を退き、今はこちら、一人娘の雪子さんが代わりを務めています』

 

 そう言ってカメラが別の方を映すと、そこには和服姿の天城が映っている。

 

『言ってみれば"現役女子高生女将"…といった所でしょうか。何ともこう…惹かれる響きです! お話うかがってみましょう…すみません!』

 

『…え? 私…私ですか?』

 

『女子高生で女将、という事ですが』

 

『いえあの、私は代役で』

 

 天城の表情を見るに、とても困惑している様子だ。

 

『でも後継ぐワケでしょ? て言うか和服色っぽいねぇ! 男性客多いでしょ?』

 

『え…や、あの……』

 

(野郎ォ……!)

 

 承太郎はリポーターの態度や質問に対し、かなりキレている。その証拠に、無意識だが拳をかなり強めに握りしめている。

 

「……つまんない」

 

「……そうだな、くだらねぇ」

 

 承太郎は菜々子の声で我に返り、手の力を緩め答える。

 

「あー、おさら、あらわなきゃ……」

 

「手伝うぞ」

 

「うん、ありがとお兄ちゃん!」

 

「……これくらいは大したことはねぇ」

 

 そう言いながらも、お兄ちゃんと呼ばれたことが内心少し嬉しい承太郎であった。

 

 

 

 

 ―――――――――――

 

 自室――

 

 皿洗いを終え、自室の机で勉強をした後、ソファーに座りながらふと思い出す。

 

「そういやまだ雨は降ってるな……時間は……あと数秒か」

 

 そう、マヨナカテレビである。

 

「もしかしたらまた何か映るかもしれねぇ」

 

 そう考えると、承太郎はジュネスにて新しく買った小型のテレビの前に立つ。

 

 カチ……カチ……カチ……カチ…………カチッ

 

 時計が0時を差す……するとッ!

 

「っ!? また誰かが映りやがった……」

 

 前回とは違い、途切れ途切れではないが、映像が荒く、和服っぽい衣装を着ている女性…っという事しか分からない。

 

「……まさか、いやそんなはずなねぇ。…………」

 

 一瞬承太郎の中でとある考えがよぎったが、その考えはありえないと思い直した。

 

「……とりあえず今日はもう寝るか」

 

 一人で考えても仕方ないので、明日学校でみんなが見たか確認するべく、今日は寝ることにした。

 

 

 

 ―――――――――――

 

 ????????――

 

「ん………ここは」

 

 まだぼやける目を開けながら、周りを確認する。

 

「ようこそ」

 

「ッ!? 誰だテメェ……」

 

 声のする方を向くと、異様に鼻が長い老人と、金髪の美しい女性がいた。

 

「ご心配めさるな。現実の貴方は眠りについていらっしゃる……」

 

「現実の俺…? これは夢か?」

 

「その通りでございます。私が夢の中にて、お呼び立てしたのでございます」

 

「そうか………スタープラチナァッ!!!

 

 そんな話が信じられるわけがねェッ! っと考えた承太郎はとりあえずスタープラチナを出そうとしたが……

 

「おっと、あくまで貴方様は此処に迷い込まれたお方でございます。その不思議な能力はこの夢の中では封じさせていただきます」

 

「なッ……!?」

 

 そう、なんとスタープラチナが出せないのである。

 

「本来なら、貴方様はこの部屋には来るはずのないお方。しかし、奇妙な"運命"を背負いし者……その"運命"が、本来なら何らかの形で"契約"を果たされた方のみが訪れる部屋……"ベルベットルーム"へといざなわれたのやも知れませんな」

 

「……さっきから言ってる意味が分からねェな」

 

 承太郎はスタンドが出せない代わりに、途轍もない睨みを二人にかます。

 

「今は意味が分からなくても結構。おのずと理解をする日が必ず来るでしょう。……どれ、まずはお名前を伺っておくと致しましょうか」

 

「言う義理はねェ……」

 

 承太郎が変わらず睨んでいると、次は女性の方が喋り出す。

 

「それは困りましたね。そうなってしまいましたら、この世界から貴方様を現実に返すことが不可能になってしまいます」

 

「………………」

 

 承太郎は考える。もしそれが本当だったとしたら、教えなければ永遠に帰れない。しかし、まだ罠の可能性だってあるのだ。

 

「「「……………」」」

 

 誰も一言も発さない空間が続く。

 

「………はぁ、俺の名は空条承太郎」

 

 どっちにしろ、スタンドを出せない以上、この鼻野郎は分からないが、隣に座っている女には勝ち目は無いと直感で感じ取り、名前を教えることにした。

 

「ふむ、なるほど……それでは、これをお持ちなさい」

 

 そういって手渡されたのは、何処かの鍵だった。

 

「おいジジイ、何だこれは…?」

 

「それは契約者の鍵…今宵から貴方はこのベルベットルームのお客人だ」

 

「おいちょっと待て、俺はテメェらと何の契約もしたつもりはねぇぞ」

 

「いえ、貴方はその不思議な力を持ち、この部屋に来た時点で契約は済んでおります」

 

「……………」

 

 金髪の女性が契約に関して説明するが、その無理やりさに承太郎は唖然とする。

 

「しかし残念ながら、わたくし共ではその不思議な能力、そう、スタンド自体への力添えは無理でしょう。ならば、貴方が進むべき道で迷った際、私どもで出来る限りの協力を致しましょう。しかしその際、"契約"に従い、ご自身の選択に相応の責任を持って頂くことです」

 

「……何故スタンドについて知ってるか…とか色々と訊きてぇ事はあるが、どうせ教える気はねぇんだろ?」

 

「さぁ、それはどうでしょうか…」

 

「チッ 呆れるぜ……それで、てめぇらの名前は。こっちは教えたんだ、次はてめぇらの番だぜ」

 

 承太郎がそう言うと、長い鼻の老人はしまった…っとわざとらしい表情をする。

 

「おっと……これは申し訳ない。私の名前は"イゴール"」

 

「私の名前は"マーガレット"でございます」

 

 二人が頭を下げ、名前を言う。

 

「そろそろ時間ですかな……それでは、これからご一緒に旅をして参りましょう…フフ。では、再び見えます時まで…ごきげんよう」

 

 イゴールがそう言い切ると、再び眠気が襲ってくる………

 

 

 

 

 ―――――――――――

 

 自室――

 

「………ん」

 

 承太郎は目を覚まし、辺りを見渡すと、今度こそは自室であった。

 

「あれは夢…じゃあなさそうだな」

 

 手に何かを握っていたので開けてみると、夢の中で貰ったあの鍵であった。

 

「……とりあえず学校に行かねぇとな」

 

 正直色々と言いたい部分はあるが、あいつらが真実を教えてくれない限りは考えてもしょうがないと思い、学校へと向かう準備をするのであった………




お読みいただきありがとうございました!

予想できた方もいるかもしれませんが、じじいの正体はジョセフです!

そして承太郎が懐かしんで見ていた写真は何だったのでしょうか?

更に菜々子とジュネスに行くことになり、それにより仲が深まり菜々子からお兄ちゃんと呼ばれるようになりました! 流石の承太郎もこれにはニッコリ。

……しかし、ジュネスのシーンで妙な人物と出会いましたね。まぁでも承太郎の言ったように、彼とはもう会うことはないでしょう………"この小説では"。

生存した小西早紀の処遇に関して

  • 特に何もなし(話にほとんど出てこない)
  • 日常話で出す(それ以外でもたまに出る)
  • 承太郎の後方腕組み彼女(自称)
  • 花村陽介といい雰囲気に
  • 助けた分お礼しないとなぁ?^^ ニチャア
  • 私は人間をやめるぞ! ジョジョ──ッ!!
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